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大人も注文できるお子さまランチ
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「うぃーす」
「いらっしゃい」
本日の日替わりは…
「どっちにするか悩むんですけど」
肉味噌豆腐と、ネギ味噌豆腐。
「悩んじゃってよ」
「くっ、大将、酷いっすよ」
この店は日替わりは一期一会のものが多いかもしれない。
「あれ、美味しかったっていっても、次はいつになるのかわからないですよね」
「それはやっぱり、楽しみにしてほしいじゃん」
「それは…そうなんですけどもね」
「居酒屋メニューは定番のものにして、ランチはお任せ、日替わり中心にしているよ」
「やっぱり材料費の関係ですか?」
「いや、ここら辺で働いている人が多いからさ」
最近忙しくて、楽しみがランチだけになっちゃうから、ここで旬と流行りを知るって感じかな。
「そう言われると…深いっすね」
「グラタンとかドリアなんかは、昼でも夜でも出せちゃう奴かな」
「あれ?それってメニューに載ってなくないですか?」
「急なお子さまメニューにするから、ただ言えば出せるから言ってね」
このお店はメニューがありすぎるというか、多種ではあるが、現在は何が出せるか表示が追い付かないところかある。
「ドリアとかは準備しておけば、注文来てからすぐ焼いて、そこから出せるんだよ」
「そういえばすんごい昔、お子さまランチ出してませんでした?」
「あ~そういえば、あれはお客さんのお子さんを連れてくるってことでさ」
お子さまとしてはお子さまランチがあるお店に行きたいが、大人としてはというジレンマを。
「じゃあ、作るよってことで、奥さんとどういうのにしようかって相談してさ、食器も選びに行った」
「それは大人も注文できるんですか?」
「あぁ、もちろん、うちは年齢制限無しさ」
大人も注文できるお子さまランチに、心を動かされない人はいるのだろうか。
「よろしければ、今度」
「あぁ、いいよ、おまけのおもちゃを用意しておく」
予約したお子さまランチの日には他のお客さんも来ていた。
「お子さまランチお待たせしました、おもちゃはこちらの中からお一つ選んでください」
大将の奥さんがおもちゃのつまったバスケットを持ってくるが。
「…」
「どうしましたか?」
「なんですか?このカーマニアが絶妙に喜ぶラインナップは」
それこそミニカーから、メーカーのタイヤ、ホイールのキーホルダーまで。
「そこは…大人向けなんで」
「くっ」
「選ぶのはご飯食べてからでもいいですよ」
カウンター席のお客さんが。
「お子さまランチのお客さん車好きなんですか?」
「持ち物が車好きじゃないと持ってないものかなって思ったし、それならせっかくだからってことで」
「うちの奥さんはこういうところがあります」
付き合う前に、店のピンチに鮭を一匹持ってくれたような女性です。
…とりあえず、お子さまランチをまずは食べよう、きちんと旗を立ててくれたオムライスに、お野菜たっぷりミートボール、フライドポテトとバターコーン、そして固めのプリンがついている。
「やっぱりプリンは固めだと思うんだけども、うちの奥さんぐらいしか固めプリン派は今までいなくて」
「喫茶メニューもいけるんですか?」
「修行先でも習ったし、食べ歩いた先で、昔有名なパーラー、喫茶店に勤めていた人がいてさ」
うちは跡継ぎいないんで。
「そういってたから、美味しいって思ったものとか、習うことにしたんだ」
こういうものは本来は目で盗めと言われるものなのだが、途絶えるよりはということでしっかりと教えてもらった。そしてこれならば店に出してもいいというお墨付きをもらったときに、店主にお金を置いてきた。
「そのお金があったから、店を健康なうちにやめれるっていってたからな」
昔と同じような仕事が出来なくなったので、やめようと思ってる。
「大将も長生きしてくださいよ」
「そうしたいね、一緒にうちの奥さんと長生きして、お客さんに一食でも美味しいもの食べてもらえればいいなって」
その頃テーブル席で、お子さまランチを食べ終え、どのおもちゃにするか、バスケットから候補を選び始め、目の前に並べた。
五つに絞られたようだ。
「奥さんはどう思っているんですか?」
「私?まあ、うちの人はこういう人だから、料理するの本当に好きなのよ、だから料理をしないという人生が考えられないと思うわ」
「それはお客の俺から見てもそうだもん、料理しない店長なんて考えられないよ」
その頃、おもちゃをどれにしようか考えているお客さん。
出来れば全部、追加でお金を払って手に入れるということも、大人だから出来る。
ただそれはお子さまランチルールには反する!
まさかこの年になって、このような葛藤をするとは思わなかった。
そこまでコレクターではないが、コレクター心を持ち合わせているお客さんにとっては、答えを出すまでも楽しくも痒い時間であった。
「おもちゃ、これにします」
それは現在廃盤になっているメーカータイヤのキーホルダー、子供の頃、父親の愛車のタイヤだったためにこれにした。
次にお子さまランチを頼んだときに、今回選ばなかったおもちゃを選べばいいじゃないかということで、葛藤の末に答えが出た。
しかしだ。
大人も頼めるお子さま、おまけのおもちゃがカーマニアをくすぐるものだったために。
「あの後、ものすごい予約が来ちゃってね」
以前選んだおまけのおもちゃが残っておらず、そう入れ替えになったようだ。
(それでもおもちゃは一個だけだし)
お子さまランチのルール、悔しくてもそれがルールなのである。
「いらっしゃい」
本日の日替わりは…
「どっちにするか悩むんですけど」
肉味噌豆腐と、ネギ味噌豆腐。
「悩んじゃってよ」
「くっ、大将、酷いっすよ」
この店は日替わりは一期一会のものが多いかもしれない。
「あれ、美味しかったっていっても、次はいつになるのかわからないですよね」
「それはやっぱり、楽しみにしてほしいじゃん」
「それは…そうなんですけどもね」
「居酒屋メニューは定番のものにして、ランチはお任せ、日替わり中心にしているよ」
「やっぱり材料費の関係ですか?」
「いや、ここら辺で働いている人が多いからさ」
最近忙しくて、楽しみがランチだけになっちゃうから、ここで旬と流行りを知るって感じかな。
「そう言われると…深いっすね」
「グラタンとかドリアなんかは、昼でも夜でも出せちゃう奴かな」
「あれ?それってメニューに載ってなくないですか?」
「急なお子さまメニューにするから、ただ言えば出せるから言ってね」
このお店はメニューがありすぎるというか、多種ではあるが、現在は何が出せるか表示が追い付かないところかある。
「ドリアとかは準備しておけば、注文来てからすぐ焼いて、そこから出せるんだよ」
「そういえばすんごい昔、お子さまランチ出してませんでした?」
「あ~そういえば、あれはお客さんのお子さんを連れてくるってことでさ」
お子さまとしてはお子さまランチがあるお店に行きたいが、大人としてはというジレンマを。
「じゃあ、作るよってことで、奥さんとどういうのにしようかって相談してさ、食器も選びに行った」
「それは大人も注文できるんですか?」
「あぁ、もちろん、うちは年齢制限無しさ」
大人も注文できるお子さまランチに、心を動かされない人はいるのだろうか。
「よろしければ、今度」
「あぁ、いいよ、おまけのおもちゃを用意しておく」
予約したお子さまランチの日には他のお客さんも来ていた。
「お子さまランチお待たせしました、おもちゃはこちらの中からお一つ選んでください」
大将の奥さんがおもちゃのつまったバスケットを持ってくるが。
「…」
「どうしましたか?」
「なんですか?このカーマニアが絶妙に喜ぶラインナップは」
それこそミニカーから、メーカーのタイヤ、ホイールのキーホルダーまで。
「そこは…大人向けなんで」
「くっ」
「選ぶのはご飯食べてからでもいいですよ」
カウンター席のお客さんが。
「お子さまランチのお客さん車好きなんですか?」
「持ち物が車好きじゃないと持ってないものかなって思ったし、それならせっかくだからってことで」
「うちの奥さんはこういうところがあります」
付き合う前に、店のピンチに鮭を一匹持ってくれたような女性です。
…とりあえず、お子さまランチをまずは食べよう、きちんと旗を立ててくれたオムライスに、お野菜たっぷりミートボール、フライドポテトとバターコーン、そして固めのプリンがついている。
「やっぱりプリンは固めだと思うんだけども、うちの奥さんぐらいしか固めプリン派は今までいなくて」
「喫茶メニューもいけるんですか?」
「修行先でも習ったし、食べ歩いた先で、昔有名なパーラー、喫茶店に勤めていた人がいてさ」
うちは跡継ぎいないんで。
「そういってたから、美味しいって思ったものとか、習うことにしたんだ」
こういうものは本来は目で盗めと言われるものなのだが、途絶えるよりはということでしっかりと教えてもらった。そしてこれならば店に出してもいいというお墨付きをもらったときに、店主にお金を置いてきた。
「そのお金があったから、店を健康なうちにやめれるっていってたからな」
昔と同じような仕事が出来なくなったので、やめようと思ってる。
「大将も長生きしてくださいよ」
「そうしたいね、一緒にうちの奥さんと長生きして、お客さんに一食でも美味しいもの食べてもらえればいいなって」
その頃テーブル席で、お子さまランチを食べ終え、どのおもちゃにするか、バスケットから候補を選び始め、目の前に並べた。
五つに絞られたようだ。
「奥さんはどう思っているんですか?」
「私?まあ、うちの人はこういう人だから、料理するの本当に好きなのよ、だから料理をしないという人生が考えられないと思うわ」
「それはお客の俺から見てもそうだもん、料理しない店長なんて考えられないよ」
その頃、おもちゃをどれにしようか考えているお客さん。
出来れば全部、追加でお金を払って手に入れるということも、大人だから出来る。
ただそれはお子さまランチルールには反する!
まさかこの年になって、このような葛藤をするとは思わなかった。
そこまでコレクターではないが、コレクター心を持ち合わせているお客さんにとっては、答えを出すまでも楽しくも痒い時間であった。
「おもちゃ、これにします」
それは現在廃盤になっているメーカータイヤのキーホルダー、子供の頃、父親の愛車のタイヤだったためにこれにした。
次にお子さまランチを頼んだときに、今回選ばなかったおもちゃを選べばいいじゃないかということで、葛藤の末に答えが出た。
しかしだ。
大人も頼めるお子さま、おまけのおもちゃがカーマニアをくすぐるものだったために。
「あの後、ものすごい予約が来ちゃってね」
以前選んだおまけのおもちゃが残っておらず、そう入れ替えになったようだ。
(それでもおもちゃは一個だけだし)
お子さまランチのルール、悔しくてもそれがルールなのである。
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