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29巻
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VRMMOゲーム「ワンモア・フリーライフ・オンライン」のサービス終了が発表されてからしばし――
アースこと自分は、獣人の国にある街の道具屋で用心棒を買って出ていた。
公式で発表された最終イベント開始までに、装備を強化して訓練したい輩が無理を通そうとしてくるケースが多々あったからだ。
◆ ◆ ◆
用心棒生活を始めて数日。このお店にやってきて暴れた連中が七組。一方で話を聞いたら状況を理解して素直に引いてくれたのが二十九組。
暴行で自分の都合を押し通そうとする愚かな連中の方が遥かに少ない事実に、自分は内心で胸をなでおろしていた。皆が皆、暴徒化していたら、とてもじゃないが収められない。
「イベント開始まで、あと一か月と半分か。そろそろ情報が欲しいところだな」
自分と一緒に店先で用心棒をしてくれているジャグドの言葉に、自分とガルが頷く。今日も用心棒をしながら、ジャグドとガルを相手に雑談を交わしている。
「イベント内容の詳細が分かれば、また風向きが変わるだろうからねー」
ガルの言う通りだ。全てを明かせとは言わないから、何かしらの情報が欲しい――そんなタイミングで、運営からのインフォメーションが入った。
「なんか来たぞ」
「見てみようぜ、運営からの知らせだしな」
「多分イベントについてだろうね。早速見よー」
インフォメーションの内容は、やっぱり最終イベントについてだった。
二つの塔はその内容が違う……まずは白い方からだ。白い塔は外のあらゆるフィールドをランダムで再現しており、中に入るまでどういう地形が出るかが分からない。モンスターも当然のように生息しており、戦うなり逃げるなりして対処する必要がある。
次に黒い方だが、こちらは地形が塔の中で統一されている。道も複雑ではなく、迷う事はまずない。ただし黒い方は白い方と比べてモンスターが段違いに強い。また塔の構造も単純なために、障害物などを利用したエンカウントを避ける方法を取れないようだ。
そして、どちらの塔にも共通するルールとして二十階ごとに試練が用意されており、これをクリアする事で先に進めるようになる。
さらに試練をクリアできなかった場合、五階下まで落とされるペナルティがある。なので試練は一回一回真剣にやった方が良い。
また、五階ごとに二つの塔を繋ぐ橋が架かっており、この橋を渡ってもう一方の塔に移動する事が可能。
橋の中央には転送装置も存在し、この転送装置で宿屋、鍛冶屋、食料品店などの冒険に必要な物が全て揃う空間に行ける。補給や休息はここで取ってくれという事だな。
職人プレイヤーは、この空間に塔を経由せず行く事ができる。塔が解放されると同時に、塔の周囲にも転送装置が配備されるらしい。この方法で入った時に限り、塔と外の世界との行き来が可能なのだ。
塔をどこまで登ったのかはプレイヤーごとに記録されている。
つまり九十階まで登ったプレイヤーに、まだ十五階までしか登っていないプレイヤーが一気に九十階まで連れていってもらうなんていうインチキはできないという事だ。
塔内は全てパーティ専用のダンジョン扱いとなる。パーティを組んでいればそのメンバーだけ、パーティを組んでいなければ適当に組まされるか、ソロで行く事を選択するかになるようだ。
適当に組まされた場合は、メンバーによる難易度調整という救済措置が入る。
前衛がいないのに前衛がいなきゃ勝ち目のないモンスターが出るとか、〈盗賊〉スキル持ちがいないのに罠がいっぱいあって進めないとかいう事は起きないらしい。
また、塔内ではスキルのレベルアップが外の五倍ほど速くなるので、カンストまで上げる事も容易くなるようだ。
逆に言えばカンストするまで修業しないと最終決戦が辛いという事の裏返しかもしれないが……
最終決戦についても明記されていた。
最後に戦う相手は巨大な女性である事。そして戦いの舞台は魔法陣を足場とした特殊なフィールドで、魔法陣が設置される高さは、女性のお腹よりやや上あたりになる。
つまりプレイヤーが攻撃できるのは上半身のみという事だ。女性は蹴りなどの攻撃は行わず、上半身のみで攻撃してくる。
この最終決戦に参戦できるのは、まず塔を登り切った者。
そして最終日前日に皆が観戦できる形でルーレットを回し、出た数を登頂プレイヤーの数にかけて追加の参加者数を決めるそうだ。最低値は一・五倍。最大で五倍……か。
最上階まで到達できれば、あとは好きな階層に簡単に行けるようになるそうだ。
「最終日まで好きなだけスキルのレベル上げができるので、心配せず最上階を目指せ!」と力いっぱい書かれていた。
「ほー、塔内はそういうブースト効果が適用されるんだな。まあ最終決戦でスキルレベルが低くて何もできねえって事はこれでなくなりそうだな」
「それだけじゃなく、今急いでカンストまで持っていく必要性がこれでなくなったから狩場とか街中が少し落ち着くんじゃないかなー」
ジャグドとガルは感想を言った。
自分も二人と同じような感想だ。ガルの言う通り、これなら今の状況はちょっと落ち着くだろう。
むしろ落ち着かせるために運営が発表したと考えてもいいかもしれない。相当な苦情が上がっていたはずだしねえ、プレイヤーから。
自分は白い塔一択かな。黒で強いモンスター相手の連戦はちょっとな……運営がこう明記しているんだから、一人一人が強いだけの寄せ集めパーティじゃ多分大苦戦する。
「なんにせよ、これで今の状況が改善されてほしい。さすがにずっと用心棒生活を続けてはいられない……各地の知り合いに最後の挨拶をしておきたいしな」
自分がそう言うと、ジャグドとガルは「ああ、お前は知り合い多そうだもんな」という視線を向けてきた。ま、事実その通りなんだけど。
最低でもあと魔王様、蹴りの師匠であるルイさん、龍稀様や龍ちゃんに雨龍師匠、サハギン族や人魚の皆さん、フェアリークィーン、ゼタン、ミーナには顔を出さないといけない。
それと、義賊団の解散、あるいは存続のための引き継ぎも残っている。まあこっちは塔に入る直前でいいだろうが。
とにかくそういう事を全て済ませてからじゃないと、塔には入れない。そういう事はきっちりやらないと、すっきりしないし不義理でもある。
「まあ、これで焦る奴はぐっと減るだろうよ。用心棒生活もそう長くはならねえだろ」
「まあ、残念に思う子もいるだろうけどねー? アースはあの子にずいぶんと懐かれてるし」
ああ、道具屋の娘のマリアちゃんの事だな。まあ、彼女の悩みを解決するのに多少協力したから、それで懐いてくれたんだろうけど。でも、このお店を出る時が今生の別れだな。もう二度とこのお店に戻ってくる事はないから、こればかりは仕方がない。
まさか連れていくわけにはいかないし、連れていったって、あと一年と一か月半でこの体は消滅する。なので結局マリアちゃんには泣いてもらう他ない。
「皆様、先ほど夫から連絡が入りました。材料の仕入れが終わってこちらに戻るとの事です。皆様には申し訳ありませんが、あと少しだけお願いいたします」
道具屋の奥さんが顔を出して言った。
そっか、あと少しか……ならそのあと少しの間、しっかりと用心棒を務めあげますかね。
◆ ◆ ◆
それから数日後、無事に帰ってきた道具屋の店主ことおっちゃんは、「痛風の洞窟」に挑みたがるプレイヤーのための道具を頑張って生産し(一部は自分も手伝った)、商品の再販に漕ぎつけた。
商品が戻った事で暴れるプレイヤーもいなくなり、用心棒を続ける理由もなくなった。自分もいくつかの必要な器具を譲り受け、「痛風の洞窟」にアタックする準備も整った。
(いよいよ、ここを旅立つ日が来たな。明日のログインと同時に「痛風の洞窟」に向かうから、今日が最後だ)
もう全てを察しているマリアちゃんが自分から離れないので、そっと優しく頭をなでる。
しばし時間が経って眠ってしまったマリアちゃんを、奥さんに頼んで寝床に運んでもらった。そうして、自分は道具屋のおっちゃんと向き合う。
「先に発たれた二人と、アース様のおかげで今回の危機を乗り切れました。本当に感謝します」
すでにジャグドとガルはここを発っている。グラッドと一度合流するんだそうだ。おっちゃんは二人にも報酬を渡していた。自分もすでに受け取っているが、マリアちゃんが離れなかったので出るのが遅くなった。
「知り合いの窮地を、はいそうですかと見捨てられなかっただけです」
さすがに知り合いでも巨額の借金に対して連帯保証人になるとかはできない。
というか連帯保証人って、他人に借金押しつけてとんずらするための方法ってのが自分の認識なんだよねぇ……色んなドラマや漫画の影響があるのは事実だが、それを差っ引いても受ける気にはならんよ、あれは。
「またアース様にはお世話になってしまいました。本当ならもっと対価を払わなきゃならないのですが」
「それでお店の資金繰りが狂ったら元も子もないでしょう。自分だってそんな結末は望みませんよ」
せっかく助けたのにそんな形で潰れたなんて結末は嫌ですよ。それじゃなんのために動いたのか分からなくなってしまう。
「本音を言えば、ここにもっといてほしいですが……あなたは冒険者だ。あの塔に、挑むんでしょう?」
「ええ、そのつもりです」
挑んでほしいって、言われちゃってるからな。まあ、言われなくても挑んでいただろうけど。
「俺にできる事は、その旅が上手くいく事を祈るだけです……すみません、恩人に対してできる事があまりにも少なすぎる」
「いえ、それで良いんです。祈ってくれる人がいる、それはとてもありがたい事ですから」
旅が上手くいくように祈るなんて口先で言う人は多いだろうが、本当に祈ってくれる人はそうそういない。
「そう言ってくれると助かります。本当に、ありがとう」
ゆっくりと頭を下げるおっちゃん。
うん、これで安心して旅に出られるな。明日からまた頑張ろう。
2
翌日、「ワンモア」にログインして、用心棒をやっていた道具屋をあとにした。
目指す先は「痛風の洞窟」の奥。そこで氷の迷宮の踏破と、闘技場での戦闘経験を得る。
数か所の難所を越えて、かなりのプレイヤーが狩りをしている氷の結晶地帯も抜け、氷のガーゴイルがいる場所へとやってきた。
「順に案内する、ちゃんと並べー!」
「並ばない奴は参加させねーからな! そこ、割り込もうとするんじゃない!」
以前とは打って変わって、大勢のプレイヤーを相手に忙しそうにしているガーゴイルの二人。
これではゆっくり世間話もできないな。とりあえず自分も列の最後尾に並ぶか……
しかし数が多い。ここにもこんなにプレイヤーが押しかけているんだな。
「お前さんの目的は?」
「闘技場」
「んじゃこっちだな、別の奴がこの先は案内する」
「お前さんは?」
「闘技場!」
「じゃあ、こっちに行ってくれ」
ふむ、プレイヤー全員が闘技場目的で、他の場所に行くという人がいないぞ……これじゃ闘技場は盛況だろうが、他の場所は寂しい事になっていそうだな。っと、次は自分の番か。
「お、久しぶりだな。今日は何に挑戦するんだ?」
「以前踏破できなかった氷の宮殿の迷路を」
「おお、闘技場以外に行くという奴は久々だ。じゃあ、あっちに案内役がいるからよ」
氷のガーゴイルの指さした先には久しぶりに見る宮殿の案内役の女性――グラキエスがいた。
彼女に従って、久々に氷の宮殿前にやってくる。以前はろくに進めず終わってしまったが、今の自分の能力ならきっと女王の謁見室まで踏破できるはず。
開かれる迷路の入り口。臆する事なく歩を進める。
以前は色々とやられて醜態をさらしたが、今回は違う。明鏡止水の心で周囲をしっかりと見て、以前の挑戦後に得てきた経験で罠と道を見切る。
そうすると……一つある事が見えてきた。罠は多数あるが、一部、起動させないと道が開けない可能性が高い罠が混じっている。
(以前の挑戦では罠を発動させてはいけないと考えて、とにかく避け続けた。だが……そうだ。ここは複数のトラップが起動したあとに壁が崩れる仕組みになっているぞ。矢で射る事で罠のスイッチを起動させれば、安全に新しい道を切り開ける)
自分に被害が出ないように注意を払いながら、罠のスイッチを【重撲の矢】で射る。氷でできたのこぎりとか槍とかが飛び出した後、壁が崩れて新しいルートが現れた。
こういう仕組みも、以前は見破れなかったな……今はこうして看破できるのだから自分はきちんと成長しているのだなと感じる。
(だが、罠の殺意は非常に高い。きちんとどこから発動すれば安全なのかを丁寧に調べて、必要だと思われる罠のみを起動しないと……しかし、制限時間もある。もたもたしていられないというのが厳しいな)
崩れた壁の先にあるルートを調べながら、そんな事を頭の隅で考える。
迷路は複雑で、仕掛けられている罠はどれもこれも一発アウトと思われるほどの危険性を秘めている。どうやらこのあたりは純粋に迷宮で惑わせて、集中力が減ったところを罠で仕留める仕様らしい。
だが、今さらそんな事をされた程度で集中力が落ちるようなやわな精神などしていない。戦いに継ぐ戦い、それに冒険によって、プレイヤーとしての自分も鍛えられている。
迷宮を抜けると、また空気が変わった。
罠の一つ一つの危険性は多少落ちたようだが、その代わり一つ起動すると次々と罠がコンボしてこちらを追い詰めるようになっているみたいだ。
例えば、壁がせり出てきて、押し出されたプレイヤーを床がはね飛ばす。すると、着地地点は最初のエリア……大幅な時間のロスを強要してくるといった感じだ。
他にも拘束したり、落とし穴に落として強制的にどこかに戻したりと、そんな罠がわんさかあった。拘束罠の方はわざと安全地帯から起動させて調べてみたが、必死でもがけばなんとか脱出は可能と思われる糸がまとわりつく仕組みだった。
落とし穴の方は〈義賊頭〉をフル活用して調べた結果、かなり前まで戻されるようだと察知できた。多分これは間違っていない。
そんなエリアを注意深く進んでいると、また迷路の雰囲気が変わった。ふむ、今までの迷宮の要素を全て兼ね備えた最終エリアと言うべき場所だな。残り時間は十五分か……しかし、ここまで来て失敗するような真似は避けたい。できるだけ丁寧にかつ素早く進まねばならない。
幸い、罠の難度が急上昇しているという事はなかったが、罠が仕掛けられた道の長さは倍以上に延びていた。なので調べるのに時間を割かれる。それがこの迷路の製作者の狙いの一つなんだろう。要は焦らせて、判断ミスを誘う。
だが、その狙いには付き合わない。繰り返すが、ここに初めて来た時と今の自分では経験が違いすぎる。何度も厳しい戦いがあった、何度も修業した、様々な出来事があった。
そういった事全てが、今の自分の精神を作っている。今さらこの程度の事で心が揺らぐようじゃ、明鏡止水なんて言葉を用いたスキルを使う資格などない。
(澱まず、曇らず、ただ真っ直ぐに物事を見る。自分に都合良くも悪くも考えず、ただただ目の前の物を素直に、あるがままに……)
罠を見切る、罠が仕掛けられた道の先を見切る。
起動すべき罠を見破ったら、素早く安全地帯から起動させて先に歩を進める。
残り時間はもうわずかだが、それでも心は揺らがない。揺らいでしまえば、その時点で自分の負けだ。
そうして、いくつもの罠を回避し、必要な物だけを起動するという自分にとっては戦いだが、周囲から見れば非常に地味な絵面はついに終わりを迎えた。
罠を起動して崩した壁の先に、氷でできたゴールテープが見えた。
瞬間的に罠があるか否かの判断――自分の立っている場所とゴールの間にある罠の数、九十九!
(だが、罠と罠の間には歩けるだけの隙間がある。それが一本の道となっているな。これが最後の迷路と言いたいわけか)
そこを通らなくても、罠をジャンプしてショートカットすれば……なんて考えも浮かぶが、それは通じない。ご丁寧に、罠の上を通過したら、ここにある全ての罠が起動するという罠が仕込まれているからだ。なのでこちらは製作者の作った道を想定通りに駆け抜ける他ない。
残り時間はもう見ていない。そんな行為は余計な遅延を生むだけ。ただひたすらに罠の張られていない一本道をひた走る事が最善。
だから走った。
わざと曲がりくねった形にしていると思われるこの一本道をはみ出さないように。
走って、走って、走り抜いて氷のゴールテープをぶち破った……
さて、間に合ったのか?
