転生した最強の死霊使いは平凡な日々を求めるが……

カルマ

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激戦を終えて(3)

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 転移が終わり目的地の我が家に着いた。二日ほど空けていただけなのに妙に懐かしく感じるこの決して、豪邸とは程遠い少しぼろい一軒家。この中に居るメンバーは皆豪邸に住んでいるだろうし、やはり呼ばない方がよかったかな? 俺がそんな不安を抱いていると、ナグモとワカツキが意図したわけではないだろうが、結果的に俺をフォローするような言葉を言い放った。


「おぉー! なんかこういうの落ち着くんだよな!」

「本当ね! 伯爵様に与えられた家があんまり落ち着いてなかったのよ。こんな家に住みたかった」


 ワカツキに関しては褒めているのか貶しているのかわからなかったが、だが二人のお陰で俺の不安は和らいだ。後はシャルルとルイネなのだが……。


「これが、普通のお家なのね! 凄いわ! 何て新鮮な感覚なの! 生まれて初めて他の人のお家にお邪魔するわ」


 シャルルも我が家を見て興奮している様子だった。俺たちがそんなやり取りをしていたせいか、家の中から母さんが出てきた。


「どちら様? ……ってクロムちゃん⁉ いつの間に帰ってきたのよ! あなたー、クロムちゃんが帰ってきたわよ!」


 母さんが父さんを呼びに叫びながら家に戻って行った。それを見たナグモがまたしても嫌な笑みを浮かべて俺をからかってきた。


「クロムちゃんだって」

「うるせ」


 母さんは今度は父さんも連れて家から出てきた。全く本当に慌ただしい二人だな。


「クロム! 試験は?」

「合格して来たよ」

「「やったあああああああ!」」


 俺の合格発表に二人は大喜びの様子だった。流石にこいつらの前でそれは恥ずかしいからやめてくれ……。


「流石クロムちゃん! クロムちゃんなら絶対合格できると思っていたわよ! あれ? ところでそちらの子達は?」


 嬉しさのあまり俺に抱き着いてきた母さんがシャルルたちの方に視線を送りその存在に気付いた。


「この試験中にできた友達だよ母さん」

「クロムちゃん偉いわ! こんな素敵なお友達連れてきて。待っててね、今急いで準備してくるからね!」


 そう言って父さんと母さんは踵を返して足早に家に戻って行った。


「悪いな。俺の両親あんな感じなんだ」

「いいえ、とても暖かな良いご両親だと思います。少し、憧れてしまいますね」

「そうか? シャルルのお父さ、国王陛下も結構チャーミングな所があると思うぞ?」

「変に言い直さないでいいですよ、お父様はそうなのですが、お母様はとても厳しい方なんですよ」


 そう話すシャルルの声音は雲がかかっているかのように暗く聞こえた。そんなシャルルの声音とは真逆に両親がまたしても慌ただしく家の扉を開けた。


「準備できたわよ! ささっみんな入ってー! みんなの合格祝いを始めるわよ!」


 母さんに招かれるように、皆ぞろぞろと俺の家に入ってきた。そして、リビングに行き着くと、今までに見たことのないような食事が並べられていた。


「遠慮はいらないから、ガンガン食べてね!」


 皆で食卓を囲み、会話の内容は試験の話で持ちきりだった。そんな中母さんが皆の名前を聞いていなかったとのことで、自己紹介をしていったのだが……。


「みんないい名前ね、特にシャルルちゃんの名前はどこかで聞いたことがあるわね。きっと伯爵令嬢とかかしら? ん? そういえば、今クシャナスって言った?」

「はい、お母様。私はシャルル・クシャナスです」

「シャルル王女様⁉ た、大変申し訳ございません! 気付かなかったとはいえとんだご無礼をお許しください」


 母さんと父さんはシャルルの正体を知るや否や、床に頭を付けて謝罪していた。


「クロムちゃん、うちの息子はご無礼を働かなかったでしょうか?」

「頭を上げて下さい、お父様、お母様。見ての通り私がクロムさんをお慕い申しているんです」

「まあ、そんな感じで俺とシャルルは仲良くやっているってわけだ」

「……朴念仁」

「ん? 今何か言ったか?」

「いいえ、ふん。もう知りません」


 父さんと母さんは俺とシャルルの関係を知り、どうやら安心した様子で食事に戻っていた。


「流石クロムだ! あの魔剣学園の主席になるなんて、本当にすごい奴だよ」


 今この食卓で流れている話題は俺の試験の武勇伝で盛り上がっていた。流石にこそばゆくて俺は食卓を後にして、家の外に出た。


「何か用か?」

「用がなければあなたの隣に居てはいけませんか?」

「ぶれないなシャルルは、ここは俺の一番好きな場所なんだ」

「ここが好きって、特に何も無いですよ?」


 シャルルは辺りをきょろきょろとしていたが、俺は上空に指を指し示した。


 指を指した上空には辺り一面、星々が輝きを放ち、月明がよく見える幻想的な空だ。


「なんて綺麗な空なの、こんなの今までに見たことがありません」

「この星空を見ながら俺は日々修練してるんだ」

「……」


 俺が自身の話をした途端にシャルルは押し黙ってしまった。ん? こういう話はつまらなかったか?


「ねぇ、クロム。私の気持ちに気付いていますか?」

「気持ち? あぁ、悪い。つまらなかったよな、こういった話はよしておくよ」

「そうじゃなくて、私があなたに抱いている気持ちです!」

 シャルルの言葉に少し戸惑う。何故なら、全く見当が付かないからだ。気持ち? 何? どういうこと? 俺は即時脳をフル活用して該当する候補を探った。


 探った結果一つの候補が浮かび上がってきた。


「あ、あぁ。もちろん気付いているぞ」

「本当ですか? あなたはどうお考えですか?」

「そ、そうだな。そんなに焦る必要はないと思うぞ、時間は沢山あるんだし」

「ですが、あなたと特別な相手となる時間が減ってしまいます……」

「へ? 特別な時間?」


 あれ? なんか話が嚙み合ってないぞ?


「……クロム、今何の話をしてるか言ってみて下さい」

「え? 俺の魔法への知識を知りたいっていう話だろ?」

 そう口にした瞬間、俺の頬に痛烈な痛みが走った。シャルルは俺を睨み付けながらビンタを食らわしてきたのだ。


「もう知りません! この朴念仁!」


 そのまま踵を返して何も言わずに家に戻って行ってしまった。いやいやいや、無理でしょ! わかんないって。何その質問、そんな難易度十影雄と戦いながら、本を読むくらいの難易度だぞ⁉


 そして、俺も自宅に戻り少し気まずさを覚えながら、合格祝いが終わりを迎えた。皆準備を整えて家の外にて待機していた。


「明日から魔剣学園の生徒になるのか……、楽しみだな」

「もうワクワクして今日も眠れるかわからないよ」

「そうですね、明日からどんな初めての出来事が待っているのか、想像するだけでも胸が高鳴ります」


 俺とルイネ以外の三人は明日からの学園生活に胸を躍らせていた。まあ? かく言う俺もかなり楽しみなんだが。
 そして、また一つの円を作り上げ今度は俺の右側と左側にはルイネとワカツキが居た。シャルルはあの時から妙に俺にそっけない態度を取り続けている。


 皆を転移して送り届け、自宅に戻った俺は試験の疲れのせいか布団に入るのと同時に眠りに就いた。
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