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友達になりたい
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ホラー注意
それはキョロキョロと見回してから、「メェー」と鳴いた。
死者のように強ばった人の顔を額につけた羊、ふっくらとした被毛からは、人間の手や足が突き刺さってるように飛び出ている。
こんなもの夜どころか、昼にだって会いたくはない。
(うわ~気味悪い、防犯カメラ越しに見るより、何百倍も気色が悪いな)
そんな存在を適切に処置する者が、それは人類史が始まったときには生まれていたという。
(足止めする、行動力奪う…でも想定外の動きはあるだろうな)
でも、まぁ、それなら…切り刻もう。結局いつもの答えになっていくと、緊張も和らいでいく。
しかしだ。
「うわっ」
居合わせてしまった不幸な人間がいた、もちろんそんな声をあげたら羊は、反応をする。
羊の毛に突き刺さったような人の腕が、相手を威嚇するように上がったのを見て。
(あれ、自前なのかよ)
驚いたが、襲撃のために多少おろそかになっているのもわかったので、まず捕まれたら嫌だなと、手首を落として、出来れば他にもと思ったが、たぶん無理なので、下がると、羊はこちらを敵だと思ってくれたようだ。
(切れることは切れるけども、あちこちの物を破壊されると厄介だな)
車両は本当にやめてくれと毎回思う。なんであいつら駐車場とか好きなの?そりゃあ、人気がない、広い、たまに人がいるからちょうどいいのかもしれないけども、後で損害の計算とか大変なんだよな。
パン!と羊の左目が破裂する。
(えっ?なんで)
「援護します」
ありがたいが知らない人と組むのはちょっとなと思ったのだが。
「俺は人の顔や腕や足を狙います」
先に狙いを教えてくれたので、なんかホッとした。自分がいきなり手助けしたことにたいして、不信がられているのがわかった上でこんなことをしている奴ならば、悪くはないと思った。
パン!
「人間のようなら部位は、柔らかさも人間に近いと思われます」
わざと着弾させて、その感触を伝えてくれる。
「じゃあ、そっちから、削ろうか」
「はい、ただ急所がいまいちわからないので」
「それはしょうがないね」
羊の部分は固いようで、当たるのが見えただけで、あんまり効果がないのがよくわかる。
「まずはそのおみ足から行こうか」
被毛の部分もおそらく刀剣では刺さらないだろうなら、きゅっとしまった足、腱でももらえたらラッキーだったが。
モコモコモコ
寸前で足を被毛が覆い始めたので、即座に切らないを選び、横に移動した。
「育毛剤として売り出したい」
「たぶん毛以外のものも生えてくると思います」
「朝起きたら頭から手足生えてきたら、仕事なんか行きたくなくなるよ」
「それだけで済むんですかね」
「そこは真面目に考えちゃダメだよ、お兄さん」
「泉呼(せんこ)っていいます」
「こっちは、多那鍋(たなべ)主任とでも呼んでくれよ」
「はい、多那鍋主任」
わかった、ジョークも真面目にとらえちゃうタイプね。
「俺は羊の、あの厄介な毛を刈る、風邪をひかせるぐらい短く刈るね」
「それじゃあ、こっちはその後の急所があるか試しましょう」
その後は作業である。
お客さん、痒いところありませんか?あったら、教えてくださいよ、そこ神経でしょ?
ドスン
やっと落ちた。
「あっ、悪いな、泉呼、急に助けて…」
その時にはもう泉呼はいなかった。
「ワケアリなのはわかるけども、さっさと消えて、探したぞ、ああこれな、お前のぶんな」
多那鍋はその時のことを忘れておらず、大分時間が開いてしまったが、泉呼を見つけると、相場より多目の謝礼を押し付けて、すぐにいなくなった。
「泉呼さん、あなた無理しなくてもいいのよ」
そういったのは、隣にいた白万(はくまん)だ。
「情報は多那鍋さん側からは漏れているとかありましたか?」
「いいえ、ないわね、それならば先に耳に入るはずだし、…ちょっと待ってね」
白万がどこかに連絡してくれた。
「ああ、わかったわよ、むしろ多那鍋さんは痕跡消してくれたのね、持ってきた謝礼も、自分の貯金からみたいだし」
「そこまで短時間でわかるんですか」
「いや、本人がその情報を置いていったし、裏取りも楽々にしてくれたから…」
「友達になりたい」
「ええ」
さすがに白万は困惑したという。
「そういうのはなりたいと言ってもなれるかはわからないけども、barの休日営業の時に呼んでもいいか、水芭(みずば)さんに聞くか、そうでないなら代わりの場所が必要ね」
「お願いします」
「お願いされたら、やっぱり弱いかな」
「それで友達に慣れたのか」
「慣れたみたいですよ」
覆木(おおうき)に白万の口から報告である。
「だから今日も仲良くハンティングって感じですかね」
「ちょうど遠方からの継続依頼は来てたからいいけどもさ」
「多那鍋さんからすると、転職を考えてはいたみたいですから、そのためのお試し、経験積むにはいい案件みたいですね」
「そんなに労働環境悪いところにいたの?」
「忙しすぎるみたいですね、安全確保のために契約を結ばせてもらいましたが、その時に多那鍋さんにエリクサー(本物ではなく治療品と広く出回っているもの)飲んでもらったけども、内臓弱ってたわ」
「それならその調子で様子を見てもらえる?」
「わかりました」
多那鍋は、あの仕事には先がないといってた。
(けども躊躇わずに破ったら重い契約を結ぶのは、やっぱりこっち側に向いているのよね)
むしろその精神性を見込み有りと、白万は思ったという。
それはキョロキョロと見回してから、「メェー」と鳴いた。
死者のように強ばった人の顔を額につけた羊、ふっくらとした被毛からは、人間の手や足が突き刺さってるように飛び出ている。
こんなもの夜どころか、昼にだって会いたくはない。
(うわ~気味悪い、防犯カメラ越しに見るより、何百倍も気色が悪いな)
そんな存在を適切に処置する者が、それは人類史が始まったときには生まれていたという。
(足止めする、行動力奪う…でも想定外の動きはあるだろうな)
でも、まぁ、それなら…切り刻もう。結局いつもの答えになっていくと、緊張も和らいでいく。
しかしだ。
「うわっ」
居合わせてしまった不幸な人間がいた、もちろんそんな声をあげたら羊は、反応をする。
羊の毛に突き刺さったような人の腕が、相手を威嚇するように上がったのを見て。
(あれ、自前なのかよ)
驚いたが、襲撃のために多少おろそかになっているのもわかったので、まず捕まれたら嫌だなと、手首を落として、出来れば他にもと思ったが、たぶん無理なので、下がると、羊はこちらを敵だと思ってくれたようだ。
(切れることは切れるけども、あちこちの物を破壊されると厄介だな)
車両は本当にやめてくれと毎回思う。なんであいつら駐車場とか好きなの?そりゃあ、人気がない、広い、たまに人がいるからちょうどいいのかもしれないけども、後で損害の計算とか大変なんだよな。
パン!と羊の左目が破裂する。
(えっ?なんで)
「援護します」
ありがたいが知らない人と組むのはちょっとなと思ったのだが。
「俺は人の顔や腕や足を狙います」
先に狙いを教えてくれたので、なんかホッとした。自分がいきなり手助けしたことにたいして、不信がられているのがわかった上でこんなことをしている奴ならば、悪くはないと思った。
パン!
「人間のようなら部位は、柔らかさも人間に近いと思われます」
わざと着弾させて、その感触を伝えてくれる。
「じゃあ、そっちから、削ろうか」
「はい、ただ急所がいまいちわからないので」
「それはしょうがないね」
羊の部分は固いようで、当たるのが見えただけで、あんまり効果がないのがよくわかる。
「まずはそのおみ足から行こうか」
被毛の部分もおそらく刀剣では刺さらないだろうなら、きゅっとしまった足、腱でももらえたらラッキーだったが。
モコモコモコ
寸前で足を被毛が覆い始めたので、即座に切らないを選び、横に移動した。
「育毛剤として売り出したい」
「たぶん毛以外のものも生えてくると思います」
「朝起きたら頭から手足生えてきたら、仕事なんか行きたくなくなるよ」
「それだけで済むんですかね」
「そこは真面目に考えちゃダメだよ、お兄さん」
「泉呼(せんこ)っていいます」
「こっちは、多那鍋(たなべ)主任とでも呼んでくれよ」
「はい、多那鍋主任」
わかった、ジョークも真面目にとらえちゃうタイプね。
「俺は羊の、あの厄介な毛を刈る、風邪をひかせるぐらい短く刈るね」
「それじゃあ、こっちはその後の急所があるか試しましょう」
その後は作業である。
お客さん、痒いところありませんか?あったら、教えてくださいよ、そこ神経でしょ?
ドスン
やっと落ちた。
「あっ、悪いな、泉呼、急に助けて…」
その時にはもう泉呼はいなかった。
「ワケアリなのはわかるけども、さっさと消えて、探したぞ、ああこれな、お前のぶんな」
多那鍋はその時のことを忘れておらず、大分時間が開いてしまったが、泉呼を見つけると、相場より多目の謝礼を押し付けて、すぐにいなくなった。
「泉呼さん、あなた無理しなくてもいいのよ」
そういったのは、隣にいた白万(はくまん)だ。
「情報は多那鍋さん側からは漏れているとかありましたか?」
「いいえ、ないわね、それならば先に耳に入るはずだし、…ちょっと待ってね」
白万がどこかに連絡してくれた。
「ああ、わかったわよ、むしろ多那鍋さんは痕跡消してくれたのね、持ってきた謝礼も、自分の貯金からみたいだし」
「そこまで短時間でわかるんですか」
「いや、本人がその情報を置いていったし、裏取りも楽々にしてくれたから…」
「友達になりたい」
「ええ」
さすがに白万は困惑したという。
「そういうのはなりたいと言ってもなれるかはわからないけども、barの休日営業の時に呼んでもいいか、水芭(みずば)さんに聞くか、そうでないなら代わりの場所が必要ね」
「お願いします」
「お願いされたら、やっぱり弱いかな」
「それで友達に慣れたのか」
「慣れたみたいですよ」
覆木(おおうき)に白万の口から報告である。
「だから今日も仲良くハンティングって感じですかね」
「ちょうど遠方からの継続依頼は来てたからいいけどもさ」
「多那鍋さんからすると、転職を考えてはいたみたいですから、そのためのお試し、経験積むにはいい案件みたいですね」
「そんなに労働環境悪いところにいたの?」
「忙しすぎるみたいですね、安全確保のために契約を結ばせてもらいましたが、その時に多那鍋さんにエリクサー(本物ではなく治療品と広く出回っているもの)飲んでもらったけども、内臓弱ってたわ」
「それならその調子で様子を見てもらえる?」
「わかりました」
多那鍋は、あの仕事には先がないといってた。
(けども躊躇わずに破ったら重い契約を結ぶのは、やっぱりこっち側に向いているのよね)
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