パンドラ

須桜蛍夜

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盈月

91

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「観念しなよ、瑠璃。君は僕の物だ。僕に支配されるしかないんだ」

沙羅は、教えられた通りに台詞を続ける。

「違う……違う。わたしは物じゃない……」

「瑠璃は物だ。ただの道具だよ」

「違う……わたしは……」

頭を抱えるようにして呟きだす。段々と震えは大きくなってくる。声はか細くて本当に西山瑠璃なのかと思うほどに弱々しい。

ーーふーん、この子、こんな顔もできるんだ。

楽しくなってくる。沙羅の言葉一つでこの子はこんなに怯える。この子の怯えは本当に心地よい。

「僕に逆らうの?」

「っ……」

笑みを浮かべてゆっくりと近づく。怯えしかない瞳が沙羅を見た。沙羅を捉えて怯えを強めた。だから、目の前に立って嬲るように言ってやる。

「なら、お仕置きだね」

同時に、沙羅の後ろに隠れていたゴロツキの一人が彼女の腹を殴った。

「ひっ……」

モロに喰らった西山瑠璃は吐息のような悲鳴を残してその場に崩れ落ちる。その隙を逃さず、男達が彼女の両手両足を一本ずつ押さえつけた。

逃れようとするが、流石に大の大人の力には敵わない。身体を全く動かすことができずに、頭だけを左右に振り回している。

沙羅はそんな状態の西山瑠璃に馬乗りになる。虚ろな目で虚空を見る少女。

「やだ……」

呟くように声を漏らす口。

「やめて……んっ」

その口を自分の口で塞いでやる。逃げるように振られる頭を両の腕で拘束して。逃げ場をなくす。

生暖かい感触。それを無理やりかき回す。

「ん……ん」

無駄な抵抗は身体に力を入れることしかできない。手すらもがっちりと掴まれ、指一本すら動かせない状況。そんな中で動かせる口内さえも支配するようにゆっくりと貪っていく。
怯えていた目が閉じられて、頬が少し紅潮してきた。

抵抗できない状態で与えられる快楽。それを身体が受け入れ始めた。

「んぁ……あん……」

逃げるように身体に力を入れる度に、少女は感じるように声を上げた。

『瑠璃はきっと、自分は逃げられないと悟るほどに感じるよ』

教わった通りだ。

彼女の目には涙が伝い、暴れるように抵抗が強くなるが、それは反転して彼女をいたぶる快楽へと変換されている。

「……っ」

息が苦しくなって貪っていた口を離す。目の前には無表情なんて欠片もないただの少女が転がっていた。

荒い吐息。熱をもった身体。

ゆっくりと顔を近づけ、今度は首筋に舌を這わせる。

「やめて……やっ」

劇的だった。逃げた頭を押さえつけ、もう一度舐める。

「っ……」

身体がビクッと跳ね上がる。溢れ出た涙は、首が弱点であると如実に現していた。

ピチャ

ゆっくりくすぐるように舌を振る。

その度に震える身体は徐々に抵抗していた力をなくしていく。

「うっ……ぁ」

感じたくないのに感じさせられる身体。屈辱に流す涙は甘美だ。

「へぇ~首筋弱いんだ」

嘲るように言って指で撫でる。小刻みな震えは止まらない。溢れる吐息は色気を増してくる。

「沙羅に犯されてるってどんな感じ?」

撫でる手を止めて訪ねた。重なる快感に息を乱した彼女は当然答えられない。

「答えられないなら、お仕置きだよ」

"お仕置き"という言葉に抵抗が消えた。その隙につうっと舌を這わせ、いきなり、その首筋に噛み付く。

「あ……」

今までで一番大きく跳ね上がった。

そこに間髪入れずに唇を奪う。

舌を絡ませ、かき回す。もう完全に快楽に囚われた少女は抵抗する力すら無かった。されるがままに全てを受け入れる。

沙羅は息が苦しくなる寸前までそれを堪能し、唇を離した。


キスが一番好きだ。犯した相手の顔を間近に見られるから。

犯されてなお敵意を示す目をしたやつは、心を完全に折るような犯し方をして従順にしてやる。

犯されていると知りながらも快感から逃れられないやつは、もっと激しい責めをして堕としてやる。

もう完全に堕ちたやつは今度は寸止めを繰り返してやる。快感に溺れた身体に物足りない責めは最大級の苦痛だ。

この顔で今後を決める。どう苦しめてやるかを決める。それが最高に楽しい。

そして、今回の獲物、西山瑠璃はーー。 








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