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いい耳、お待ちしております。
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気づいたときには遅かった。
「やってしまった」
愕然となる、それには訳があるのだ。
このところ忙しく耳かきを全然してなかったなと、ふとそれで耳を触ってみたところ。
汚い…
本当に汚い、最悪な気持ち。
それもあるし、もう一つ大きな理由がある、この状態だと耳穴が塞がってもおかしくはないのではないだろうかと思っていること。
だって見て、このとれたもの、これがいつ詰まっても、たった今引っ掛かって穴を塞いでもおかしくないのである。
「浜薔薇か…」
急に連絡しても予約は取れるのだろうか?
「いつでもどうぞ」
連絡すると拍子抜けであったし、また。
「サイトで混雑具合もみれますので、これをご参考にしてください」
「システムぅ!!」
電話の後に、混雑具合を確認しているが、ほぼ待ち合い時間がないように見える。
「行かなきゃ」
ファンだから、行かないと浜薔薇無くなっちゃうから!
それを見て、これからは頻繁に行こうと決めたという。
だがしかし。
「はい、こちらお願いします」
もちろんだが、浜薔薇は繁盛している。
繁盛の秘密は、三人体制になってから傑がオペレーションを変えたからであった。
全部やれるのが蘆根。
理容やスタイルなどが傑。
髭剃りや耳かきがタモツ。
とやれることはそれぞれであったので、それを頻度順に並べる。
髭剃りと耳かきはタモツが出るとまず間違いないし、スタイリングなどになると傑にやってもらいたいと固定の客がいる。
「俺は?」
「蘆根さんは全部自分でやりたがるから、まず僕たちが埋まってから、足りないところやってくれるといいんですが」
マッサージともなると、奥の個室で最短で一時間は蘆根がかかりっきりになる。
そのために出来るだけ蘆根を忙しくさせない方針でもあった。
「僕がマッサージできたらいいんですけども」
現在練習中なので、戦力になるのはまだまだ先である。
「そこはじっくりやりな」
とは言われるが、実際は焦っているところがある。
特にケットシーのイツモをマッサージするとよくわかるのであった。
イツモは飼い主である蘆根にマッサージをされているので、下手だったりすると、身を翻しいってしまう。
「あっ」
これが結構ショックなのである。
「そこを乗り越えていくのがいいんだがっては確かに俺は教わったけどもな、オススメはしないな」
「今はそういうもんじゃねえからな」
タモツと蘆根がそういう話をした。
「教えるって難しいですね」
「誰もがみんなお前みたいに、ガツガツやってきて、教えてくださいいうもんじゃないさ」
それでもそういう人間だったからこそ、職人さんたちに、蘆根、うちの家継がねえか?とか言われたりするのである。
「でも俺も同級生とかから、なんでそんな古臭いことやるの?とか言われてましたよ」
「時代かね、そういうのは」
「そうなんでしょうね、ただ本当に同級生とは話が合わなかった」
なんでそこまで頑張るの?などと言われたぐらいである。
「この道目指したら、すごい人たちがたくさんいたから、そういう人たちに恥じないようにやるべきなんだなって思ったんですよ」
だからあちこちに勉強に行って、跡継ぎもいなかったところなどは、自分の技が蘆根の中に生きると知って、喜んでくれたものである。
「ただその道も楽じゃあるまい」
「そうですね」
