ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
693 / 786
三章

682話

しおりを挟む
 ちなみに戦い終わった後、演習場の外周りにセッティングされたキッチン馬車や焼き台にて、おやつを食べれる権が発生しているので、みんな団体戦も個人戦も出場希望者が多い。
 グレーデン家の料理長が振る舞ってくれるから余計に。
 なんかね?料理だけじゃなくてルルゥも人気みたいよ。

 隊長など長が付く人たちはシード権があるのに個人戦も初戦から出ようとしたり。
 若い子の目を摘んじゃダメなのよ。

「夜の宴でたっぷり食べれるので我慢するのよ?」
「しゅるのよ?」
 カリナ夫人とユーリアさまに言われちゃうと大人しく引き下がって。
 美味しい匂いが漂ってる中、理性を保つの辛いね。

 ユーリアさまはカリナ夫人の仕草まで真似てるのが可愛いんだけど、のちにアンゼリカさまに似るとしたら、どんな感じに成長するのか、楽しみで仕方ない。
 普段は深窓の令嬢で、戦場では猛獣って言うのもアリだと思うんだ。

 でもジジバカなルシードさまが戦場に出るのを許すかなぁ?

 個人戦は勝ち抜き戦で、問答無用のくじ選出で対戦相手が決まる。
 新人と歴戦の猛者に当たると半泣きで挑む。

 勝負の世界で情けは本人にとって恥なので手加減はない。

 仲間の声援を受けて果敢に立ち向かう姿は涙を誘う。
 狐がライオンに立ち向かうような感じ。

 でもそう思っちゃうのが負けを確定させちゃうんで、自分が勝てると思って戦わないと。
 
 中堅だろうが古参だろうが個人差が激しいので、ちゃんと勝つ若手もいる。
 実力勝負なのだ。

 さすがに演習で命まではかけてないので、ボクシングやプロレスを応援するような高揚感、命懸けの緊張感に似てる気がする。
 スケールは大きいけど。

 グレーデンの演習はもうちょっと土臭い。
 リュフェリーは会場になってるこの舞台がちゃんとした建築物なので、コロッセオとかで観戦している気分って言うのかな。

 グレーデンは野外フェスで、リュフェリーはドームライブ?

 
 隊長クラスの対戦が始まった。
 勝ち上がった人たちは休憩でおやつを食べて充電してきたあとだ。

 ハンメルさまがアモンさんと当たった。
 アモンさんとチェイスさんは元隊長クラスなので一応シード権で最終戦参加だ。

「おぃー、楽隠居で鈍ったとか言うなよー」
 リュフェリー側の中堅からヤジが入る。
「バッカ!俺はちゃんと仕事をしてるんだよ」
「おーおー、口だけじゃねぇって見せてくれ」

 体格差はアモンさんが大きい。
「今日は運が悪すぎる」
 ハンメルさまが半泣きだ。

「おーーーじーーーーさーーまーー」
 マクソンもお祖父様もいない場面だとちゃんと応援してくれる姪っ子だ。
 ハンメルさまが復活した。

「アミョンはマクソンほどじゃないけれどバインだったのでしゅ。もっとバイィンとなるとちゅよくなれましゅね」
 いつの間に胸板チェックを!
「おじーさまはほしょしゅぎでしゅ」
 全然ダメって感じで肩をすくめて首を振った六歳。
 予言だったのか、アモンさんの勝ちだった。

「ボーーーン!腕周り鍛えましょうぜー」
「いや全身だろーが」
 追い討ちをかける中堅たち。鬼か。

 次はセリウスさまがリュフェリーの第二部隊長に当たった。

 体格はほぼ互角で魔法の扱いの差でセリウスさまの勝ちだった。

 何戦か挟んで、チェイスさんがルシードさまに当たって、ヤケクソだった。

「おじいしゃまはしゅごいのれす」
 むっふーと嬉しそうにはしゃぐユーリアさまをカリナ夫人が、
「うふふ、まだまだお父様も勝てませんからね」
って、ユーリアさまを撫でる。

「おじーーーいさまーーー!!!」
「ユーリアーーー、勝利をささげるよぉ!!」

 ガクーッとなりそうなジジバカな返事に、チェイスさんがやりにくそう。
 万が一、勝てたとしてもすごい空気になるよ。

 だけど、お義父さまと同じく辺境三家のトップだったお方だ。
 チェイスさんの攻撃を軽くいなして、ちょっと揉んでやってる感じで楽しそうにして、あっという間に勝負アリだよ。
 これは気の毒。

 ジュリアスさまは、マクソンと当たった。
 
 ユーリアさまと私の熾烈な応援合戦が始まった。
 魔法アリなのに二人とも剣と肉体勝負で。

 パワー全開なのでめっちゃ暴風警報だよ。

 いつの間にか戻っていたハンメルさまとセリウスさまが、魔法障壁を張ってくれた。

「舞台場周りにも張られてるけど一応ねー」

 ジュリアスさまもマクソンも楽しそうに応戦してる。

「アテクチ、もっと近くでおうえんしたいでしゅのに」
 それはさすがに危険だよ。
 
 勝負は接戦で、膠着状態だったんだけど、マクソンが一瞬足を庇って勝負が付いた。

「あー、なるほどー」
「あれだけ力押しだと持たないか」

 ユーリアさまがガーンとなってるのをカリナ夫人が背をポンポンとして。
「ほら、労いに行きましょう」
「はい・・・」
 抱き上げてこの場を離れた。

「マクソンは引退理由は故障じゃないんだけど、昨年膝を痛めたんだ」
 これは、アレか。ユーリアさまを庇った時とか言う感じの。

「何もないところで転けて膝を割ったんだよ」

 なんそれ!!!!??

 でもあれか、六十前あり得るのか・・・。
 猛者がうっかりコケてって。

 切ない気持ちになったよ。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」 魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。 ――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。 「ここ……どこ?」 現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。 救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。 「ほら、食え」 「……いいの?」 焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。 行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。 旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。 「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」 「ウチの子は天才か!?」 ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。 これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。 ※若干の百合風味を含みます。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

処理中です...