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第5話 メリエス、転移門に入る
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「さて、向かいましょうか。メリエス様」
「子供扱いをするな! 手など繋がずとも歩けるわ!」
俺が手を繋ごうと手を差し向けたのに、メリエス様はそう言って手を繋ごうとはしない。
あぁ、もう、ツンデレなんだから。
小さい頃はお手手を繋いでキャッキャうふふしていたのにそういうお年頃になったのかと俺は喜びとちょっとした寂しさに打ち震えつつ、とりあえずは引くことにした。そう、とりあえずはだ。
「それでどこに行くのじゃ? 馬車の用意はしておるのか?」
「いえ、馬車は使いませんよ」
俺はメリエス様のどこに行くのか? という問いを故意に無視した。
それはなぜか?
なぜなら行き先を知ったメリエス様が「絶対に行きたくないのじゃ~!」と駄々を捏ねて暴れまくるのが容易に想像できるからである。
もちろんそれはそれで可愛いのだが、今はあまり時間がない。
これで仮に数日間駄々を捏ねられようものなら完全に詰んでしまう理由があるのだ。
ちなみにだが馬車を使わないというのも時間がないという事に由来する。
「徒歩なのか? 結構近くなのじゃな? その四天王候補とやらは」
メリエス様がそう思ったのも無理はない。
この世界の移動方法としてよく使われているのは徒歩と馬車くらいのものだからだ。
馬や魔獣に直乗りという方法もなくはないが、それらの方法にはある程度の練習が必要で俺はともかくメリエス様は騎乗に関しては素人以下だ。
「いえ、近くではありません。ですので徒歩ではなくこれで行きましょう」
そう言って俺が行使した魔法は『転移門』。
入った者を瞬時に遠くの場所まで移動させる黒い靄のような物を形成させる魔法でこの世界に存在する第1~7階級まである魔法の階級の中で上から2番目に当たるゴリゴリの上級魔法の1つである。
俺はその『転移門』をちょうどこの部屋の扉サイズに展開すると、メリエス様が大きな声を上げた。
「お、おま、なんじゃこれは!?」
メリエス様の驚く姿が可愛いのは言うまでもない。
ちなみに俺がメリエス様の前で『転移門』を行使したのはこれが初めてで、他の上級魔法も見せてない物がまだまだある。
「どーこーでーもード……じゃなかった……『転移門』です。ささっ、お入りください」
「『転移門』じゃと!? お前がそんな魔法を使えるなんて聞いてないぞ!」
私は知っていましたよ! とドヤ顔のアールワンを横目にしつつ、俺はメリエス様の質問に答えた。
「今、言いましたよ。四天王筆頭としてこれくらいは当たり前です」
少なくても、ドランなんちゃらさんの所の四天王達は誰一人使う事はできなかったが、ドランなんちゃらさん自体そもそも微妙な魔王だったので四天王も微妙なのは自明の理だ。
抗議を躱されたメリエス様だったが、今度は俺が故意に無視した点を突いてきた。
「ていうかどこに行くのか私はまだ聞いてないぞ」
エリエス様の言いたい事は「私は危険な所には行かんぞ」という一点のみだろう。
魔王としては頼りないと思うかもしれないが、メリエス様は戦闘型魔王ではなく可愛さ特化型の魔王なので問題はない。
むしろ戦闘力に劣るくらいの方が可愛い姿をよく見れるので俺としてはその方が好ましいくらいである。
だから俺は優しい笑顔でメリエス様にこう言った。
「心配はご無用ですよ、メリエス様。近くに魔王もいませんし、普段は魔人や強き魔物もほとんど出ない所で転移魔法を使うのは本当に只遠いというだけという理由です」
俺は全く嘘を吐いていない。
近くに魔王城もなければ、普段は魔人も出ないこの世界において比較的治安のよい場所であることは間違いのない事実である。
「まぁそういうことならかまわんが」
「では時間も惜しいので早速行きましょう」
俺の正直な言葉を信じたメリエス様は俺の後をついて転移門の中へ入って行くのだった。
「子供扱いをするな! 手など繋がずとも歩けるわ!」
俺が手を繋ごうと手を差し向けたのに、メリエス様はそう言って手を繋ごうとはしない。
あぁ、もう、ツンデレなんだから。
小さい頃はお手手を繋いでキャッキャうふふしていたのにそういうお年頃になったのかと俺は喜びとちょっとした寂しさに打ち震えつつ、とりあえずは引くことにした。そう、とりあえずはだ。
「それでどこに行くのじゃ? 馬車の用意はしておるのか?」
「いえ、馬車は使いませんよ」
俺はメリエス様のどこに行くのか? という問いを故意に無視した。
それはなぜか?
