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九九五階の試練、本番開始
開始と同時に、自分は中央エリアの草原へと飛ばされる。始まる前の鍵設置エリアは雪原を選択した。そこから最初の一手は……住宅街へ突撃した。視界が通りにくい住宅街で宝箱を探し回って開けていると思われる相手をまず捕まえる。逆に荒野は最後の鍵が残された場所にならない限りはいかない。あそこは視界が開けているから、こちらの接近はバレやすいし宝箱も探しやすいからまず長居しないと思うんだよね……
そんな考えの元やってきた住宅街。真っ先にやってきたので当然道路などに置かれている宝箱は開けられている様子はない。この様子なら、逃亡や抵抗に使えるアイテムをろくに回収できてはいないだろう。ならば《危険察知》が生きる筈──生きた! 反応あり、さらに反応が消えない。隠れ累計等のアイテムを見つけられなかったな? 当然襲いに行く!
「げえっ!? 来るのが早すぎんだろ!!?」
いたのはジャグド。これではデカい、鍵が無くても持ち前の技術で箱を開けられるジャグドを真っ先に拘束して動きを止められれば勝利に大きく近づく一歩となるだろう。絶対に逃がさない! まずは飛び蹴りにてご挨拶。これをジャグドは身を翻して軽やかに回避した。が、すぐさま盾に仕込んであるスネークソードを展開し、ジャグドに切りかかる。
この一撃がジャグドの左腕を捉えた。鮮血が舞い、ジャグドの口から痛みをこらえる声が漏れ出す。手ごたえもかなりあった、かなりのダメージを追ったはずだ。
「くそ、アースに強化が入っていると言っても、一発でこのダメージはシャレになんねえぞ……畜生、逃げるのは無理か……!」
そんな言葉と共にジャグドが右手を懐に一瞬入れると、自分に向かってナイフを投げてきた。数は三本、それぞれのナイフが自分の胴体部分に飛んでくる。これをサイドステップで自分は回避したが、自分の横を抜けていこうとした瞬間にナイフの柄の部分が異常な発光を放ち始めた。とっさに盾で自分の身を護るとほぼ同時に大きな音と共に爆発音。
(爆発の感じは自分の強化オイルと同じような感じか。投擲用のナイフに改良したものを誰かが作り上げる事に成功していた?)
自分の強化オイルはどうしてもポーション瓶を投げるので射程は短い。だがジャグドが使ってきた爆発する投擲ナイフはそう言った問題をクリアしたうえで威力を保っている感じがした。直撃を受ければ、熱かったでは絶対に済まない。また厄介な物を生み出したものだ……って自分が言える立場じゃないか。
「初見で対応されるとか、冗談きついぜ……」
なんて言いながら、ジャグドはさらに右手だけでナイフを投げつけてくる。左手は使えないのか、それともそう言うブラフか……とりあえずナイフの爆発に巻き込まれないように、そしてジャグドの狙いが定まらないようにサイドステップを繰り返しながらこちらもお返しとばかりに強化オイルを投げつける。ストレートに投げる物と、上に曲射するような感じで投げる投擲手段を組み合わせながら。
そのため周囲には何度も爆発音が響き渡る事になった。更にその爆発によって周囲の建物にひびが入っていく。どうやらフィールドに配置されている建物の耐久力は無限にはなっていなかったようだ。ならば、当然それを利用すべきだろう──と、ジャグドも考えたはずだ。家を崩して視界を防ぎつつ相手にダメージを与えて逃げおおせるのがジャグドが一番やりたい作戦だろうからな。
ならばどうするか? その作戦に乗っかるように動いて最後の一手でひっくり返すのである。が、当然歴戦のレンジャーでもあるジャグドを相手にやるとなると相当に難しい。なのでこちらから積極的にインファイトによる攻めを展開し、少しでもジャグドの思考する時間を奪う事で綿密な計画を立てられないように妨害する。
そうやってジャグドを妨害しながらジャグドの立場になって考える。これは対人戦においても結構有効な手段であって、こう来るならこう返す、この攻撃にはこう返した方が優位になるとかダメージが取れるとかの相手の思考を読む。そしてその読みが当たる一瞬前で想定外の動きをするのだ。ジャンプするように見せかけてジャンプしない、攻撃を放つように見せかけて放たない、などだ。
