現代で落ちこぼれの三男〜異世界転生してコアの力で人生を謳歌する〜

荒葉千歳

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転生後〜幼少期

#38コア目

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「では妖狐、あなたは囮になってください。
 貴女が囮になり、巣の魔物を惹きつけている間に僕がお子さんを救出します。

 魔力の特徴は分かっているので救出はすぐです。

 ですが、貴女が大袈裟に立ち回らねば奥に引っ込んでいる魔物たちが出てきません。
 その辺は貴女に任せます。お願いします」

「相分かった。ゴブリン達など屁でもないわ」

「僕は妖狐が暴れている間、奥の茂みで隠れてます」

「我の子を頼むぞ。行って参る」

「はい」


魔物の巣は円形に繰り抜かれており、
奥には洞窟のようなものが見えた。その洞窟の上には木や茂みがある。
シュレットは妖狐が暴れている間に茂みから魔力探知で洞窟の中を確認し、
洞窟内での魔物の数が減ったら侵入する手筈である。


いくら妖狐があばれようが洞窟内から出てこないであろう魔物は一定はいると見越している。


だが、魔境の森中層域で見たゴブリンの討伐を目にしている今、
父親やエリオットと重ねた特訓を思い出せば、一匹から二匹であれば造作もないだろうと
シュレットは確信していた。


そうこうしている間に、魔物の叫び声が聞こえてきた。
妖狐が暴れているのが肌で感じられた。と同時にあの時討伐を企てなくて正解だったなと考える。


茂みの中から妖狐を見てみると、洞窟内からわらわらとゴブリンやオークが這い出てくるのが見えた。


確認の為に一度魔力探知を行ってみると、
妖狐の子供の近くやその通り道には魔物が三匹ほどしかいない事が確認できた。


しかも三匹とも疎らに位置している。
今だ!と思ったシュレットは茂みの中から飛び出し、洞窟内へと侵入した。


中を見ると魔力探知では分からなかった洞窟内が露わになる。一本道のようである。
壁には松明が疎らに設置されている。均等という言葉はゴブリン達には無縁のようだ。


急いで妖狐の子を救出するべく、走り出す。


魔力探知を使いながら走っていると一匹目のゴブリンが目に入る。
ゴブリンは丁度後ろを向いていた。叫び出す前に倒したい。


真剣のダガーを手に、ゴブリン目掛けて駆け出す。
足音でバレるだろうが叫び出さなければいいだけだ。


身体強化の力を乗せ、ダガーをゴブリンの首元へ勢い良く振り抜く。


歳のせいか、まだ成長途中のシュレットでは首を一刀両断できなかったようだ。


だが、ゴブリンは首元横を切られたせいで、息の根はすぐに絶たれていた。


シュレットはその場をよく確認すると、そこは食料貯蔵庫のようだった。
果物や草などが所々に置いてある。そして魔物の死体もその中には含まれている。


若干の興奮、転生前後を含めても生き物を殺めたのはこれが初めて。
その場の死臭が一気に鼻に立ち込める。


「ウッ・・・・無理だこれ・・・・」


シュレットはその場で嘔吐する。これが死臭。これが殺すと言うことか。
数分は留まったであろう。胃の中は既に空っぽ。


中身を全部出したシュレットはやっと嗚咽感が治った。
そしてハッとする。こんな所で止まってる場合じゃないと。


シュレットは再度魔力探知と身体強化を使って妖狐の子の救出へ走り出す。


体力はもう僅か・・・。
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