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百十五話
しおりを挟む「‥シギ本人なのは、間違いないから
僕としては、見つかって良かったよ、
‥帰る」
椅子から立ち上がり
扉の前まで歩いて行くキトの背中を
ライハが追いかける
「待てよ、帰るなら俺も帰るぜ」
「‥当たり前だよ、
一緒に帰らないと、
父さんも気にするだろうからね」
「ボスは心配性なところあるからなぁ」
会話の中に気になる言葉があったが、
引き止める間もなく、2人は扉から出て行く
しかし、2人だけでは
裏口を開ける事が出来ない
タリアが部屋に置いていた傘を持ち、
急いで追いかけて行ったので
残った私達は部屋で待つ事にした
前の席には
下を向きふぅぅーと長く息を吐くシオンに
それを見つめ困ったように笑うリク
横には
腰掛けているベッドに
後ろ向きに倒れ寝転がるジーナ
そんな姿を見ると、私の身体から力が抜けた
無意識の内に
身体に力が入っていたのだろうと今気付いた
雨の音は相変わらずで
しばらく止みそうにない
私は雨の音を聞きながら、
先程の話を整理する事にした
ジーナとリクの話によると、
こっちのナツの命が尽きそうになったが
いきなり普通に戻った
普通に戻ったのは私がナツの中に入り込み
命を繋いでいるのではないか、という事だ
その説が合ってるとして
シギにも当てはめてみると、
命が危なくなったが
別の世界から来たシキによって命が繋がれた
シキがシギの中からいなくなったかどうか
定かではないが、
今のシギはシギ本人のはずなのに
キトやライハの記憶が無いこと
もし、シキがいなくなってた事によって
記憶が無くなったのであれば、
タリアが前に話してくれた盗賊だった人も
もしかしたら私やシギと同じような境遇で
別の世界の人が中からいなくなって
タリアの記憶が無くなっていたかもしれない
そうなると、
私が元の場所に帰れば
こっちのナツは今までのナツの記憶が
なくなってしまうのか?
ジーナのことも
タリアのことも
そして、ナロンの事を
想っているであろう気持ちも‥
ふと前を向くと、シオンと目が合う
もしかしたら、
私自身も元の自分に戻ったら
記憶からシオンの事が
無くなってしまうかもしれないという
考えが頭に浮かんできて、
力なく笑うシオンに胸がキュッと痛くなった
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