"強化蘇生"~死ぬ度に強くなって蘇るスキル~

ハヤサマ

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強化蘇生【リバイバル】

局所轟沈のヒドゥンドタード

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 控え室での一連の騒ぎを何とか無事で済ませた龍二たちが、未だにカーペットの上でのびたままのロリコ.....ーーハワードの身柄をこれからどうするか思案している。

「俺は、他の従者の人たちに報告した方がいいと思うぜ。変態ジジイここに極まれりってな。」
「そんなことしても、もみ消されるだけに決まってるでしょ。あの人たち、この変態ジジイには頭が上がらないみたいだし。」

 真之介がハワードの犯行を摘発することを提案するが、現実主義の千里に諭されてしまう。

「とはいってもなぁ.....。このまま放置って訳にもいかねーだろ、いつか見つかって大騒ぎになっちまうぜ? ちなみに俺はまだこいつを許していない」
「そんなの、ここにいる誰だってそうよ。あんな乱暴、許されることじゃないわ。私は取りあえず、変態ロリコンジジイが美琴に飲ませようとした、胡散臭い薬を証拠として持っておくのが無難だと思うわ。後はこいつが起きる前に何かうまいこと切り抜けられる方法を見つけるしかないわね。」
「あぁ、僕もそう思う。もしこの変態ロリコンクソジジイが起きたら、何されるか分かったもんじゃない。大方、王国の兵士か何か呼ばれて、そいつらに連れてかれて牢獄行きだろうな。」

 ハワードを公的に処罰することができそうにないと気付いた真之介が、釈然としない顔で不服を垂れる。それに唯が一応の無難な提案をし、龍二が賛同するが、どれも根本的な解決には至っていない。徐々にハワードに対する蔑称が酷くなっているのはスルーだ。

 「いっそ、逃げちゃうのはどうかな?この王宮からから逃げ出して、のんびり異世界生活を送っちゃう、とか!」
「あのな、原田。そんな呑気なこと言ってられねーだろ。第一、どこまで王宮が続いてるのかも分かんねえし、出口がどこにあるかも俺ら誰も知らないじゃねえか。そんな状態で逃げようとしても従者の誰かに見つかる可能性の方が高い。それに、他のクラスメイトを置いて逃げるなんてできないだろ」
「あ、そっか.....。そうだよね」

 閃いたように美琴がピカッと顔を明るくして、ここから逃亡してしまうという案を出したが、真之介に一蹴されてしまった。理路整然と自分の案のいかにダメダメかを並べられ、美琴はしゅん、と項垂れてしまう。心なしかいつもはピンピンしているお下げ髪も垂れ気味だ。

「何か、良い案が浮かばないものかしらねぇ.....」

 千里が天井を見ながら唇に人差し指を当てて代案を思索するが、流石に聡明な彼女でも、すぐには思いつかないようだ。まともに「こいつは私たちの可愛い美琴ちゃんを襲ったロリコンです!」と言おうものなら、即座にその証拠が隠蔽されるのが目に見えていた。藤本や平田など、こちらの食材や飲み物を口にしてしまった者達は使い物になりそうもないし、まさに八方塞がり。四面楚歌のこの状況を打破するためには、真之介に殴られて、ダメ押しとかばりに股間を代わる代わる連続キックされてあえなくダウンしてしまったハワードの存在を従者たちに悟られることなく、尚且つこの歓迎式を穏便に済ませる必要があった。

 そしてしばらくして、今までじっくり考え込んでいた唯が急に立ち上がり、みんなにある方法を示した。
それはすこしばかり不安が残るやり方であったが、他に代案も出ない一同は、それを受け入れるしかなかった。



「ーーーなぁ、本当にこうするしかなかったのか?」

 真之介がただひたすらに不本意そうな口調でみんなに訴える。

「.....いやぁ、意外と似合ってると思うよ、吉田く、ぷふっ」
「あ、あぁ、中々キマってるぞ?特にその口髭の辺りが、ぶふっ。か、かっこいいんじゃないか?」
「え、えぇ、そうね。少し暑いかも知れないけど、そうするしかないんだからしばらく我慢しなさいね、吉田くん」

 みんなが笑いを押し殺したような表情で次々にフォローするが、真之介はその嫌そうな顔をいっそう嫌悪に歪めていく。

「なぁ、コレ本当にやる必要あんのか?おい。別にその辺のクローゼットにでもこのビチグソ変態ロリコンクソジジイを押し込んどきゃ良かっただろ。こいつが起きて出てくる頃には歓迎式は終わって、俺らも城下町とかに出れるだろうし」
「馬鹿ね、真之介くんは。多分こいつがいないと歓迎式が進まないわよ。結構大きな式典みたいだし、厳かな場面を取り仕切るのは恐らくこいつでしょう?そうなると、大事な司会進行役がいなくなったーって、それこそ大騒ぎするわよ。そもそも、城下町なんてものがあるか分からないじゃない。何にせよ、あなたのその役は必要よ。あなたがこの変態ジジイに成り代わって立ち回ってくれれば、穏便に歓迎式も済ませられるわ。」
「なら何で俺なんだよ。明らかにたっぱが違えだろ。この格好で俺がでると今度は、さっきまでヒョロヒョロだった爺さんが、急にやたらとムキムキになったって騒ぎ出すぞ」

