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太陽都市『サンサイド』
旅立ち
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「……なんだコレは?」
「おお!よく似合いますぞ!」
流石に服がボロボロになり新しく作ってくれることになったのだが、替えの服として渡されたものに対してどうしても抵抗がある。
「おや? どうしましたかな?」
「なんでコレなんだ?」
「今リン様の服は新しく同じように作らせています なので代わりに旅に適した服をご用意させていただきました」
「そうだとしてもなんで…….」
その服装とは肖像画に描かれた竜王と同じ見た目をしていた。
その見た目とは鎧とコートの中間のような感じなのだが違うことがあった。
「なんでよりにもよって『黒』なんだ……」
別に黒が嫌いだと、かそういうことではない。むしろ好きな色だが、ここに来た時の『嫌な奴』を思い出す格好なのが気にいらない。
さらに言うなら、肖像画は青いラインが入っていたのに対しこっちは赤いラインだ。
「これじゃあ悪役ですよ」
「何を仰いますか! 太陽にある黒点をイメージした『黒』に火を象徴する『赤』! まさに太陽都市にふさわしい礼装ではありませんか!」
「本当はこれで見間違いをせずに済むとか思ってないですか?」
「ではしばらくお待ちくださいませ」
図星だ。間違いない、絶対そうだ。なぜなら一度も目を合わせなかったからだ。
「これからどうするかな……」
実際のところ、この世界を旅をするのはいいが賢者の石集めだけではおそらく元の世界には戻れない。
情報集めをするにしても『元の世界に帰りたいんですが』なんて周り言っても絶対に信じない。下手したら変人扱いだ。
「帰れる……かな」
「お待たせしました こちらが案内役のものです」
感傷的になっているとバトラーが戻ってくる。
案内役を連れて来たとは言うが、辺りを見渡すもその姿は見当たらない。
「あの……何処に?」
「お前の上だよ」
その声がした方を見てみるとそこにいたのは『悪魔』のような小さな存在だ。
小悪魔が頭上を、パタパタと羽を羽ばたかせ宙に浮いている。
「なんですか? あの出来損ないの悪魔みたいなの?」
「誰が出来損ないだ!」
「案内役の小悪魔『チビル』です」
「はっ! いい加減その呼び方やめろよな! オレ様にはちゃんと『チルト・ビットルート』って名前があんじゃねえか!」
「そうか よろしく頼むチビ」
「何さらに短縮して俺様のことバカにしてんだ!」
「まだ子供ですが非常に博識ですのでわからないことがあればお聞きください」
「まあどうしてもって頼まれたらしょうがねえよな! 仕方ないからこの世界を案内してやんよ!」
なんだかうるさい奴だが悪いやつではなさそうだ。それに案内役がいると言うのは非常に心強い。この世界の事を知らない以上、闇雲に旅に出ては迷うだけだ。
「俺の名前は優月 輪だ 改めてよろしく頼むチルト・ビットルート」
「わかればいいんだよ! あと長いから『チビ』か『チビル』以外で呼べよ なるべくカッコいいヤツで」
「わかった 『チビ助』」
「絶対許さね!」
結局妥協してチビルになった。
「太陽都市の殲滅作戦は失敗ですかイ?」
リンが旅の準備を始めている頃、魔王軍は今回のサンサイドでの出来事を話す。
「そのようだな」
玉座に座る男に、黒フードの男が報告していた。
「何を他人事のように言っている 元はと言えばあそこに攻めるべきは今だと言ったのはお前ではないか?」
「イイじゃんイイじゃん『アイン』だって何かの考えがあったんだろうし」
玉座に座る男の横には二人の男が立っていた。
一人は真面目に、もう一人は反対に軽い男だった。
「だったらその理由を聞かせてもらおうか『アイン』何を思って太陽都市の殲滅作戦を実行したのか」
「殲滅するために攻めたんじゃないヨ~」
「何?」
「聖剣使い」
その一言で場は静まり返る。約100年前の戦争、悪魔は関わっていなかったが、その戦いは魔界にも伝わっていた。
その戦いの生き残り、生きた伝説。竜王とまで言われる『リン・ド・ヴルム』だった。
「いるヨ~」
「……何故それをお前は知っていた?」
「そんな情報を小耳に挟んだものデ その真意を確かめるために攻めたのサ」
「そうだとしても何故それを早く伝えない」
「確かな情報でもないのに本当のことは言えないヨ~」
「だとしても……」
「やめろ『ドライ』」
そう言ったのは玉座に座る男だった。
「申し訳ございません『魔王様』」
「ただ失敗したのであれば処分していたが……聖剣使いがいるとのことなら話は別だ」
「へ~あの聖剣使いがね~生きてるって噂しか聞いたことないな~」
「何を呑気に言っている『ツヴァイ』 聖剣使いが戻ってきたのであれば今までの戦いの様にいかなくなるのだぞ」
「騒ぐなドライ 例え聖剣使いが戻って来ても我々の勝利は変わらない」
「そうそう! 気にしすぎだって!」
「魔王様がそうおっしゃるのなら…….」
「だがドライの意見ももっともだ あちらの戦力が増えた以上迂闊には手を出せん」
「刺客を送り込むのはいかがかナ?」
アインが口を開く。
「刺客を送り込んで力量を測ればイイ そこで死ねばラッキー 倒せなくても強さはわかル」
「いかがなさいましょう魔王様」
「それで構わん やれ」
「仰せのままニ」
そう言うとアインは闇に溶けるように消えていく。
「よろしいのですか?」
「何があろうと我ら魔王軍が負けるわけがない」
「おっしゃる通りで」
「もう~ドライは頭固すぎぃ~ もっと力抜いていこうよ~」
「お前はもう少し考えるべきだがな」
「オレ苦手なんだよね~」
(聖剣使いか……早めに手は打っておきたいな)
魔王にもサンサイドでの出来事は耳にしていた。
少しでも可能性があるのなら排除する。
魔王は絶対に油断しない。
(聖剣使い……伝説の聖剣の力を振るう者か)
準備は整った。
「おお!よく似合いますぞ!」
流石に服がボロボロになり新しく作ってくれることになったのだが、替えの服として渡されたものに対してどうしても抵抗がある。
「おや? どうしましたかな?」
「なんでコレなんだ?」
「今リン様の服は新しく同じように作らせています なので代わりに旅に適した服をご用意させていただきました」
「そうだとしてもなんで…….」
その服装とは肖像画に描かれた竜王と同じ見た目をしていた。
その見た目とは鎧とコートの中間のような感じなのだが違うことがあった。
「なんでよりにもよって『黒』なんだ……」
別に黒が嫌いだと、かそういうことではない。むしろ好きな色だが、ここに来た時の『嫌な奴』を思い出す格好なのが気にいらない。
さらに言うなら、肖像画は青いラインが入っていたのに対しこっちは赤いラインだ。
「これじゃあ悪役ですよ」
「何を仰いますか! 太陽にある黒点をイメージした『黒』に火を象徴する『赤』! まさに太陽都市にふさわしい礼装ではありませんか!」
「本当はこれで見間違いをせずに済むとか思ってないですか?」
「ではしばらくお待ちくださいませ」
図星だ。間違いない、絶対そうだ。なぜなら一度も目を合わせなかったからだ。
「これからどうするかな……」
実際のところ、この世界を旅をするのはいいが賢者の石集めだけではおそらく元の世界には戻れない。
情報集めをするにしても『元の世界に帰りたいんですが』なんて周り言っても絶対に信じない。下手したら変人扱いだ。
「帰れる……かな」
「お待たせしました こちらが案内役のものです」
感傷的になっているとバトラーが戻ってくる。
案内役を連れて来たとは言うが、辺りを見渡すもその姿は見当たらない。
「あの……何処に?」
「お前の上だよ」
その声がした方を見てみるとそこにいたのは『悪魔』のような小さな存在だ。
