417 / 787
三章
406話
訓練場の作業場に向かえば、ポムとティムがぴょんぴょん跳ねて、ディディエはその動きを飛びながら真似して遊んでた。
「プッキュン!」
「モッキュン!」
畑がなんか広がってるな~。端が見渡せなくなりそう・・・・・。
あと訓練場の裏が林を越えて森になってるぞ。どんだけ木を増やしたんだろう。
「一気にやったら収穫の人足りないでしょ」
思わずぼやいたら、ティムとディディエが一回首を傾げてからいきなり風魔法を放って果実を一気に収穫しちゃった。
私に見せるためのひと薙ぎだったから一列分だったけど一瞬で終わってる。
「わぁ・・・」
「ププキュン!」
「モキュキュン!」
「ギャオ!」
プルルンが山盛り。
「人手の心配は要らなかったね」
どんなもんだいと胸張りポーズのポムたちを一応褒めてクッキーを渡してから作業場に向かう。
ついでにマイ酒蔵をチェックしておこうと覗いたら、どぶろくっぽいのと花を使った見た目バイオ○ットフィズみたいな綺麗なリキュール、薬草酒とスパイスいっぱいのハーブ酒が樽に詰めてあった。
良さげなものとりあえず入れた的な。
ポムたちが仕込んだらしいタンクには、なんと梅の実が入っていた。
梅!!!
鑑定したら梅酒、梅ブランデー、梅ワイン、梅リキュール・・・ウメ○シュ!!
どんだけ梅が豊作だったの!
タンクがほぼ梅用にされてる。
ヤバいのって梅のこと?
梅の実齧ってまずかったってこと??
って言うかお祖母様がくれた種、一気に育てちゃったか。
まだ梅の実が樽に残ってるので梅干しを漬けねば!!
いや完熟がいいんだっけ?
しかし魔道具作りをしなくちゃなんだぞ!
・・・梅干し食べたい。梅干しおにぎり食べたい。
焼酎お湯割りに梅干し入れたい!!
欲望のままに!
アランとジェイクにお願いしてお手伝いしてもらう。
白干し梅と紫蘇梅、蜂蜜梅を作るために材料を用意。
紫蘇は似たハーブがあるので代用、お塩はアッガスの海塩を使おう。
蜂蜜は蜜ミツバチのは勿体無い気がするけど、おやつ梅にしたいので蜜蜜ミツバチが七虹草から集めてくれた最高級なやつ!!
今日ばかりはカモン!!ルルゥ!!
な気持ちで材料をアランに取りに行ってもらったよ。
「リーシャちゃん、その実、美味しく出来るのぉ?」
アランから何をしようとしてるか聞いたみたいで、ルルゥはめっちゃ訝しがりながら来てくれた。
「齧ったの?」
「すべての食材は味見するでしょう?」
「これは生で齧ったらダメだよ」
そもそも毒があるもの食べたら大変じゃん。
ポーションがあるからチャレンジャーなの?
「でもデリアさまはダンジョンでオヤツにしてたんでしょ?」
それな。
食べるものがなかったとしてもとんでもない不味さと毒なんだけど。
環境に合わせて毒に馴染んだとかあるのかな。
「これは漬物にして食べるんだよ」
「漬物?ピクルス?みたいなやつぅ?」
酸っぱすぎたビヤの実のせいで酸っぱい味は倦厭されてたけど、ピクルスはみんな喜んで食べてくれるようになった。
・・・梅干しは受け入れてもらえるかなぁ?
「んー、酸っぱいけど、食べ物を痛みにくくしてくれたり身体の調子を整えてくれたりするんだよー」
「あらぁ!食べ物が傷まないのは素敵ねぇ」
まぁ受け入れられなくとも、酒に入れるのはきっとハマるよ。マギー先生が。
「タンクのお酒の方はきっとすごく美味しくなるよ」
「ホント!?あの実が美味しくなるのぉ!?」
ルルゥがワクワクしてくれたので、梅の実の処理してアクを抜いて、拭いて樽に入れて塩と焼酎もどきをふりかけて。
紫蘇は揉んで足してと手順を説明する。
蜂蜜は白干し梅が出来てから。
「何日もかかるのねぇ」
アランもジェイクも黙々と梅の実のヘタを穿ってくれる。
なぜかポムとティムが一緒にホジホジしてる。可愛いな。
ディディエは体型的に細かい作業ができないのでルルゥの頭をツンツンしながらいじけてる。
「で、お手伝いさせておいて申し訳ないんだけど私、魔道具を作りたいからあとはお願いしても良い?」
「良いわよぉ」
「はい」
「大丈夫です」
作業場の扉は開けておくように言われて。
アズライトは私が無茶しないように監視するって肩に乗ってる。
さて、作る魔道具の材料を選んでテーブルに載せる。
入浴した人が座ったら起動するセンサー式ジェットは風の魔石。
電気風呂には雷の魔石。
強弱のレベルを変えられるスイッチもつけよう。
スチームサウナには水と火の魔石。
温度管理パネルがいるねぇ。
魔導インクのおかげで彫り込まなくても結構保つ物ができる。半永久的になら彫り込む方がいいけど、私の他にやれないことはあまりしない方向。
とりあえずそれぞれ二十個ぐらい作った。
本邸と宿用、カイダール領に使う分と考えると一回ずつやるのは面倒だし。
使う術式を決めて成功したら数作る分には素材と魔力次第なので問題ないのだ。
動作確認をして鑑定で失敗してないか確認出来れば、改めて設計図を書く。
中級魔導師が作れる範囲にしないと人任せに出来ないのが辛いところ。
『主、今日はそこまでだの』
トレーニング用には着手出来なかったけど温泉スパには十分な装置になったはず。
あとで牛乳とフルーツ牛乳用の冷蔵庫や換気用の天井扇風機を作りたいなぁ。
壁に富士山を描いたらどうかな。
この世界の人に富士山はわからないだろうけど、太陽と鷹と松を描けば縁起が良さそう!!
あ!!露天が無理な代わりに壁にステンドグラス窓作ってレイドラ神と精霊王を描いてもらう?
騎士さんに加護をって!!
『主!向こうも終わったようじゃの!』
「あじゃぱ!」
私が思考の波に乗ってしまったのでアズライトに尻尾で頬を叩かれちゃった!
「リーシャちゃん、集中してたわねぇ」
ルルゥたちが目をしぱしぱしつつ待っててくれたので、仕上がった魔道具を試してお疲れをとってもらおうと思いついた。
「ルルゥ!ちょっとお風呂でこれ試してくれない!?」
訓練場に簡易なお風呂があるのでそこでジェットバスと電気風呂を試してもらいたい。
「・・・試すのは構わないけど私の入浴を見たいってことかしらぁ?」
ルルゥがセクシーに胸元に手をかけてシャツをチラリとはだける。
「え“っ!?」
なんてこった。
ナチュラルにセクハラをかましてしまった。
「見ないよ!!?」
アランとジェイクが苦虫を口に入れたみたいな顔してる。
筋肉は好きだけどジュリアスさまで間に合ってるよ!
うん。お試しはジュリアスさまにお願いしよう。
「プッキュン!」
「モッキュン!」
畑がなんか広がってるな~。端が見渡せなくなりそう・・・・・。
あと訓練場の裏が林を越えて森になってるぞ。どんだけ木を増やしたんだろう。
「一気にやったら収穫の人足りないでしょ」
思わずぼやいたら、ティムとディディエが一回首を傾げてからいきなり風魔法を放って果実を一気に収穫しちゃった。
私に見せるためのひと薙ぎだったから一列分だったけど一瞬で終わってる。
「わぁ・・・」
「ププキュン!」
「モキュキュン!」
「ギャオ!」
プルルンが山盛り。
「人手の心配は要らなかったね」
どんなもんだいと胸張りポーズのポムたちを一応褒めてクッキーを渡してから作業場に向かう。
ついでにマイ酒蔵をチェックしておこうと覗いたら、どぶろくっぽいのと花を使った見た目バイオ○ットフィズみたいな綺麗なリキュール、薬草酒とスパイスいっぱいのハーブ酒が樽に詰めてあった。
良さげなものとりあえず入れた的な。
ポムたちが仕込んだらしいタンクには、なんと梅の実が入っていた。
梅!!!
