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連載
ロマンを現実にする努力
背後から襲っている為、もちろん叫んだりして自分の存在を教えるような真似はしない。それはそれとして、心の中では全力で叫んでいた。個人的な話となってしまうが、パイルバンカーを構えて発動させる瞬間はなぜか無性に雄たけびをあげたくなるのだ。無性に力が入ってしまう。
(うおおおおおおおおおっ!!!)
心の叫び共に、トリガーを兼ねているナックルガードがゴブリンの背中を完全に捉える。直後、機構が作動し爆音が周囲に響き渡る。が、ここで自分の想定とは異なる状況が発生した。だがそれを考えるのはあとだ──右手の盾を構えつつバックステップ。それから一拍おいて、ゴブリンの体が爆発。上半身だけでなく、下半身も足だけ残して吹き飛んだ。
(うわぁ……何という火力)
くどい様だが、ゴブリンと言っても塔で出てくるモンスターである以上外に生息している連中よりも遥かに固い。そんな奴を粉々にしてしまったのだ。これ、よっぽどの相手じゃない限り火力は十二分すぎる。ボス相手でもない限りむしろ過剰火力だ。杭一本製作するのにどれほどのお金がかかるのかは分からないが、武器を落としてしまった時の大体攻撃としては十二分すぎる。
(あと、さっきの攻撃の際に感じた違和感。杭を突き刺した時に圧し戻される感じが全くしなかった。もちろん杭自体も先端は鋭く作ってはあるが、それを考慮してもああもすんなり塔のモンスターにすんなりと抵抗なく突き刺さるのはおかしい)
パイルバンカーが実用的ではないとされる理由の一つである、刺した直後に相手の装甲や防具などに阻まれて押し戻されて杭が刺さらないという問題。これを解決する方法として、自分はパイルバンカーが起動した瞬間に後方からブーストのように推進力を発生させる装置を組み込む必要があるのではないかと考えていた。
なのに、先ほどの一撃はそんな装置は必要ないとばかりにすんなりと杭がモンスターの体を突き破った。この杭、見た目では分からない仕掛けが隠されているとみてよさそうだ。幸いまだ預かっている杭の残りは潤沢にある。先ほど放った一本分のリロード行動を行い、歩を進める。次は鎧を着ているオークあたりに試してみよう。
進むことしばし、何回かの戦闘ののちに三匹で行動しているオークを発見した。おあつらえ向きに奴らは三匹とも金属の鎧を着込んでいるからテストにもってこいだ。あの金属鎧を着込んでいるにもかかわらず、最初のゴブリンと同じように相手を貫くことが出来るのであれば──推進装置による押し付け機構を作らなくてよくなる。そうなれば生産コストも抑えられるし何より面倒な部分が減る。
今回も不意打ち気味に動く。真っ向勝負なんて自分のスタイルじゃ理由がない限りやる意味が無いからね。レガリオンを振るってオーク二匹の首を飛ばし、意図的に一匹だけ残す。一瞬で近くに居た仲間を消されたオークが起こって自分に手に持っている槍を振るって攻撃を仕掛けてくるが、喰らうような攻撃じゃない。
(生産ばっかりに集中していたから鈍っているかな? とも思ってたんだけど、幸いそう言う事はなかったみたいだ)
ちゃんと相手の攻撃を見て回避できている自分に一安心。そこからタイミングを見計らって一気に至近距離へと詰め寄って例のごとくナックルガードによるパンチをオークの上半身あたりを狙って叩き込む。パイルバンカーは今回も正常に稼働し、爆音を周囲に響かせながら杭を射出する。
(今回もか。やっぱりカーネリアンさんが用意したこの杭、普通じゃない)
射出された杭は、オークが着込んでいた鎧を容易く打ち貫き今回も深々と突き刺さった。そして爆発……容赦なく胴体を吹き飛ばし、足だけが残された。その明日もすぐに消失したが。うん、ちょーっとカーネリアンさんに聞きたい事は残っているがとりあえずパイルバンカーとしての機能は十全に発揮できている。
その後数回パイルバンカーを様々なモンスターに試したが、全てのモンスターに杭はしっかりと突き刺さり容赦なく内部から吹き飛ばした。五階の安全地帯に到着した自分はさっそく試作四号機改を大まかに解体して内部のダメージなどを調べてみる。
(ストラスが用意したこの金属は優秀だな。負荷がかかりやすい部分でも全く問題なしだ。これならば明日の親方達に見せるお披露目でも問題は無いだろう。そして、シリンダーの方も正常に動いている。リロードを挟まない三連発も最後に試したがきちんと動作した。ひとまずの形はこれで完成したと言っていいだろう。後はシリンダーのテストをしてあと一発杭を内蔵できるようにしたい)
