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大海の海賊たち
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「ここに居たか レイ」
バンッという、銃声がした。
船の外で見つけたレイに声をかけた瞬間、弾丸が頰を掠めるギリギリに放たれたのだ。
「チッ! 外したか」
「今の本気だった気がしたんだが」
「本気だ」
ヤバイ目が本気だ。殺気まで放っている。ここまで人に殺意を向けられるのは生まれて初めてだ。
「まあ待て落ち着け 先にグールの船で助けてもらったことに対して謝らせてくれ」
「あっ! 黙っててって言ったのに姉ちゃん言いやがったな!」
「看病してくれたこともな」
「アアアアッ! オレは何でそんな事しちまったんだアァァ!」
助けなければよかったと、後悔でレイは悶絶している。この反応を見る限りどうやらクレアが言っていたことら本当だったようだ。
「とにかく面倒かけたな すまん」
「勘違いすんな! 部外者が出しゃばってたからその尻拭いしてやっただけだ!」
「面倒見がいいんだな」
「あああぁぁあうるさいうるさい!」
何だかこちらが優勢になった気がする。この反応を見ているのも悪い気もしないが、これ以上は反撃されかねないので少し惜しいがそろそろやめよう。
「そういうことだから俺にできることがあったら言ってくれ 力になりたい」
「教えろ!」
「え?」
顔を真っ赤にしながらレイはそう答えた、突然のその言葉に驚く。
一体何のことだろうか。
「これから質問することに答えろ! それでチャラにしてやってもいい!」
「よくわからんが答えられる範囲で答えよう」
意外な反応に少し戸惑うがそういうことならか答えないわけにもいかない。
さて、一体どんな質問なのだろうか。
「お前……姉ちゃんとどこまでいった?」
「……は?」
「だから! どこまでいったんだって聞いてんだ!」
何ともくだらない質問が飛んできた。そういえばブラコン……ではなくシスコンだった。
「別にクレアとは何とも……」
「本名だと!?」
「クレアがそう言えって言ったんだ 別にいいだろ」
「よくない! テメェオレが言った掟忘れたか!?」
「『無断で兄ちゃんに近づくな』だったか?」
「そうだ!」
「でも『兄ちゃん』じゃなく『姉ちゃん』だからセーフだろ」
「アウトだアウト! そんな屁理屈通用するか!」
「海賊の掟は絶対なんだろ?」
「ぐぬぬぬ……」
どんどん言い返せなくなってくる姿が何とも言えない愉悦を感じてしまう。最初はめんどくさいやつと思っていたが、こうして話してみれば、なかなかレイの反応は楽しい。
「ちくしょー! お前なんて大っ嫌いだ!」
「俺は結構気に入ったぞ?」
「うるさいうるさい!」
少しだけ、お互いの壁が無くなった気がした。
だがこうしている間にも、魔王軍は動いていた。
「お前の計画は順調か?」
「どうですかネ」
魔王はアインの動きについて尋ねるが、肝心のアインははぐらかしている。
「フンッ! お前の考えた作戦なんてどうせロクでもないことでしょう?」
「まあまあドライ アインの作戦が上手くいくかどうかはオレたちにはどうでも良いことだろ? 結果は変わらないんだしさ」
帰還したアインは魔王達へ一通りの報告を終えるが、ドライはアインへの辛辣な態度は酷くなった。
「計画は完璧に行わなければどこでほころびが生まれるかはわかりません 聖剣使いというイレギュラーな存在には早急に退場してもらわなければ困る」
「さすがは『軍士ドライ』さんダ 私とは考えてることが違いますナ」
「お前に言われると吐き気がする」
「もう! ドライはそんなアインに冷たくしないの」
「ツヴァイはもう少し考えてくれますか? 我々が行おうとしていることはそう簡単にできることではないのだと」
「確かにそうかもしれないけどあと少しじゃないか~」
「あと少しだからこそ 慎重に物事を進めなくてはならないんですよ」
「あたま硬い~」
「うるさい!」
「見苦しいぞツヴァイ ドライ」
「そんな……魔王様まで……」
「サテサテ 嫌われ者はさっさと退場しますヨ」
そう言うとアインは影の中に消えていく。そもそもの原因はアインから始まったのだが、さっさと消えてしまった。
「あいつはまた勝手に……」
「放っておけ 我々の弊害にならないのであればな」
「アインは信用ないなー」
「当たり前だ」
(さあ聖剣使い お手並み拝見といこうか)
魔王は怪しく微笑む。あくまでも第三者の視点を崩さず、まるで試合を観戦するかのように、これからの活躍を楽しんでいた。
「もうすぐ日が昇りそうだな 中に戻ろうか」
魔王達が何を企んでいるのかを、当然知らないリンは今目の前の事でいっぱいである。
たった一人の女の子一人、満足に相手をする事も出来ていないのだから。
「勝手に決めんな! ったく! 夜風に当たりたかったのに台無しじゃねえか」
「そいつは残念だったな~レイ」
居るはずのない声に、呼び止められる。
「!?」
「お前は!?」
後ろから聞こえた声の主人はエドだった。
思わず目を疑った。何故ならあの大火傷だ、幾ら何でも回復が早すぎる。
「テメェ……なんで!?」
「ん~? オレ様はただここに囚われたままの部下達を助けに来ただけだぜ~?」
「そうじゃねえ! なんでテメェがここに来れる!?
お前は全身火傷で動けないはずだ! それにどうやって乗り込めた!?」
「海を泳いできただけだぜ?」
「笑えないジョークだな」
「本当だからな」
様子がおかしい。得体の知れない余裕に恐怖を感じさせる。何かを企んでいるのは間違いない。
「さ~て 渡してもらおうか? 俺の部下を」
「海賊なら奪えばいいだろ いつからそんな交渉人になったんだ」
「その通りだぜ! 欲しいなら奪ってみせな!」
「そうか……シカタナイナ」
「!? 伏せろ! レイ!」
「え? おわ!?」
突如エドから放たれた白い『何か』を、リン達は咄嗟に躱した。
バンッという、銃声がした。
船の外で見つけたレイに声をかけた瞬間、弾丸が頰を掠めるギリギリに放たれたのだ。
「チッ! 外したか」
「今の本気だった気がしたんだが」
「本気だ」
ヤバイ目が本気だ。殺気まで放っている。ここまで人に殺意を向けられるのは生まれて初めてだ。
「まあ待て落ち着け 先にグールの船で助けてもらったことに対して謝らせてくれ」
「あっ! 黙っててって言ったのに姉ちゃん言いやがったな!」
「看病してくれたこともな」
「アアアアッ! オレは何でそんな事しちまったんだアァァ!」
助けなければよかったと、後悔でレイは悶絶している。この反応を見る限りどうやらクレアが言っていたことら本当だったようだ。
「とにかく面倒かけたな すまん」
「勘違いすんな! 部外者が出しゃばってたからその尻拭いしてやっただけだ!」
「面倒見がいいんだな」
「あああぁぁあうるさいうるさい!」
何だかこちらが優勢になった気がする。この反応を見ているのも悪い気もしないが、これ以上は反撃されかねないので少し惜しいがそろそろやめよう。
「そういうことだから俺にできることがあったら言ってくれ 力になりたい」
「教えろ!」
「え?」
顔を真っ赤にしながらレイはそう答えた、突然のその言葉に驚く。
一体何のことだろうか。
「これから質問することに答えろ! それでチャラにしてやってもいい!」
「よくわからんが答えられる範囲で答えよう」
意外な反応に少し戸惑うがそういうことならか答えないわけにもいかない。
さて、一体どんな質問なのだろうか。
「お前……姉ちゃんとどこまでいった?」
「……は?」
「だから! どこまでいったんだって聞いてんだ!」
何ともくだらない質問が飛んできた。そういえばブラコン……ではなくシスコンだった。
「別にクレアとは何とも……」
「本名だと!?」
