モブです。静止画の隅っこの1人なので傍観でいいよね?

紫楼

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 身体を拭いて、一応〈洗浄〉魔法も使ってから、着替えを済ませてルカの元に戻る。
 私もルカも旅装から中流貴族としての身嗜みに戻している。
 と、言ってもかなり控えめだけどね。久しぶりに帰って来てご馳走(我が家比)なので正餐用?まぁそういう感じで。

「久々にリィンのドレスアップみた気がする~」
 お互い様な事を言うルカを軽めに突いた。
「ルカも喋らなきゃイケメン~」

 まぁこんな格好も家を出るまでよ。
 んー、冒険者ランク上がるとパーティやら召喚やらで着なくちゃいけない可能性もあるのかな。
 出来れば、Cランクで安定させたいんだけど、権力が圧力を掛けてくる場合はBランクくらい狙わないとね。

 冒険者ギルドは国に属さないから、基本は命令も無理強いも出来ない。
 でもやっぱり多少はあるので。

Sランク---王侯貴族の干渉を受けない
Aランク---侯爵同等
Bランク---伯爵同等
Cランク---子爵同等
Dランク---騎士爵同等
Eランク---  ナシ
Fランク---  ナシ
Gランク---冒険者見習い

 貴族同等って言っても身分や権力なし。ただいざとなればそれくらいの権限があるよっていう目安。
 権力で無理強いしてはいけないことになっているけど、権力でゴリ押しする輩はいるからランク制度はそれなりの盾になっている。

 母狙いの変態避けを考えるならAランク目指すべきなんだろうけど、流石になぁ。

 Cランクより上は緊急依頼や招集にも応じなくちゃなのであまり上に行くと自由度が減りそう。

 まぁ何だかんだ言ってもお祖父様が絶妙なラインで庇ってくれるから家族のことはあまり心配してない。近々ファナとネルを連れてお祖父様にご機嫌伺いに行くのもアリかも。
 
「お嬢様、坊っちゃま、ベンさまと婚約者のジャクリーンさまが参られましたのでティールームの方へ」

 マイケルが呼びに来たのでネルとファナを抱き上げて一緒に向かう。

「まぁ~!本当にお二人ともお母様そっくりで麗しい事!!」
「お・いー、ジャッキー」
 うちの事情は聞いているだろうに突然大きな声で私たちに母さんのこと似ていることを言ってくる女とかなんなの。

「お二人ともこんなに綺麗なのに学園でお相手を探してこなかったって本当?勿体無いですわぁ」

 今回初めて会った次兄の婚約者は結構強烈だな。
 これはもう猫100匹被って耐えるしか無いよね!

「あ、そうだわ。うちは婿養子をとるんだからルカくんでも良いじゃ無い?ベンはモテるからルカくんと交換しても困らないよね?」

 あ、猫飛んでっちゃいそう。
 この女、なに言ったんだ?

「おい、ジャッキー!」
「良いじゃないの、ベン、婿入り先なんてあなた引くて数多なんだし~」

 一応恋愛で結ばれて、義務での見合いじゃ無いはずの婚約なのにこの言い草。

「・・・俺は兄貴の女と付き合うのは嫌だ。キメェ!」

 ルカもブチ切れで言葉遣いがお悪いわよ。

「な!相手を見つけられなかったんだからお得な話を持ちかけただけじゃないの!」
「何も得じゃねぇし、そもそも相手なんか探してもねぇわ」

 キンキンと甲高い声で捲し立てるジャクリーンに低い声で淡々と返すルカ。

「兄貴、この女と結婚するなら俺は絶縁するからな」
「あ、私も!ルカにも兄さんにも有り得ない言い分だもの、お付き合いできそうに無いわ」
 私たちの言葉にジャクリーンは顔を真っ赤にさせてプルプルと震える。
「何よ!貴方達!学園で婚約できなかったらあとは再婚や評判の悪い相手しか残ってないんですからね!」

 いや、そもそも結婚願望ないしー。

「だからって余計なお世話なんだよ。しかもうちの大事な兄さん蔑ろにするって何様なの?」
 久しぶりに本ギレのルカちゃんカッコいい。自分のことなら怒らないけど、ルカは家族や仲間のことなら本気で怒ってくれるんだよ!

「今日は一応祝いなんだよ。気分悪いこと言ってくんな」
 心底冷めた目で低めの声を出してる。
「ベン!なんで何も言ってくんないの!!私を庇ってよ!!」
 分が悪いとなったらさっき捨てようとしてた兄さんに当たるジャクリーンにイラっとした私。

「いや、庇えねぇわ。交換とか俺たち商品かなんかなの?俺の気持ちどこに持っていけばいいの?」
「・・・・・・」
 ジャクリーンはギロってすごい強い目で睨みつけてからの。
「婚約破棄だわ!慰謝料貰うから!!」
「いやお前が払う方だから」
 思わず突っ込んだ兄さん。グッジョブ。

「なんでよ!?」
「お前が言い出したことで、お前が破綻させたの。わかる?」
 ちょっとした出来心で記録石を起動させてました。サーセン!
「証拠もあるし、堂々と争えるよ?」
 ジャクリーンは口をパクパクさせながらどんどん真っ青になる。
 いくらルカが美男子だからって交換はないよねぇ。マジ発想がキモイ。

 結局ベン兄さんはジャクリーンをとりあえず男爵家に送ることに。
 記録石も渡しておくからあとはうまいことやってね。

 婚約者の交換なんて普通にあることなの?
 リィン、世情に疎いからぁわかんなぁーい☆
 ベン兄さんが別れるか知らんけど、あーいうタイプは私は無理。

「あー香水クセェ」
 ルカがぶつぶつ言いながら窓を開けて歩く。確かにちょっときつかった。
 兄さんの趣味悪くない?
 せっかくのお茶とお菓子がダメになっちゃうじゃ無いか!
 マイケルが美味しく淹れてくれたちょっと冷めたお茶を飲んで一息吐いた。








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