306 / 767
20巻
20-1
1
今日も「ワンモア・フリーライフ・オンライン」にログインし、妖精国にあるミミック三姉妹のダンジョンに足を踏み入れた自分ことアースは今、その中でレモンティーを飲んでいた。
「お味はいかがでしょうか?」
なぜかウェイトレス姿でニコニコしているのは、確かミミック三姉妹の三女であるククちゃん……だったかな? 名前がうろ覚えだ。
「美味しいです。美味しいんですけど……ここ、ダンジョンですよね? でも、どう見てもカフェとバーにしか思えないんですが……」
以前とはガラッと内装が変わっており、ダンジョンの一階なのに敷地の半分は食事とお茶を楽しむカフェ、もう半分が酒を楽しむバーになっていた。お客さんもそれなりにおり、盛況な様子を窺わせる。
「あはは、お姉さまの力が大きく伸びたおかげで、今はこんな事ができるようになったんですよー」
なんて、ククちゃんは言う。
で、更に詳しく教えてもらったところ……ミミック三姉妹の長女であるミミさんはダンジョンマスターとしての能力を伸ばし、かつて地下のみだったこのダンジョンは今や地上もあるダンジョンへと大きく成長。それはサイズだけではなく、特定条件の付与も自由自在なんだそうだ。例えば、モンスターがとことん入場者より格上になるエリアや、罠が山ほどあるエリア、そして時間制限付きのエリア、移動を強要されて一瞬の判断ミスが死を招くエリアなどを作れるようになったという。
それだけでなく周囲の環境もいじれるようになり、その結果が地上の街のあの異様な防犯能力だったわけだ。更に、ダンジョンの一階にはカフェとバーを設置し、入場の順番待ちも苦痛ではないようにしたとのこと。
それだけの力を得ても、ダンジョンマスターはダンジョンの外に移動はできないため、冒険者達の雑談などが娯楽の一つになるらしい。だからなるべく大勢の人を呼ぶべく、ダンジョンの周囲で快適に暮らせるようにしたんだとか。
「それにダンジョンの手入れも、今は他の子達に任せられるようになりましたからね、だから私がこんな所でウェイトレスなんてやっていられるんですよー。アースさんも楽しんでいってくださいね。ちなみに、カフェとバーの境目にあるあの宝箱は、私達に食べてもらいたい料理のお届け場所になってますので、ぜひ何か入れてくれると助かります~」
もしかすると、ここで出してるものって、宝箱に提供された食べ物飲み物から情報を得ているのかもしれないな。外に出られないにしては色々品揃えがよすぎる、とは感じていた。
「それではごゆっくりどうぞー。ダンジョンに挑戦なさるなら、しっかり準備をしてから行ってくださいねー。設計上、このダンジョンでは死にはしませんし、街のほうに診療所もありますけど、だからといって好んで大怪我をしたい人はいないでしょう? それと、お姉さまのもとに行きたいのであれば、あそこの入り口が通じていますよ。もちろん難易度は最キョウとなっていますけど、挑まれるのであれば応援させていただきます」
ダンジョンマスターのところへのルートもまだ残してあるんですか。普通、ダンジョンマスターって隠れてる存在だと思うんだけどなぁ。まあ本人がそれでいいというのであれば、こっちが文句を言う筋もないけれど。
そんな事を考えながら、レモンティーの味を楽しむ。ククちゃんは別のお客さんのところに移動した。その人達は、明らかに冒険者ではない軽装をしていた。その人達だけじゃなく、カフェにもバーにも武器を持っていない人が結構いる。彼らは純粋にここでの食事などを楽しむために来ているんだろう。ダンジョンの中ではあるが、内装は立派で城の中にいるような気分になるので、特殊な雰囲気も楽しめる。
(さて、せっかく来たんだからどこかには挑戦しておきたいな。人気があるのは格上エリアか)
各エリアへと通じる入り口に並ぶ人の多寡から、そう当たりをつける。おそらく、程よく調整された格上のモンスターがバンバン出てくるんだろう。スキルのレベル上げには最適だし、ドロップ品も期待できる。それで新しい装備を作るなり売り払うなりすればいい。
逆に一番人気がないのは罠エリアだ。ここは〈盗賊〉系のスキルを持っていないとうまみが全然ないものな。でも逆に〈盗賊〉系スキルがあれば、スキル上げやお宝に期待できる場所なのかも……何らかのメリットは用意しているはずだ。ただキツくてうまみもないダンジョンなんて意味がないし。
他のエリアは大体同じぐらいの人気で、唯一ダンジョンマスターへの道だけは全く人がいない。伊達に最強――いやククちゃんの言い方のニュアンスでは最凶か最狂だったな――の難易度を誇るだけはある。ここから去る前にちょっと挑んでみるのも悪くないかも。
(とりあえず、今日は人気のない罠エリアに行ってみるか。近頃は罠解除にあまり関わってこなかったから、鍛え直すいい機会だ)
……長蛇の列が出来ているところに行きたくないだけ、とも言う。夏と冬に毎年開かれる聖戦に出かけられる方は慣れているかもしれないが、自分はちょっとな。
レモンティーを飲み干したところで、罠エリアの入り口に向かう。並んでいる人はいないため、すぐに入場できた。
このエリアは地下三〇階が最終ゴールとなり、以前のダンジョンと同じく、一〇階と二〇階にはそこからスタートできる中継地点もある──とボードに説明が書いてあった。このボードの先からが、ダンジョンとなるらしい。早速罠の有無を確認すると……
(おおう、これは見事に罠だらけ。地面はもちろん天井や壁に至るまでびっしりときましたか。これは全部解除していたら時間がいくらあっても足りないが……腕を磨き直すために、片っ端からやっつけていくか。三〇階へは、ここから立ち去る事にする前に到達できればいい)
周囲にモンスターの反応はないので、罠の解除に集中する。解除難易度は見事にバラバラで、更に罠の内容と噛み合っていない事も多かった。
例えば天井が落ちてきて即死を誘うような危険な罠はあっさり解除できるのに、その逆に小さな石ころが数個飛んでくる程度の罠が数分掛かったりする。もちろん危険な罠が解除困難なパターンもあったが、どうにも調子が狂う。
解除難易度だけで罠の危険性を判断するんじゃない、というダンジョンマスターからのメッセージなのかもしれないが……やっぱり個人的には、危険な罠こそ解除が難しいものだという考えがあるので、違和感が拭えない。
罠を片っ端から解除しながら進み、地下二階に降りる階段を見つけるまで、一時間半ほども掛かった。まあ、今日は罠解除の腕を磨き直す事が目的だったので、これで良し。
先に進みたいときは、罠を発見しても基本的にはスルーして、どうしてもというもののみ解除していく事になるだろう。
今日はここまでかね。罠の復活速度を計りつつ戻り、ログアウトするとしよう。
(うーん、罠の復活速度はかなり遅いのかな。あっさり戻ってこれちゃった)
さっきのカフェで、今度はミルクティーを飲みながら、この罠のダンジョンについて考える。
きちんと警戒しながら帰り道を進んだものの、行きに出遭った罠は全て解除された状態のままとなっており、数分で再び罠が掛かり直すと予想していただけにかなり拍子抜けした。楽でよかったと言えばよかったが。
(ま、明日以降もしばらく潜ってみて様子を見よう。経験を積めて、スキルもレベルが上がってる。何回もやってみる価値は十分にある)
最近は戦う事ばっかりで、こういう技術系スキルの出番がかなり少なかったから、良い機会と捉えよう。ここらで少し腰を据えて罠と対峙するのも悪くない。いざってときにやり方を忘れてましたー、なんて事になったら、お間抜けさんじゃ済まないからねぇ。
【スキル一覧】
〈風迅狩弓〉Lv50(The Limit!) 〈砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)〉Lv42 〈百里眼〉Lv40
〈技量の指〉Lv76 〈小盾〉Lv42 〈蛇剣武術身体能力強化〉Lv18
〈ダーク・スラッシャー〉Lv9 〈義賊頭〉Lv63 〈隠蔽・改〉Lv7
〈妖精招来〉Lv22(強制習得・昇格・控えスキルへの移動不可能)
追加能力スキル
〈黄龍変身〉Lv14 〈偶像の魔王〉Lv3
控えスキル
〈木工の経験者〉Lv14 〈上級薬剤〉Lv49 〈釣り〉(LOST!) 〈医食同源料理人〉Lv14
〈鍛冶の経験者〉Lv31 〈人魚泳法〉Lv10
ExP30
称号:妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 ドラゴンと龍に関わった者
妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相
託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人
