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三章 元おっさん、竜王退治へ
36 魔物使役
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轟音が鳴り響き、ドラゴンの鳴き声が響き渡る。
なぜ封印が解けたのか。誰にも分からない。
手を触れた時は何も感じなかった。そして出た瞬間に、封印は解かれた。
これだけで意味がさっぱり。
竜王ロヴィーナが復活したのは、何かしらの理由があるはず…。
アンナさんから聞いた言葉によると、この国以外での国は勇者召喚に力を注いでいるだとか。
それは分かった。だが、リアモス王国の神官は勇者召喚を行わないのか。
それはアンナさん自身知らないのだと。
それは分かったが、流石に足が疲れてきた。
真後ろにはロヴィーナが羽ばたいている。
そのでかい胴体だったら、火の海にさせるのは容易いような気がする。
(くそっ! どうしてこんなタイミングでだ!)
この状況では、まともに戦えない。
ステータス画面で相手のステータスを見る。
すると、HPは10,000を超えていた。
こちとらのHPよりも倍にある。どう考えたって今のままじゃ魔力切れでやられるだけだ。
(どうする? どうする、どうする!)
考えている場合じゃないと言うことは、百も承知だ。
魔物たちを使役して、戦闘力に加えるか?
それしか、方法がない気がしてくる。こんなにも忙しいこの状況。俺たち3人では、どうあっても歯が立たない。
(ふぅ、やるっきゃない)
久々の使役。かなり緊張するが、戦闘力はかなり欲しい。
広範囲に使える使役。周りにいる魔物たちを使役。
「———『従え、我の右腕になるものよ』」
手の甲に書かれている目のマークが、広範囲に光を放つ。
Cランクの魔物たちでも、大きな戦力にはなる。
神々しい光が山全体を覆う。それを確認した俺は、真っ先に唱えた。
「———『契約完了』」
走りながら喋るのは、かなりきついものだ。だが、そうも言ってられない。少しでも、戦力が欲しい。
「ふぅ、行け! 魔物たちよ!!」
俺の叫び声と共に、契約完了した魔物たちが一斉に茂みから現れ出る。
かなりの魔物が姿を表す。
狼、鳥、イノシシ。そして、オークにオーガ、ゴブリン、そしてグール。
鳥の魔物が姿を表したのは、正直助かる。
ゴブリンの中には、弓を扱うものもおり、地上から弓矢を放つ。
狼の上に乗り、狼が助走をつけて飛び上がったタイミングを見計らい、ロヴィーナに攻撃する。
『ギャオオオオオオ!!』
「このままだったら、契約が終了してしまう……。ローズ、カメリア! 2人でアンナさんたちを呼んできて!」
「は、はい!」
「分かりました!」
なんの疑う余地もなく、颯爽と山を降りていってくれた。
喜んでいいのだろうか。
それはひとまず、俺も交戦しなければ。だが、ここはお世辞にも整地されていない。
足場もかなり悪く、少しでも足を踏み外したら、真っ逆さまに落ちてしまいそうだ。
「ぐっ、炎は! いや、山火事になる……。なら、氷!!」
竜王ロヴィーナが翼を羽ばたかせているため、かなりの風がやってくる。
あの強靭な肉体には、かなりの衝撃が必要になってくるはず。
ゴブリンたちが放っている弓矢じゃ、間違いなくダメージを削れない。
氷の中で衝撃が強いのは、間違いなくあれしかない。
「———『氷塊放射』!!」
魔法陣から放たれる、氷塊の矢。普通の矢とは違い、氷塊そのものがロヴィーナの強靭な肉体に向かっていく。
だが、冷気が出ただけであり、傷一つ付いていない。
ステータスをもう一度見ると、10,000だったのが、9999になっただけだった。
(全く効いてない!?)
勘弁して欲しい。全く歯が立たないとか、そんな次元じゃない。やっぱ、ドラゴンって強いわ。
いくつになっても憧れる。
『ギャオオオオオオ!!』
こちらの方をギロリと睨みつける。口を大きく開け、そこから炎のブレスを吐いてきた。
(やばっ!?)
「ふっ、計算通り!」
氷塊放射をもう一度放つ。炎と氷。どちらが勝つか。それはもちろん!
