パンドラ

須桜蛍夜

文字の大きさ
39 / 158
盈月

31

しおりを挟む
*****

『今日の荷物検査見た? チョーウケる』

クラスの中心を集めたLINEのグループ。そこで、あの子の話題を出してみる。

『ホントホント、いい気味だよね~』

『あの転校生キモかったもん、スッキリした』

『呼び出しとかウケるわww』

どんどんと西山瑠璃への悪口が画面に並ぶ。自然と口元に笑みが浮かんできた。やっぱ、みんなあの子のこと嫌いなんだ。

ーーこれならいけそう。

『ね、西山瑠璃いじめようよ』

悪口の合間に打ち込んだ。これが今日の本題。巴ちゃんに、沙羅が首謀者ってバレない為に、転校生を心底苦しめる為にみんなでいじめる。賢太郎のなんて目じゃないくらいに痛めつける。考えただけで快感。呑み込まれそう。

『いいね!』

『俺もそれ、言おうと思ったw』

『やろう、やろう』

『じゃあウチ、画鋲でも持ってこうかな~』

『うーん、じゃああたし、あいつの鞄水没させよっと』

『俺、何しよう? ま、なんかやるわ。あいつムカつくから、俺もなんかしたい』

みんなノリノリだった。どんどんと案が出てくる。凄く楽しい。あいつが苦しむ想像をするのが最高に気持ちいい。明日が待ち遠しい。早く、苦しめたい。歪んだ願望。それが止まらない。

でも、今日、あいつは巴ちゃんと二人きりになった。許せない一線を超えた。なら、罰を受けて当然だよね。沙羅は、間違っていないよね? 誰にでもなく同意を求める。

ーーあ、そうだ、これだけは言っとかないと。

そこではたと大事な事に気がついた。

『沙羅さ~、いじめてるって巴ちゃんに知られたくないんだよね』

これは大切。沙羅は、いじめっこだなんて巴ちゃんに見られたくない。

『オッケー。ってか、俺も篠崎には嫌われたくねぇわ』

『うん、巴ちゃんにはね、バレたくないよね~』

『というか、巴ちゃんに嫌われたい奴なんて居ないでしょ笑 巴ちゃんに嫌われたらやってけないわ~』

でも、そんな心配いらなかった。みんな心は一緒。巴ちゃんには嫌われたくない。まぁ、当たり前の事だけど。彼女はみんなの憧れだし、嫌われたいなんて思う奴居る筈ない。

「ふふ」

楽しみだった。心を折って、ボロボロにして、全て奪って、生きているのも嫌にさせる。巴ちゃんを誑かした罰。それをあの子に全部味わわせる。

「覚悟しなさい、西山瑠璃」

洩れた声。部屋の中で響いたそれは勝ち誇る。頭の中に流れる彼女を壊す妄想は、最高に心地よかった。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?

ねーさん
恋愛
   アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。  何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。  何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。  「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

笑顔が苦手な元公爵令嬢ですが、路地裏のパン屋さんで人生やり直し中です。~「悪役」なんて、もう言わせない!~

虹湖🌈
ファンタジー
不器用だっていいじゃない。焼きたてのパンがあればきっと明日は笑えるから 「悪役令嬢」と蔑まれ、婚約者にも捨てられた公爵令嬢フィオナ。彼女の唯一の慰めは、前世でパン職人だった頃の淡い記憶。居場所を失くした彼女が選んだのは、華やかな貴族社会とは無縁の、小さなパン屋を開くことだった。 人付き合いは苦手、笑顔もぎこちない。おまけにパン作りは素人も同然。 「私に、できるのだろうか……」 それでも、彼女が心を込めて焼き上げるパンは、なぜか人の心を惹きつける。幼馴染のツッコミ、忠実な執事のサポート、そしてパンの師匠との出会い。少しずつ開いていくフィオナの心と、広がっていく温かい人の輪。 これは、どん底から立ち上がり、自分の「好き」を信じて一歩ずつ前に進む少女の物語。彼女の焼くパンのように、優しくて、ちょっぴり切なくて、心がじんわり温かくなるお話です。読後、きっとあなたも誰かのために何かを作りたくなるはず。

仮面王の花嫁

松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。 しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。

私の人生に、おかえりなさい。――都合のいい「お姉ちゃん」は、もうどこにもいません

しょくぱん
恋愛
「お姉ちゃんなんだから」 ――それは私を縛る呪いの言葉だった。 家族の醜い穢れを一身に吸い込み、妹の美しさの「身代わり」として生きてきた私。 痛みで感覚を失った手も、鏡に映らない存在も、全ては家族のためだと信じていた。 でも、、そんな私、私じゃない!! ―― 私は、もう逃げない。 失われた人生を取り戻した今、私は、私に告げるだろう。 「私の人生に、おかえりなさい。」

記憶をなくしても君は忘れない

水城ひさぎ
恋愛
本田光莉(ほんだひかり)、アメリカ・ロサンゼルス在住フォトグラファー、28歳。光莉には、松村理乃(まつむらりの)という同い年の異母姉がいる。行方不明になった理乃を探すため、日本へやってきた光莉は、高校時代の元カレ、月島拓海(つきしまたくみ)と再会する。しかし、彼は高校時代以降の記憶を喪失していた……。

幸せの賞味期限――妹が奪った夫は、甘く腐る

柴田はつみ
恋愛
幸せには「賞味期限」がある。 守る実力のない女から、甘い果実は腐っていく 甘いだけのダメンズ夫と、計算高い妹。 善意という名の「無能」を捨てたとき、リリアの前に現れたのは 氷の如き冷徹さと圧倒的な財力を持つ、本物の「男」だった――。 「お姉様のその『おっとり』、もう賞味期限切れよ。カイル様も飽き飽きしてるわ」 伯爵家の長女・リリアは、自分が作り上げた平穏な家庭が、音を立てて崩れるのをただ見つめるしかなかった。 信じていた妹・エレナの狡猾な指先が、夫・カイルの心の隙間に滑り込んでいく。 カイルは、優しくて美貌だが、自分の足で立つことのできない「甘い」男。彼はエレナの露骨な賞賛と刺激に溺れ、長年尽くしてきたリリアを「味のないスープ」と切り捨て、家から追い出してしまう

処理中です...