パンドラ

須桜蛍夜

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盈月

131

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***

分かっていたつもりだった。だけど、なにも分かっていなかった。そんなことを思うのは一体何回目だろう?

瑠璃は明確な線引きをしている。 他人に興味なんて無い。

そんなことは初めから分かっていたのに、私はなにを期待していたんだろう。


賢太郎は一週間ほど欠席し、学校に復帰した。だけどもう、私達の所には来ない。私からも話しかけられていない。

話しかけられるはずがない。全部、私が悪いんだから。私が欲を出して二人を仲良くさせようなんて思わなければ、彼はあんな目には遭わなかった。

「巴、屋上行く?」

視線を少年から少女に切り替える。彼女はあの前後で何も変わらなかった。当たり前だ。あれが彼女の普通なのだから。

「先行ってていいよ。ちょっと委員会の仕事があるから」

「分かった」

小説とお弁当を持ち、瑠璃は教室から出て行く。その後ろ姿を見送って、私はまた物思いに耽る。

私と瑠璃の関係は変わっていない。相変わらずに彼女は私を"友達"として扱うし、私も彼女をそう見ている。だけど、私が瑠璃と距離を置こうとしているのも事実だ。

理解していたはずだ。それなのに欲を出した。全部私が悪い。そんなことは分かっている。だけど、それとは別に賢太郎を助けてくれなかった瑠璃を軽蔑した自分が居る。

"なんで助けてくれなかったのか"
そんなことは分かりきっているのに、問いたくなってしまう。どうしても瑠璃を非難してしまう。

「自分勝手だな、ほんとに」

ーー私は変わっていないんだ。欲望のままに罪を犯したあの日から。

目を細め、窓の外に青い空を見上げて、私は席を後にした。







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