妖精国の隠れアイドル 悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人
魔王の代理人 人族半分辞めました 闇の盟友 魔王領の知られざる救世主 無謀者
魔王の真実を知る魔王外の存在 天を穿つ者 魔王領名誉貴族
プレイヤーからの二つ名:妖精王候補(妬) 戦場の料理人
強化を行ったアーツ:《ソニックハウンドアローLv5》
2
初日に〈技量の指〉や〈義賊頭〉のレベルがガッツリ上がったので、このまましばらく罠解除を続けてみようと画策したのだが……そんなに甘くなかった。翌日からは1レベルも上がらなかったのだ。
多分、このダンジョンは長時間籠っての罠関連スキルのレベル上げに制限が掛かっていると思われる。これを解除するためには、地下一一階まで下りないとダメなような気がする。
ところで、某ローグライクゲームには、モンスターに囲まれたらわざと地雷を踏んで一掃するという方法があった。同じように、この罠のダンジョンに少ないながらも棲息しているモンスターは、罠で引っ掛けて倒す事ができた。
一番やりやすいのが、ギロチンを使った方法。スイッチを踏むと、その位置の少し前にギロチンの刃が落ちてくる。その場から動かなければ当たらないので、モンスターが突っ込んでくるタイミングに合わせて罠を発動させれば……バッサリというわけだ。
なので、地下一一階へと進む道の途中では、罠の発見、最小限の解除、時には罠を逆手にとってモンスターを素早く処理する、といった行動が要求される。モンスターは普通に戦って倒してもいいのだが、せっかくだから利用できるものはしっかり利用させてもらったほうが楽できる──何せここは罠だらけのダンジョン。その中にはさりげなく即死級の罠がごろごろ混ざっている。一回のミスでダンジョン入り口からやり直しとなるこの手の罠のせいで、精神的に苦労するのだから、モンスター退治はできるだけ楽をしたい。力を入れるところは入れて、抜くべきところは抜かないと、辛いだけだ。
何とかとハサミは使いよう、なんて言葉がある。その言葉は、このダンジョンにぴったりなのではなかろうか。地下五階、六階と降りていくうちに、モンスターの数が明らかに増えてきた。それどころか、明らかにPTを組んで行動していると思われる集団までいる。
そんな奴らと真っ向勝負しても──勝てる事は勝てるが──時間の浪費になる。ちなみにモンスター達は『ダンジョン~』という名前で統一されており、言い方は悪いが量産品のようなイメージがちらつく。
種類としてはゴブリン、リザード、ベア、ラビットといったところ。ちなみにラビットは例の如く首切りウサギだと思われる。利用できる罠がないときに一回だけ真っ向勝負をしたのだが、執拗に首元を狙ってきたからな……リアルのウサギとは違って、実に怖ろしい。
基本的にモンスターとの戦闘は回避し、進行上避けられない相手は周囲の罠を利用して始末。集団相手には天井落としの罠が非常にありがたい。
その際、罠の起動を重量のある【重撲の矢】で遠距離から行えば危険もない。ただ、罠の下敷きになるので【重撲の矢】は完全に壊れてロストしてしまい、回収はできない。
罠を起動させると音がするため、近くにいたモンスターが集まってくる事もある。そういう奴らを纏めて地雷の罠で吹き飛ばしたり、落とし穴の罠で叩き落としたりするのも面白い。こういうのが好きな人にとっては天国かもしれないな、ここ。
そのうち、こういう罠が近くにあったらこんなコンボを決められるのではないか? こう誘導すればこう引っ掛けられるのではないか?なんて少々黒い事を考えるようになり、実行したりした。
そんな事を繰り返しているうちに、地下一〇階に到着。以前はこの階で、アイテムを宝箱に入れていたミミックのククちゃんと出くわしたわけだが……そのときとは大きく姿が変わっていた。
変わっていない部分は、二〇個ぐらい並んでいる宝箱の中から一つが選べて報酬になる点くらいかな。そしてその部屋の先ではなぜか、いくつもの食べ物が大きなお盆に載って、テーブルの周りを囲う台座の上を回っているのだ。回転ずしみたいな感じだ。
回っている料理は、ステーキやらお味噌汁やらご飯のセットやら。テーブルの周りでは多数の人が食事を楽しんでいる……そんな光景が、宝箱のある部屋から透けて見えたのだった。
(──いや、もうこれダンジョンじゃなくって、斜め上に進歩した観光地みたいなものじゃないか?)
