え?クラス転移で俺だけスキル無し?役立たずは置いていく?いや、俺、異世界召喚二度目で強い魔法たくさん使えるから普通に無双するよ?

taki210

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第三十八話


「な、なんなんだテメェは…」

先ほどまでの余裕の表情はどこへやら。

何か恐ろしいものを見るような視線をこちらに向けながら、ゲオルグは二、三歩後ずさった。

「あ、ありえねぇ…!ありえねぇ…!俺の拳が止められるなんざ…!あっちゃいけねぇんだ…!」

現実を受け入れたくないというようにそう捲し立てる。

そんなゲオルグに、俺は言った。

「ほら。何かもっとやってみろ。これで終わりじゃないだろ?」

今後突っかかられても困るため、俺はゲオルグにとことんやらせてみることにした。

そのほうが、互いの実力差をより思いしって今後、絡んでくることもないだろう、と。

が、ゲオルグはいつまでたっても動き出さなかった。

「どうした?他の魔法を使わないのか?」

「む、無理だ…」

「は…?」

ゲオルグがガクッと膝をついた。

「お、俺は…身体強化しかまともに使えないんだ…これ一本でここまでのし上がってきた…俺は、俺は…」

空な瞳で自らの限界を漏らす。

「そうか…だったら、もう満足だな?今後は関わってこないでくれよ」

徹底的に相手してやるつもりだったが、この様子だとその必要もなさそうだ。

「うーん…」

…しかし、仮にもギルド1番の実力者が使える魔法が身体強化のみか…。

たまたまこの街の冒険者のレベルが低いのか…?

それとも…

「まぁ、いい。行こう、新田」

「う、うん…」

ともかく決着はついた。

俺はそう判断し、新田と共にギルドを去ろうとする。

「こ、これで終わりだと思うなよ…」

「ん…?」

と思ったら、膝をついていたゲオルグがゆらりと立ち上がった。

「か、必ず俺は強くなる…そして、もう一度お前に勝負を挑む…お前に勝るまで俺は…」

完璧に心を挫いたと思ったが、まだゲオルグは折れてはいなかった。

若干震えながらも、俺に対して闘志のこもった目を向けてくる。

「はぁ…」

出来れば今後二度と関わらないでほしい。

一応、しばらくはこのギルドで路銀を稼ぐために冒険者として活動するつもりだから、ことあるごとに勝負を挑まれたら面倒だ。

そう判断した俺は、少し力を使って実力差を見せておくことにする。

「おい、お前。確か身体強化の魔法をずっと鍛えてきたんだよな?」

「…そ、そうだが?」

「本物の身体強化を見せてやるよ」

「え…?」

ぽかんとするゲオルグに、俺は身体強化の魔法を自らの右腕のみにかけた。

筋肉が俺の右腕を多い、何倍…何十倍にも成長していく。

「え…え…?」

ゲオルグが目を見開いたまま呆然としている。

「ふぇええええええ!?」

背後では新田が素っ頓狂な声を上げた。

「はぁあああああ!?」

「ひぃいいいいい!?」

「うわあああああ!?」

また、周囲で傍観していた冒険者たちからは悲鳴が上がる。

「これが俺の身体強化だ」

俺は建物の天井に届きそうなほどに成長した自らの右腕を上げて、ゲオルグに行った。

「あっ…ひゃい…」

ゲオルグがか細い声で返事をする。

「これでも俺に勝負を挑んでくるか?」

「いえ…しゅみません…もう二度と関わりません…」

消え入りそうな声でゲオルグはそう言って、その場に膝をついた。

瞳は空で、もはや闘志は宿っておらず、何も見ていないかのようだった。

どうやら完全に心が折れたようだ。

これで今後絡まれることもないだろう。

「解除」

俺は身体強化の魔法を解除する。

魔法によって異様なまでに成長した俺の右腕は、あっという間に萎んで下の大きさに戻った。

「ふぅ…」

俺は元に戻った右腕をぐるぐる回しながら扉へと向かう。

「あっ…い、一ノ瀬くん待ってっ…!」

慌てたように新田も後についてきた。

「…」

去り際に一度だけ俺は背後を振り返った。

そこには、未だ膝をついた状態で呆然としているゲオルグがいた。


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