「クレアがそう言えって言ったんだ 別にいいだろ」
「よくない! テメェオレが言った掟忘れたか!?」
「『無断で兄ちゃんに近づくな』だったか?」
「そうだ!」
「でも『兄ちゃん』じゃなく『姉ちゃん』だからセーフだろ」
「アウトだアウト! そんな屁理屈通用するか!」
「海賊の掟は絶対なんだろ?」
「ぐぬぬぬ……」
どんどん言い返せなくなってくる姿が何とも言えない愉悦を感じてしまう。最初はめんどくさいやつと思っていたが、こうして話してみれば、なかなかレイの反応は楽しい。
「ちくしょー! お前なんて大っ嫌いだ!」
「俺は結構気に入ったぞ?」
「うるさいうるさい!」
少しだけ、お互いの壁が無くなった気がした。
だがこうしている間にも、魔王軍は動いていた。
「お前の計画は順調か?」
「どうですかネ」
魔王はアインの動きについて尋ねるが、肝心のアインははぐらかしている。
「フンッ! お前の考えた作戦なんてどうせロクでもないことでしょう?」
「まあまあドライ アインの作戦が上手くいくかどうかはオレたちにはどうでも良いことだろ? 結果は変わらないんだしさ」
帰還したアインは魔王達へ一通りの報告を終えるが、ドライはアインへの辛辣な態度は酷くなった。
「計画は完璧に行わなければどこでほころびが生まれるかはわかりません 聖剣使いというイレギュラーな存在には早急に退場してもらわなければ困る」
「さすがは『軍士ドライ』さんダ 私とは考えてることが違いますナ」
「お前に言われると吐き気がする」
「もう! ドライはそんなアインに冷たくしないの」
「ツヴァイはもう少し考えてくれますか? 我々が行おうとしていることはそう簡単にできることではないのだと」
「確かにそうかもしれないけどあと少しじゃないか~」
「あと少しだからこそ 慎重に物事を進めなくてはならないんですよ」
「あたま硬い~」
「うるさい!」
「見苦しいぞツヴァイ ドライ」
「そんな……魔王様まで……」
「サテサテ 嫌われ者はさっさと退場しますヨ」
そう言うとアインは影の中に消えていく。そもそもの原因はアインから始まったのだが、さっさと消えてしまった。
「あいつはまた勝手に……」
「放っておけ 我々の弊害にならないのであればな」
「アインは信用ないなー」
「当たり前だ」
(さあ聖剣使い お手並み拝見といこうか)
魔王は怪しく微笑む。あくまでも第三者の視点を崩さず、まるで試合を観戦するかのように、これからの活躍を楽しんでいた。
「もうすぐ日が昇りそうだな 中に戻ろうか」
魔王達が何を企んでいるのかを、当然知らないリンは今目の前の事でいっぱいである。
たった一人の女の子一人、満足に相手をする事も出来ていないのだから。
「勝手に決めんな! ったく! 夜風に当たりたかったのに台無しじゃねえか」
「そいつは残念だったな~レイ」
居るはずのない声に、呼び止められる。
「!?」
「お前は!?」
後ろから聞こえた声の主人はエドだった。
思わず目を疑った。何故ならあの大火傷だ、幾ら何でも回復が早すぎる。
「テメェ……なんで!?」
「ん~? オレ様はただここに囚われたままの部下達を助けに来ただけだぜ~?」
「そうじゃねえ! なんでテメェがここに来れる!?
お前は全身火傷で動けないはずだ! それにどうやって乗り込めた!?」
「海を泳いできただけだぜ?」
「笑えないジョークだな」
「本当だからな」
様子がおかしい。得体の知れない余裕に恐怖を感じさせる。何かを企んでいるのは間違いない。
「さ~て 渡してもらおうか? 俺の部下を」
「海賊なら奪えばいいだろ いつからそんな交渉人になったんだ」
「その通りだぜ! 欲しいなら奪ってみせな!」
「そうか……シカタナイナ」
「!? 伏せろ! レイ!」
「え? おわ!?」
突如エドから放たれた白い『何か』を、リン達は咄嗟に躱した。
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