100 / 104
Chapetr2
100 レティシアとちょっとアレな少佐
しおりを挟む
「私は宇宙軍の少佐でユーリィ=ルブランという。初めまして、レティシア=エベールさん」
「はぁ」
だれ?
私が知らなくて、私の事を知っている。つまりアレだ、アカリさん関係だ。
その人たちは謎の情報網を持っていて、ちゃんと色々調べてから事にあたるのだ、大人だ。
「君とは初対面ではないんだけど、覚えていないだろうね」
私の家の畑に墜ちてきた宇宙船は、トレジエム宇宙軍の物で、その破片にも軍事機密が詰まっている。広範囲に飛び散ったそれらをどうにかする必要があったため、軍は周囲一帯を接収した。でも、人的被害も出ている……。出ているから強制的に接収というのも世間体が悪い。ということで遺族への慰謝料の一部とするために、軍が買い取ったという。
「だから家には入れないってことですか?」
「墜落地点から半径1キロメートルの範囲が立ち入り禁止区域だ」
「そんな!」
私に厳しく言い放つ少佐さんの顔が、笑顔に変わる。軍人さんっぽい圧力がかき消えた。
「別に君に意地悪をするために来たんじゃないんだよ?そんな事したら友だちに怒られるしね。今のは建前。大事だよ?建前」
打って変わってとても気さくなおじさん?そういうには若く見えるし、不思議な印象だけど、優しい口調で少佐さんは続ける。
「レティシアちゃん、君アカリに言っただろ?皆で実家を見に行くって」
言ったかも。アカリさんも来て欲しいな~って。
私のところは焦げちゃったけど他のところはすごく綺麗なんだから。
「で、現状を調べたあいつが僕を頼ってきてね。いや~うれしかったよ。あいつに頼られるなんて、戦争以来だったからね」
うぁ、恋する表情とでも言うのかな?ちょっと引く。
「僕から管理部門に申請したらね色々文句がついてさ。そしたらアカリが怒って、施設に乗り込んできたんだ」
「え!?」
施設ってきてね基地のことだよね?そんなことして大丈夫なの?
「すばらしい殺気だった!楽しかったあの頃を思い出したよ!」
「少佐だけですよ?あそこで喜んでたの。アカリさんと閣下の間の空間が歪んでいたんですよ、殺気か何かで」
空気読めないジャーヴィの青ざめる顔が、異常事態が起こっていたことを物語っている。たぶん覇気使いじゃないと、気を失うアレだ。
「あの2人の挨拶さ。将軍も喜んでただろ?」
仲が悪いんだ、昔から。と楽しそうに言われても。
「まあその辺はレティシアちゃんには関係ないけどね」
「実際問題、宇宙空間からの落下物だ。それなりに放射線もまだ出ている。残念ながら除染の優先度は低くてね」
いきなり現実に引き戻された。実感としてはまだ分かっていないんだろうけど、生まれ育った所が、もう違う世界みたいになって、誰も笑える場所じゃなくなって。
「あのバスに、除染装置を取り付けたから。散策したらちゃんと処理するんだよ?操作方法は軍曹に聞くと良い」
でもアカリさんも少佐さんも私が少しでも笑ってあの場所に立てるように色々考えてくれているんだ。
「ありがとうございます」
「さて、元気になったレティシアちゃんの顔もみれたし。帰るよ。そっかぁ、君がアカリの彼女になる日がくるなんて、人生って分かんないもんだ」
「いや、彼女とかではなくて!」
「アカリも焦って同じことを言ってたよ、まだ彼女じゃないって」
まだ。
「ではもう行くよ、マシュー」
いつの間にかバスの後ろに来ていた車から御付きの人が現れた。
「軍曹、少佐からだ。念のために持っていると良い」
「ありがとうございます。中尉殿」
「はぁ」
だれ?
私が知らなくて、私の事を知っている。つまりアレだ、アカリさん関係だ。
その人たちは謎の情報網を持っていて、ちゃんと色々調べてから事にあたるのだ、大人だ。
「君とは初対面ではないんだけど、覚えていないだろうね」
私の家の畑に墜ちてきた宇宙船は、トレジエム宇宙軍の物で、その破片にも軍事機密が詰まっている。広範囲に飛び散ったそれらをどうにかする必要があったため、軍は周囲一帯を接収した。でも、人的被害も出ている……。出ているから強制的に接収というのも世間体が悪い。ということで遺族への慰謝料の一部とするために、軍が買い取ったという。
「だから家には入れないってことですか?」
「墜落地点から半径1キロメートルの範囲が立ち入り禁止区域だ」
「そんな!」
私に厳しく言い放つ少佐さんの顔が、笑顔に変わる。軍人さんっぽい圧力がかき消えた。
「別に君に意地悪をするために来たんじゃないんだよ?そんな事したら友だちに怒られるしね。今のは建前。大事だよ?建前」
打って変わってとても気さくなおじさん?そういうには若く見えるし、不思議な印象だけど、優しい口調で少佐さんは続ける。
「レティシアちゃん、君アカリに言っただろ?皆で実家を見に行くって」
言ったかも。アカリさんも来て欲しいな~って。
私のところは焦げちゃったけど他のところはすごく綺麗なんだから。
「で、現状を調べたあいつが僕を頼ってきてね。いや~うれしかったよ。あいつに頼られるなんて、戦争以来だったからね」
うぁ、恋する表情とでも言うのかな?ちょっと引く。
「僕から管理部門に申請したらね色々文句がついてさ。そしたらアカリが怒って、施設に乗り込んできたんだ」
「え!?」
施設ってきてね基地のことだよね?そんなことして大丈夫なの?
「すばらしい殺気だった!楽しかったあの頃を思い出したよ!」
「少佐だけですよ?あそこで喜んでたの。アカリさんと閣下の間の空間が歪んでいたんですよ、殺気か何かで」
空気読めないジャーヴィの青ざめる顔が、異常事態が起こっていたことを物語っている。たぶん覇気使いじゃないと、気を失うアレだ。
「あの2人の挨拶さ。将軍も喜んでただろ?」
仲が悪いんだ、昔から。と楽しそうに言われても。
「まあその辺はレティシアちゃんには関係ないけどね」
「実際問題、宇宙空間からの落下物だ。それなりに放射線もまだ出ている。残念ながら除染の優先度は低くてね」
いきなり現実に引き戻された。実感としてはまだ分かっていないんだろうけど、生まれ育った所が、もう違う世界みたいになって、誰も笑える場所じゃなくなって。
「あのバスに、除染装置を取り付けたから。散策したらちゃんと処理するんだよ?操作方法は軍曹に聞くと良い」
でもアカリさんも少佐さんも私が少しでも笑ってあの場所に立てるように色々考えてくれているんだ。
「ありがとうございます」
「さて、元気になったレティシアちゃんの顔もみれたし。帰るよ。そっかぁ、君がアカリの彼女になる日がくるなんて、人生って分かんないもんだ」
「いや、彼女とかではなくて!」
「アカリも焦って同じことを言ってたよ、まだ彼女じゃないって」
まだ。
「ではもう行くよ、マシュー」
いつの間にかバスの後ろに来ていた車から御付きの人が現れた。
「軍曹、少佐からだ。念のために持っていると良い」
「ありがとうございます。中尉殿」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる