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交代のやり方と危険性
吹き飛ばされたロナちゃんだが、再びツヴァイの事を睨みつけると同時に真正面から突撃。ツヴァイも受けて立つとばかりに大剣をいつでも振り下ろせるようにしながら距離を詰める。間合いが詰まり、ツヴァイが両手剣の攻撃を置く形でロナちゃんに対して振り下ろすが──斬られたロナちゃんの姿は蜃気楼のようにぼけて消えてしまった。
「幻影か!」
ツヴァイの言う通り、これは幻影。忍者系のスキルとなる訳だが……ロナちゃん、ひそかに取得して訓練していたな? 本人ははるか上に跳躍しており、ツヴァイを飛び越えて無事嫡子、そしてすぐさま交代を申請。ロナちゃんが下がって代わりに武舞台に上がったのはカザミネ。すでに鞘から抜かれている大太刀が鈍く光る。
「さ、行きますよ!」「く、幻影で騙して安全に交代か、してやられたぜ!」
交代する所をこれで見れた訳なんだが、交代するには武舞台の上にいる人が下にいるメンバーに手を差し出し、交代したいメンバーがその手を握る。そこから武舞台の上にいる人が引っ張り上げる形で引き上げないと降りられない様だ。かなり隙が大きいなこれ……交代のタイミングを誤れば相手の大技を無防備で食らうぞ。
それならばいっそ交代せずにダウンするまで戦った方がいいという時もありそうだな。そこら辺は駆け引きになるんだろう。もしくは乱入してもらって、相手の足を止めている所に交代するとかの方法も考えなければならないだろう。ただ乱入は三回までだから、毎回交代するときに妨害するという方法はとれないが。
さて、ここからはツヴァイとカザミネの戦いとなった訳だが、獲物のリーチはやや大太刀の方が長いのか? ツヴァイの大剣の本当にぎりぎりではあるが外からカザミネの攻撃が振るわれている。ツヴァイも攻撃を回避しているが、自分の攻撃を次々と潰されている形となっている為面白くは無いだろう。
なので、ツヴァイは一転してリーチを生かした戦いを捨てた。カザミネの大太刀の攻撃を大剣でやや強引に受け止めながら間合いを詰めて大剣の腹で強引にカザミネを殴りに行く。質量で押されると流石に分が悪いらしく、カザミネが回避行動をとった。ツヴァイの大剣は空を切った、がすかさず一歩踏み込んで回避行動の先にいるカザミネをぶった切りに行く。
しかしこの攻撃をカザミネは大太刀の刃の上を滑らせるようにして受け流した。すかさず返しの太刀と言わんばかりのカザミネの攻撃がツヴァイを襲う。しかしこの攻撃をツヴァイは一回転して遠心力を増した大剣で無理やり迎撃する。この一連の流れで、お互いにアーツは一回も使っていない。
大剣と大太刀がぶつかり合う。普通に考えれば大太刀側が叩き折られそうなものだが──そうはならず、激しい火花が舞い散った。お互いの持ち主の意地を見せるかのようなぶつかり合いは互角で終わり、お互いが軽く吹き飛ばされたかのような形で距離が広がった──事をツヴァイは生かす。
踏ん張らずにゴロゴロと転がりながら武舞台の端まで移動して交代要請を出したのだ。カザミネは吹き飛ばされた際の着地で受け身をしっかりと取ってしまったので僅かながら硬直が発生した。もちろん受け身を取ったカザミネの行動は間違っていない。受け身を取ってダメージを抑える事は大事だし、地面にダウンするというのはワンモアにおいて危険すぎる行為だ。
対戦ゲームだと足払いなどを受けて地面に完全にダウンすると、そこに追い打ちを入れることができるゲームとできないゲームがある。ワンモアは当然できる側に入るし、地面に倒れている側はまともな防御姿勢を取れないのでかなり危険である。故に受け身をするのが基本かつ大事な行為。しかし今回のツヴァイは吹き飛ばされた勢いを利用して地面を勢いよく転がる事で距離を稼いだのだ。受け身を取っていないので多少のダメージは受けているだろうが。
様は状況の使い方次第で有効な手段は変わってくるという事である。そしてツヴァイが引っ張り上げたのはレイジ。レイジが武舞台に上がると同時にツヴァイは転がるように武舞台の下へと降りる。
