パンドラ

須桜蛍夜

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盈月

92

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「やだ……やめて。やだよ。わたしはーー」

泣きじゃくっていた。

いつもの彼女とは似ても似つかない幼児退行でもしたかのような姿。

ーーほんと、何なんだろう。この子。

西山瑠璃は犯されてなお敵意を示すやつだと思ってた。もしくは動じずに無表情を貫くと。

だから、もっと苦しめるために人を呼んだ。大勢からの陵辱で女として殺してやろうと思ってた。精神の限界で、無表情の果てで、こいつの素顔を暴いてやろうと思っていた。

ーーなのに、何これ?

彼女は牙なんて全部無くしてしまった。狩られるうさぎですらない。これではただの雛だ。弱々しくて何も出来ない愚図だ。

ーーちょっと拍子抜け。だけど、これはこれで良いのかな。

もともとあの憎たらしい無表情を崩したかったのだ。西山瑠璃を降伏させたかったのだ。

指先で一筋首を撫でてやる。それだけでこの子は反応する。沙羅の思い通りになる。

これは願ってもない展開。なのに、なんだか燃えなかった。

「もう好きにしていいよ」

西山瑠璃の上から避けた。もっと彼女が悲惨な目にあえば沙羅もイケるかもしれない。

「へへっ、ようやくか」

「こんだけ目の前でやられちゃ。俺たちもビンビンなんすよね」

ぞろぞろと押さえつけるのをやめて、男達は彼女を取り囲む。拘束が外れても、西山瑠璃は逃げる素振りすら見せなかった。虚ろな目で空を見つめる。ある意味、今も人形っぽい。

「沙羅お疲れ。ほんと沙羅って犯すの好きだよね。毎度毎度そのテクに感服するわ。うん、良い絵が見れた」

ユウコがにやにやとしながら声をかけてくる。彼女は西山瑠璃の泣き顔を存分に楽しんでいるようだ。

「マジでウケた。あいつ泣くんだ。いやほんと、沙羅サイコー」

ミカも最大限にこのショーを楽しんでいる。

心底楽しめない沙羅の方がおかしいのかもしれない。

「じゃあ、俺からな」

男達の中でリーダー格の奴が西山瑠璃に跨った。

「俺は優しくないから覚悟しとけよ」

言うが早いが男は彼女の肩を押さえつけるように馬乗りになると、自分のモノを堂々と取り出した。

「あ……やっ」

さっきよりは自由の効く身体でバタバタと暴れる西山瑠璃。

「うるせぇ!」

「ぁっ」

その顔を男が思い切り殴りつける。血が飛び散り、傍目にもその衝撃が分かるほどに鈍い音を響かせた。

「俺に逆らうな。勝手に喚くな。黙って言うこと聞いていろ」

ドスを効かせた声。西山瑠璃は放心しているのか、ピクリとも動かず、先程よりも虚ろな瞳で宙を見つめている。

「そうだ。いいぞ」

反抗しない態度に気を良くしたのか、男は彼女のスカートの中に手を入れ、少しパンツと黒タイツを下ろすとその中へモノを忍び込ませる。

「ほら、当たってんのが分かるだろ? 今、気持ちよくしてやんからな」

西山瑠璃は何も答えない。死んだのかとも思う程に動かない。

「っ……」

そんな彼女が声を洩らした。

「きっついな。お前処女か? なら役得だな。ほぉら、先っぽ入ったぞ。分かるか? これがお前を貫くからな」

笑いながらゆっくり腰を動かす男。

「ぁっ……っ」

絶えず洩れる声。彼は少しずつ、嬲るようにして挿入している。一気に最後まで行かない。中途半端な快楽と終わりの見えない恐怖の中で彼女の反応を楽しんでいる。

ーーへぇ、処女なんだ。

その拷問のような行為を見ながら、沙羅は男が言ったことを反芻していた。犯した時の感じから見るに、処女ではないと思っていたが、そうでもなかったらしい。

初めてをゴロツキの暴行に奪われる。

ーーいいかもしれない。

少しゾクゾクとしてきた。

「いいのか、入ってるぞ。抵抗してみろよ」

先程とは打って変わって静かな少女。彼は苛立ち、声をあげる。

「もういい。よがってろ。俺の優しさを無下にしたこと、後悔させてやる」

男は腰を大きく動かす。ニヤニヤとした顔が妙に印象的で、その光景から目を離せない。そしてーー。

「あぁっ……」

突然呻きは大きくなった。生気のない人形には出せない声。動物らしい本能の声。

ーーやった、処女奪った!

足の先から電気のように快感が上ってくる。にやけが止まらなくて、さっきまで白けていたのが嘘のように興奮している。楽しい。楽しい!







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