巡り合い、

アミノ

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百十六話

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扉が開き、タリアが帰ってきた

扉の開く音で
横になってたジーナが起き上がり
私も扉の方へ視線を動かす

雨がきつかったからか
腕や足元が濡れていて、
袖の色が変わっていた

「タリア、濡れてる
着替えないと風邪引いちゃう」

「これぐらい、大丈夫だ」

髪の毛をかきあげると
雫がぽたっと床に落ちた

「タリアが倒れたら困るからね、
私達は部屋に戻るから
お風呂入って着替えなよ」

「そうですね、
疲れが明日に出てもいけないですし、
今日はもう休みましょ」

「では、そうさせてもらう」

4人はタリアの部屋を出て
それぞれの行き先へ移動した

私は無意識にジーナの後を
ずっと付いて歩いていた

その間、特に会話はなかったのだが、
ジーナは自分の部屋に着くと
どうぞ、と言い私を部屋へ招き入れた

いつも通りソファに腰掛けると、
ジーナはお茶を入れに奥へと進む

ジーナと一緒にいて
何も話さない時間を過ごすことは、ほぼない

しかし、ここまで付いてきたのは
ナツの意思であって、私の意思ではないから
何か話そうにも口が重たくて
声が出せなかった

こっちのナツがジーナと
一緒にいたい訳が何かあるんだろう

「喉が渇いててね
すまないが、付き合ってもらうよ」

机の上にお茶が出され、
私に向かい合うように
ソファに腰を下ろしたジーナは
さっそくお茶を口に運びながら口角を上げた

「ありがとう」

口にしたお礼の言葉は、
私ではなくこっちのナツの言葉だ

それに気付いたのか
ジーナはこちらをジッと見た後
1人頷いていた

お茶を何口か飲む

ジーナの淹れるお茶はおいしい

そこまで渇いていなかった喉はすぐに潤った

潤ったはずなのに
ナツは何度も口に運び続け、
とうとうお茶はなくなった

「そんなに喉が渇いていたのかい?
おかわりを入れてきてあげよう」

空になったカップに手を伸ばしてきた
ジーナの右腕を掴み、ナツは首を振る

少し驚いたようだが
ジーナは腕をゆっくりと自分の方へ戻し
ソファに深く座り直した

カチカチと時間を刻む
時計の音が聞こえる

何も話さないナツ
何も聞かないジーナ

ただただ、時間だけが流れていた








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