上 下
13 / 16

決定

しおりを挟む


「 トントン 」 トールや、起きてるかい?

ハルルさんの声だ。なんだっけ、なんか聞かなければいけないこと…。

ガバッ! 
「 ハルルさん、おはようございます。ちょっと待ってくださいね。今開けます。」 


「 おまえさん、大丈夫なんかい? 昨日このあたり、膨大な魔力で歪みができてたぞ。そんな中心にいて、よく無事だったな、ワシも、しばらく、近寄れなかったからな。 」

「 もしかして、天上人でも降臨したか?」 

えーと!俺は、どうこたえればいいんだ。
あれは、天上人というのか?魔王じゃなくて?

俺は、来客には触れず。ここが仮住まいなのであと2ヶ月しか住めないことを伝える。故郷へ帰ることもできないからこの町で他に住まいを探し、資金を貯めたいと、ハルルさんに相談する。

「 トールや、おまえさんこの町にずっと住むのかい? 少しの間なら私に考えがあるんだよ…少し待っておくれ。」
「 ありがとうございます。あまり、先のことを考えてなかったものですから少しあわててしまって。」

俺は、とりあえずこの町で過ごすことにして、ハルルさんの仕事を手伝いながらこの世界の常識を教えてもらうことにした。

そうこうするうちに、ハルルさんのご主人が行商から帰ってきた。ご主人の名前はバラッドさんというらしい。
そして、俺もそろそろあの理想の家からでなければならない日が近づいてた。

ある日の夕飯時、ハルルさんご夫婦と食事をしていると、バラッドさんから話しがあるという。
話しというのは、俺の引っ越し先だ。バラッドさん夫婦の家は庭が、広く倉庫に、納屋まである。倉庫を改装して住居兼、錬金工房にしたらどうかという。
自分が、行商に行ってる間、やはりハルルさんが心配らしい。
お互い、困ってるとこを助け合いということで、家賃も破格の安さだ。倉庫の改装もこの際キチンと手をいれたいらしい。


俺は、立ち上がり深々と頭を下げた。

「 バラッドさん!ハルルさんありがたく、お世話になります。俺ができることは何でも手伝いますので、お願いします。」


俺の、引っ越し先が決まった!!
しおりを挟む

処理中です...