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第一章: はじまり
三途の川へ
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ここは、三途の川の出発地点。
白札用休憩所の中で、ひと休み。
「リッチ君、疲れはとれた?」
「はい、大丈夫です」
脚を曲げたり、伸ばしたりして準備をしている。
「ここにいる人達は、どうやって川を渡るの?」
「はい、比較的、善行を行なってきた人は、この窓から見えている橋を歩いて渡ります。
それ以外の一般の方は、数名でカヌーに乗って、漕いで行きます。
ほら、あれです。初心者でも、岸にいけるようになっています」
!!
カヌーって……皆んなで漕ぐって……。
どんだけ、サバイバルなのよっ!
「それで、緑札の人は、どうするの?」
「緑札の中でも、極悪人は第1の門から地獄行き直通ですが、それ以外は、地獄での行き先を決める場所に行きます。
悪人の中でも比較的 軽めの人は、この川の浅瀬を渡り、重罪の人は、深い濁流を渡らなければなりません。
そして、川を渡り切ることが出来なければ、地獄へ直行です。
地獄も いくつかに分かれていますが、また今度話します」
「もしかして、この近くに悪人達が集合しているってこと?
嫌だー!怖いよ!」
「大丈夫です。緑札用 休憩所があって、そこで受付を済ませ、専用入口から行くので、緑札の人とは会いません。
それに、鬼たちも警備しているはずです」
オストリッチは、フーっと息を吐き、ベンチに腰掛けた。
質問ぜめにすると、頭が疲れてしまうのだろうか。
出発まで、もう少しかかりそうだ。
その頃、三途の川の対岸で、イライラしている者がいた。
「まったく、忙しいったら、ありゃしないよっ!
ほら、着いた順に並びな!
ほれ、その囲いの中にお入り!
何だい?
その反抗的な顔は?あー?
とっとと、中に入って、その服を脱ぐんだよっ!
男は、こっち、女は、あっちだよ」
凄い勢いで、囲いの中に入れている。
「トミエ、トミエはいるかい?
鳥に乗って来る、若い娘を連れてきとくれ!早くな!」
三途の川の名物、ダツエ婆の毒舌は本日も冴えわたっている。
ひと休みして、復活したオストリッチとあおいは、順調に飛行していた。
上空から、川の様子がよく見える。
川に架けられた橋は、赤くてアーチ型の立派なものであった。
そこを歩く人たちの姿も見える。
写真を撮れないことが、残念に思えた。
橋の脇をカヌーが通っていく。
大抵の人は、初心者であるのだが、そうとは思えないほど、スムーズに漕いでいたのである。
8人くらい乗っていそうだ。
緑札の人がいるのは、川の始まりなの か?終わりのところなのか?
力尽きれば、滝に真っ逆さまだ。
地獄行き決定となる。
浅瀬と深い所がわかるように、岸から岸へ綱みたいなものを張り、区切ってある。
「川の中を歩いているね……あっ、転んだ!あの人も転んだ!流れが早いんだ。
あっ、あの人 渦に飲み込まれそうだよ!アップアップしている!
わぁ、大きな岩にぶつかりそうだよ!
大変、助けに行かないと!」
「リッチ君!何とか、下降できない?」
「無理です。あれは、罰だと思って下さい。苦しい旅をして、少しずつ魂が浄化されていくのだと、先生が言っていました。
手を差し伸べる事で、その人の輪廻転生のチャンスを奪ってしまう事もあるそうです。
だから、助けません!」
この三途の川を渡るにあたり、オストリッチの師である 秦広王から、道先案内人の心得として、注意をされていたのだ。
「えー、目の前で溺れているのに……」
あおいは、不服の顔をしていたが、今の自分では、どうする事も出来ないのも 知っていた。
「わかったよ」
沈黙が続き、そのまま白札用の河原に着陸した。
白札用
脱衣場と書いてある 囲いがある。
「さあ、こちらに お並び下さい。
男性はあちらの、女性はこちらの囲いに入って下さい。
中に入ったら、服を脱いで、指示に従って下さい」
灰色の作務衣の女性が大きな声で言っている。
「リッチ君、もしかして、あたしも あの中に入って、服を脱ぐの?」
そういえば、第1の門に行く前に脱衣場があるって、言っていた気がする。
「はい。僕は囲いの出口の方で、待っています」
「えー!ちょっとぉ、脱ぐって、マジで?」
“ まじで”って何だろ?
今度、先生に聞いてみよう。
オストリッチは、鶴を意識するような歩きで、去っていった。
「次の人、どうぞ。
あっ、額を見せて下さい。
はい、結構です。
中に入りましたら、全てをすぐに脱いで下さいね」
「えっ、パンツも?いえ、下着も?」
「はい、そうです。お入り下さい」
そういえば、自分の身なりなんて、大して気にしていなかった……。
うん?
この感覚は、何だろう?