何となく心のどこかで気が抜けてしまったが、とりあえず宝箱を一つ選んで開けてみよう。
少し見渡して、何となくで選んだ宝箱から出てきたものは……
【上級盗賊の片眼鏡】
罠の細部を見るときに補助してくれる片眼鏡。罠の解除成功率を上げてくれる。
また、ほんの僅かながら目を保護する効果もある。右目用。
種類:顔アクセサリー
品質:ハイレア
効果:「守備力+2」「罠解除成功5%UP」
片眼鏡といえば、なんか熟練の執事さんのものというイメージだが……とりあえず付けてみるか。
右耳と鼻で支えるような形で、常に顔に付けている【フェンリルの頬当て】と干渉し合わず、助かる。
装着した片眼鏡越しに辺りを見てみても、特に変わった様子がない。罠がないときはただの伊達眼鏡という扱いみたいだ。実際の効果のほどは、地下一一階以降で見せてもらう事にしよう。
宝箱を選んだ事で、他の宝箱からかすかに鍵のかかる音がした。複数取っちゃいたい奴も多いだろうから、当然だな。
その後、宝箱の部屋から扉の先に見えていた場所へと出る。
そこで分かったのは、宝箱がある部屋は複数あると思われる事と、その部屋は今いる部屋からは見えない事。どうも一種のマジックミラーになっていたらしい。
その理由は分からないが、深く考えないようにした。ここはもうダンジョンという名の訳の分からない場所。ダンジョンマスターであるミミさんがやや暴走したんだろう、という事にしておく。
「おや、初顔さんですね。ようこそダンジョンの一〇階、休憩の食事場へ。まずはあそこにある記録石に触れてくださいね。それで次からはすぐにここまでやってくる事ができるようになりますから。あとは、休息をとりたければあちらの席へ。食事を取りたいのであれば、どうぞこちらへいらしてください」
制服を着て髪形をツインテールにしている店員……いや、ダンジョンマスターの部下か? とにかく、自分にそう声をかけてきた人の指示に従って、記録石というやつに右手で触れる。
触った途端にうっすらと発光したので、おそらくこれでセーブ完了なのだろう。
これで今日の目的は達成なのだが、それですぐさまログアウトするというのもつまらない。なので、この部屋で回っている料理に手を出してみる事にした。
現実世界の時間では今は夜遅くだ。もしこんな時間に自分のようなおっさんが何か食べ物を口にしたら、間違いなく腹に出る。しかしこの世界ではそんな悩みを抱える必要もないから、食べていこう。そう考えて、食事場のカウンター席に腰を落ち着ける。
「いらっしゃいませ、回っている料理を、下に敷かれているお盆ごと取ってくださいね。取ったお盆は回っている台座には戻さないでください。そのお盆で代金を計算いたしますので……もしルールを破ってしまわれた方は、一回目は警告で済ませますが、二回目はこの休憩所に入る事ができなくなった上に、記録も取り消されます。つまり一階から地下二〇階まで休憩なしに突き進んでいただく事になってしまい、とても辛い事になるかと思われますのでお勧めできません」
と、店員さんが説明してくれた。載っている物は違うが、つまり回転寿司のシステムとほぼ同じだ。
ちなみに、店員さんのツインテールを結んでいるところに、宝箱の形をした小さなアクセサリーが付いていた。という事は、この店員さんもミミックの一種なのかもしれない。もちろんそんな事は訊かないが。
「分かりました、ありがとうございます」
説明してくれた店員さんに頭を下げ、回っている料理を物色する。いくら食べても太らないとはいえ、今はちょっとお肉系はパスしたい心境だ。
何か良いものがないかなと思って見ていると、天ぷら蕎麦が流れてきたので、それを取る事にした。
早速食べてみると……普通に美味しい。天ぷらの出来も悪くなく、サクサクという触感を楽しめる。汁は尖っておらずまろやか。この味を自分の料理スキルで作れるか? いや、ちょっと難しいだろう。
良い意味で予想外の味に、舌が喜ぶ。
(ダンジョンとしては「?」マークが浮かぶ点も多いが、やり方は上手なのかもな。それに、厳しい戦いを潜り抜けて疲弊したところに、ホッとひと息つきながら美味しいご飯が食べられる点とかな。この味ならお金を払っても食っていきたいし、その上自分で作る労力が必要ない。疲れているときに料理をするってのは予想以上に辛いものだからな……こちらの世界で生きている冒険者なら、火をおこして水を温めて肉を焼いて、という作業で苦労した事がない人は、まずいない)
我が家の両親は共働きで、母は仕事から帰ってきて料理をするのが辛いとちょくちょくぼやいていた。自分も、仕事帰りの家事が面倒だと感じた事は一度や二度では済まない。そんなところに目を付けたとしか思えないこの配置……ダンジョンマスターもやりおる。