これがうまくハマると相手は一瞬混乱する。その一瞬の混乱にいかに付け込むか……それが対人戦の醍醐味の一つなのではないだろうか? 読みと騙し合い、隙を付けたらその好機を逃さないようにする心構えなど、単純な数値以上の戦いがそこにはある……そしてVRの世界であるワンモアなら、その手の駆け引きはより重要かつ明暗を分ける物になりやすい。
しかし、そこは流石ジャグド。こちらの近接攻撃を見事な体捌きと恐らく本人専用に作ったと思われる緑色の光をほのかに放つショートソードを用いた剣技で、レガリオンや八岐の月を用いた自分の近接攻撃を次々といなし続ける。やはりグラッドの率いるパーティメンバー、練習の時には見せなかった動きを解放し、容易くこちらに勝利を与えてはくれないか。
(しかもこっちの能力が上がっている状況下なのにここまでやる……普段の真っ向勝負だったら、もっと厳しい戦いだっただろう)
だが、流石にこれ以上の時を稼がれたくはない。それにジャグドの剣技も見せてもらってある程度の流れも分ってきた。恐らくジャグドがやりたい事は、倒壊寸前の建物のそばまで自分を引っ張って攻撃をぎりぎりで回避。建物の倒壊を誘った所で自分だけ退避しつつ例の爆発する投擲ナイフを投げてこちらの足を止めて倒壊に巻き込み、離脱するという行動も読めた。
(ならば倒壊させるところまでは乗っかって、そこからはこっちが引っ掛ける)
そう決めて、ジャグドとのインファイトを継続する。じりじりと後ろに下がるジャグド、だが、甘い。見えているぞ……その目は追い詰められた人間が浮かべるような焦りが無いのだ。表情は明確に苦戦している人間の顔をしているが、目の方まではごまかせていないのはまだ若さ故なのかもしれない。
こちらはそんなジャグドの動きの乗っかり、じりじりと倒壊寸前の建物に追い詰めていくように動く。そしてついにジャグドを建物の壁まで追い詰めた──様に見せかける。そしてジャグドは──こちらのレガリオンによる攻撃を振るった瞬間に残像を残して自分の背後に回ったのだ。その時ジャグドは小声ながら一言、アーツを宣言していた。《ダミーバックスタブ》と。背後から殺気が迫る。
ジャグドからすれば、ここで自分が攻撃を外して建物に攻撃を加え、さらに自分が背後からジャグドの手によって刃物に貫かれる事により硬直し、建物の倒壊に巻き込めると計算しての行動だっただろう。だが、こちらが振るった攻撃は決して全力ではなく途中で止められる程度の力しか入れていなかった。なので自分は後ろに向かってレガリオンのもう一つの刃を、脇横から突き刺すようにしてジャグドの攻撃を迎撃する。
「んなぁ!?」
ジャグドの獲物はショートソードだ。故に刃がレガリオンよりも短い。だから、単純な話で申し訳ないがリーチの差がここでもろに出てしまったのだ。更に付け加えて、ジャグドはアーツを使ってしまっている。動きがマニュアル化出来るとは言っても……何でもかんでも自由にできる訳もなく。更にジャグドはここで決めるとばかりに自分に対して始めて見せるアーツを使ったはずだ。
その決め技を確実に当てるべく、渾身の力を注意をその攻撃に乗せたはずだ。だからさすがのジャグドと言えど……このレガリオンによる不意打ち気味の後方攻撃には対処できなかった。レガリオンを通じて感じる手ごたえ。そしてジャグドが地に伏せる音がした。
「くっそ……誘って引っ掛けるつもりが、ここ一番って所で見破られたか……初見の道具や技まで使ったってのによぅ」
苦しそうな声でジャグドが悔しげな声を出していた。自分はそんなジャグドに鎖を呼び出して投げつけて拘束させる。拘束されたジャグドは檻に送られる……よし、ジャグドを捕まえる事に成功した。もちろんそのうち助け出されるだろうが、それでもグラッド達の探索速度は間違いなく鈍る。
(次は、ジャングルに行ってみるか。時間はまだあまりたっていないから、まだ送られたグラッド達の誰かが隠蔽系統のアイテムを見つけれていない可能性がある)
住宅街からジャングルに向かうべく、自分は走り出した。序盤にどれだけ妨害できるかで後半の戦いの厳しさが変わってくるはず。だから出来るだけ妨害しておきたい。ジャングルでも上手く行くと良いのだが。
そんな考えの元やってきた住宅街。真っ先にやってきたので当然道路などに置かれている宝箱は開けられている様子はない。この様子なら、逃亡や抵抗に使えるアイテムをろくに回収できてはいないだろう。ならば《危険察知》が生きる筈──生きた! 反応あり、さらに反応が消えない。隠れ累計等のアイテムを見つけられなかったな? 当然襲いに行く!