「早く、お入り下さい!」
係りの女性が白いカーテンを開け、促すので渋々入ったのである。
白札用休憩所の中で、ひと休み。
「リッチ君、疲れはとれた?」
「はい、大丈夫です」
脚を曲げたり、伸ばしたりして準備をしている。
「ここにいる人達は、どうやって川を渡るの?」
「はい、比較的、善行を行なってきた人は、この窓から見えている橋を歩いて渡ります。
それ以外の一般の方は、数名でカヌーに乗って、漕いで行きます。
ほら、あれです。初心者でも、岸にいけるようになっています」
!!
カヌーって……皆んなで漕ぐって……。
どんだけ、サバイバルなのよっ!
「それで、緑札の人は、どうするの?」
「緑札の中でも、極悪人は第1の門から地獄行き直通ですが、それ以外は、地獄での行き先を決める場所に行きます。
悪人の中でも比較的 軽めの人は、この川の浅瀬を渡り、重罪の人は、深い濁流を渡らなければなりません。
そして、川を渡り切ることが出来なければ、地獄へ直行です。
地獄も いくつかに分かれていますが、また今度話します」
「もしかして、この近くに悪人達が集合しているってこと?
嫌だー!怖いよ!」
「大丈夫です。緑札用 休憩所があって、そこで受付を済ませ、専用入口から行くので、緑札の人とは会いません。
それに、鬼たちも警備しているはずです」
オストリッチは、フーっと息を吐き、ベンチに腰掛けた。
質問ぜめにすると、頭が疲れてしまうのだろうか。
出発まで、もう少しかかりそうだ。
その頃、三途の川の対岸で、イライラしている者がいた。
「まったく、忙しいったら、ありゃしないよっ!
ほら、着いた順に並びな!
ほれ、その囲いの中にお入り!
何だい?
その反抗的な顔は?あー?
とっとと、中に入って、その服を脱ぐんだよっ!
男は、こっち、女は、あっちだよ」
凄い勢いで、囲いの中に入れている。
「トミエ、トミエはいるかい?
鳥に乗って来る、若い娘を連れてきとくれ!早くな!」
三途の川の名物、ダツエ婆の毒舌は本日も冴えわたっている。
ひと休みして、復活したオストリッチとあおいは、順調に飛行していた。
上空から、川の様子がよく見える。
川に架けられた橋は、赤くてアーチ型の立派なものであった。
そこを歩く人たちの姿も見える。
写真を撮れないことが、残念に思えた。
橋の脇をカヌーが通っていく。
大抵の人は、初心者であるのだが、そうとは思えないほど、スムーズに漕いでいたのである。
8人くらい乗っていそうだ。
緑札の人がいるのは、川の始まりなの か?終わりのところなのか?
力尽きれば、滝に真っ逆さまだ。
地獄行き決定となる。
浅瀬と深い所がわかるように、岸から岸へ綱みたいなものを張り、区切ってある。
「川の中を歩いているね……あっ、転んだ!あの人も転んだ!流れが早いんだ。
あっ、あの人 渦に飲み込まれそうだよ!アップアップしている!
わぁ、大きな岩にぶつかりそうだよ!
大変、助けに行かないと!」
「リッチ君!何とか、下降できない?」
「無理です。あれは、罰だと思って下さい。苦しい旅をして、少しずつ魂が浄化されていくのだと、先生が言っていました。
手を差し伸べる事で、その人の輪廻転生のチャンスを奪ってしまう事もあるそうです。
だから、助けません!」
この三途の川を渡るにあたり、オストリッチの師である 秦広王から、道先案内人の心得として、注意をされていたのだ。
「えー、目の前で溺れているのに……」
あおいは、不服の顔をしていたが、今の自分では、どうする事も出来ないのも 知っていた。
「わかったよ」
沈黙が続き、そのまま白札用の河原に着陸した。
白札用
脱衣場と書いてある 囲いがある。
「さあ、こちらに お並び下さい。
男性はあちらの、女性はこちらの囲いに入って下さい。
中に入ったら、服を脱いで、指示に従って下さい」
灰色の作務衣の女性が大きな声で言っている。
「リッチ君、もしかして、あたしも あの中に入って、服を脱ぐの?」
そういえば、第1の門に行く前に脱衣場があるって、言っていた気がする。
「はい。僕は囲いの出口の方で、待っています」
「えー!ちょっとぉ、脱ぐって、マジで?」
“ まじで”って何だろ?
今度、先生に聞いてみよう。
オストリッチは、鶴を意識するような歩きで、去っていった。
「次の人、どうぞ。
あっ、額を見せて下さい。
はい、結構です。
中に入りましたら、全てをすぐに脱いで下さいね」
「えっ、パンツも?いえ、下着も?」
「はい、そうです。お入り下さい」
そういえば、自分の身なりなんて、大して気にしていなかった……。
うん?
この感覚は、何だろう?
「早く、お入り下さい!」
係りの女性が白いカーテンを開け、促すので渋々入ったのである。
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