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大切なもの
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休日だからといっていつもよりも多く果てたせいか、乃愛は隣でぐったりとしていて、ゆっくりとその花びらのような睫毛を震わせているだけだった。
そんな乃愛の頭をそっと撫でながら、和樹は少し乃愛に対して色気のようなものを感じるようになったと思った。
出会った当初の乃愛は確かにきれいだったし、体もいい具合に成長しきっていた。しかし、そのとき、彼は乃愛に対して、性的魅力を今ほど感じてはいなかった。確かに欲しいとは思ったが、今ほど抱きたいという自分の欲求が強かったとは言えないだろう。
これは乃愛が少し成長したということなのだろうか……―――。
しかも、ここ最近ずっと乃愛は「和樹さん」ではなく、「和樹くん」と呼んでくるうえに、和樹好みの格好ばかりするものだからついつい襲いたくなってしまう。もしかしたら、これは乃愛の作戦なのだろうかとも思えるが、そこまでできるほど乃愛は器用な子ではないと和樹は知っている。
「んっ……かずきくん……もうお昼だよ?」
「ああ……お腹すいたか?」
こくりと頷いた乃愛に対して、和樹は「じゃあ、今日はピザでも頼むか」と言って、スマホをいじりはじめた。さくさくとネットで注文をすると、宅配の時間だけ確認して、スマホをヘッドボードに置いた。
「三十分くらいでくるみたいだ」
「うん……」
乃愛を抱き寄せると、優しく背中を労わるように撫でた。セックスの後に、こうやって彼女のことを労わることで和樹は乃愛を独り占めしたのだという気持ちを味わうことができるのだ。
そうしているとふっと数年前にした白石との会話を思い出した。
確か、あの時、パーティーでたまたま出会った友人の朝比奈絢也の連れがモデルの朝比奈乃愛であることを知って、頭から離れなくなったという話をしていたのだ。
『朝比奈乃愛、ね。確かにかわいいけど、まだ高校生だろ?』
『ああ……モデルなのに、すごい男慣れしてなくてさ。かわいいんだよなあ。俺、女関係清算して、結婚を前提に交際を申し込もうと思う』
和樹のその言葉に白石は唖然としていた。
『はあ? 水成、おかしくなったのか』
『いや……俺、真剣だぜ? だって、あんな可愛い子奥さんにできたら、俺すげえ幸せだと思う』
(それが今現実になっている)
現実となった幸せを噛みしめるようにして、再び乃愛をぎゅっとすれば、乃愛が「どうしたの?」と不思議そうに訊いてきた。
「なんでもない……。ほら、そろそろピザ届くから服着ろよ? 俺は先にリビングいってるから」
適当に部屋着を着ると、和樹は先にリビングへと向かった。ちょうどいいタイミングでインターホンが鳴った。ピザが届いたので玄関先で受け取ってリビングに持っていくと、着替えを済ませた乃愛がやってきて、雪那にごはんと新しい水をやっていた。
たまにはこういう休日も悪くはないと和樹は思った。
できたら、数年後にここにもう一人いれば最高だな……―――。
そんな乃愛の頭をそっと撫でながら、和樹は少し乃愛に対して色気のようなものを感じるようになったと思った。
出会った当初の乃愛は確かにきれいだったし、体もいい具合に成長しきっていた。しかし、そのとき、彼は乃愛に対して、性的魅力を今ほど感じてはいなかった。確かに欲しいとは思ったが、今ほど抱きたいという自分の欲求が強かったとは言えないだろう。
これは乃愛が少し成長したということなのだろうか……―――。
しかも、ここ最近ずっと乃愛は「和樹さん」ではなく、「和樹くん」と呼んでくるうえに、和樹好みの格好ばかりするものだからついつい襲いたくなってしまう。もしかしたら、これは乃愛の作戦なのだろうかとも思えるが、そこまでできるほど乃愛は器用な子ではないと和樹は知っている。
「んっ……かずきくん……もうお昼だよ?」
「ああ……お腹すいたか?」
こくりと頷いた乃愛に対して、和樹は「じゃあ、今日はピザでも頼むか」と言って、スマホをいじりはじめた。さくさくとネットで注文をすると、宅配の時間だけ確認して、スマホをヘッドボードに置いた。
「三十分くらいでくるみたいだ」
「うん……」
乃愛を抱き寄せると、優しく背中を労わるように撫でた。セックスの後に、こうやって彼女のことを労わることで和樹は乃愛を独り占めしたのだという気持ちを味わうことができるのだ。
そうしているとふっと数年前にした白石との会話を思い出した。
確か、あの時、パーティーでたまたま出会った友人の朝比奈絢也の連れがモデルの朝比奈乃愛であることを知って、頭から離れなくなったという話をしていたのだ。
『朝比奈乃愛、ね。確かにかわいいけど、まだ高校生だろ?』
『ああ……モデルなのに、すごい男慣れしてなくてさ。かわいいんだよなあ。俺、女関係清算して、結婚を前提に交際を申し込もうと思う』
和樹のその言葉に白石は唖然としていた。
『はあ? 水成、おかしくなったのか』
『いや……俺、真剣だぜ? だって、あんな可愛い子奥さんにできたら、俺すげえ幸せだと思う』
(それが今現実になっている)
現実となった幸せを噛みしめるようにして、再び乃愛をぎゅっとすれば、乃愛が「どうしたの?」と不思議そうに訊いてきた。
「なんでもない……。ほら、そろそろピザ届くから服着ろよ? 俺は先にリビングいってるから」
適当に部屋着を着ると、和樹は先にリビングへと向かった。ちょうどいいタイミングでインターホンが鳴った。ピザが届いたので玄関先で受け取ってリビングに持っていくと、着替えを済ませた乃愛がやってきて、雪那にごはんと新しい水をやっていた。
たまにはこういう休日も悪くはないと和樹は思った。
できたら、数年後にここにもう一人いれば最高だな……―――。
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