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父さんはすぐには結論を出せないと言って、母さんと部屋に戻ってしまった。
私たちはジョン兄さんとテーブルを片付けながら話を続ける。
「まぁうちレベルだと貴族っていう地位にしがみつきたいほど良いものには思えんわなぁ。しかしリィン、良く婚約の話を全部交わし切ったね」
兄さんが達観した感じ。昔からなんか悟り開いてるような穏やかな人だ。
婚約の話は、お祖父さまを通してきたものは、マートム家とではなくお祖父さまの侯爵家との付き合いを目的としていたり、母に似た容姿を期待してなんてのはいくつか来ていたけどね。
「うわさだけで顔も見たことがないのに申し込んでくるのは論外だし、子供の頃から付き合いにある相手なんかはいじめられた記憶しかないから。学園でわざわざ見に来た連中はダサメイクしてるの見たら幻想を壊されたとか怒ってきたりしたし」
そう。目立たないように隠蔽や隠密魔法を使っていてもクラスまで来ちゃったり、調べて王都の住処まで来た奴もいたけど、おさげでダサメイク、古着でいれば大体引いた。
高位貴族はそもそも子爵の娘をわざわざ望まないから、愛人にしてやるよ?くらいの阿保ボンは来たりもしたけど、ルカっていう用心棒の威圧で逃げる小物だった。
まぁ運が良いのか絶対逆らえないレベルが来てなかったのもある。
「俺ですらストーカーみたいなの来たのに本当に二人ともすごいなぁ」
ちょっとその情報は聞いてなかったよ⁉
ルカも同じく隠蔽隠密で行動してたし、基本私と組んでいたから他の令嬢と接する必要なかったしね!同世代に王子と公爵令息とか優良物件がいたから、顔だけ良い子爵令息なんてのもお呼びじゃなかったのかも?
まぁ婚約の打診で男爵や伯爵の婿入りって言うのはあったけど、ルカもクラスまで見に来た令嬢が思いっきりしょんぼりして帰ったのよ。噂でマートム家の美形さが一人歩きし過ぎて期待も振り切ってるんだろうね。
ネルとファナも苦労しそうだからちゃんと対策を教えないと。
あと、遠回しに母と合わせて欲しい系の下心が透けてる話もあった。ワンチャン母を口説けないかとか、どうにか一晩いけないかって。キモいよね!
母さんの娘時代ってどんなだったんだろう?今でも天然系ほんわか美人だけどほぼ社交界には出てないからね。わからん。
私たちも夜会デビューはせずに王都から出て来ちゃったから、このままフェードアウトしたいんだけど。
「良いとこと結婚してとかは嫌なんだな?」
「「はい」」
兄さんがそう聞いてくれたのでしっかりと肯定した。
結婚したところでその先で変な人に当たったら母さんみたく一生付き纏われそうだし、結婚はするとしても多少金持ちだとかが良いのはチラッと思うけど、貧乏でも食べていける程度なら自分で稼げばいい。そう思うと気ままに冒険者か商人になるのがいいかな?
うちに持参金を出す余裕はないしね。私たちの貯金はマイホーム資金だしぃ。
ルカは一生遊び人がいいらしい。冒険しつつ適度に遊んでって。まぁまだチェリーちゃんだって知ってるけどね☆お互い行動が全部知られてるから仕方なし!
このまま二人で一緒にずーっとバカやってそうな気もする。
「父さんも母さんも引き寄せるタチだけどお前たちは上手くやり過ごせるのだから今からそんなガチガチに人生を決めなくてもいいと思うぞ」
そんなタチやだねぇ。父さんも母さんも魅了のスキルでも持ってるのかしら?
兄さんが優しく私たちの頭を撫でてくれる。
六つ上で多分ウチが一番苦しい時期を覚えてるだろうし、長男としてだいぶ重圧もあっただろうに常に下の弟妹を気遣ってくれている自慢の兄だよ。
「ただいま~」
ベン兄さんが帰ってきた。凄い渋面で!
