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ノイジーナイスとノイジー
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ノイジーナイスは小柄な牝馬だった。
母父、サファラタ産駒は小柄だったと聞く。ならこれはサファラタの血かな、と。
競走馬にはなれないかもしれない。そうカストリオ牧場の主は唸った。
買い手を探したがサファラタ産駒に似た小さな体躯を見て、買い手はつかなかった。
小さな体躯は同じ斤量でも不利になる。
50キロの重りと40キロの騎手が乗ったとして、300キロの馬が100キロを背負ってレースをするよりも、400キロの馬が100キロを背負う方が有利に決まっている。
「これは、うちでオーナーするしかないか。牝馬なのがまだ救いだな」
カストリオ牧場の息子、カストリオ=ノイジーは騎手となり若手でナンバーワンと呼ばれている。
カストリオ牧場の長男、若き天才騎手は、牧場のコネなどもはや必要ないくらいに実力がついてきていた。
「乗せてやろう」と言われる立場から、「乗ってください」と依頼される程度には実績を積んでいる。
ノイジーの賞金額で牧場の借金は返せた。
ノイジーナイスのオーナー
ノイジーナイスが競走馬になれたら、だが。実際に競走馬になって走る時になれば、ノイジーも中堅だろう。
もし可能ならば、とカストリオ牧場の主は空想する。
「父が残したサファラタの血を、私が育てて、息子が乗ってG1を獲る。そんな日が来ればいいなぁ……」
そしてノイジーナイスとして登録され、新馬戦を迎える。
「嫌だよ、あんな小さな馬に乗るのは」
「新馬戦だけだから、頼むよノイジー」
「その新馬戦が重要なんだよ、新馬のうちにいい馬の主戦騎手になれたら賞金額は目が飛び出るほど違うんだからな!」
そしてノイジーはノイジーナイスに乗らなかった。
もっとも、主戦騎手がどうこうと言うのは言い訳で、
「そもそも馬名に!息子の名前にナイスってつけんなよ!」
父の牧場の生産馬で
自分の息子ナイスってつけた馬で
その息子がリーディングジョッキーで
「ダメだろ、この世界は舐められたらおしまいなんだよ!」
ノイジーはノイジーナイスに新馬戦から未勝利戦数戦まで乗らなかった。
「ノイジー先輩。ノイジーナイスって先輩の牧場の馬なんですね、すごいいいセンスですね。プッククク!」
ほら、こんな風にからかわれるんだよ、とノイジーは頭を抱えた。
かかり癖(馬がペース配分を無視して飛ばす癖)があり、走らせまいと抑えると気分を害してやる気がない走りを見せた。
ノイジーナイスが新馬戦と未勝利戦を最下位で終えた後、ノイジーは父に呼び出された。
「なぁ、ノイジー。頼む、乗ってくれないか?お前はリーディングジョッキー(最優秀騎手)にも選ばれる程だし乗る馬には困らないだろうが、一回だけ乗ってやってくれないか」
「だから嫌だってば……」
「お前が可愛がっていたウパニャースの初仔だぞ。一回も乗ってやらなくていいのか?」
ウパニャースと聞いて、ノイジーは父へと振り返った。
騎手になる前。
ウパニャースが仔馬の頃に一緒に遊んだ記憶。ウパニャースが新馬戦のレースに負けて、騎手の腕が悪いからだと泣き、騎手になろうと決めた事を思い出した。
「一回もって……空いたらそりゃ一回くらいは乗ってもいいけどさ」
ノイジーがそう言うと、ノイジーの父は悲しそうに顔を伏せた。
「騎手が決まらないんだ。かかり癖もあるし、気性も荒いし抑えると機嫌が悪くなり走らなくなる」
「なんだよ、その馬。息子を。いや、そもそもリーディングジョッキーをそんな馬に乗せようとすんなよ……」
下手に乗れば出場停止を食らってしまう。