なぜなら行き先を知ったメリエス様が「絶対に行きたくないのじゃ~!」と駄々を捏ねて暴れまくるのが容易に想像できるからである。
もちろんそれはそれで可愛いのだが、今はあまり時間がない。
これで仮に数日間駄々を捏ねられようものなら完全に詰んでしまう理由があるのだ。
ちなみにだが馬車を使わないというのも時間がないという事に由来する。
「徒歩なのか? 結構近くなのじゃな? その四天王候補とやらは」
メリエス様がそう思ったのも無理はない。
この世界の移動方法としてよく使われているのは徒歩と馬車くらいのものだからだ。
馬や魔獣に直乗りという方法もなくはないが、それらの方法にはある程度の練習が必要で俺はともかくメリエス様は騎乗に関しては素人以下だ。
「いえ、近くではありません。ですので徒歩ではなくこれで行きましょう」
そう言って俺が行使した魔法は『転移門』。
入った者を瞬時に遠くの場所まで移動させる黒い靄のような物を形成させる魔法でこの世界に存在する第1~7階級まである魔法の階級の中で上から2番目に当たるゴリゴリの上級魔法の1つである。
俺はその『転移門』をちょうどこの部屋の扉サイズに展開すると、メリエス様が大きな声を上げた。
「お、おま、なんじゃこれは!?」
メリエス様の驚く姿が可愛いのは言うまでもない。
ちなみに俺がメリエス様の前で『転移門』を行使したのはこれが初めてで、他の上級魔法も見せてない物がまだまだある。
「どーこーでーもード……じゃなかった……『転移門』です。ささっ、お入りください」
「『転移門』じゃと!? お前がそんな魔法を使えるなんて聞いてないぞ!」
私は知っていましたよ! とドヤ顔のアールワンを横目にしつつ、俺はメリエス様の質問に答えた。
「今、言いましたよ。四天王筆頭としてこれくらいは当たり前です」
少なくても、ドランなんちゃらさんの所の四天王達は誰一人使う事はできなかったが、ドランなんちゃらさん自体そもそも微妙な魔王だったので四天王も微妙なのは自明の理だ。
抗議を躱されたメリエス様だったが、今度は俺が故意に無視した点を突いてきた。
「ていうかどこに行くのか私はまだ聞いてないぞ」
エリエス様の言いたい事は「私は危険な所には行かんぞ」という一点のみだろう。
魔王としては頼りないと思うかもしれないが、メリエス様は戦闘型魔王ではなく可愛さ特化型の魔王なので問題はない。
むしろ戦闘力に劣るくらいの方が可愛い姿をよく見れるので俺としてはその方が好ましいくらいである。
だから俺は優しい笑顔でメリエス様にこう言った。
「心配はご無用ですよ、メリエス様。近くに魔王もいませんし、普段は魔人や強き魔物もほとんど出ない所で転移魔法を使うのは本当に只遠いというだけという理由です」
俺は全く嘘を吐いていない。
近くに魔王城もなければ、普段は魔人も出ないこの世界において比較的治安のよい場所であることは間違いのない事実である。
「まぁそういうことならかまわんが」
「では時間も惜しいので早速行きましょう」
俺の正直な言葉を信じたメリエス様は俺の後をついて転移門の中へ入って行くのだった。
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