「交代されましたか、ツヴァイはかなりダメージが溜まっていると思ったので落としたかったのですが」「そうそう簡単に戦力を減らされても困るからな。ここからは俺が相手をするぞ」
レイジは盾を構えてカザミネににじり寄っていく。カザミネはそんなレイジが間合いに入るのを待ち構えるようだ。じりじりを間合いが詰まり、カザミネの間合いにレイジが入ったとほぼ同時にカザミネの大太刀が振るわれる。左からの切り上げに右から横に一直線の二連撃。だが、レイジも盾を動かして受け流す事により一切怯むことなく間合いを詰め続ける。
「戦いが明確に動き出しましたね、お互い一回づつ妨害と交代を行いました。ここからが肝心です、先に崩れた側になってしまい、人数差で不利になるとかなり苦しくなりますよ」「交代も難しくなるし、妨害の手の幅も狭まりますからね」
見学している自分とカナさんは会話を交わしつつ戦いを注視している。先の言葉がカナさんである。たしかに、この三VS三のPvPの状況は常に目まぐるしく変わる。乱入にせよ交代にせよ、適切なタイミングを見切って行わないとかえって相手を有利にさせてしまう。乱入したは良いが、相手にひとまとめで殴られでもしたらかえってピンチになる。入れ替えは言わずもがな。
「普通のPvPとは勝手が違うという事を改めて認識しています。ただ強ければいい、という訳ではない。頭を使って行動をしなければ、勝つことは難しいでしょう。もちろん相手を圧倒できるだけの物を持っていれば別ですけど……」
レイジとカザミネの戦いを見ながらカナさんは独り言のようにつぶやく。交代して下がったツヴァイとロナちゃんの体にはうっすらとではあるが緑色の光が出ている。あれが控えとして下がっている時に現れる回復効果なのだろう。いかにこの回復効果を生かして体力差を生んで優位に持っていくかもこのPvPならではの戦略の一つになるのだろう。
「交代一つとっても、うかつには出来ませんね。恐らく何らかの制限かかっていると思われるのですが、ロナちゃんとツヴァイの交代にかかる時間でしたがどっちも五秒でした。体感なのでずれはあるかもですが。そして引き上げたのがロナちゃんはカザミネ、ツヴァイがレイジ。引き上げた両者と引き上げられた側、筋力差などを考慮しても全く同じというのは……」
筋力などによって交代にかかる時間に差が出るなら、魔法使い系が圧倒的に不利になってしまう。だからこそそう言った感じに調整してあるのだろうと予想を立てた。あそこで戦っている六名のうち、一番重装備なのがレイジで一番軽いと思われるのがエリザだ。で、もしエリザがレイジを引っ張り上げるとしたら?
結論、無理である。これはエリザが弱いという訳ではなくレイジの体重+装備の重量を上げるだけの筋力はない。そりゃ魔法を覚えるために力を割り振っているのだからこれは当然のことだ。しかし、このPvPでそんな事になったら大問題だろう。
「そこは流石に調整が入っているでしょうね。育成の関係上魔法使いはどうしても筋力などは戦士に劣ります。それ故に魔法使いが上がったら倒されるまで交代できないとなったらこの形のPvPは成立しませんから」
カナさんも同意見か。まあ、流石にそこは調整しないとダメだよね。
「しかし、五秒ですか。プレイヤーによっては相手が五秒も無防備な状態を晒したら確実に倒せる手段を持っている人はかなりいます。交代にかかる五秒は、死の五秒間といった所でしょうか。交代一つとっても、容易くはないですね」
カナさんの言う通り、首を刎ねたり心臓を貫いたりするクリティカルヒットや単純な火力をぶち込んで相手を倒せるプレイヤーは、火力を出す事を重視したプレイヤーならそれなりにいる。そして今回の参加ギルドはどこもトップを狙う人達なのだから、誰でもできる事と言ってもいい。故に、死の五秒間という表現は正しい表現だろう。
「それ故にトップを決めるPvPとして選ばれたのでしょうが……む、レイジが仕掛けるようです」
自分はレイジが盾を活かした突撃を行おうとしているレイジの姿を見て、そう口にした後に注目する。カナさんからの返事はなかったが、注意を向けているのは感じる。さて、レイジはどう動くか……油断をすればカザミネの大太刀は容易く敵対者の首を刎ねる。それをレイジは十分理解しているだろう。だからこそどう動くのかをしっかりと見るために集中しなければ。