ゴールテープの先は謁見室と思われる部屋。自分は奥の玉座に座る女性――氷の女王を見上げる。
「――見事だ、人の子よ。わずかな差ではあるが、制限時間が過ぎるよりも汝の到達が先であった。汝の勝ちだ、皆、勝者に最大の祝福を!」
氷の女王の言葉のあとに、周囲にいた大勢のガーゴイルが拍手し、場が少し揺れたように感じた。
そうか、なんとか間に合ったか。しかし、この難易度では以前来た時の自分じゃどうあがいたってクリアできなかった。罠を相手にここまで集中したのは久しぶりだったな……
「そして、本来六名で挑むべきこの迷路を汝は一人で踏破した。何も物はやれぬが……氷の祝福ぐらいは授けてやろうぞ。今後、氷は、冷気は敵ではなく汝の身を護る鎧となろう。盾となろう。覚えておくがよいぞ」
インフォメーションが起動して、称号に〈氷の祝福〉が追加された。これは魔法などではない、自然現象による冷気や氷が今後自分にダメージを与えないという事か。
限定条件ではあるが、助かるのは事実。ありがたくもらっておくとしよう。
「ありがとうございます、女王様。祝福に感謝いたします」
礼を言うと、女王は満足げに頷いた。
「こちらとしても最大限に楽しませてもらった礼だ。残念ながら敵意をもって向けられる魔法による氷や、武具に纏った冷気などは抑えられぬ。しかし、もし戦いの舞台で周囲に冷気があるのなら、氷があるのなら、それが汝を護るだろう。そして、祝福を欲する者が現れた時には伝えるがいい。この場に来て、一人で迷路を踏破せよと女王が言っていたと」
一人でクリアすれば、この祝福は誰にでも授けるという事ね。
なら、この能力を見た人があれこれ言ってきた時にはここに来いと伝えるとしますか。
なんにせよ、塔に入る前にやっておきたい事がここで一つ、片付いたな。
【スキル一覧】
〈風迅狩弓〉Lv50(The Limit!) 〈砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)〉Lv46
〈精密な指〉Lv69(←2UP) 〈小盾〉Lv44 〈双龍蛇剣武術身体能力強化〉Lv2
〈魔剣の残滓・明鏡止水の境地〉Lv19 〈百里眼〉Lv48 〈隠蔽・改〉Lv7
〈義賊頭〉Lv90(←1UP) 〈妖精招来〉Lv22(強制習得・昇格・控えスキルへの移動不可能)
追加能力スキル
〈黄龍変身・覚醒〉Lv??(使用不可) 〈偶像の魔王〉Lv9
控えスキル
〈木工の経験者〉Lv14 〈釣り〉(LOST!) 〈人魚泳法〉Lv10
〈ドワーフ流鍛冶屋・史伝〉Lv99(The Limit!) 〈薬剤の経験者〉Lv43 〈医食同源料理人〉Lv25
ExP48
称号:妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 ドラゴンと龍に関わった者
妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 災いを砕きに行く者
託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人
妖精国の隠れアイドル 悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人
魔王の代理人 人族半分辞めました 闇の盟友 魔王領の知られざる救世主 無謀者
魔王の真実を知る魔王外の存在 天を穿つ者 魔王領名誉貴族
氷の祝福(NEW!)
プレイヤーからの二つ名:妖精王候補(妬) 戦場の料理人
獣の介錯を苦しませずに務めた者
強化を行ったアーツ:《ソニックハウンドアローLv5》
状態異常:[最大HP低下][最大MP大幅低下][黄龍封印]
3
迷宮を踏破したので、かつて戦い、必殺技である《幻闘乱迅脚》を教わったあいつにもう一度会うため、闘技場へと移動したのは良いのだが……
(なんじゃこの人の数は。まるでお盆や正月の帰省ラッシュ、Uターンラッシュ並みにぎっちぎちじゃないか……すさまじい人気だな)
闘技場の控え室に入り切らない、大勢の人が外にずらーっと並んでいる。
こんなにいるんじゃ、自分の番がやってくるのはいつになるんだろう……と思っていると、白い髪に白い着物の雪女さんがこちらに向かってやってくる。
ふむ、戦いたい相手の要望を聞いて回っているのか。氷でできた板に要望を書き込んでいるようだ。
「では次……あら、お久しぶりですね。ここに並んでいるという事は、戦う意思があるという事でいいですか?」
「ええ、もちろんです」
おそらく、初めてここに来た時にあれこれ説明してくれた雪女さんと同一人物だろう。結局乗せられて戦う事になったのがずっと前のような気がする。
「戦いたい相手の要望を先に聞いて回っているんです。この人数でしょう? 戦う直前で組み合わせを考えていたら時間がかかりすぎるのですよ」
「そうでしょうね……正直以前とは状況が全く違うので驚きましたよ。っと、希望を言わないといけませんね。自分は、以前ルーキー同士で戦ったワーウルフの姿をしたあいつとの再戦を希望します。戦い方も武器なしの体術のみという形式で」
自分の要望を聞いて、雪女さんが笑みを浮かべた。
「そうですか、要望は分かりました。ただし、あいつは以前とは比べ物にならないぐらい強くなっていますよ。油断していたら、一瞬で負けてしまわれるかと」
「以前と違うのは、こちらもですよ。ここで戦ったあと、何もせず何も経験せずただ時を過ごしてきたわけではないのですから」
その返答がお気に召したようで、雪女さんはそれは楽しみだと言わんばかりの深い笑みを浮かべた。うん、その表情が普通に怖いんだが、もちろんそれは顔には出さないし口にもしない。
氷の板に自分の要望を書き終えたようで、最後に「では、試合を楽しみにしています」と言い残して後ろの人の希望を聞きに回った。
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