再び試作四号機改を組み立てて、点検を終えた後に白の塔を出る。もちろんパイルバンカーはアイテムボックス内だ。あんなもの腕にくっ付けて闊歩してたら絶対新しい物好きな連中や目ざとい連中が一瞬で寄って来て質問タイムとばかりにあれこれ言葉を浴びせてくるからな。そんな心配は絶対にしない。
無事に親方の隠れ工房にに戻ってまずは一息。その後早速カーネリアンさんの元へ。あの杭の性能次第で、パイルバンカーの最終制作形態が変わる以上聞かないという選択肢は絶対にない。
「どうかした?」「ちょっとさっきまで試作機のテストをしていたんですが、どうしても確認しておきたい事がありまして」
難なくモンスターの皮膚や装甲をぶち抜いた件に関する質問をストレートにぶつけてみた。遠回しに聞くような事でもないしね。
「どうやら、問題なく私が製作した杭は作動したみたいね。その仕掛けは杭の先端にあってねー……」
で、カーネリアンさんの話を纏めると、このパイルバンカーの杭先端部には一定以上の力が加わるとある薬品が杭先端部分に散布される仕組みがあるらしい。その薬品の性質は腐食、劣化だそうで、相手の皮膚や装甲をあっさり抜いたのはこれのお陰らしい。
「こちらとしても、パイルバンカーの問題点は分かっていたからね。それをアースさんが作るパイルバンカーのハード面に完全解決させようなんて思っていなかったわ。なので、内部で炸裂する事と一定以上の勢いがあるならばしっかりと相手に刺さると言うのが私の開発している杭のコンセプトって事になるのよ。これならば、パイルバンカーの弱点が一つ消えるからね」
確かに、打ち出した杭が抵抗を受ける事なく突き刺さってくれるのであればパイルバンカーの問題点が一つ消える。そして、決まれば大ダメージを与えられるというメリット面が強調されてくる。
「今はより簡単かつローコストで作れるかの試行錯誤ね。流石に一発で五万グローもかかるんじゃちょっとねー……せめて五千グローぐらいで済むぐらいにはしたいわ」
カーネリアンさんとしても大体杭は完成品と言っていいらしい。後はここからどれだけ杭の仕組みを簡略化する事と杭の先端に仕込むオイルの原価を抑えてコストを落とす事を重視しているらしい。火薬の方はもうかなりローコスト化を進めているらしく、火薬の消費は気にしなくていいと言われた。
「でも、良い情報を貰えてやる気が改めて出たわ。塔のモンスターにも問題なく通じた、というのは嬉しいわね。塔のモンスターが今の所最高峰でしょ? そいつら相手に一撃必殺が叶うなら……ボス相手でもいいダメージが出そうよね?」
カーネリアンさんの言葉に自分は頷いた。あの威力なら、当たればボスモンスターと言えど無視できないダメージを負う事になるだろう。爆発に対する以上に高い抵抗力を備えて要るような例外でも存在しない限り、パイルバンカーによる攻撃は十分だ有効打を得られるだろう。
「何せ内部に杭を突き刺してからの爆発ですからね。特殊な抵抗力持ちでもない限りは、たまったもんじゃないでしょう」
と、カーネリアンさんに伝えておく。とにかく今回のテストでは満足の行く結果を出すことが出来た。後は明日の親方達の前でデモンストレーションをすればいいだけだ。後は、ある程度小さく出来ればなおよしか。今のパイルバンカーは試作品と言う事もあるのだが少々サイズがデカめ。これに盾や土台を追加すると重量がやっぱりかさむ。
(残り時間はそこら辺を考えるか。少しでも削っていい部分と削れない部分を出して、そこから改良案を考えよう)
試作品から完成品にするのはまた大変なのだ。後、今回実際に使ってみて、最初に考えていた変形機構なんかをオミットした方が良いんじゃ? という考えが出てきている。色々変形なんかを仕込むのは楽しいのだが、やっぱり脆さが何処かに出る。ならばそう言った物を一切合切オミットして、最初から腕に装着する形にしちゃった方が良いんじゃないだろうか? という考え。
(何せ盾だからなぁ。盾が脆いというのはやっぱりだめだよな。手に持つタイプの盾に慣れてる人からすると不満だろうけど……大盾系統じゃないから何とかなると言えばなるんだよな。うん、実際に使ってみて変形しない方が良いって気がしてならない)
こういった変形ギミックを取っ払えば、それだけ重量は浮く。そうなればより頑丈にできる余地に回すか、軽量化して使いやすくするかという選択肢が生まれてくる。そうした方が、結果的にいい装備品となりそうなんだよな。そこら辺を踏まえて、どういう形で完成とするのかを詰めていこう。
(うおおおおおおおおおっ!!!)