「幻影か!」
ツヴァイの言う通り、これは幻影。忍者系のスキルとなる訳だが……ロナちゃん、ひそかに取得して訓練していたな? 本人ははるか上に跳躍しており、ツヴァイを飛び越えて無事嫡子、そしてすぐさま交代を申請。ロナちゃんが下がって代わりに武舞台に上がったのはカザミネ。すでに鞘から抜かれている大太刀が鈍く光る。
「さ、行きますよ!」「く、幻影で騙して安全に交代か、してやられたぜ!」
交代する所をこれで見れた訳なんだが、交代するには武舞台の上にいる人が下にいるメンバーに手を差し出し、交代したいメンバーがその手を握る。そこから武舞台の上にいる人が引っ張り上げる形で引き上げないと降りられない様だ。かなり隙が大きいなこれ……交代のタイミングを誤れば相手の大技を無防備で食らうぞ。
それならばいっそ交代せずにダウンするまで戦った方がいいという時もありそうだな。そこら辺は駆け引きになるんだろう。もしくは乱入してもらって、相手の足を止めている所に交代するとかの方法も考えなければならないだろう。ただ乱入は三回までだから、毎回交代するときに妨害するという方法はとれないが。
さて、ここからはツヴァイとカザミネの戦いとなった訳だが、獲物のリーチはやや大太刀の方が長いのか? ツヴァイの大剣の本当にぎりぎりではあるが外からカザミネの攻撃が振るわれている。ツヴァイも攻撃を回避しているが、自分の攻撃を次々と潰されている形となっている為面白くは無いだろう。
なので、ツヴァイは一転してリーチを生かした戦いを捨てた。カザミネの大太刀の攻撃を大剣でやや強引に受け止めながら間合いを詰めて大剣の腹で強引にカザミネを殴りに行く。質量で押されると流石に分が悪いらしく、カザミネが回避行動をとった。ツヴァイの大剣は空を切った、がすかさず一歩踏み込んで回避行動の先にいるカザミネをぶった切りに行く。
しかしこの攻撃をカザミネは大太刀の刃の上を滑らせるようにして受け流した。すかさず返しの太刀と言わんばかりのカザミネの攻撃がツヴァイを襲う。しかしこの攻撃をツヴァイは一回転して遠心力を増した大剣で無理やり迎撃する。この一連の流れで、お互いにアーツは一回も使っていない。
大剣と大太刀がぶつかり合う。普通に考えれば大太刀側が叩き折られそうなものだが──そうはならず、激しい火花が舞い散った。お互いの持ち主の意地を見せるかのようなぶつかり合いは互角で終わり、お互いが軽く吹き飛ばされたかのような形で距離が広がった──事をツヴァイは生かす。
踏ん張らずにゴロゴロと転がりながら武舞台の端まで移動して交代要請を出したのだ。カザミネは吹き飛ばされた際の着地で受け身をしっかりと取ってしまったので僅かながら硬直が発生した。もちろん受け身を取ったカザミネの行動は間違っていない。受け身を取ってダメージを抑える事は大事だし、地面にダウンするというのはワンモアにおいて危険すぎる行為だ。
対戦ゲームだと足払いなどを受けて地面に完全にダウンすると、そこに追い打ちを入れることができるゲームとできないゲームがある。ワンモアは当然できる側に入るし、地面に倒れている側はまともな防御姿勢を取れないのでかなり危険である。故に受け身をするのが基本かつ大事な行為。しかし今回のツヴァイは吹き飛ばされた勢いを利用して地面を勢いよく転がる事で距離を稼いだのだ。受け身を取っていないので多少のダメージは受けているだろうが。
様は状況の使い方次第で有効な手段は変わってくるという事である。そしてツヴァイが引っ張り上げたのはレイジ。レイジが武舞台に上がると同時にツヴァイは転がるように武舞台の下へと降りる。
「交代されましたか、ツヴァイはかなりダメージが溜まっていると思ったので落としたかったのですが」「そうそう簡単に戦力を減らされても困るからな。ここからは俺が相手をするぞ」
レイジは盾を構えてカザミネににじり寄っていく。カザミネはそんなレイジが間合いに入るのを待ち構えるようだ。じりじりを間合いが詰まり、カザミネの間合いにレイジが入ったとほぼ同時にカザミネの大太刀が振るわれる。左からの切り上げに右から横に一直線の二連撃。だが、レイジも盾を動かして受け流す事により一切怯むことなく間合いを詰め続ける。
「戦いが明確に動き出しましたね、お互い一回づつ妨害と交代を行いました。ここからが肝心です、先に崩れた側になってしまい、人数差で不利になるとかなり苦しくなりますよ」「交代も難しくなるし、妨害の手の幅も狭まりますからね」
見学している自分とカナさんは会話を交わしつつ戦いを注視している。先の言葉がカナさんである。たしかに、この三VS三のPvPの状況は常に目まぐるしく変わる。乱入にせよ交代にせよ、適切なタイミングを見切って行わないとかえって相手を有利にさせてしまう。乱入したは良いが、相手にひとまとめで殴られでもしたらかえってピンチになる。入れ替えは言わずもがな。
「普通のPvPとは勝手が違うという事を改めて認識しています。ただ強ければいい、という訳ではない。頭を使って行動をしなければ、勝つことは難しいでしょう。もちろん相手を圧倒できるだけの物を持っていれば別ですけど……」
レイジとカザミネの戦いを見ながらカナさんは独り言のようにつぶやく。交代して下がったツヴァイとロナちゃんの体にはうっすらとではあるが緑色の光が出ている。あれが控えとして下がっている時に現れる回復効果なのだろう。いかにこの回復効果を生かして体力差を生んで優位に持っていくかもこのPvPならではの戦略の一つになるのだろう。
「交代一つとっても、うかつには出来ませんね。恐らく何らかの制限かかっていると思われるのですが、ロナちゃんとツヴァイの交代にかかる時間でしたがどっちも五秒でした。体感なのでずれはあるかもですが。そして引き上げたのがロナちゃんはカザミネ、ツヴァイがレイジ。引き上げた両者と引き上げられた側、筋力差などを考慮しても全く同じというのは……」
筋力などによって交代にかかる時間に差が出るなら、魔法使い系が圧倒的に不利になってしまう。だからこそそう言った感じに調整してあるのだろうと予想を立てた。あそこで戦っている六名のうち、一番重装備なのがレイジで一番軽いと思われるのがエリザだ。で、もしエリザがレイジを引っ張り上げるとしたら?
結論、無理である。これはエリザが弱いという訳ではなくレイジの体重+装備の重量を上げるだけの筋力はない。そりゃ魔法を覚えるために力を割り振っているのだからこれは当然のことだ。しかし、このPvPでそんな事になったら大問題だろう。
「そこは流石に調整が入っているでしょうね。育成の関係上魔法使いはどうしても筋力などは戦士に劣ります。それ故に魔法使いが上がったら倒されるまで交代できないとなったらこの形のPvPは成立しませんから」
カナさんも同意見か。まあ、流石にそこは調整しないとダメだよね。
「しかし、五秒ですか。プレイヤーによっては相手が五秒も無防備な状態を晒したら確実に倒せる手段を持っている人はかなりいます。交代にかかる五秒は、死の五秒間といった所でしょうか。交代一つとっても、容易くはないですね」
カナさんの言う通り、首を刎ねたり心臓を貫いたりするクリティカルヒットや単純な火力をぶち込んで相手を倒せるプレイヤーは、火力を出す事を重視したプレイヤーならそれなりにいる。そして今回の参加ギルドはどこもトップを狙う人達なのだから、誰でもできる事と言ってもいい。故に、死の五秒間という表現は正しい表現だろう。
「それ故にトップを決めるPvPとして選ばれたのでしょうが……む、レイジが仕掛けるようです」
自分はレイジが盾を活かした突撃を行おうとしているレイジの姿を見て、そう口にした後に注目する。カナさんからの返事はなかったが、注意を向けているのは感じる。さて、レイジはどう動くか……油断をすればカザミネの大太刀は容易く敵対者の首を刎ねる。それをレイジは十分理解しているだろう。だからこそどう動くのかをしっかりと見るために集中しなければ。
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