習いに行くといっても、みんなスムーズにいったわけではなかった。
「それこそ、なんで君はここに来たの、商売の邪魔しに来たの?とか言われたこともありますよ」
「そういうやつほど、腕はないな」
「そうなんですかね?」
「今どうかは知らないが、一昔前なら、そういうこという奴は腕を磨かず、手を抜くかしか考えてねえよ」
「そうですか」
「そいつがやっていることで気になったことはなかったか?」
「ああ、そういえばブラシですかね、あれじゃあ、毛先傷むなって」
「道具の手入れが出来てないなら、話にもならねえよ、そこにいかなくて良かったな」
「そんなもんですか?」
「そんなもんよ、何事も、あ~しかし大変な時代だな」
そこにお客さんがやってきた。
「すいません、電話で耳かきをお願いしたいんですけども」
「は~い、どうぞ、準備は出来てますよ」
そういって予約のお客様は奥の椅子に通された。
「まずお耳を見させていただきます、ああ入ってますね、耳かきセットでよろしいですか?」
「はい、耳かきセットでお願いします」
耳かきセットは、耳掃除に、穴刀による毛剃り、そして耳を洗ってくれるという、最近生れたセットである。
「それじゃあ、お客様耳掃除をさせていただきます」
タモツが耳掃除と毛剃りをするのだが。
(レジェンド…)
これにはお客さんはビックリした。
まだ女将さんが元気な頃ならばいざ知らず、蘆根が来てからは耳かきと言えば、ほぼ蘆根でたまにタモツが来ればラッキーと言われていたところ。
変更された接客ではまず耳かきにタモツが来るようになっている。
竹の耳かきが耳の中に入っていき、中からコリコリコリコリと音がして、ポロッと取れたら外に出す。
大きな破片が姿を現す。
モゾモゾ
急に耳の掃除の仕方を変えられた、気持ちいいポイントを割り出され、のの字で動かれている。
これにはちゃんと意味があって、ここは強くやると痛みが伴う恐れがあるので、のの字の動きで削りとる。
(はわわわわわ)
ただこのモゾモゾ加減というのは、耳掃除の快楽の目覚めになることが大変に多く。
(これがレジェンド!!!)
いつもは蘆根に気持ちのいい耳かきをしてもらっても、タモツの耳かきを受けてしまうと。
(次もタモツさんがいいな)
なんて思われる。
そしてそれが蘆根にはよく見えたんで。
「お~し、今日は特訓だな」
今日からしばらく、これだなとわかるまで集中して特訓するつもりらしい。
期間限定!
浜薔薇のカットメニューには全て蘆根さんの耳掃除がサービスでついております。
お耳が気になるかたは是非ともご利用ください。
サイトにその案内も載せられた。
後はいい耳が来るのを待つだけである。
「やってしまった」
愕然となる、それには訳があるのだ。
このところ忙しく耳かきを全然してなかったなと、ふとそれで耳を触ってみたところ。
汚い…
本当に汚い、最悪な気持ち。
それもあるし、もう一つ大きな理由がある、この状態だと耳穴が塞がってもおかしくはないのではないだろうかと思っていること。
だって見て、このとれたもの、これがいつ詰まっても、たった今引っ掛かって穴を塞いでもおかしくないのである。
「浜薔薇か…」
急に連絡しても予約は取れるのだろうか?
「いつでもどうぞ」
連絡すると拍子抜けであったし、また。
「サイトで混雑具合もみれますので、これをご参考にしてください」
「システムぅ!!」
電話の後に、混雑具合を確認しているが、ほぼ待ち合い時間がないように見える。
「行かなきゃ」
ファンだから、行かないと浜薔薇無くなっちゃうから!
