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第3章
新たな呪文
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何と答えれば、私は自由になれるのか?
そればかりを考えている。「私の芯の強さは本物だ。その事を警察権力に分からせてやる」
そう固く誓ったはずの信念は、もはや月よりも金星よりも、はるか彼方に吹き飛ばされていた。
暮れなずむ空に宵の明星、金星が月を連れ添って登っていく。
もう消灯までの時間は限られていた。眉間にしわを寄せて私はペンを走らせる。
――小さな事実の上に自分に都合の良い妄想を重ね上げ、さもそれが事実であるかのように振る舞うところが私にはある。
特にこれは酒を飲んだときに顕著に表れる。
逮捕された驚き・狼狽・困惑等の理由から、妄想の呪縛から解き放たれることなく、取り調べに応じたためにした、あの供述は真実とは異なります――
「消灯!」の号令が留置場を静寂に包むまで私は、この走り書きを暗記していた。
そればかりを考えている。「私の芯の強さは本物だ。その事を警察権力に分からせてやる」
そう固く誓ったはずの信念は、もはや月よりも金星よりも、はるか彼方に吹き飛ばされていた。
暮れなずむ空に宵の明星、金星が月を連れ添って登っていく。
もう消灯までの時間は限られていた。眉間にしわを寄せて私はペンを走らせる。
――小さな事実の上に自分に都合の良い妄想を重ね上げ、さもそれが事実であるかのように振る舞うところが私にはある。
特にこれは酒を飲んだときに顕著に表れる。
逮捕された驚き・狼狽・困惑等の理由から、妄想の呪縛から解き放たれることなく、取り調べに応じたためにした、あの供述は真実とは異なります――
「消灯!」の号令が留置場を静寂に包むまで私は、この走り書きを暗記していた。
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