さて、今日はここまでにして引き揚げようか。帰り方も店員さんに教わり、魔法陣っぽいものの上に乗って街まで帰還して、宿屋でログアウト。
しかし、ここのダンジョンに慣れちゃったら、他のダンジョンは潜れなくなってしまいそうだ。あんまり長居しないほうが良いかもしれない。
◆ ◆ ◆
ダンジョンというものの捉え方が大きく揺らいだ翌日、自分は地下一一階の攻略に乗り出した。
この地下一一階から、ダンジョンの空気が大きく変わっていた……まず、モンスターのランクが一気に跳ね上がった。オーガ、イエティ、バーサーカーアントといった強いモンスターが闊歩するようになり、会ってしまう回数もそれなりに多い。
更に罠の内容も大幅に変更されており、毒のレベルは大きく上がってレアレベルの解毒ポーションでないと対処できなくなった。また、小さな石が飛んでくるといった被害の小さな罠は一切なく、どれもこれも致命傷になりかねないものになっている。
そして、石化の罠が追加された。全身が石になってしまったら、ソロの自分はそこで全滅なので、恐ろしい罠である。これについては、ガスを吸い込んでしまうと石化するタイプと、ビームのようなものを浴びせてきてそれに触れた部分が石化するタイプの二通りを確認した。
ガスのほうは息を止めれば何とかなるが、特にビームのほうは危なすぎる。空中に球状で溜められたのちに石化ビームが吹っ飛んでくるのだが、溜め時間がほんの数秒しかない。そのため、引っ掛かってしまった場合はすぐに伏せるか、生成途中の弾の下を《スライディングチャージ》で潜って裏に回るかだ。まあその流れ弾が後ろにいたオーガに命中したおかげで、罠の内容を理解できたのだが。
ガスのほうは、灰色の煙だった事と、これまた巻き添えを喰らったイエティが石化した時点で判明した。
(なんか、モンスターに追いかけられたところで罠を踏むってパターンが多いな……走って逃げている状況下だと、罠の見落としが酷い。罠のレベルも高いが、罠の隠蔽レベルも高いと見ていいな。それに、ちゃんとモンスターのサーチをしてるのに、何だかさっきから突然自分の真横や背後にぽんという効果音がつきそうな感じでモンスターが湧いてくるのが気になる──もしかして、この階層にはそういう召喚罠が掛かっているとか?)
もしそんな罠があったら最悪だ。偶然だと思いたいが……今のところこのダンジョン内で確認できていないから、対処できない。
モンスターには偶然ながら罠の識別に協力してもらったとはいえ、あまり心臓にはよろしくない。次湧いたら、下手に逃げずに戦うのがよいかもしれないな。
もちろんそれは湧いたモンスターが単体だったならの話で、もし複数来てしまって更に逃げられないときは……頭に乗っているアクアの力を借りるしかない。でもそれじゃ自分の経験にならないから、極力頼らない方向で進めたい。
あなたにおすすめの小説
『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?
シエル
恋愛
「彼を解放してください!」
友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。
「どなたかしら?」
なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう?
まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ?
どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。
「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが?
※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界
※ ご都合主義です。
※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
試験でカンニング犯にされた平民ですが、帝国文官試験で首席合格しました
あきくん☆ひろくん
恋愛
魔法学園の卒業試験で、私はカンニング犯に仕立て上げられた。
断罪してきたのは、かつて好意を寄せてくれていた高位貴族の子息。そしてその隣には、私を嫌う貴族令嬢が立っていた。
平民の私には弁明の余地もない。私は試験の順位を辞退し、その場を去ることになった。
――だが。
私にはもう一つの試験がある。
それは、帝国でも屈指の難関といわれる帝国文官試験。
そして数日後。
その結果は――首席合格だった。
冤罪で断罪された平民が、帝国の文官として身を立てる物語。