「氷だ!!」
でかい氷の塊。それが猛スピードで竜王ロヴィーナの口に真っ先に向かっていく。
ブレスを吐くには、かなりの時間があると感じた。なら、そのタイミングを狙ってのこと。
思った通り、ブレス吐くにはかなり時間があった。間違いなくあれを喰らうと、大ダメージ。
だが、いい。早打ち勝負!
『ギャオァアアアアアアア!!』
氷塊が口に引っかかる。ブレスを吐くこと出来なくなったロヴィーナは、そのまま悶えながら、地上に降り立つ。
降りてくる地点にいた魔物たちは、颯爽とその場から離れ、その巨大な体は見上げるほどにでかい。
だが、HPが減ったわけではなかった。全然残ってる。至近距離にいる竜王ロヴィーナ。
氷を噛み砕き、もう一度ブレスを吐く準備を開始した。
———ガリッ!ガリッ! ゴォオオオオオ!!
青色の炎が口の中で生成される。こりゃまずい。
本格的に不味くなった。これが絶体絶命?
ジリ貧だ。
「まだ終わってねぇよ!!」
魔法を放つ準備。だが、二回連続での魔法の消費。
MPがほぼゼロに近い。正直体力が限界に近い。
だが、今あの2人がアンナさんたちを呼びにいっている。それまでの———辛抱!!
『ウォーーーーン!!』
後ろからまた別の狼の鳴き声が聞こえてくる。
森にいた魔剣の守り神。マーナガルム。マーナガルムの口に何か咥えていた。
(あれは……)
マーナガルムの魔剣。この状況でのこの対応……。
神か!? 正直助かる。
『グルルル!!』
魔剣を俺の元へと持ってきてくれた。俺はその魔剣を手にし、ロヴィーナに立ち向かう。
なんだろうか、ゲームの勇者のような立ち位置にいる気がする。
勇者が来れないのなら、俺がやるのみ!
禍々しいオーラを纏う、マーナガルムの魔剣。
その重量はかなり重いが、そうも言ってられない。
マーナガルムさん、めっちゃええ人やん…。この間はごめんね。
「さぁ、いくぞ! 竜王ロヴィーナ!!」
周りの魔物たちも戦いを挑むように、威嚇をする。まるで以心伝心しているかのようだ。
マーナガルムも戦う気満々。Bランクの魔物とはいえど、契約をすることはできないとはいえど、意思疎通は可能。
そう、それが魔物使役の力だ。
なぜ封印が解けたのか。誰にも分からない。
手を触れた時は何も感じなかった。そして出た瞬間に、封印は解かれた。
これだけで意味がさっぱり。
竜王ロヴィーナが復活したのは、何かしらの理由があるはず…。
アンナさんから聞いた言葉によると、この国以外での国は勇者召喚に力を注いでいるだとか。
それは分かった。だが、リアモス王国の神官は勇者召喚を行わないのか。
それはアンナさん自身知らないのだと。
それは分かったが、流石に足が疲れてきた。
真後ろにはロヴィーナが羽ばたいている。
そのでかい胴体だったら、火の海にさせるのは容易いような気がする。
(くそっ! どうしてこんなタイミングでだ!)
この状況では、まともに戦えない。
ステータス画面で相手のステータスを見る。
すると、HPは10,000を超えていた。
こちとらのHPよりも倍にある。どう考えたって今のままじゃ魔力切れでやられるだけだ。
(どうする? どうする、どうする!)
考えている場合じゃないと言うことは、百も承知だ。
魔物たちを使役して、戦闘力に加えるか?
それしか、方法がない気がしてくる。こんなにも忙しいこの状況。俺たち3人では、どうあっても歯が立たない。
(ふぅ、やるっきゃない)
久々の使役。かなり緊張するが、戦闘力はかなり欲しい。
広範囲に使える使役。周りにいる魔物たちを使役。
「———『従え、我の右腕になるものよ』」
手の甲に書かれている目のマークが、広範囲に光を放つ。
Cランクの魔物たちでも、大きな戦力にはなる。
神々しい光が山全体を覆う。それを確認した俺は、真っ先に唱えた。
「———『契約完了』」
走りながら喋るのは、かなりきついものだ。だが、そうも言ってられない。少しでも、戦力が欲しい。
「ふぅ、行け! 魔物たちよ!!」
俺の叫び声と共に、契約完了した魔物たちが一斉に茂みから現れ出る。
かなりの魔物が姿を表す。
狼、鳥、イノシシ。そして、オークにオーガ、ゴブリン、そしてグール。
鳥の魔物が姿を表したのは、正直助かる。
ゴブリンの中には、弓を扱うものもおり、地上から弓矢を放つ。
狼の上に乗り、狼が助走をつけて飛び上がったタイミングを見計らい、ロヴィーナに攻撃する。
『ギャオオオオオオ!!』
「このままだったら、契約が終了してしまう……。ローズ、カメリア! 2人でアンナさんたちを呼んできて!」
「は、はい!」
「分かりました!」
なんの疑う余地もなく、颯爽と山を降りていってくれた。
喜んでいいのだろうか。
それはひとまず、俺も交戦しなければ。だが、ここはお世辞にも整地されていない。
足場もかなり悪く、少しでも足を踏み外したら、真っ逆さまに落ちてしまいそうだ。
「ぐっ、炎は! いや、山火事になる……。なら、氷!!」
竜王ロヴィーナが翼を羽ばたかせているため、かなりの風がやってくる。
あの強靭な肉体には、かなりの衝撃が必要になってくるはず。
ゴブリンたちが放っている弓矢じゃ、間違いなくダメージを削れない。
氷の中で衝撃が強いのは、間違いなくあれしかない。
「———『氷塊放射』!!」
魔法陣から放たれる、氷塊の矢。普通の矢とは違い、氷塊そのものがロヴィーナの強靭な肉体に向かっていく。
だが、冷気が出ただけであり、傷一つ付いていない。
ステータスをもう一度見ると、10,000だったのが、9999になっただけだった。
(全く効いてない!?)
勘弁して欲しい。全く歯が立たないとか、そんな次元じゃない。やっぱ、ドラゴンって強いわ。
いくつになっても憧れる。
『ギャオオオオオオ!!』
こちらの方をギロリと睨みつける。口を大きく開け、そこから炎のブレスを吐いてきた。
(やばっ!?)
「ふっ、計算通り!」
氷塊放射をもう一度放つ。炎と氷。どちらが勝つか。それはもちろん!
「氷だ!!」
でかい氷の塊。それが猛スピードで竜王ロヴィーナの口に真っ先に向かっていく。
ブレスを吐くには、かなりの時間があると感じた。なら、そのタイミングを狙ってのこと。
思った通り、ブレス吐くにはかなり時間があった。間違いなくあれを喰らうと、大ダメージ。
だが、いい。早打ち勝負!
『ギャオァアアアアアアア!!』
氷塊が口に引っかかる。ブレスを吐くこと出来なくなったロヴィーナは、そのまま悶えながら、地上に降り立つ。
降りてくる地点にいた魔物たちは、颯爽とその場から離れ、その巨大な体は見上げるほどにでかい。
だが、HPが減ったわけではなかった。全然残ってる。至近距離にいる竜王ロヴィーナ。
氷を噛み砕き、もう一度ブレスを吐く準備を開始した。
———ガリッ!ガリッ! ゴォオオオオオ!!
青色の炎が口の中で生成される。こりゃまずい。
本格的に不味くなった。これが絶体絶命?
ジリ貧だ。
「まだ終わってねぇよ!!」
魔法を放つ準備。だが、二回連続での魔法の消費。
MPがほぼゼロに近い。正直体力が限界に近い。
だが、今あの2人がアンナさんたちを呼びにいっている。それまでの———辛抱!!
『ウォーーーーン!!』
後ろからまた別の狼の鳴き声が聞こえてくる。
森にいた魔剣の守り神。マーナガルム。マーナガルムの口に何か咥えていた。
(あれは……)
マーナガルムの魔剣。この状況でのこの対応……。
神か!? 正直助かる。
『グルルル!!』
魔剣を俺の元へと持ってきてくれた。俺はその魔剣を手にし、ロヴィーナに立ち向かう。
なんだろうか、ゲームの勇者のような立ち位置にいる気がする。
勇者が来れないのなら、俺がやるのみ!
禍々しいオーラを纏う、マーナガルムの魔剣。
その重量はかなり重いが、そうも言ってられない。
マーナガルムさん、めっちゃええ人やん…。この間はごめんね。
「さぁ、いくぞ! 竜王ロヴィーナ!!」
周りの魔物たちも戦いを挑むように、威嚇をする。まるで以心伝心しているかのようだ。
マーナガルムも戦う気満々。Bランクの魔物とはいえど、契約をすることはできないとはいえど、意思疎通は可能。
そう、それが魔物使役の力だ。
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