140 / 158
盈月
131
しおりを挟む
***
分かっていたつもりだった。だけど、なにも分かっていなかった。そんなことを思うのは一体何回目だろう?
瑠璃は明確な線引きをしている。 他人に興味なんて無い。
そんなことは初めから分かっていたのに、私はなにを期待していたんだろう。
賢太郎は一週間ほど欠席し、学校に復帰した。だけどもう、私達の所には来ない。私からも話しかけられていない。
話しかけられるはずがない。全部、私が悪いんだから。私が欲を出して二人を仲良くさせようなんて思わなければ、彼はあんな目には遭わなかった。
「巴、屋上行く?」
視線を少年から少女に切り替える。彼女はあの前後で何も変わらなかった。当たり前だ。あれが彼女の普通なのだから。
「先行ってていいよ。ちょっと委員会の仕事があるから」
「分かった」
小説とお弁当を持ち、瑠璃は教室から出て行く。その後ろ姿を見送って、私はまた物思いに耽る。
私と瑠璃の関係は変わっていない。相変わらずに彼女は私を"友達"として扱うし、私も彼女をそう見ている。だけど、私が瑠璃と距離を置こうとしているのも事実だ。
理解していたはずだ。それなのに欲を出した。全部私が悪い。そんなことは分かっている。だけど、それとは別に賢太郎を助けてくれなかった瑠璃を軽蔑した自分が居る。
"なんで助けてくれなかったのか"
そんなことは分かりきっているのに、問いたくなってしまう。どうしても瑠璃を非難してしまう。
「自分勝手だな、ほんとに」
ーー私は変わっていないんだ。欲望のままに罪を犯したあの日から。
目を細め、窓の外に青い空を見上げて、私は席を後にした。
分かっていたつもりだった。だけど、なにも分かっていなかった。そんなことを思うのは一体何回目だろう?
瑠璃は明確な線引きをしている。 他人に興味なんて無い。
そんなことは初めから分かっていたのに、私はなにを期待していたんだろう。
賢太郎は一週間ほど欠席し、学校に復帰した。だけどもう、私達の所には来ない。私からも話しかけられていない。
話しかけられるはずがない。全部、私が悪いんだから。私が欲を出して二人を仲良くさせようなんて思わなければ、彼はあんな目には遭わなかった。
「巴、屋上行く?」
視線を少年から少女に切り替える。彼女はあの前後で何も変わらなかった。当たり前だ。あれが彼女の普通なのだから。
「先行ってていいよ。ちょっと委員会の仕事があるから」
「分かった」
小説とお弁当を持ち、瑠璃は教室から出て行く。その後ろ姿を見送って、私はまた物思いに耽る。
私と瑠璃の関係は変わっていない。相変わらずに彼女は私を"友達"として扱うし、私も彼女をそう見ている。だけど、私が瑠璃と距離を置こうとしているのも事実だ。
理解していたはずだ。それなのに欲を出した。全部私が悪い。そんなことは分かっている。だけど、それとは別に賢太郎を助けてくれなかった瑠璃を軽蔑した自分が居る。
"なんで助けてくれなかったのか"
そんなことは分かりきっているのに、問いたくなってしまう。どうしても瑠璃を非難してしまう。
「自分勝手だな、ほんとに」
ーー私は変わっていないんだ。欲望のままに罪を犯したあの日から。
目を細め、窓の外に青い空を見上げて、私は席を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
処刑を望んだ悪役令嬢ですが、幼なじみの騎士が手放してくれません
藤原遊
恋愛
「私は処刑される運命の悪役令嬢――そう信じて、死を望んでいた。
けれど、幼なじみの騎士は『この命に代えても守る』と離してくれなくて……?」
侯爵令嬢アメリアは、幼い頃から「悪役令嬢」として囁かれてきた。
その冷たい視線と噂の中で、彼女は静かに己の役目を受け入れていた――。
けれど、すべてを遠ざけようとする彼女の前に現れたのは、まっすぐに想いを示す幼なじみの騎士。
揺らぐ心と、重ねてきた日々。
運命に逆らえないはずの未来に、ほんの少しの希望が灯る。
切なく、温かく、甘やかに紡がれる悪役令嬢物語。
最後まで見届けていただければ幸いです。
※ 攻略対象の叔母である悪役令嬢に転生したけれど、なぜか攻略対象の甥に激重に愛されてます
にて、親世代の恋愛模様を描いてます。
仮面王の花嫁
松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。
しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。
記憶をなくしても君は忘れない
水城ひさぎ
恋愛
本田光莉(ほんだひかり)、アメリカ・ロサンゼルス在住フォトグラファー、28歳。光莉には、松村理乃(まつむらりの)という同い年の異母姉がいる。行方不明になった理乃を探すため、日本へやってきた光莉は、高校時代の元カレ、月島拓海(つきしまたくみ)と再会する。しかし、彼は高校時代以降の記憶を喪失していた……。
完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)
水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」
無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。
ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。
だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。
「———えぇ、いいわよ」
たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤
凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。
幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。
でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです!
ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?
夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました
香木陽灯
恋愛
伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。
これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。
実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。
「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」
「自由……」
もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。
ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。
再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。
ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。
一方の元夫は、財政難に陥っていた。
「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」
元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。
「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」
※ふんわり設定です
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる