15 / 23
あめや
しおりを挟む
神主だったおじいちゃんが私に不思議な言葉を残してくれた。
「人の喜ぶ顔を見るのが好きなお前はあめやの才がある! お前はあめやをやるんだぞ」
あめや?
おじいちゃんの言葉に従って、私は飴細工屋で修行して、飴屋を始めた。
花や動物といった具現物から万華鏡のような模様物まで、甘くて美しく、幸せを配る飴を売る飴屋を。
お客さんのお話しを聞きながらイメージして飴を作れば、喜びに綻ぶ顔が見られる。
そっか、おじいちゃん、これだね!
その日の最後のお客さんは小さな女の子だった。手に、萎れた植物が植った鉢植え。
「いらっしゃいませ」
「あめやさん?」
「はい。どんな飴を作りましょう?」
「雨を降らせてください!」
「?」
〝雨〟違いだよ、と言おうとして、ちょっと待って。
おじいちゃんは、龍神様を祀る神社の神主だった。
雨? まさか。
この街は土地柄雨が少ない。下手すると夏の間、殆ど降らない。
おじいちゃん、まさか。
外に出て空に両手をかざし、念じた。
雨よ、雨。
「雨だ! お姉さん、やっぱり〝あめや〟さんだ! ありがとう!」
少女の満面の笑みを見た時、おじいちゃんの言葉の意味を全て知った。
私は暖簾を変える。
飴屋から〝あめや〟へ。
あめや、始めました。
「人の喜ぶ顔を見るのが好きなお前はあめやの才がある! お前はあめやをやるんだぞ」
あめや?
おじいちゃんの言葉に従って、私は飴細工屋で修行して、飴屋を始めた。
花や動物といった具現物から万華鏡のような模様物まで、甘くて美しく、幸せを配る飴を売る飴屋を。
お客さんのお話しを聞きながらイメージして飴を作れば、喜びに綻ぶ顔が見られる。
そっか、おじいちゃん、これだね!
その日の最後のお客さんは小さな女の子だった。手に、萎れた植物が植った鉢植え。
「いらっしゃいませ」
「あめやさん?」
「はい。どんな飴を作りましょう?」
「雨を降らせてください!」
「?」
〝雨〟違いだよ、と言おうとして、ちょっと待って。
おじいちゃんは、龍神様を祀る神社の神主だった。
雨? まさか。
この街は土地柄雨が少ない。下手すると夏の間、殆ど降らない。
おじいちゃん、まさか。
外に出て空に両手をかざし、念じた。
雨よ、雨。
「雨だ! お姉さん、やっぱり〝あめや〟さんだ! ありがとう!」
少女の満面の笑みを見た時、おじいちゃんの言葉の意味を全て知った。
私は暖簾を変える。
飴屋から〝あめや〟へ。
あめや、始めました。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる