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第一章
第二十一話
しおりを挟む「無事に5体狩り終えましたねぇ」
「だな。ソフィアの索敵のおかげで、効率よく見つけられたぞ」
夕暮れ時。
俺はソフィアとともにギルドへ向けて歩いていた。
クエストの帰りだった。
俺たちは二日間かけて、オーガ5体の討伐を無事に終了させていた。
腰に下げている皮袋には、手のひらサイズの魔石が五つ収められている。
あとはギルドでクエスト終了の報告をすれば、クエスト料と魔石の換金量が懐に入る。
「た、たった二日ですか。流石のお二人ですね」
そんな感想を漏らしたエレナに手続きを済ませてもらい、俺たちはお金を受け取った。
「これで金貨3枚ですかぁ。冒険者って儲かるんですねぇ」
「本来なら下積み期間があるはずなんだが、俺たちはそれをすっ飛ばしてるからなぁ。まぁこんなもんだろ」
ソフィアとそんな会話をしながらギルドを後にしようとした、その時だった。
「お前らが噂の期待の新星か?」
不意に声がかけられた。
ギルドの入り口付近に、五人組の男たちが立っていた。
明らかに俺たちの歩みを妨害するような配置で立ち、どこか威圧するような視線を向けてくる。
「な、なんでしょうか…?」
ソフィアがたじろぐ。
俺は唐突に絡んできた男たちを睨み返す。
「何か用ですか?」
「質問に質問で返すのか?先輩冒険者に対して、失礼じゃないのか?」
真ん中に立っている男が、上から目線でそんなことを言ってきた。
先輩冒険者。
どうやら彼らは同業者らしい。
「期待の新星かどうかはわからないですけど、冒険者登録をしたのはつい最近ですよ」
あまりことを荒立てたくなかった俺は、敬語を使って答える。
「そうか…お前らがアレンとソフィアか…」
男の目が細まった。
「え、なんで私たちの名前を?」
首を傾げるソフィアに、別の男が答えた。
「ここらの冒険者はみんな知ってるぜ。ここ最近、お前らの噂はあっちこっちで囁かれてる。リトルドラゴンを瞬殺したとか、元Sランクのガースさんを倒したとか、スキルをいくつも持ってるとかいう噂もあるぜ」
「え…そうなの…」
思わずそんな呟きを漏らしてしまった。
俺とソフィアがそこまで噂になっていたなんて、全然知らなかった。
確かに冒険者ギルドではよく視線を感じるなと思ってたけど。
…って、いや、今はそんなことはどうでもよくてだな。
「今度はこっちの質問に答えてください。一体なんの用ですか?」
さっさとこの状況から抜け出したくて、少し語気を荒げてしまう。
俺は先ほどからギルド内の冒険者たちが、こちらの様子を伺っているのに気づいていた。
完全に悪目立ちしてしまっている。
一応Bランクに昇格したとはいえ、俺たちはまだまだ新参者だ。
スキルのこともあるし、これ以上噂にはなりたくなかった。
「用ねぇ…まぁ、用というよりは偵察かな…俺ら、今日はお前らの実力の程を確かめにきたんだ」
「は…?」
わけのわからない発言に俺が首を傾げたのも束の間で。
「…っ!?」
突然突き出された男の拳が、俺の耳元を掠める。
危ない。
スキルを発動していない状態で避けられたのはほとんど奇跡だった。
「アレン様!?」
突然男が俺に殴りかかったのを見て、ソフィアが悲鳴のような声をあげる。
「おい、なんだなんだ?」
「穏やかじゃねーな?」
「喧嘩か?」
俺は急いで<剣聖>スキルを発動させる。
途端に、身体能力が向上するのを感じた。
俺はふぅううと息を吐き出して、突然殴りかかってきた男を見据える。
「何のつもりですか?」
「だから、腕試しだと言っただろう?」
男が再び拳を繰り出してくる。
だが、今度は避けるまでもなかった。
<剣聖>スキルのおかげで動体視力が強化され、俺には男の拳がスローモーションのように見えた。
パシッ、と簡単に受け止めてしまう。
「なっ!?」
男の瞳が驚愕に見開かれる。
俺は男の腕をグイッと捻った。
「あだだだだっ!?」
男が腕を押さえて跪く。
さらに捻りあげると、身をひっくり返して情けない悲鳴をあげた。
「うおおおお!!」
「いいぞ!!」
「やれ新入り!!!」
冒険者たちが一気に沸き立つ。
俺は男の手を離した。
「~~っ」
男は痛みと羞恥に、顔を染めている。
「よくわかりませんが、無闇に絡むのはやめた方がいいですよ」
俺はそれだけ言って、ぼーっと突っ立ているソフィアの手を引いてギルドを出た。
ヒューヒューという冒険者たちの囃し立てる声が、扉越しに聞こえていた。
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