浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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猫にまみれる

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そんなに耳の中は汚くないと思っていても、浜薔薇の手にかかればこの通り。
穴の中に潜んでいた、薄くて平べったいものや色が変わって固くなっていたもの、どんどんととれる。
その途中、ピンと立った黒い毛が毛根ごとや、産毛なんかは垢と巻き込まれて一緒に外にかき出される。
浜薔薇に定期的に通ってる人は、セットでベストフレンドの湯や食事もKCJの炊き出しを取ってるので、新陳代謝などは大変良かった。
「年齢の悩みを感じさせなくなるのは、本当」
白目で言うのは、S席の客。
「耳掃除目的できたんだけども、年齢的に耳の後ろとかね、ヤバくなる頃なんでね」
俗に言う加齢臭というやつだ。
ポン
そこで声をかけるはパック民。
「一度体験してみないか?」
そういって浜薔薇パック体験チケット発行パック民と、ナンバーが振られてるチケットを渡してきたのだ。
「えっ?いいんですか?」
「大丈夫、大公からの許可は取ってる」
それぞれの派閥のまとめ役はこのようなチケットの発行管理等も、行ってる。メインとしては同じ浜薔薇の別のファンなのだが、これはサービスだけ受けて、それでおしまいでは教義に反するからである。
角栓という趣味は他の人間とは相容れにくいものである。
だからこそ、紳士に振る舞わなければならない。
というか、パック民以外もS席、シャンパーに所属するものは上にいけば行くほど紳士である。
もちろん淑女もいるが。
外で集まる際も、良いところの生まれ育ちの集まりっぽいが、話してる内容は。
「あの動画見ました?」
「またいいものが更新されたんですか?」
「たまにしかのぞきに来ないから、あんまりよくわからなくなってて」
「そんなあなたに!」
そんな話をしながら、耳かき動画を楽しむのである。
「これは何週間もの?」
「二週間ですって」
「二週間!きっと耳垢が普段から溜まりやすい子なのね」
なかなかこのような話をお茶などを片手に出来るものはいない。
「あ~久しぶりに話しました」
「この辺の話チャットだと難しいですよね」
「人によってこのぐらいになったら、きついっていうのがあるからね」
この人たちはほどほどに汚れ耳が好みである。
「穏健派です」
マナーを守って愛好家同士で話す。
「さすがに大物とれましたよ、見てください、ねっ!ねっ!はない」
「あれはね」
そういう人もいるが。
「他の人、王国の住人さんたちはドン引きしてるのが見えたから」
「もうね、耳かきのファンってね、勧めなくても増えると思うんだよね、なんかよくわからないけども、ブログとか定期更新してるとかだけで、浜薔薇を見つけて、来店しちゃうもんだからね」
「そうそう、なんか勝手に来ちゃうから、勧誘とかいらない」
行き場を失った人たちが来ちゃいます。
「勧誘してるの、王子ぐらい?」
「王子のあれは…」
王子のあれ。
(あっ、猫いるじゃん)
浜薔薇のそばをたまたま通った人なんかがそう思うと。
スッ
猫はこっちに近づいてきた。
(えっ?俺はあんまり猫に好かれないのに)
キラキラキラ
(…可愛いじゃん)
そこでしゃがんで、猫を撫でると。
ニャー
一声鳴くと、他の猫たちがぞろぞろと来るのである。
「うわ、猫いっぱい」
猫にまみれたことがないものが、猫にまみれる、それがどういうことを及ぼすのか。
一度体験すると、とりあえず浜薔薇近くまで来ちゃう。
「あれ、お兄さん、猫待ち?今炊き出し中は王子たち来ないよ」
「えっ?そうなんですか?」
「うん、この時間なら、裏の、このアパートの裏にある衛生の方でご飯食べてるよ、行くならちょっとなんか食べていって、王子たちと遊ぶんでしょ」
そういって軽食、サンドイッチ作ってもらってから、アパートの裏にいったら、猫たちが彼の姿を見たのならば、駆け出してきた。
「うわ~」
猫にまみれる、再び。
(あれ?)
よく見ると、ここにいる猫は元気な子もいれば、そうではない子もいる、義足がわりの車輪つきの台に足をのせている子などもいる。
そうなのである。
イツモが治めるこの縄張りは、新しい家族のもとに行った子もいれば、このように怪我や病気をして、保護されている子もかなり多いのである。
ここでご飯食べている子は怪我や病気があっても元気な子達で、春夏秋冬が辛い子達はダンジョンの中で気温と湿度を快適に管理された状況で、KCJの職員に面倒を見てもらってる。
この辺は昔から活動していたのだが、たまに言われるのは、そういった猫を保護してなんになるという意見なのであるが、経済的に独立しているという状態であるのならば、そういわれてもみなは自信をもって答える。
「困ってるんですから、助けないんですか?」
その後もワーワー騒がれたが。
「なんか、変な話ですけども、KCJって色々と活動していたり、寄贈していたりするから、内情知っていたりするじゃないですか」
ため息をついて。
「大変な人たちもいるなかで、何もしないで文句ばかりいうのはどうかなっては思いますよ」
これが公益法人王立ケットシー協会日本支部である。
「今、うちは忙しいかって言われたら、忙しいですね」
支部のえらい人はいう。
「だいたい一年ぐらいはと思って備蓄してきたぶんとか、収穫期を越えてから、見直ししなければならなくなりましたから」
見直しっていっても、切ることは本当にないKCJのことだから、ただこういうときって、普通は理解されない斬新な方法とっちゃうんで、整備部はやっぱりKCJというか、KCJってやっぱり整備部がイキイキしちゃうよねって言われるのである。

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