鑑定したら梅酒、梅ブランデー、梅ワイン、梅リキュール・・・ウメ○シュ!!
どんだけ梅が豊作だったの!
タンクがほぼ梅用にされてる。
ヤバいのって梅のこと?
梅の実齧ってまずかったってこと??
って言うかお祖母様がくれた種、一気に育てちゃったか。
まだ梅の実が樽に残ってるので梅干しを漬けねば!!
いや完熟がいいんだっけ?
しかし魔道具作りをしなくちゃなんだぞ!
・・・梅干し食べたい。梅干しおにぎり食べたい。
焼酎お湯割りに梅干し入れたい!!
欲望のままに!
アランとジェイクにお願いしてお手伝いしてもらう。
白干し梅と紫蘇梅、蜂蜜梅を作るために材料を用意。
紫蘇は似たハーブがあるので代用、お塩はアッガスの海塩を使おう。
蜂蜜は蜜ミツバチのは勿体無い気がするけど、おやつ梅にしたいので蜜蜜ミツバチが七虹草から集めてくれた最高級なやつ!!
今日ばかりはカモン!!ルルゥ!!
な気持ちで材料をアランに取りに行ってもらったよ。
「リーシャちゃん、その実、美味しく出来るのぉ?」
アランから何をしようとしてるか聞いたみたいで、ルルゥはめっちゃ訝しがりながら来てくれた。
「齧ったの?」
「すべての食材は味見するでしょう?」
「これは生で齧ったらダメだよ」
そもそも毒があるもの食べたら大変じゃん。
ポーションがあるからチャレンジャーなの?
「でもデリアさまはダンジョンでオヤツにしてたんでしょ?」
それな。
食べるものがなかったとしてもとんでもない不味さと毒なんだけど。
環境に合わせて毒に馴染んだとかあるのかな。
「これは漬物にして食べるんだよ」
「漬物?ピクルス?みたいなやつぅ?」
酸っぱすぎたビヤの実のせいで酸っぱい味は倦厭されてたけど、ピクルスはみんな喜んで食べてくれるようになった。
・・・梅干しは受け入れてもらえるかなぁ?
「んー、酸っぱいけど、食べ物を痛みにくくしてくれたり身体の調子を整えてくれたりするんだよー」
「あらぁ!食べ物が傷まないのは素敵ねぇ」
まぁ受け入れられなくとも、酒に入れるのはきっとハマるよ。マギー先生が。
「タンクのお酒の方はきっとすごく美味しくなるよ」
「ホント!?あの実が美味しくなるのぉ!?」
ルルゥがワクワクしてくれたので、梅の実の処理してアクを抜いて、拭いて樽に入れて塩と焼酎もどきをふりかけて。
紫蘇は揉んで足してと手順を説明する。
蜂蜜は白干し梅が出来てから。
「何日もかかるのねぇ」
アランもジェイクも黙々と梅の実のヘタを穿ってくれる。
なぜかポムとティムが一緒にホジホジしてる。可愛いな。
ディディエは体型的に細かい作業ができないのでルルゥの頭をツンツンしながらいじけてる。
「で、お手伝いさせておいて申し訳ないんだけど私、魔道具を作りたいからあとはお願いしても良い?」
「良いわよぉ」
「はい」
「大丈夫です」
作業場の扉は開けておくように言われて。
アズライトは私が無茶しないように監視するって肩に乗ってる。
さて、作る魔道具の材料を選んでテーブルに載せる。
入浴した人が座ったら起動するセンサー式ジェットは風の魔石。
電気風呂には雷の魔石。
強弱のレベルを変えられるスイッチもつけよう。
スチームサウナには水と火の魔石。
温度管理パネルがいるねぇ。
魔導インクのおかげで彫り込まなくても結構保つ物ができる。半永久的になら彫り込む方がいいけど、私の他にやれないことはあまりしない方向。
とりあえずそれぞれ二十個ぐらい作った。
本邸と宿用、カイダール領に使う分と考えると一回ずつやるのは面倒だし。
使う術式を決めて成功したら数作る分には素材と魔力次第なので問題ないのだ。
動作確認をして鑑定で失敗してないか確認出来れば、改めて設計図を書く。
中級魔導師が作れる範囲にしないと人任せに出来ないのが辛いところ。
『主、今日はそこまでだの』
トレーニング用には着手出来なかったけど温泉スパには十分な装置になったはず。
あとで牛乳とフルーツ牛乳用の冷蔵庫や換気用の天井扇風機を作りたいなぁ。
壁に富士山を描いたらどうかな。
この世界の人に富士山はわからないだろうけど、太陽と鷹と松を描けば縁起が良さそう!!
あ!!露天が無理な代わりに壁にステンドグラス窓作ってレイドラ神と精霊王を描いてもらう?
騎士さんに加護をって!!
『主!向こうも終わったようじゃの!』
「あじゃぱ!」
私が思考の波に乗ってしまったのでアズライトに尻尾で頬を叩かれちゃった!
「リーシャちゃん、集中してたわねぇ」
ルルゥたちが目をしぱしぱしつつ待っててくれたので、仕上がった魔道具を試してお疲れをとってもらおうと思いついた。
「ルルゥ!ちょっとお風呂でこれ試してくれない!?」
訓練場に簡易なお風呂があるのでそこでジェットバスと電気風呂を試してもらいたい。
「・・・試すのは構わないけど私の入浴を見たいってことかしらぁ?」
ルルゥがセクシーに胸元に手をかけてシャツをチラリとはだける。
「え“っ!?」
なんてこった。
ナチュラルにセクハラをかましてしまった。
「見ないよ!!?」
アランとジェイクが苦虫を口に入れたみたいな顔してる。
筋肉は好きだけどジュリアスさまで間に合ってるよ!
うん。お試しはジュリアスさまにお願いしよう。
あなたにおすすめの小説
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】
本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。
Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited.
© 魯恒凛 / RoKourin
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
【完結】モブなのに最強?
らんか
恋愛
「ミーシャ・ラバンティ辺境伯令嬢! お前との婚約は破棄とする! お前のようなオトコ女とは結婚出来ない!」
婚約者のダラオがか弱そうな令嬢を左腕で抱き寄せ、「リセラ、怯えなくていい。私が君を守るからね」と慈しむように見つめたあと、ミーシャを睨みながら学園の大勢の生徒が休憩している広い中央テラスの中で叫んだ。
政略結婚として学園卒業と同時に結婚する予定であった婚約者の暴挙に思わず「はぁ‥」と令嬢らしからぬ返事をしてしまったが、同時に〈あ、これオープニングだ〉と頭にその言葉が浮かんだ。そして流れるように前世の自分は日本という国で、30代の会社勤め、ワーカーホリックで過労死した事を思い出した。そしてここは、私を心配した妹に気分転換に勧められて始めた唯一の乙女ゲームの世界であり、自分はオープニングにだけ登場するモブ令嬢であったとなぜか理解した。
(急に思い出したのに、こんな落ち着いてる自分にびっくりだわ。しかもこの状況でも、あんまりショックじゃない。私、この人の事をあまり好きじゃなかったのね。まぁ、いっか。前世でも結婚願望なかったし。領地に戻ったらお父様に泣きついて、領地の隅にでも住まわせてもらおう。魔物討伐に人手がいるから、手伝いながらひっそりと暮らしていけるよね)
もともと辺境伯領にて家族と共に魔物討伐に明け暮れてたミーシャ。男勝りでか弱さとは無縁だ。前世の記憶が戻った今、ダラオの宣言はありがたい。前世ではなかった魔法を使い、好きに生きてみたいミーシャに、乙女ゲームの登場人物たちがなぜかその後も絡んでくるようになり‥。
(私、オープニングで婚約破棄されるだけのモブなのに!)
初めての投稿です。
よろしくお願いします。