「げえっ!? 来るのが早すぎんだろ!!?」
いたのはジャグド。これではデカい、鍵が無くても持ち前の技術で箱を開けられるジャグドを真っ先に拘束して動きを止められれば勝利に大きく近づく一歩となるだろう。絶対に逃がさない! まずは飛び蹴りにてご挨拶。これをジャグドは身を翻して軽やかに回避した。が、すぐさま盾に仕込んであるスネークソードを展開し、ジャグドに切りかかる。
この一撃がジャグドの左腕を捉えた。鮮血が舞い、ジャグドの口から痛みをこらえる声が漏れ出す。手ごたえもかなりあった、かなりのダメージを追ったはずだ。
「くそ、アースに強化が入っていると言っても、一発でこのダメージはシャレになんねえぞ……畜生、逃げるのは無理か……!」
そんな言葉と共にジャグドが右手を懐に一瞬入れると、自分に向かってナイフを投げてきた。数は三本、それぞれのナイフが自分の胴体部分に飛んでくる。これをサイドステップで自分は回避したが、自分の横を抜けていこうとした瞬間にナイフの柄の部分が異常な発光を放ち始めた。とっさに盾で自分の身を護るとほぼ同時に大きな音と共に爆発音。
(爆発の感じは自分の強化オイルと同じような感じか。投擲用のナイフに改良したものを誰かが作り上げる事に成功していた?)
自分の強化オイルはどうしてもポーション瓶を投げるので射程は短い。だがジャグドが使ってきた爆発する投擲ナイフはそう言った問題をクリアしたうえで威力を保っている感じがした。直撃を受ければ、熱かったでは絶対に済まない。また厄介な物を生み出したものだ……って自分が言える立場じゃないか。
「初見で対応されるとか、冗談きついぜ……」
なんて言いながら、ジャグドはさらに右手だけでナイフを投げつけてくる。左手は使えないのか、それともそう言うブラフか……とりあえずナイフの爆発に巻き込まれないように、そしてジャグドの狙いが定まらないようにサイドステップを繰り返しながらこちらもお返しとばかりに強化オイルを投げつける。ストレートに投げる物と、上に曲射するような感じで投げる投擲手段を組み合わせながら。
そのため周囲には何度も爆発音が響き渡る事になった。更にその爆発によって周囲の建物にひびが入っていく。どうやらフィールドに配置されている建物の耐久力は無限にはなっていなかったようだ。ならば、当然それを利用すべきだろう──と、ジャグドも考えたはずだ。家を崩して視界を防ぎつつ相手にダメージを与えて逃げおおせるのがジャグドが一番やりたい作戦だろうからな。
ならばどうするか? その作戦に乗っかるように動いて最後の一手でひっくり返すのである。が、当然歴戦のレンジャーでもあるジャグドを相手にやるとなると相当に難しい。なのでこちらから積極的にインファイトによる攻めを展開し、少しでもジャグドの思考する時間を奪う事で綿密な計画を立てられないように妨害する。
そうやってジャグドを妨害しながらジャグドの立場になって考える。これは対人戦においても結構有効な手段であって、こう来るならこう返す、この攻撃にはこう返した方が優位になるとかダメージが取れるとかの相手の思考を読む。そしてその読みが当たる一瞬前で想定外の動きをするのだ。ジャンプするように見せかけてジャンプしない、攻撃を放つように見せかけて放たない、などだ。
これがうまくハマると相手は一瞬混乱する。その一瞬の混乱にいかに付け込むか……それが対人戦の醍醐味の一つなのではないだろうか? 読みと騙し合い、隙を付けたらその好機を逃さないようにする心構えなど、単純な数値以上の戦いがそこにはある……そしてVRの世界であるワンモアなら、その手の駆け引きはより重要かつ明暗を分ける物になりやすい。
