灰に堕ちるその日まで

こりゃりゃ

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交差点の記憶

背中を預ける瞬間

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「ターゲット、逃げた!」

「くっ……! 新田、右から回り込め!」

蓮の怒号とともに、新田が路地裏へ飛び込む。敵は慣れた様子で塀を越え、人気のない通りへ消える。

『逃げたのは“赤のフード”だな。監視カメラ拾った……市街地方面、交差点を北に向かってる』

「道案内までこなすとは、便利になったな」
蓮が皮肉を飛ばすと、鴉は少し黙ってから答えた。

『……追いつけるのか、こっちも賭けてるんでな』

膝をつく間もなく、蓮は走る。
夜の風が頬を刺し、足音だけが鼓膜に響く。
前方に“赤のフード”の背がちらつく――!

「いた……!」

敵は振り返りもせず逃げる。
車道へ飛び出し、蓮があとを追う。そこに――

『左から車が来る、蓮――!』

ギリギリのタイミングで身を投げ、車の脇をすり抜ける。

「……おまえがいなかったら死んでたな」

追跡は続く。
新田も合流し、左右から敵を挟む形に。

蓮が肩からタックル。
「逃がすかッ!」

赤のフードが転倒し、抵抗するが――新田が上から手錠をかけた。

「確保ォ!」

静けさを取り戻す夜の街に、二人の息だけが残った。

『よ!ナイスランのヒーロー気取り』

「……褒め言葉として受け取っとく」

『ああ、そうしてくれ』
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