それを見て、これからは頻繁に行こうと決めたという。
だがしかし。
「はい、こちらお願いします」
もちろんだが、浜薔薇は繁盛している。
繁盛の秘密は、三人体制になってから傑がオペレーションを変えたからであった。
全部やれるのが蘆根。
理容やスタイルなどが傑。
髭剃りや耳かきがタモツ。
とやれることはそれぞれであったので、それを頻度順に並べる。
髭剃りと耳かきはタモツが出るとまず間違いないし、スタイリングなどになると傑にやってもらいたいと固定の客がいる。
「俺は?」
「蘆根さんは全部自分でやりたがるから、まず僕たちが埋まってから、足りないところやってくれるといいんですが」
マッサージともなると、奥の個室で最短で一時間は蘆根がかかりっきりになる。
そのために出来るだけ蘆根を忙しくさせない方針でもあった。
「僕がマッサージできたらいいんですけども」
現在練習中なので、戦力になるのはまだまだ先である。
「そこはじっくりやりな」
とは言われるが、実際は焦っているところがある。
特にケットシーのイツモをマッサージするとよくわかるのであった。
イツモは飼い主である蘆根にマッサージをされているので、下手だったりすると、身を翻しいってしまう。
「あっ」
これが結構ショックなのである。
「そこを乗り越えていくのがいいんだがっては確かに俺は教わったけどもな、オススメはしないな」
「今はそういうもんじゃねえからな」
タモツと蘆根がそういう話をした。
「教えるって難しいですね」
「誰もがみんなお前みたいに、ガツガツやってきて、教えてくださいいうもんじゃないさ」
それでもそういう人間だったからこそ、職人さんたちに、蘆根、うちの家継がねえか?とか言われたりするのである。
「でも俺も同級生とかから、なんでそんな古臭いことやるの?とか言われてましたよ」
「時代かね、そういうのは」
「そうなんでしょうね、ただ本当に同級生とは話が合わなかった」
なんでそこまで頑張るの?などと言われたぐらいである。
「この道目指したら、すごい人たちがたくさんいたから、そういう人たちに恥じないようにやるべきなんだなって思ったんですよ」
だからあちこちに勉強に行って、跡継ぎもいなかったところなどは、自分の技が蘆根の中に生きると知って、喜んでくれたものである。
「ただその道も楽じゃあるまい」
「そうですね」
習いに行くといっても、みんなスムーズにいったわけではなかった。
「それこそ、なんで君はここに来たの、商売の邪魔しに来たの?とか言われたこともありますよ」
「そういうやつほど、腕はないな」
「そうなんですかね?」
「今どうかは知らないが、一昔前なら、そういうこという奴は腕を磨かず、手を抜くかしか考えてねえよ」
「そうですか」
「そいつがやっていることで気になったことはなかったか?」
「ああ、そういえばブラシですかね、あれじゃあ、毛先傷むなって」
「道具の手入れが出来てないなら、話にもならねえよ、そこにいかなくて良かったな」
「そんなもんですか?」
「そんなもんよ、何事も、あ~しかし大変な時代だな」
そこにお客さんがやってきた。
「すいません、電話で耳かきをお願いしたいんですけども」
「は~い、どうぞ、準備は出来てますよ」
そういって予約のお客様は奥の椅子に通された。
「まずお耳を見させていただきます、ああ入ってますね、耳かきセットでよろしいですか?」
「はい、耳かきセットでお願いします」
耳かきセットは、耳掃除に、穴刀による毛剃り、そして耳を洗ってくれるという、最近生れたセットである。
「それじゃあ、お客様耳掃除をさせていただきます」
タモツが耳掃除と毛剃りをするのだが。
(レジェンド…)
これにはお客さんはビックリした。
まだ女将さんが元気な頃ならばいざ知らず、蘆根が来てからは耳かきと言えば、ほぼ蘆根でたまにタモツが来ればラッキーと言われていたところ。
変更された接客ではまず耳かきにタモツが来るようになっている。
竹の耳かきが耳の中に入っていき、中からコリコリコリコリと音がして、ポロッと取れたら外に出す。
大きな破片が姿を現す。
モゾモゾ
急に耳の掃除の仕方を変えられた、気持ちいいポイントを割り出され、のの字で動かれている。
これにはちゃんと意味があって、ここは強くやると痛みが伴う恐れがあるので、のの字の動きで削りとる。
(はわわわわわ)
ただこのモゾモゾ加減というのは、耳掃除の快楽の目覚めになることが大変に多く。
(これがレジェンド!!!)
いつもは蘆根に気持ちのいい耳かきをしてもらっても、タモツの耳かきを受けてしまうと。
(次もタモツさんがいいな)
なんて思われる。
そしてそれが蘆根にはよく見えたんで。
「お~し、今日は特訓だな」
今日からしばらく、これだなとわかるまで集中して特訓するつもりらしい。
期間限定!
浜薔薇のカットメニューには全て蘆根さんの耳掃除がサービスでついております。
お耳が気になるかたは是非ともご利用ください。
サイトにその案内も載せられた。
後はいい耳が来るのを待つだけである。
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