しかし、そこは流石ジャグド。こちらの近接攻撃を見事な体捌きと恐らく本人専用に作ったと思われる緑色の光をほのかに放つショートソードを用いた剣技で、レガリオンや八岐の月を用いた自分の近接攻撃を次々といなし続ける。やはりグラッドの率いるパーティメンバー、練習の時には見せなかった動きを解放し、容易くこちらに勝利を与えてはくれないか。
(しかもこっちの能力が上がっている状況下なのにここまでやる……普段の真っ向勝負だったら、もっと厳しい戦いだっただろう)
だが、流石にこれ以上の時を稼がれたくはない。それにジャグドの剣技も見せてもらってある程度の流れも分ってきた。恐らくジャグドがやりたい事は、倒壊寸前の建物のそばまで自分を引っ張って攻撃をぎりぎりで回避。建物の倒壊を誘った所で自分だけ退避しつつ例の爆発する投擲ナイフを投げてこちらの足を止めて倒壊に巻き込み、離脱するという行動も読めた。
(ならば倒壊させるところまでは乗っかって、そこからはこっちが引っ掛ける)
そう決めて、ジャグドとのインファイトを継続する。じりじりと後ろに下がるジャグド、だが、甘い。見えているぞ……その目は追い詰められた人間が浮かべるような焦りが無いのだ。表情は明確に苦戦している人間の顔をしているが、目の方まではごまかせていないのはまだ若さ故なのかもしれない。
こちらはそんなジャグドの動きの乗っかり、じりじりと倒壊寸前の建物に追い詰めていくように動く。そしてついにジャグドを建物の壁まで追い詰めた──様に見せかける。そしてジャグドは──こちらのレガリオンによる攻撃を振るった瞬間に残像を残して自分の背後に回ったのだ。その時ジャグドは小声ながら一言、アーツを宣言していた。《ダミーバックスタブ》と。背後から殺気が迫る。
ジャグドからすれば、ここで自分が攻撃を外して建物に攻撃を加え、さらに自分が背後からジャグドの手によって刃物に貫かれる事により硬直し、建物の倒壊に巻き込めると計算しての行動だっただろう。だが、こちらが振るった攻撃は決して全力ではなく途中で止められる程度の力しか入れていなかった。なので自分は後ろに向かってレガリオンのもう一つの刃を、脇横から突き刺すようにしてジャグドの攻撃を迎撃する。
「んなぁ!?」
ジャグドの獲物はショートソードだ。故に刃がレガリオンよりも短い。だから、単純な話で申し訳ないがリーチの差がここでもろに出てしまったのだ。更に付け加えて、ジャグドはアーツを使ってしまっている。動きがマニュアル化出来るとは言っても……何でもかんでも自由にできる訳もなく。更にジャグドはここで決めるとばかりに自分に対して始めて見せるアーツを使ったはずだ。
その決め技を確実に当てるべく、渾身の力を注意をその攻撃に乗せたはずだ。だからさすがのジャグドと言えど……このレガリオンによる不意打ち気味の後方攻撃には対処できなかった。レガリオンを通じて感じる手ごたえ。そしてジャグドが地に伏せる音がした。
「くっそ……誘って引っ掛けるつもりが、ここ一番って所で見破られたか……初見の道具や技まで使ったってのによぅ」
苦しそうな声でジャグドが悔しげな声を出していた。自分はそんなジャグドに鎖を呼び出して投げつけて拘束させる。拘束されたジャグドは檻に送られる……よし、ジャグドを捕まえる事に成功した。もちろんそのうち助け出されるだろうが、それでもグラッド達の探索速度は間違いなく鈍る。
(次は、ジャングルに行ってみるか。時間はまだあまりたっていないから、まだ送られたグラッド達の誰かが隠蔽系統のアイテムを見つけれていない可能性がある)
住宅街からジャングルに向かうべく、自分は走り出した。序盤にどれだけ妨害できるかで後半の戦いの厳しさが変わってくるはず。だから出来るだけ妨害しておきたい。ジャングルでも上手く行くと良いのだが。
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