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第三章 露草五十鈴 ~ケルベロス討伐録~
第45話 露草先輩とデート
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私達は、またもマロンドにいる。
どこに行こうか、という話になるも……
学校に戻る、というのもどうかということで、
ゆっくり出来る場所としてマロンドが挙がった。
もとより露草先輩にとってゲームのホームタウンであるし、
それ以上に、私がここのケーキの味に魅入られたが故だった。
今も、ケーキセットを目の前にして、幸せ一杯だった。
「そんなに食べると太りますよ?」
「大丈夫です。ケーキは別腹ですから!」
「それ、全然大丈夫じゃないですよ」
どうにもミステリアスなイメージの露草先輩だったが、
話してみると、何とも普通の女子高生だった。
むしろ、狩野姉妹のような特殊な家庭でもないし、
千里みたいな貧乏な家庭じゃない。
いわゆる、極普通の家庭のようだった。
お父さんはサラリーマンで、よくある家族。
露草先輩は一人娘らしい。
ただ、その上品な雰囲気というのは、やはり家庭の教育なのだろう。
世間話をしている中でも、そう感じていた。
「それにしても、今年は朝生さんが来てくれて本当に良かったわ。
おかげで、今まで倒せなかったディアボロスを2体も倒してる。
これは、退魔部始まって以来の快挙かもね」
「そう言って貰えると嬉しいです」
「本当に、感謝してもし足りないくらいよ。
それにしても、朝生さんには本当に御兄弟はいなかったのかしら」
「いえ、いないですよ。
前にも聞かれましたけど、もしも兄弟がいたらどうなるんですか?」
よく聞かれるので、つい気になってしまう。
露草先輩は、少しの間を空けてから言葉を続ける。
「うーん……実は、キーパーになれる条件は2つあるの。1つは血筋」
「あ、はい。露草先輩は、確か神社のお家の方とか」
「あら、誰かに聞いてたのね。まぁ、そういうこと。
特殊な血筋の人間は、キーパーになることが多いわ」
「みなさんそうなんですよね。じゃあ、あとの1つは?」
「あとの1つは……」
沈黙が続く。
その次の句を、固唾を飲んで待つ。
「あとの1つは……おっぱいの小さい子よ!」
「えぇっ?」
「ウ・ソ♪」
思わず崩れ落ちてしまう。本当にこの人は……
それに、私、千里、京さんと、いちいち当てはまるから冗談とも判別しづらい。
「冗談冗談。朝生さんも樫木さんも、からかい甲斐があっていいわ」
「もう、本当に勘弁してください」
「ごめんごめん♪」
紅茶を一口飲んでから、さらに続ける。
「本当はね、遺族……というより、
血を分けた兄弟の中に、悪魔になってしまった人がいる場合なのよ」
「えっ……!?」
思わず絶句してしまう。
それは、あまりに衝撃的なことだ。
その言葉が意味することというのは……
つまり、人が悪魔になってしまう可能性があるということではないか。
「人の死後、魂が抜けて輪廻の渦に入る前に、悪魔が囁くことがあるの。
まだ生きていたいか、ってね。それに応えてしまうと、悪魔として転生し、
魔界に封じられてしまうわ」
「封じられる……」
「そう。まだ話してなかったかもしれないけど、あの悪魔たちは、ただの思念体。
魔界にいる本体が飛ばしている、実体を持たない幽霊のような存在なのよ。
だから、幽体離脱をした状態で、初めて攻撃することが出来るわけ。
例外はディアボロスで、悪魔の実体がそのままこちらに現れているわ。
まぁ、だからその分、力も強いんでしょうけれど」
要は、魔界から、小さな自分をラジコンで操ってるようなイメージだろう。
ディアボロスは、そのまま自分が飛び出ていっているということか。
「つまり、魔界では、あの悪魔の数だけ、数多の悪魔が存在しているわけ」
「……そうなんですか?
1体の悪魔から、複数の悪魔が出せる奴もいるのでは?」
「実はそういうわけじゃないみたいなの。
あくまでも1体につき、1体の悪魔が出てきているそうよ」
何ということだろう。
それだけの数の悪魔が、魔界にはひしめき合っているということなのだ。
想像するだけで寒気を覚える。
「元は人間の彼らの願いは、
もしかしたら、魔界から抜け出したいのかもしれない。
そのために、カルマを集めているのかもしれないわね」
「それって……あんまり想像したくないですね」
「そうね。
もしかしたら、人が死んだ数だけ悪魔がいるんじゃないかと思うと、
ぞっとするわ」
思わず背筋に寒気が走った。
そんな空気を断ち切るように、露草先輩は咳払いをしてから続ける。
「まぁ、ちょっと話は逸れたけど、そうやって悪魔に転生した兄弟がいると、
残った兄弟はキーパーになったっていう例があるみたいなの。
ただ、今まででも、本当に2例くらいしか無いみたい。
そうだったとしても、きちんと根拠を示した例はない」
「えっ、そうなんですか?」
「そうよ。だって、あの悪魔が、自分の兄弟だ、なんて認識出来る?」
うーん、それもそうだ。
となると、別の理由があるということだけれど……
露草先輩はその理由を説いた。
「実は、朝生さんも遠縁では、私達の誰かと繋がってるのかもしれない。
むしろ、こっちのほうが可能性としては高いのかも。
実際、早露の家にしても本当に全ての家を網羅してるわけじゃないだろうしね」
確かにその通りだ。
それこそ、全てを網羅していたら、家系図も大変なことになるだろう。
曾お祖父さんが作った家系図を見せてもらったことがあるけれど、
僅か6代くらい見ただけでも頭が混乱しそうだった。
どこに行こうか、という話になるも……
学校に戻る、というのもどうかということで、
ゆっくり出来る場所としてマロンドが挙がった。
もとより露草先輩にとってゲームのホームタウンであるし、
それ以上に、私がここのケーキの味に魅入られたが故だった。
今も、ケーキセットを目の前にして、幸せ一杯だった。
「そんなに食べると太りますよ?」
「大丈夫です。ケーキは別腹ですから!」
「それ、全然大丈夫じゃないですよ」
どうにもミステリアスなイメージの露草先輩だったが、
話してみると、何とも普通の女子高生だった。
むしろ、狩野姉妹のような特殊な家庭でもないし、
千里みたいな貧乏な家庭じゃない。
いわゆる、極普通の家庭のようだった。
お父さんはサラリーマンで、よくある家族。
露草先輩は一人娘らしい。
ただ、その上品な雰囲気というのは、やはり家庭の教育なのだろう。
世間話をしている中でも、そう感じていた。
「それにしても、今年は朝生さんが来てくれて本当に良かったわ。
おかげで、今まで倒せなかったディアボロスを2体も倒してる。
これは、退魔部始まって以来の快挙かもね」
「そう言って貰えると嬉しいです」
「本当に、感謝してもし足りないくらいよ。
それにしても、朝生さんには本当に御兄弟はいなかったのかしら」
「いえ、いないですよ。
前にも聞かれましたけど、もしも兄弟がいたらどうなるんですか?」
よく聞かれるので、つい気になってしまう。
露草先輩は、少しの間を空けてから言葉を続ける。
「うーん……実は、キーパーになれる条件は2つあるの。1つは血筋」
「あ、はい。露草先輩は、確か神社のお家の方とか」
「あら、誰かに聞いてたのね。まぁ、そういうこと。
特殊な血筋の人間は、キーパーになることが多いわ」
「みなさんそうなんですよね。じゃあ、あとの1つは?」
「あとの1つは……」
沈黙が続く。
その次の句を、固唾を飲んで待つ。
「あとの1つは……おっぱいの小さい子よ!」
「えぇっ?」
「ウ・ソ♪」
思わず崩れ落ちてしまう。本当にこの人は……
それに、私、千里、京さんと、いちいち当てはまるから冗談とも判別しづらい。
「冗談冗談。朝生さんも樫木さんも、からかい甲斐があっていいわ」
「もう、本当に勘弁してください」
「ごめんごめん♪」
紅茶を一口飲んでから、さらに続ける。
「本当はね、遺族……というより、
血を分けた兄弟の中に、悪魔になってしまった人がいる場合なのよ」
「えっ……!?」
思わず絶句してしまう。
それは、あまりに衝撃的なことだ。
その言葉が意味することというのは……
つまり、人が悪魔になってしまう可能性があるということではないか。
「人の死後、魂が抜けて輪廻の渦に入る前に、悪魔が囁くことがあるの。
まだ生きていたいか、ってね。それに応えてしまうと、悪魔として転生し、
魔界に封じられてしまうわ」
「封じられる……」
「そう。まだ話してなかったかもしれないけど、あの悪魔たちは、ただの思念体。
魔界にいる本体が飛ばしている、実体を持たない幽霊のような存在なのよ。
だから、幽体離脱をした状態で、初めて攻撃することが出来るわけ。
例外はディアボロスで、悪魔の実体がそのままこちらに現れているわ。
まぁ、だからその分、力も強いんでしょうけれど」
要は、魔界から、小さな自分をラジコンで操ってるようなイメージだろう。
ディアボロスは、そのまま自分が飛び出ていっているということか。
「つまり、魔界では、あの悪魔の数だけ、数多の悪魔が存在しているわけ」
「……そうなんですか?
1体の悪魔から、複数の悪魔が出せる奴もいるのでは?」
「実はそういうわけじゃないみたいなの。
あくまでも1体につき、1体の悪魔が出てきているそうよ」
何ということだろう。
それだけの数の悪魔が、魔界にはひしめき合っているということなのだ。
想像するだけで寒気を覚える。
「元は人間の彼らの願いは、
もしかしたら、魔界から抜け出したいのかもしれない。
そのために、カルマを集めているのかもしれないわね」
「それって……あんまり想像したくないですね」
「そうね。
もしかしたら、人が死んだ数だけ悪魔がいるんじゃないかと思うと、
ぞっとするわ」
思わず背筋に寒気が走った。
そんな空気を断ち切るように、露草先輩は咳払いをしてから続ける。
「まぁ、ちょっと話は逸れたけど、そうやって悪魔に転生した兄弟がいると、
残った兄弟はキーパーになったっていう例があるみたいなの。
ただ、今まででも、本当に2例くらいしか無いみたい。
そうだったとしても、きちんと根拠を示した例はない」
「えっ、そうなんですか?」
「そうよ。だって、あの悪魔が、自分の兄弟だ、なんて認識出来る?」
うーん、それもそうだ。
となると、別の理由があるということだけれど……
露草先輩はその理由を説いた。
「実は、朝生さんも遠縁では、私達の誰かと繋がってるのかもしれない。
むしろ、こっちのほうが可能性としては高いのかも。
実際、早露の家にしても本当に全ての家を網羅してるわけじゃないだろうしね」
確かにその通りだ。
それこそ、全てを網羅していたら、家系図も大変なことになるだろう。
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僅か6代くらい見ただけでも頭が混乱しそうだった。
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