35 / 69
転生後〜幼少期
#34コア目
しおりを挟む
シュレットの魔力探知を頼りに大型魔物の方向へ身体強化を使いながら走っていた。
ただし、向かう先はどんどん遠ざかっている。
大型魔物は叫びながらかなりの距離を移動しているのだ。
これじゃあ女性の安否がいつまでも不明のままである。
と思ったと同時に大型魔物が動きを止めた。
「父様! 大型の動きが止まりました! 今なら追いつけます!」
「分かった! 案内してくれ」
二人は森の更に奥地へと向かう。
見えてきたのは全長六メートルにも及ぶ魔物。
後ろ姿からして狐であろう。尻尾は三尾ほどあるように見える。
茂みに隠れるシュレットとマルズレット。
マルズレットが囁きながら驚く。
「ありゃ幻獣じゃねぇか・・・なんでこんな山奥に・・・」
「父様、幻獣というとあの・・・」
「あぁお前は相当勉強してるな。ありゃ世界でも数体しかいないとされている幻獣。
しかもあれは幻獣の中でも格が高い妖狐だ。
本来は神聖な山奥、それこそマーガレットの生まれ故郷の聖上の丘の山奥とかにいるようなやつだ。
ここにはいないはずなんだよ。
それがなんでこんな・・・珍けな山奥なんかにいるんだ・・・」
「あれが妖狐ですか・・・」
妖狐からは一キロメートルほど離れている茂みの中。
そこからは妖狐に気付かれずに観察できるはずであった。
「グルゥゥゥゥゥウウウアァァァァアアア!!!!」
(そこの茂みに隠れているやつ!!誰ぞ!!!!)
驚いた。この距離で気配も消している。
やり過ごせるはずであった。
マルズレットは大粒の汗をかく。
同じく驚いているシュレット。
だが、それと同じくして驚くのは妖狐の叫び声と同時に聞こえた女性の声。
なぜ同時に聞こえたのは分からない。
妖狐のいる場所はかなり拓けている。なのに女性の姿は見えない。
結論付けるしかなかった。あの妖狐から女性の声が聞こえてるのだと。
「父様・・・女性の声が聞こえました」
「何処だ! あの拓けている場所にはいないようだが」
「違うんです父様・・・違ったんです・・・
僕にはあの妖狐から、女性の声が聞こえたいたいです・・・」
「はぁ!? 意味が分からないぞ」
「今しがたあの妖狐が叫んだと同時に女性の声が聞こえたのです。
彼女と呼びますが、彼女は『そこの茂みに隠れているやつは誰だ』と言っていました。
僕はあの妖狐が女性の声だとそう結論付けました。
もう妖狐には僕たちの存在がバレているんです」
「いや・・・女性の姿がないからそう結論付けたのは分かるが・・・理解しがたい・・・」
数分ほどシュレットとマルズレットは話し込んでいた。
だが、痺れを切らしたのであろう。妖狐は再度叫んだ。
ただし、向かう先はどんどん遠ざかっている。
大型魔物は叫びながらかなりの距離を移動しているのだ。
これじゃあ女性の安否がいつまでも不明のままである。
と思ったと同時に大型魔物が動きを止めた。
「父様! 大型の動きが止まりました! 今なら追いつけます!」
「分かった! 案内してくれ」
二人は森の更に奥地へと向かう。
見えてきたのは全長六メートルにも及ぶ魔物。
後ろ姿からして狐であろう。尻尾は三尾ほどあるように見える。
茂みに隠れるシュレットとマルズレット。
マルズレットが囁きながら驚く。
「ありゃ幻獣じゃねぇか・・・なんでこんな山奥に・・・」
「父様、幻獣というとあの・・・」
「あぁお前は相当勉強してるな。ありゃ世界でも数体しかいないとされている幻獣。
しかもあれは幻獣の中でも格が高い妖狐だ。
本来は神聖な山奥、それこそマーガレットの生まれ故郷の聖上の丘の山奥とかにいるようなやつだ。
ここにはいないはずなんだよ。
それがなんでこんな・・・珍けな山奥なんかにいるんだ・・・」
「あれが妖狐ですか・・・」
妖狐からは一キロメートルほど離れている茂みの中。
そこからは妖狐に気付かれずに観察できるはずであった。
「グルゥゥゥゥゥウウウアァァァァアアア!!!!」
(そこの茂みに隠れているやつ!!誰ぞ!!!!)
驚いた。この距離で気配も消している。
やり過ごせるはずであった。
マルズレットは大粒の汗をかく。
同じく驚いているシュレット。
だが、それと同じくして驚くのは妖狐の叫び声と同時に聞こえた女性の声。
なぜ同時に聞こえたのは分からない。
妖狐のいる場所はかなり拓けている。なのに女性の姿は見えない。
結論付けるしかなかった。あの妖狐から女性の声が聞こえてるのだと。
「父様・・・女性の声が聞こえました」
「何処だ! あの拓けている場所にはいないようだが」
「違うんです父様・・・違ったんです・・・
僕にはあの妖狐から、女性の声が聞こえたいたいです・・・」
「はぁ!? 意味が分からないぞ」
「今しがたあの妖狐が叫んだと同時に女性の声が聞こえたのです。
彼女と呼びますが、彼女は『そこの茂みに隠れているやつは誰だ』と言っていました。
僕はあの妖狐が女性の声だとそう結論付けました。
もう妖狐には僕たちの存在がバレているんです」
「いや・・・女性の姿がないからそう結論付けたのは分かるが・・・理解しがたい・・・」
数分ほどシュレットとマルズレットは話し込んでいた。
だが、痺れを切らしたのであろう。妖狐は再度叫んだ。
0
あなたにおすすめの小説
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
パワハラで会社を辞めた俺、スキル【万能造船】で自由な船旅に出る~現代知識とチート船で水上交易してたら、いつの間にか国家予算レベルの大金を稼い
☆ほしい
ファンタジー
過労とパワハラで心身ともに限界だった俺、佐伯湊(さえきみなと)は、ある日異世界に転移してしまった。神様から与えられたのは【万能造船】というユニークスキル。それは、設計図さえあれば、どんな船でも素材を消費して作り出せるという能力だった。
「もう誰にも縛られない、自由な生活を送るんだ」
そう決意した俺は、手始めに小さな川舟を作り、水上での生活をスタートさせる。前世の知識を活かして、この世界にはない調味料や保存食、便利な日用品を自作して港町で売ってみると、これがまさかの大当たり。
スキルで船をどんどん豪華客船並みに拡張し、快適な船上生活を送りながら、行く先々の港町で特産品を仕入れては別の町で売る。そんな気ままな水上交易を続けているうちに、俺の資産はいつの間にか小国の国家予算を軽く超えていた。
これは、社畜だった俺が、チートな船でのんびりスローライフを送りながら、世界一の商人になるまでの物語。
なんか人類滅亡直前の世界で勇者召喚にて大ハズレみたいな顔をされた【弱体術師】の俺ですが、実は人生4周目にて過去には【勇者】の実績もある最強
ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
なんか人類滅亡直前の世界で勇者召喚にて大ハズレみたいな顔をされた【弱体術師】の俺ですが、実は人生4周目にて過去には【勇者】の実績もある銀河最強レベルの【調停者】
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる