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百四十二話
しおりを挟む「ありがと」
久しぶりに出した声は少し掠れていたが、
デイスにはきちんと届いていたようで
頷いてくれた
デイスが部屋を出て行った後も
ジーナはずっと心配そうな顔をしてる
「ナツ、大丈夫なのかい?」
「‥心配かけてごめんね」
私の顔を見続けているジーナは
近くにある椅子に腰掛ける
「こちらこそ、朝に気づけなくてごめんよ」
「違うよ、ジーナ‥
ジーナと別れてから
少し自分のことを思い出せて‥
それで顔色が悪かったんだと思うんだ」
前に思い出した内容は誰にも伝えてない
シギの事でバタバタしていたし、
私もシギについて調べなきゃって
気が急いていたから
「‥そうか」
ジーナは何も聞かなかった
外は風が強いのか
窓が少しカタカタとなる音が聞こえてくる
私は上半身を起こし、軽く微笑んだ
「少し何か飲むかい?
私がお茶を入れてあげよう」
ニコッと微笑み、奥へ行ったジーナは
慣れた手つきでお湯を沸かし始めた
なんとなくいつものように話せない
これ以上近づくと
ジーナが私から離れてしまう気がした
窓の外の雲を見つめていると、
しばらくしてトレイを持って戻ってきた
「どうぞ」
机に置かれたお茶を見ると茶柱が立っている
「ナツに良いことがありますようにって
思いながら淹れたら立ってたんだ」
「ありがとう」
ひと口飲むと口の中に緑茶の渋みが広がる
その渋みと鼻から抜ける香りに
心が暖かくなるのを感じられた
「せっかくだから
サンドウィッチもどうだい?
無理はしなくていいけどね」
机に置いた紙袋から
サンドウィッチを取り出し、
机に並べてくれた
断面から見えるみずみずしいレタスと
トマトの赤色がとても綺麗だ
時間を確認すると
いつの間にかお昼を過ぎていた
緑茶のおかげか
気分の悪さはほとんどなくなっていた私は
サンドウィッチを頂くことにした
レタス、トマト、ハム、
それにスライスチーズが入っている
シャキッとレタスの音が耳に心地良い
「美味しいなぁ!
あそこのカフェの他のメニューも
是非食べてみたい」
嬉しそうにサンドウィッチを食べている
ジーナはいつもより少し幼く見えた
「うん」
本当にすごく美味しかった
今度は仕事としてじゃなく、
休みの時にゆっくりカフェに行きたい
ジーナとタリアと
3人でパンを食べた時のように
恋バナなんかしながら‥
そう思いながらも
きっと次にカフェに行くときは
私じゃなく、こっちのナツに戻ってるんだと
頭の中に浮かんできた
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