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転生後〜幼少期

#36コア目

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今まで隣で呆けていた父親を茂みの所まで連れていき、妖狐と話した経緯を説明した。


「ということなんですが父様。妖狐に害があるとは思えないのです。
 僕は妖狐と一緒に探すことになりますが、そのお許しをと」

「妖狐殿を信頼していないわけではないのだ、だが本当に大丈夫なのか?
 私はお前が心配でしかたない」

「大丈夫です父様。僕の素早さと魔力量を知っておいででしょう?
 何かあれば即座に今までの魔力を使ってでも帰還します」


そう。今まで特訓してきたマルズレットにはその魔力量は分かる。
エリオットとマルズレットが二人掛かりでやっとその素早さに追いつけるのだ。
身体強化に費やせる魔力量は伊達ではない。


「わかった。何かあれば言う通り全力で逃げろ。
 その後は俺がなんとかする」


マルズレットの言葉には重みがあり、心配をかけていることは明白ではあるが、
確かに安心感があった。


「では、妖狐と一緒に子供を捜索します。父様も私たちとは反対方向の捜索お願いします」

「分かった。俺はの心配はしなくていいからな。
 訓練の時と一緒にするなよ? 俺はお前より強いからな」


力強い言葉と、確かな信頼を元にシュレットは頷く。
これがカールストン子爵かと心に思う。


「では、妖狐殿に息子を預けるとするか」


茂みの中での相談事が終わり、妖狐へ了承をする為駆け寄る二人。


「妖狐殿、先ほどは声もかけられず失礼をした。
 私はこのカールストン領地にて爵位を預かっているマルズレットという。
 以後お見知り置きを。
 息子から話は聞いた。息子と一緒に捜索をすると言う事確かに承った。
 何かあれば息子は一時離脱をすると思うが、同じ子を持つ親としてそこは了承して頂きたい」

「ガァグルゥ」
(こちらからもお願いする。子を持つ身、それは致し方ないであろう。相分かった。)

「シュレット、妖狐殿はなんと?」

「こっちもお願いすると。それから子供を持つ身なのだからしかたない分かったとも」

「妖狐殿、シュレットをお願いする」

「ガウ」


最後の妖狐の言葉は翻訳しなかったが、マルズレットには分かったのだろう。
妖狐もマルズレットも頷いた。


そうして、妖狐とシュレット。マルズレットは、お互いに捜索する箇所を変え、
一斉に妖狐の子供を探す為に走り出した。
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