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Day by day
森の中で(1)
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翌日、サクとタルクは森林部を歩いていた。
『そこのぬかるみ、踏んじゃ駄目だから』
少女は身軽に森の中を駆けていき、少年少し遅れてが着いていく。
今日の授業は演習だ。
慣れない山道や強力な魔獣、迷いを誘発する深い森など様々な障害を乗り越え、ペア単位でゴールを目指す。死人が出る事もある過酷な授業。
『あ、山菜発見。今晩のおかずにしよっと』
しかし草をかき分ける少女は、そんな雰囲気を微塵も見せず楽しそうに野草をナップザックに詰め込み始める。
『ほんと毎回、罪悪感があるよな』
その姿に、タルクはやれやれとため息をこぼした。
『そう? いいじゃん、いつも落ちこぼれとして苦労してるんだし、こういう時くらいはさ』
『そう……なのかな』
サクは森に詳しい。学生レベルなど軽く超越した知識をその頭に持っている。その為、二人にとって演習は、魔獣に遭わずに楽な道を歩けるピクニックにも等しい。
だが、タルクは最近悩んでいた。こんなズルを続けていて良いのか、もっと戦闘の経験を積んだ方が良いのではないか、同級生が重傷を負っている中で自分達はピクニックをしていて良いのか、罪悪感にも似た問いが頭を巡り続ける。
『ふーん、そっか。じゃあタルク、右に五歩進んで』
『え?』
唐突な指示に一瞬戸惑ったが、少年はおとなしくそれに従った。彼女の指示の正確さは嫌という程知っている。
『進んだけど、一体……』
サクの方を振り返ろうとして、それより早く後ろに飛びのく。次の瞬間、目の前の地面が砕け散り、タルクは勢いよく吹き飛ばされた。
『そこのぬかるみ、踏んじゃ駄目だから』
少女は身軽に森の中を駆けていき、少年少し遅れてが着いていく。
今日の授業は演習だ。
慣れない山道や強力な魔獣、迷いを誘発する深い森など様々な障害を乗り越え、ペア単位でゴールを目指す。死人が出る事もある過酷な授業。
『あ、山菜発見。今晩のおかずにしよっと』
しかし草をかき分ける少女は、そんな雰囲気を微塵も見せず楽しそうに野草をナップザックに詰め込み始める。
『ほんと毎回、罪悪感があるよな』
その姿に、タルクはやれやれとため息をこぼした。
『そう? いいじゃん、いつも落ちこぼれとして苦労してるんだし、こういう時くらいはさ』
『そう……なのかな』
サクは森に詳しい。学生レベルなど軽く超越した知識をその頭に持っている。その為、二人にとって演習は、魔獣に遭わずに楽な道を歩けるピクニックにも等しい。
だが、タルクは最近悩んでいた。こんなズルを続けていて良いのか、もっと戦闘の経験を積んだ方が良いのではないか、同級生が重傷を負っている中で自分達はピクニックをしていて良いのか、罪悪感にも似た問いが頭を巡り続ける。
『ふーん、そっか。じゃあタルク、右に五歩進んで』
『え?』
唐突な指示に一瞬戸惑ったが、少年はおとなしくそれに従った。彼女の指示の正確さは嫌という程知っている。
『進んだけど、一体……』
サクの方を振り返ろうとして、それより早く後ろに飛びのく。次の瞬間、目の前の地面が砕け散り、タルクは勢いよく吹き飛ばされた。
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