小悪魔が頭上を、パタパタと羽を羽ばたかせ宙に浮いている。
「なんですか? あの出来損ないの悪魔みたいなの?」
「誰が出来損ないだ!」
「案内役の小悪魔『チビル』です」
「はっ! いい加減その呼び方やめろよな! オレ様にはちゃんと『チルト・ビットルート』って名前があんじゃねえか!」
「そうか よろしく頼むチビ」
「何さらに短縮して俺様のことバカにしてんだ!」
「まだ子供ですが非常に博識ですのでわからないことがあればお聞きください」
「まあどうしてもって頼まれたらしょうがねえよな! 仕方ないからこの世界を案内してやんよ!」
なんだかうるさい奴だが悪いやつではなさそうだ。それに案内役がいると言うのは非常に心強い。この世界の事を知らない以上、闇雲に旅に出ては迷うだけだ。
「俺の名前は優月 輪だ 改めてよろしく頼むチルト・ビットルート」
「わかればいいんだよ! あと長いから『チビ』か『チビル』以外で呼べよ なるべくカッコいいヤツで」
「わかった 『チビ助』」
「絶対許さね!」
結局妥協してチビルになった。
「太陽都市の殲滅作戦は失敗ですかイ?」
リンが旅の準備を始めている頃、魔王軍は今回のサンサイドでの出来事を話す。
「そのようだな」
玉座に座る男に、黒フードの男が報告していた。
「何を他人事のように言っている 元はと言えばあそこに攻めるべきは今だと言ったのはお前ではないか?」
「イイじゃんイイじゃん『アイン』だって何かの考えがあったんだろうし」
玉座に座る男の横には二人の男が立っていた。
一人は真面目に、もう一人は反対に軽い男だった。
「だったらその理由を聞かせてもらおうか『アイン』何を思って太陽都市の殲滅作戦を実行したのか」
「殲滅するために攻めたんじゃないヨ~」
「何?」
「聖剣使い」
その一言で場は静まり返る。約100年前の戦争、悪魔は関わっていなかったが、その戦いは魔界にも伝わっていた。
その戦いの生き残り、生きた伝説。竜王とまで言われる『リン・ド・ヴルム』だった。
「いるヨ~」
「……何故それをお前は知っていた?」
「そんな情報を小耳に挟んだものデ その真意を確かめるために攻めたのサ」
「そうだとしても何故それを早く伝えない」
「確かな情報でもないのに本当のことは言えないヨ~」
「だとしても……」
「やめろ『ドライ』」
そう言ったのは玉座に座る男だった。
「申し訳ございません『魔王様』」
「ただ失敗したのであれば処分していたが……聖剣使いがいるとのことなら話は別だ」
「へ~あの聖剣使いがね~生きてるって噂しか聞いたことないな~」
「何を呑気に言っている『ツヴァイ』 聖剣使いが戻ってきたのであれば今までの戦いの様にいかなくなるのだぞ」
「騒ぐなドライ 例え聖剣使いが戻って来ても我々の勝利は変わらない」
「そうそう! 気にしすぎだって!」
「魔王様がそうおっしゃるのなら…….」
「だがドライの意見ももっともだ あちらの戦力が増えた以上迂闊には手を出せん」
「刺客を送り込むのはいかがかナ?」
アインが口を開く。
「刺客を送り込んで力量を測ればイイ そこで死ねばラッキー 倒せなくても強さはわかル」
「いかがなさいましょう魔王様」
「それで構わん やれ」
「仰せのままニ」
そう言うとアインは闇に溶けるように消えていく。
「よろしいのですか?」
「何があろうと我ら魔王軍が負けるわけがない」
「おっしゃる通りで」
「もう~ドライは頭固すぎぃ~ もっと力抜いていこうよ~」
「お前はもう少し考えるべきだがな」
「オレ苦手なんだよね~」
(聖剣使いか……早めに手は打っておきたいな)
魔王にもサンサイドでの出来事は耳にしていた。
少しでも可能性があるのなら排除する。
魔王は絶対に油断しない。
(聖剣使い……伝説の聖剣の力を振るう者か)
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