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第4話 ニート、仇敵に出会う
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俺は転移門を潜り、バリエスタ近くの森へと転移していた。
転移門は働く事をやめた選ばれたニートにしか習得する事が出来ない魔法である。
その希少性から使用している所を他人に見られるのは絶対に避けたかったのでわざわざ町から離れたこの森に転移したのだ。
確か、ティアちゃんことリティスリティアも似たような魔法を使っていたが、恐らくあの子も今から考えればニートだったのだろう。
そうでなければ、ニートである俺になどに世界救世など任せず自分でやればいい話だからな。
(ティアちゃんか。ニートだったが、今から考えれば凄い美少女だったんだな)
俺はニート業の傍らニート生活を充実させるために色んな魔法の習得に励んでいた。
転移魔法もその中で習得したニート専用魔法の一つだ。
だがそれでもリティスリティアの使ったあの『異界転移門』だけはどれだけ頑張っても習得できなかった。
あの魔法が使えれば俺の願った労働せずとも永遠にニートが続けられる世界への扉が開かれたのかもしれなかったのに。
多分あの子はいわゆる女神というやつなのだろう。
そう考えればあの目を疑うような異常とも思える美しい姿には納得だ。ニートだけど。
「さて、気は進まないが行くか」
ここに来るのは100年ぶりだったが、それでも俺は道に迷う事はない。
転移門を使うのには空間認識力と索敵能力はかなり重要でそれらが未熟だった場合、飛びたい座標からズレたり、飛んだ瞬間敵のど真ん中という事態に陥る可能性があるからだ。
数分歩くと、森から街道に出た。
この街道は100年前にもあったものだろう。
多少道が伸びたり枝分かれしたりしている可能性もあるが基本は同じはずである。
俺は街道沿いに更にバリエスタを目指す。
街道とは言っても全く魔物が出ないわけではない。
現在の治安はよく分からないが盗賊が出没する可能性もあるだろう。
そんな色んな可能性がある中、俺がこの地で100年ぶりに遭遇した敵は俺の仇敵とも呼べるアイツだった。
水色の身体をぷよぷよとさせながら俺の前に現れたそいつは俺に憎たらしい笑みを浮かべながら俺の前に立ちはだかっている。
「あぁぁぁぁぁぁ!」
俺は普段はとても冷静な紳士である。
あえてもう一度言おう。俺は冷静な紳士だ。
だが、こいつ相手にはそんな冷静な紳士の俺も声を荒げ、殺意を抑える事などできるはずもない。
だから俺は荒ぶる激情と共に吐き出すように目の前の敵に言い放った。
「蒸発しろ! ニートの敵め! 超振動魔粒子光線!」
突き出された俺の手のひらの先から目の前の敵、スライムの身体を超えるほどの極太の光線を放たれる。
正確には光の速さには及ばないが、人間の目には光ったと同時にスライムに直撃したように見えただろう。
スライムは攻撃された事にも気づかないまま俺の宣言通り一瞬の間に蒸発し、スライムのいた場所は深く抉れ、地面の一部は解けてガラス状になっていた。
「ふぅ、すっきり。魔物討伐はあまり好きではないが、スライムを殺る時だけは心が満たされるな」
いい事をした俺の気分はとても晴れやかだ。
地面が抉れたままでは歩行者の迷惑だろうので、俺は簡単な土魔法で適当に近くの土を使い穴が開いた街道を補修した。
俺はニートだが人に迷惑をかけるのは俺の流儀に反するのである。
「さて行くか」
そうして俺はバリエスタに向かうべくまた歩き始めるのだった。
転移門は働く事をやめた選ばれたニートにしか習得する事が出来ない魔法である。
その希少性から使用している所を他人に見られるのは絶対に避けたかったのでわざわざ町から離れたこの森に転移したのだ。
確か、ティアちゃんことリティスリティアも似たような魔法を使っていたが、恐らくあの子も今から考えればニートだったのだろう。
そうでなければ、ニートである俺になどに世界救世など任せず自分でやればいい話だからな。
(ティアちゃんか。ニートだったが、今から考えれば凄い美少女だったんだな)
俺はニート業の傍らニート生活を充実させるために色んな魔法の習得に励んでいた。
転移魔法もその中で習得したニート専用魔法の一つだ。
だがそれでもリティスリティアの使ったあの『異界転移門』だけはどれだけ頑張っても習得できなかった。
あの魔法が使えれば俺の願った労働せずとも永遠にニートが続けられる世界への扉が開かれたのかもしれなかったのに。
多分あの子はいわゆる女神というやつなのだろう。
そう考えればあの目を疑うような異常とも思える美しい姿には納得だ。ニートだけど。
「さて、気は進まないが行くか」
ここに来るのは100年ぶりだったが、それでも俺は道に迷う事はない。
転移門を使うのには空間認識力と索敵能力はかなり重要でそれらが未熟だった場合、飛びたい座標からズレたり、飛んだ瞬間敵のど真ん中という事態に陥る可能性があるからだ。
数分歩くと、森から街道に出た。
この街道は100年前にもあったものだろう。
多少道が伸びたり枝分かれしたりしている可能性もあるが基本は同じはずである。
俺は街道沿いに更にバリエスタを目指す。
街道とは言っても全く魔物が出ないわけではない。
現在の治安はよく分からないが盗賊が出没する可能性もあるだろう。
そんな色んな可能性がある中、俺がこの地で100年ぶりに遭遇した敵は俺の仇敵とも呼べるアイツだった。
水色の身体をぷよぷよとさせながら俺の前に現れたそいつは俺に憎たらしい笑みを浮かべながら俺の前に立ちはだかっている。
「あぁぁぁぁぁぁ!」
俺は普段はとても冷静な紳士である。
あえてもう一度言おう。俺は冷静な紳士だ。
だが、こいつ相手にはそんな冷静な紳士の俺も声を荒げ、殺意を抑える事などできるはずもない。
だから俺は荒ぶる激情と共に吐き出すように目の前の敵に言い放った。
「蒸発しろ! ニートの敵め! 超振動魔粒子光線!」
突き出された俺の手のひらの先から目の前の敵、スライムの身体を超えるほどの極太の光線を放たれる。
正確には光の速さには及ばないが、人間の目には光ったと同時にスライムに直撃したように見えただろう。
スライムは攻撃された事にも気づかないまま俺の宣言通り一瞬の間に蒸発し、スライムのいた場所は深く抉れ、地面の一部は解けてガラス状になっていた。
「ふぅ、すっきり。魔物討伐はあまり好きではないが、スライムを殺る時だけは心が満たされるな」
いい事をした俺の気分はとても晴れやかだ。
地面が抉れたままでは歩行者の迷惑だろうので、俺は簡単な土魔法で適当に近くの土を使い穴が開いた街道を補修した。
俺はニートだが人に迷惑をかけるのは俺の流儀に反するのである。
「さて行くか」
そうして俺はバリエスタに向かうべくまた歩き始めるのだった。
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