「2戦0勝、せめて記念に一度は乗ってやって欲しい。考えてくれないか?」
母父、サファラタ産駒は小柄だったと聞く。ならこれはサファラタの血かな、と。
競走馬にはなれないかもしれない。そうカストリオ牧場の主は唸った。
買い手を探したがサファラタ産駒に似た小さな体躯を見て、買い手はつかなかった。
小さな体躯は同じ斤量でも不利になる。
50キロの重りと40キロの騎手が乗ったとして、300キロの馬が100キロを背負ってレースをするよりも、400キロの馬が100キロを背負う方が有利に決まっている。
「これは、うちでオーナーするしかないか。牝馬なのがまだ救いだな」
カストリオ牧場の息子、カストリオ=ノイジーは騎手となり若手でナンバーワンと呼ばれている。
カストリオ牧場の長男、若き天才騎手は、牧場のコネなどもはや必要ないくらいに実力がついてきていた。
「乗せてやろう」と言われる立場から、「乗ってください」と依頼される程度には実績を積んでいる。
ノイジーの賞金額で牧場の借金は返せた。
ノイジーナイスのオーナー
ノイジーナイスが競走馬になれたら、だが。実際に競走馬になって走る時になれば、ノイジーも中堅だろう。
もし可能ならば、とカストリオ牧場の主は空想する。
「父が残したサファラタの血を、私が育てて、息子が乗ってG1を獲る。そんな日が来ればいいなぁ……」
そしてノイジーナイスとして登録され、新馬戦を迎える。
「嫌だよ、あんな小さな馬に乗るのは」
「新馬戦だけだから、頼むよノイジー」
「その新馬戦が重要なんだよ、新馬のうちにいい馬の主戦騎手になれたら賞金額は目が飛び出るほど違うんだからな!」
そしてノイジーはノイジーナイスに乗らなかった。
もっとも、主戦騎手がどうこうと言うのは言い訳で、
「そもそも馬名に!息子の名前にナイスってつけんなよ!」
父の牧場の生産馬で
自分の息子ナイスってつけた馬で
その息子がリーディングジョッキーで
「ダメだろ、この世界は舐められたらおしまいなんだよ!」
ノイジーはノイジーナイスに新馬戦から未勝利戦数戦まで乗らなかった。
「ノイジー先輩。ノイジーナイスって先輩の牧場の馬なんですね、すごいいいセンスですね。プッククク!」
ほら、こんな風にからかわれるんだよ、とノイジーは頭を抱えた。
かかり癖(馬がペース配分を無視して飛ばす癖)があり、走らせまいと抑えると気分を害してやる気がない走りを見せた。
ノイジーナイスが新馬戦と未勝利戦を最下位で終えた後、ノイジーは父に呼び出された。
「なぁ、ノイジー。頼む、乗ってくれないか?お前はリーディングジョッキー(最優秀騎手)にも選ばれる程だし乗る馬には困らないだろうが、一回だけ乗ってやってくれないか」
「だから嫌だってば……」
「お前が可愛がっていたウパニャースの初仔だぞ。一回も乗ってやらなくていいのか?」
ウパニャースと聞いて、ノイジーは父へと振り返った。
騎手になる前。
ウパニャースが仔馬の頃に一緒に遊んだ記憶。ウパニャースが新馬戦のレースに負けて、騎手の腕が悪いからだと泣き、騎手になろうと決めた事を思い出した。
「一回もって……空いたらそりゃ一回くらいは乗ってもいいけどさ」
ノイジーがそう言うと、ノイジーの父は悲しそうに顔を伏せた。
「騎手が決まらないんだ。かかり癖もあるし、気性も荒いし抑えると機嫌が悪くなり走らなくなる」
「なんだよ、その馬。息子を。いや、そもそもリーディングジョッキーをそんな馬に乗せようとすんなよ……」
下手に乗れば出場停止を食らってしまう。
「2戦0勝、せめて記念に一度は乗ってやって欲しい。考えてくれないか?」
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