「うまく纏まった?」
ルカが聞くとベン兄さんが首を横に振る。
「ジャクリーンはルカが婿に来ないなら俺との婚約破棄はしないというし、親父さんは今更困るとか娘の言うことだからといって話にならない」
決定的な証拠を持たせたのにそもそもそこは悪いこととは思ってなさそう!
「頭悪そう・・・」
「だから押しの強い女はやめておけと・・・」
ジョン兄さん、心底言っているけど押しの強い女に何かされたのか?
「祖父さまに頼るしかないか~」
「あの家、どうもウチと縁戚になってお前たちを自分の都合のいい家に繋がらせようとしてたみたいだ」
ベン兄さんが疲れ切った声で何か爆弾を投下したな?
「は⁉」
「マートム家の血筋ってだけで縁を結びたい家が多いようだ」
何それ⁉
「婚姻を結めば両親と繋がりを持てる、生まれてくる子供も期待できるとか意味がわからんことを言っていた」
ベン兄さんはほとほと疲れ果ていて、数時間前と比べて5歳は老けてる。
「はぁ。祖父さまに連絡を入れてくれ。出方次第では裁判も必要だろう」
ジョン兄さんがそういうとベン兄さんが執事と家令に相談に行った。
うーん。ウチが勝てるとしても費用が痛いな。ちょっと稼いでくるべきか?
「そこまで言われるとなるとネルとファナも気をつけてみないといけないね」
ルカが不機嫌な顔で言う。
祖父さまの養子に入れるかそれこそ私たちが引き取って国外に出ないとダメかもしれない。
母さんが泣いちゃうだろうなぁ。
王都には綺麗な人も可愛い人も魅力的な人たくさんいるのに、なぜ母さんはそこまで執着されてるのかな。
母さんそっくりな私とルカで堂々と社交界に出て真相を探るべき?
ない。なしだわ。
せっかくゲームの世界から逃亡したのにね。
・・・あれ?母さんがヒロインか悪役令嬢で荒地に追放エンド的な可能性ない?
うーん!そのゲームの記憶はないから違うと思いたい。
違うよね?
私たちはジョン兄さんとテーブルを片付けながら話を続ける。
「まぁうちレベルだと貴族っていう地位にしがみつきたいほど良いものには思えんわなぁ。しかしリィン、良く婚約の話を全部交わし切ったね」
兄さんが達観した感じ。昔からなんか悟り開いてるような穏やかな人だ。
婚約の話は、お祖父さまを通してきたものは、マートム家とではなくお祖父さまの侯爵家との付き合いを目的としていたり、母に似た容姿を期待してなんてのはいくつか来ていたけどね。
「うわさだけで顔も見たことがないのに申し込んでくるのは論外だし、子供の頃から付き合いにある相手なんかはいじめられた記憶しかないから。学園でわざわざ見に来た連中はダサメイクしてるの見たら幻想を壊されたとか怒ってきたりしたし」
そう。目立たないように隠蔽や隠密魔法を使っていてもクラスまで来ちゃったり、調べて王都の住処まで来た奴もいたけど、おさげでダサメイク、古着でいれば大体引いた。
高位貴族はそもそも子爵の娘をわざわざ望まないから、愛人にしてやるよ?くらいの阿保ボンは来たりもしたけど、ルカっていう用心棒の威圧で逃げる小物だった。
まぁ運が良いのか絶対逆らえないレベルが来てなかったのもある。
「俺ですらストーカーみたいなの来たのに本当に二人ともすごいなぁ」
ちょっとその情報は聞いてなかったよ⁉
ルカも同じく隠蔽隠密で行動してたし、基本私と組んでいたから他の令嬢と接する必要なかったしね!同世代に王子と公爵令息とか優良物件がいたから、顔だけ良い子爵令息なんてのもお呼びじゃなかったのかも?
まぁ婚約の打診で男爵や伯爵の婿入りって言うのはあったけど、ルカもクラスまで見に来た令嬢が思いっきりしょんぼりして帰ったのよ。噂でマートム家の美形さが一人歩きし過ぎて期待も振り切ってるんだろうね。
ネルとファナも苦労しそうだからちゃんと対策を教えないと。
あと、遠回しに母と合わせて欲しい系の下心が透けてる話もあった。ワンチャン母を口説けないかとか、どうにか一晩いけないかって。キモいよね!
母さんの娘時代ってどんなだったんだろう?今でも天然系ほんわか美人だけどほぼ社交界には出てないからね。わからん。
私たちも夜会デビューはせずに王都から出て来ちゃったから、このままフェードアウトしたいんだけど。
「良いとこと結婚してとかは嫌なんだな?」
「「はい」」
兄さんがそう聞いてくれたのでしっかりと肯定した。
結婚したところでその先で変な人に当たったら母さんみたく一生付き纏われそうだし、結婚はするとしても多少金持ちだとかが良いのはチラッと思うけど、貧乏でも食べていける程度なら自分で稼げばいい。そう思うと気ままに冒険者か商人になるのがいいかな?
うちに持参金を出す余裕はないしね。私たちの貯金はマイホーム資金だしぃ。
ルカは一生遊び人がいいらしい。冒険しつつ適度に遊んでって。まぁまだチェリーちゃんだって知ってるけどね☆お互い行動が全部知られてるから仕方なし!
このまま二人で一緒にずーっとバカやってそうな気もする。
「父さんも母さんも引き寄せるタチだけどお前たちは上手くやり過ごせるのだから今からそんなガチガチに人生を決めなくてもいいと思うぞ」
そんなタチやだねぇ。父さんも母さんも魅了のスキルでも持ってるのかしら?
兄さんが優しく私たちの頭を撫でてくれる。
六つ上で多分ウチが一番苦しい時期を覚えてるだろうし、長男としてだいぶ重圧もあっただろうに常に下の弟妹を気遣ってくれている自慢の兄だよ。
「ただいま~」
ベン兄さんが帰ってきた。凄い渋面で!
「うまく纏まった?」
ルカが聞くとベン兄さんが首を横に振る。
「ジャクリーンはルカが婿に来ないなら俺との婚約破棄はしないというし、親父さんは今更困るとか娘の言うことだからといって話にならない」
決定的な証拠を持たせたのにそもそもそこは悪いこととは思ってなさそう!
「頭悪そう・・・」
「だから押しの強い女はやめておけと・・・」
ジョン兄さん、心底言っているけど押しの強い女に何かされたのか?
「祖父さまに頼るしかないか~」
「あの家、どうもウチと縁戚になってお前たちを自分の都合のいい家に繋がらせようとしてたみたいだ」
ベン兄さんが疲れ切った声で何か爆弾を投下したな?
「は⁉」
「マートム家の血筋ってだけで縁を結びたい家が多いようだ」
何それ⁉
「婚姻を結めば両親と繋がりを持てる、生まれてくる子供も期待できるとか意味がわからんことを言っていた」
ベン兄さんはほとほと疲れ果ていて、数時間前と比べて5歳は老けてる。
「はぁ。祖父さまに連絡を入れてくれ。出方次第では裁判も必要だろう」
ジョン兄さんがそういうとベン兄さんが執事と家令に相談に行った。
うーん。ウチが勝てるとしても費用が痛いな。ちょっと稼いでくるべきか?
「そこまで言われるとなるとネルとファナも気をつけてみないといけないね」
ルカが不機嫌な顔で言う。
祖父さまの養子に入れるかそれこそ私たちが引き取って国外に出ないとダメかもしれない。
母さんが泣いちゃうだろうなぁ。
王都には綺麗な人も可愛い人も魅力的な人たくさんいるのに、なぜ母さんはそこまで執着されてるのかな。
母さんそっくりな私とルカで堂々と社交界に出て真相を探るべき?
ない。なしだわ。
せっかくゲームの世界から逃亡したのにね。
・・・あれ?母さんがヒロインか悪役令嬢で荒地に追放エンド的な可能性ない?
うーん!そのゲームの記憶はないから違うと思いたい。
違うよね?
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