心の叫び共に、トリガーを兼ねているナックルガードがゴブリンの背中を完全に捉える。直後、機構が作動し爆音が周囲に響き渡る。が、ここで自分の想定とは異なる状況が発生した。だがそれを考えるのはあとだ──右手の盾を構えつつバックステップ。それから一拍おいて、ゴブリンの体が爆発。上半身だけでなく、下半身も足だけ残して吹き飛んだ。
(うわぁ……何という火力)
くどい様だが、ゴブリンと言っても塔で出てくるモンスターである以上外に生息している連中よりも遥かに固い。そんな奴を粉々にしてしまったのだ。これ、よっぽどの相手じゃない限り火力は十二分すぎる。ボス相手でもない限りむしろ過剰火力だ。杭一本製作するのにどれほどのお金がかかるのかは分からないが、武器を落としてしまった時の大体攻撃としては十二分すぎる。
(あと、さっきの攻撃の際に感じた違和感。杭を突き刺した時に圧し戻される感じが全くしなかった。もちろん杭自体も先端は鋭く作ってはあるが、それを考慮してもああもすんなり塔のモンスターにすんなりと抵抗なく突き刺さるのはおかしい)
パイルバンカーが実用的ではないとされる理由の一つである、刺した直後に相手の装甲や防具などに阻まれて押し戻されて杭が刺さらないという問題。これを解決する方法として、自分はパイルバンカーが起動した瞬間に後方からブーストのように推進力を発生させる装置を組み込む必要があるのではないかと考えていた。
なのに、先ほどの一撃はそんな装置は必要ないとばかりにすんなりと杭がモンスターの体を突き破った。この杭、見た目では分からない仕掛けが隠されているとみてよさそうだ。幸いまだ預かっている杭の残りは潤沢にある。先ほど放った一本分のリロード行動を行い、歩を進める。次は鎧を着ているオークあたりに試してみよう。
進むことしばし、何回かの戦闘ののちに三匹で行動しているオークを発見した。おあつらえ向きに奴らは三匹とも金属の鎧を着込んでいるからテストにもってこいだ。あの金属鎧を着込んでいるにもかかわらず、最初のゴブリンと同じように相手を貫くことが出来るのであれば──推進装置による押し付け機構を作らなくてよくなる。そうなれば生産コストも抑えられるし何より面倒な部分が減る。
今回も不意打ち気味に動く。真っ向勝負なんて自分のスタイルじゃ理由がない限りやる意味が無いからね。レガリオンを振るってオーク二匹の首を飛ばし、意図的に一匹だけ残す。一瞬で近くに居た仲間を消されたオークが起こって自分に手に持っている槍を振るって攻撃を仕掛けてくるが、喰らうような攻撃じゃない。
(生産ばっかりに集中していたから鈍っているかな? とも思ってたんだけど、幸いそう言う事はなかったみたいだ)
ちゃんと相手の攻撃を見て回避できている自分に一安心。そこからタイミングを見計らって一気に至近距離へと詰め寄って例のごとくナックルガードによるパンチをオークの上半身あたりを狙って叩き込む。パイルバンカーは今回も正常に稼働し、爆音を周囲に響かせながら杭を射出する。
(今回もか。やっぱりカーネリアンさんが用意したこの杭、普通じゃない)
射出された杭は、オークが着込んでいた鎧を容易く打ち貫き今回も深々と突き刺さった。そして爆発……容赦なく胴体を吹き飛ばし、足だけが残された。その明日もすぐに消失したが。うん、ちょーっとカーネリアンさんに聞きたい事は残っているがとりあえずパイルバンカーとしての機能は十全に発揮できている。
その後数回パイルバンカーを様々なモンスターに試したが、全てのモンスターに杭はしっかりと突き刺さり容赦なく内部から吹き飛ばした。五階の安全地帯に到着した自分はさっそく試作四号機改を大まかに解体して内部のダメージなどを調べてみる。
(ストラスが用意したこの金属は優秀だな。負荷がかかりやすい部分でも全く問題なしだ。これならば明日の親方達に見せるお披露目でも問題は無いだろう。そして、シリンダーの方も正常に動いている。リロードを挟まない三連発も最後に試したがきちんと動作した。ひとまずの形はこれで完成したと言っていいだろう。後はシリンダーのテストをしてあと一発杭を内蔵できるようにしたい)
再び試作四号機改を組み立てて、点検を終えた後に白の塔を出る。もちろんパイルバンカーはアイテムボックス内だ。あんなもの腕にくっ付けて闊歩してたら絶対新しい物好きな連中や目ざとい連中が一瞬で寄って来て質問タイムとばかりにあれこれ言葉を浴びせてくるからな。そんな心配は絶対にしない。
無事に親方の隠れ工房にに戻ってまずは一息。その後早速カーネリアンさんの元へ。あの杭の性能次第で、パイルバンカーの最終制作形態が変わる以上聞かないという選択肢は絶対にない。
「どうかした?」「ちょっとさっきまで試作機のテストをしていたんですが、どうしても確認しておきたい事がありまして」
難なくモンスターの皮膚や装甲をぶち抜いた件に関する質問をストレートにぶつけてみた。遠回しに聞くような事でもないしね。
「どうやら、問題なく私が製作した杭は作動したみたいね。その仕掛けは杭の先端にあってねー……」
で、カーネリアンさんの話を纏めると、このパイルバンカーの杭先端部には一定以上の力が加わるとある薬品が杭先端部分に散布される仕組みがあるらしい。その薬品の性質は腐食、劣化だそうで、相手の皮膚や装甲をあっさり抜いたのはこれのお陰らしい。
「こちらとしても、パイルバンカーの問題点は分かっていたからね。それをアースさんが作るパイルバンカーのハード面に完全解決させようなんて思っていなかったわ。なので、内部で炸裂する事と一定以上の勢いがあるならばしっかりと相手に刺さると言うのが私の開発している杭のコンセプトって事になるのよ。これならば、パイルバンカーの弱点が一つ消えるからね」
確かに、打ち出した杭が抵抗を受ける事なく突き刺さってくれるのであればパイルバンカーの問題点が一つ消える。そして、決まれば大ダメージを与えられるというメリット面が強調されてくる。
「今はより簡単かつローコストで作れるかの試行錯誤ね。流石に一発で五万グローもかかるんじゃちょっとねー……せめて五千グローぐらいで済むぐらいにはしたいわ」
カーネリアンさんとしても大体杭は完成品と言っていいらしい。後はここからどれだけ杭の仕組みを簡略化する事と杭の先端に仕込むオイルの原価を抑えてコストを落とす事を重視しているらしい。火薬の方はもうかなりローコスト化を進めているらしく、火薬の消費は気にしなくていいと言われた。
「でも、良い情報を貰えてやる気が改めて出たわ。塔のモンスターにも問題なく通じた、というのは嬉しいわね。塔のモンスターが今の所最高峰でしょ? そいつら相手に一撃必殺が叶うなら……ボス相手でもいいダメージが出そうよね?」
カーネリアンさんの言葉に自分は頷いた。あの威力なら、当たればボスモンスターと言えど無視できないダメージを負う事になるだろう。爆発に対する以上に高い抵抗力を備えて要るような例外でも存在しない限り、パイルバンカーによる攻撃は十分だ有効打を得られるだろう。
「何せ内部に杭を突き刺してからの爆発ですからね。特殊な抵抗力持ちでもない限りは、たまったもんじゃないでしょう」
と、カーネリアンさんに伝えておく。とにかく今回のテストでは満足の行く結果を出すことが出来た。後は明日の親方達の前でデモンストレーションをすればいいだけだ。後は、ある程度小さく出来ればなおよしか。今のパイルバンカーは試作品と言う事もあるのだが少々サイズがデカめ。これに盾や土台を追加すると重量がやっぱりかさむ。
(残り時間はそこら辺を考えるか。少しでも削っていい部分と削れない部分を出して、そこから改良案を考えよう)
試作品から完成品にするのはまた大変なのだ。後、今回実際に使ってみて、最初に考えていた変形機構なんかをオミットした方が良いんじゃ? という考えが出てきている。色々変形なんかを仕込むのは楽しいのだが、やっぱり脆さが何処かに出る。ならばそう言った物を一切合切オミットして、最初から腕に装着する形にしちゃった方が良いんじゃないだろうか? という考え。
(何せ盾だからなぁ。盾が脆いというのはやっぱりだめだよな。手に持つタイプの盾に慣れてる人からすると不満だろうけど……大盾系統じゃないから何とかなると言えばなるんだよな。うん、実際に使ってみて変形しない方が良いって気がしてならない)
こういった変形ギミックを取っ払えば、それだけ重量は浮く。そうなればより頑丈にできる余地に回すか、軽量化して使いやすくするかという選択肢が生まれてくる。そうした方が、結果的にいい装備品となりそうなんだよな。そこら辺を踏まえて、どういう形で完成とするのかを詰めていこう。
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