 そう、つまりはそういうことである。

 真之介がハワードの身ぐるみを剥いで、それを全身に着込んだうえ、丁寧に白髪の付け髭までして変装したのだ。もっとも、身長150センチやそこらのガリガリの爺さんの身を包んでいた衣服が、バリバリ現役の野球部で、身長178センチ、体重80キロである筋骨隆々の真之介の肌に合うはずもなく、ピッチピチであった。しつこいようだがもう一度言う。それはそれはピッチピチであった。それはもう、一子相伝の北斗神拳を操るあの人を彷彿とさせるほど。特に胸元は今にも張り裂けそうで、鍛え上げられた逞しい大胸筋が、昭和のロックスターのように露わになっていた。

 また、衣服を剥かれて一張羅姿になったハワードのヨボヨボの背中は、なんとも言えない哀愁が漂っていた。

「これ、どうやって言い訳したら良いんだよ。ちょっと寝て起きたらラ○ザップしてましたとでも言やぁいいのか?え?」

 未だにニヤニヤとこちらを見てくる美琴や龍二にだんだんと腹が立ってきて、粗暴な口調で真之介が問いを投げかける。

「あいつ、みんなが最初に召喚された部屋で尋常じゃない覇気を纏っていたでしょ。きっと本当はとんでもない力を持った人物なのよ。だから「なぁに、ちょっとばかり筋肉に力を込めてるだけじゃよ」とでも言っとけばきっと従者たちも納得するわよ」

「そんなわけないだろ!?人体構造ナメてるのか。んなもん物理的に不可能に決まってるだろ」
「あら、ここは異世界よ?元の世界の常識を持ち出すなんて野暮ってものよ」
「.....秋山、お前それ本気で言ってるのか?もうツッコむ気力もなくなってきたぞ」

 唯と千里の冷静コンビに翻弄される真之介。その様子を見てさらに笑う美琴と龍二。そしてキレる真之介。そこに、さきほどまで酒樽の方で酒を注いでいた一人の従者が、控え室へと向かってきた。

「っ!みんな、足音が聞こえる。多分誰か来るよ」

 勘の鋭い美琴がいち早くそれを察して慌てて龍二たちに忠告する。


「ジジイを隠せ隠せ!!そのシーツを掛けるんだ!ほら早く!」
「.....私にはまだ聞こえないけど、唯がそうやって言うならそうなんでしょうね。真之介くん、何かあいつっぽい演技をしなさい!」
「えぇっ!?ちょっと待ってくれ!まだ心の準備が出来てないぞっ」
「つべこべ言わずにやるのよ!それともみんなで捕まりたいわけ!?」
「あぁ、もうどうにでもなれ!」

 そして、控え室に歩いてきた従者が室内を確認しようと、扉を開けて中を覗き見ると.....

「.....さ、さきほどの、お、おお食事は、いかがでありました、かな?みなさん。」

「えぇ、本当においしかったです。もうほっぺたが落ちそうで」
「うん!あ、あの、お酒なんかも、とってもいい味が、したよねー!」
「えぇ、私も飲みましたわ。まだ飲み足りないくらいです」
「あ、あぁ。そうだな。僕も本当にそう思うよ。うん。」

 演技派とそうでないのが一瞬で見分けがついてしまうぐらいの差があったが、従者の反応を見るになんとか誤魔化せているようだ。

「あぁ、ハワード様。こちらにいらしてたんですね。もうじき真の勇者様達の任命式が始まりますので、勇者様もご歓談がお済みになりましたら後ほど舞台の方へお越しください。」
「お、おぅ。分かった。」

 ハワードに扮した真之介がぎこちなく返事をする。

「ってハワード様!?なんか身長とか体躯とか、急に御健康になられたようですけど!?」
「あぁ、これは、えーっと.....」
(なぁに、ちょっとばかり筋肉に力を込めてるだけじゃよ)
「なぁに、ちょ、ちょっとばかり筋肉に、力を込めてるだけじゃよ。」
「あぁ、そうでしたか。ならいつものことですね。では、ハワード様。これで私は失礼いたしますので、くれぐれも任命式に間に合うようにお願い申し上げます」
「おう、任せておけ」

 従者が扉の前で恭しく礼をして控え室から去っていく。

「「「「っはあぁぁ~~~~~~~~。」」」」

「助かった.....」
「俺まじでチビりそうになってた。てかあのジジイ、急にムキムキになるのがいつも通りとかどんな日常過ごしてんだよ」

 最初はなんとか誤魔化せていたものの、やはりと言うべきか、従者にそのムキムキ具合を聞かれてたじろいだ真之介であったが、唯の咄嗟のフォローで事なきを得た。

「とりあえず、セーフだったわね。この調子で、任命式とやらもお願いするわね、真之介くん」
「え?もしかして俺、これまだやるの?」
「もちろんよ。とにかくこの歓迎式が終わって、王宮から解放されるまではずっとその格好でいて貰うわよ。ほら、急ぐわよ」
「もう嫌だ.....おうちに帰らせてくれ.....」

 そうして唯たちが任命式とやらを受けに行くため、ぞろぞろと控え室を出て行く。ちなみに真之介の悲痛な願いは無視された。






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