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転生後〜幼少期

#31コア目

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ようやく魔境の森の中層域へと乗り出した騎士団一行。


長い時間探索していないと思うシュレットであったが、
魔力探知になにかが引っかかったのを確認し、魔力眼を発動してみると、
数人の隊員が魔力探知をしているのが見えた。


この人数で四方八方に魔力探知を実施しているのであれば、
短時間での確認作業も問題なさそうだなと感心するシュレットである。


だが感心しているのも束の間。
一歩中層域に入るや否や、常に魔力探知を展開しているシュレットは気づいた。
それと同時に声に出てたみたいだ。


「父様!」

「あぁ、シュレットは気づいたのか。コツ掴むのが早いなぁ~」

「呑気に言ってる場合ではありませんよ!」

「大丈夫だ。これくらいの魔物であればうちの隊は遅れを取らんよ。ほら動きだした」

「え?」


呑気に思っていたのは自分だけなのではないかと錯覚する程度には
既に隊員は動いて副隊長のガイデンを中心に戦闘態勢に入っていた。


「前衛の盾は守りを堅めろ!絶対に後ろへ通すなよ!
 今日は御子息様達が見にきていらっしゃるんだ!気合い入れてけ!」

「「おうッ!」」

「相手はオーク二体にゴブリン十体だ!いつも通りいけ!
 遊撃隊はゴブリンから叩いてくれ!」

「「はいッ!」」


大盾持ちの隊員は電光石火の如く前衛を堅める。


よく見ると、後方にいる魔法部隊が詠唱を開始し、
終わる頃には大盾の下に溝が出来ている。
盾が衝撃でズレないよう細工をしているようだ。


大盾持ちは身体強化をしているのか、
危なげもなくオーガの棍棒の大振りを防いでいる。


遊撃隊は指示の通り、ゴブリンを抹殺してく。
籠手に小盾、反対の利き手にはダガーを持っていた。
シュレットが持っているダガーより二回り大きいようだ。


遊撃隊は腰を低くしながらゴブリンへ小走りに近づき、首筋や肋骨の辺りに一振り入れている。
どう見ても人間の急所と同じ箇所だ。


そうして観察しているうちに後方にいる魔法部隊は再度詠唱を開始する。
その間、長剣と盾を持った数人が大盾の後ろから出ては攻撃そして大盾の後ろへ戻るを繰り返している。


ゴブリン部隊を片付けたであろう遊撃隊は、
長剣の隊員と同じくヒットアンドアウェイを繰り返していた。


その後、魔法の詠唱が終わり、副隊長へ合図する。
それと当時にガイデンから合図がある。


「総員!詠唱が完了した!一時退避!」

「「「「ハッ!」」」」


「ソニックウェーブ!」
「フレアジャベリン!」
「ロックブリッド!」
「アクアスパイラル!」


そして、魔法部隊の渾身の一撃がオーク二体に直撃し、難なく戦闘は終了した。
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