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より強くなるために
実行
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押し寄せる木の魔物を倒し、その先の神社に辿り着いたリン。
「やはりお前らだったか……魔王軍」
階段を駆け上がった先にいた人物。それはリンの知る敵だった。
「やぁやぁお久しぶりだネ」
「アイン……!」
フードで顔を隠したその黒いローブ姿には見覚えがある。
魔王三銃士の一人、『奇術師アイン』だった。
「まずは第一ステージおめでとうサン! っと言ってもキミ一人の力じゃあなかったみたいだけド」
「なんだ? 協力プレイ専用じゃあなかったのか?」
「残念ながらあのオジサンには興味なくてネ 実力が見たいのはキミだけサ」
勝手な事をしておきながら、リンに対して不満を言うアイン。当然リンにとって不快でしかない。
「ツヴァイの次はお前が相手ってわけだ それともお喋りしたかっただけのかまってちゃんか?」
「ン~? お喋りだけってのも良いけド」
手をヒラヒラさせて自分は無害だとでも言うように主張しているが、当然そんな事はあり得ない。
「聞きたいことがあるのは山々だがな お前の相手をしてると頭が痛くなる」
「エ~!? 酷いヨ~!」
「心にも思ってない事を口に出すなよ 余計にムカつく」
「まあしょうがないカ 階段を守ってるオジサンが気になるんだネ」
「それだけじゃあない こうしている間にも町に魔物が増えている筈だ」
「言い切ったネ でもその通りサ もう成長は止められない」
「成長…….?」
するとアインの背後から、突如として巨大な木が地面から現れる。
驚いてるリンを、問答無用でその木はツタでリンを攻撃する。リンは躱すが、地面から生えたツタが足に絡んできた。
大木から放たれた葉の刃が、リンを仕留める為に飛んでくる。リンは足下のツタを切り、なんとか回避する。
その木を睨むとツタがまるで意思を持つかの様に、ウネウネと動いていた。
「まさか……そいつは!?」
「見るが良い聖剣使い 人間への憎悪より生まれた醜き魔人の末路」
比喩ではなく、アレには『意思』がある。
そしてこの地で『木』に関する敵とら言えば心当たりは一つのみ。
「自己紹介を代わりにしてあげよう 哀れにもかつては神木として崇められ 時の流れとともに最後には切り倒される事となってしまった……『魔人 木鬼』だ」
レイが倒したと言っていた魔王軍の斥候、それが今再び、言葉を発する事の無い木の怪物になり果ててリンの前に姿を現す。
「お前はそうやって……怪物作りが趣味なのか?」
「ハッハッハ! 今回はよくできてるダロ? そしてもう一度仲間へチャンスを与えてあげる優しさに感動しタァ?」
「そういうのは休ませてやる方が優しさなんだよ」
「やりたくなったらすぐ実行ってネ 会心の出来で満足したヨ」
リンの刀を握る手に力が入る。あの悪意の塊を、このまま野放しにはしておけないと。
「それじゃあそろそろお暇させて頂くヨ ガンバッテ倒してみたまエ」
「こんだけ散らかしたんだ 後片付けぐらいしていきな」
「そうさせて頂くヨ でもそれは木鬼に任せるがネ」
「コイツを持って帰れって……言ってんだよ!」
アインに斬りかかるが、影の中へ消えて躱される。
リンは辺りを見渡すと、木鬼の枝の上に立っていた。
「さぁ思う存分 どんどん邪魔な人間を片付けてナ」
それに応えるかの様に木鬼は太い枝をリンに叩きつけた。
大ぶりな為、回避は簡単だったが、叩きつけられた場所を見るとその破壊力が理解できる。
「当たればひとたまりもないか……」
「最後に良いことを教えてあげるヨ コイツは火に弱いンダ」
「見ればわかる」
「火の聖剣を使えば一発で消し飛ぶサ だけど……」
顔が見えないのに、不敵な笑みを浮かべているのがわかる。
「コイツの根はネ 山の隅々まで根付いてル 燃えたが最後……山が全焼しちゃうだろうネ」
「なっ……!?」
「それだけじゃあないんダナ 当然町にも根っこが届いてル 山火事だけじゃなくて町に火の海も発生テネ」
リンは理解した。木の魔物が町に現れたのは人を襲う為ではなく、木を根付かせる為の準備だったのだと。
「良かったネ~ 聖剣を出せなくテ」
(やっぱりコイツはその事も……!)
「それじゃあバイバイ」
最後まで聞かずにアインは影へと消えた。
「教わったのは……対人戦だけなんだけどな」
愚痴をこぼしても意味はなかったが、リンはこぼさずにはいられなかった。
リンは刀を構え敵を見据える。負ける気など、毛頭無い。
「こいよ木偶の坊 燃やせないなら根っこから引き抜くだけだ」
言葉が届いたのか、木鬼は枝を槍の様に変化して突き立てる。
目の前の巨木だけに集中したいところではあるが、そうも言ってられない。
何故なら下からの攻撃にも注意を払う必要があるからだ。
(エドの時は聖剣も船の大砲もあった……今回ばかりは自力でやれってか!)
叩きつけられる木の鞭と槌、そして槍は、休む事なくリンに襲いかかる。
(親玉がいるのは予想してたが……対策なんて何一つないぞ畜生!)
たとえ今火の聖剣があったとしても、焼いてしまえばそれが山だけでなく、町にまで広がると言われてしまった。
リンの望みは絶たれてしまったのだ。
「こんな事ならムロウの方が勝ち目あったろうな」
今のリンには倒す手段が無い。相性が悪過ぎた。
「せっかく修行してもこれじゃあお手上げだ……地獄から蘇って正解だったな」
理性があるのかわからないその巨木に話しかけてみるが、当然反応は帰ってこない。
その答えの代わりか攻撃は更に激しくなり、再び地面から小鬼姿の木の魔物が出現し始める。
「おいおい……ここにきて追い討ちは勘弁してくれよな お仲間呼ばれたら俺一人じゃあどうしょうもないだろ」
そんな事知った事かとばかりに木鬼の攻撃とその子分共は、リンを潰しにかかる。
そして遂に木鬼の一撃が、リンを吹き飛ばした。
「ぐっ!」
吹き飛ばされた先は階段、そのまま落ちれば当然ひとたまりもない。
そのまま階段から転げ落ちる覚悟を決めたその時だった。
「大丈夫ですかアニキ!?」
「…… 遅いぜ馬鹿野郎」
吹き飛ばされたところを、到着したレイによって助けられる。
そしてこの瞬間。リンは決めた。
一人で勝ち目がないというなら、ムロウに言われた通り、『仲間を頼る』しかない。
「さてと……反撃開始といこうか」
仲間を加えてもう一度、あの怪物退治を始める。
ムロウに言われた事を早速実行してみる事にしたのだ。
「やはりお前らだったか……魔王軍」
階段を駆け上がった先にいた人物。それはリンの知る敵だった。
「やぁやぁお久しぶりだネ」
「アイン……!」
フードで顔を隠したその黒いローブ姿には見覚えがある。
魔王三銃士の一人、『奇術師アイン』だった。
「まずは第一ステージおめでとうサン! っと言ってもキミ一人の力じゃあなかったみたいだけド」
「なんだ? 協力プレイ専用じゃあなかったのか?」
「残念ながらあのオジサンには興味なくてネ 実力が見たいのはキミだけサ」
勝手な事をしておきながら、リンに対して不満を言うアイン。当然リンにとって不快でしかない。
「ツヴァイの次はお前が相手ってわけだ それともお喋りしたかっただけのかまってちゃんか?」
「ン~? お喋りだけってのも良いけド」
手をヒラヒラさせて自分は無害だとでも言うように主張しているが、当然そんな事はあり得ない。
「聞きたいことがあるのは山々だがな お前の相手をしてると頭が痛くなる」
「エ~!? 酷いヨ~!」
「心にも思ってない事を口に出すなよ 余計にムカつく」
「まあしょうがないカ 階段を守ってるオジサンが気になるんだネ」
「それだけじゃあない こうしている間にも町に魔物が増えている筈だ」
「言い切ったネ でもその通りサ もう成長は止められない」
「成長…….?」
するとアインの背後から、突如として巨大な木が地面から現れる。
驚いてるリンを、問答無用でその木はツタでリンを攻撃する。リンは躱すが、地面から生えたツタが足に絡んできた。
大木から放たれた葉の刃が、リンを仕留める為に飛んでくる。リンは足下のツタを切り、なんとか回避する。
その木を睨むとツタがまるで意思を持つかの様に、ウネウネと動いていた。
「まさか……そいつは!?」
「見るが良い聖剣使い 人間への憎悪より生まれた醜き魔人の末路」
比喩ではなく、アレには『意思』がある。
そしてこの地で『木』に関する敵とら言えば心当たりは一つのみ。
「自己紹介を代わりにしてあげよう 哀れにもかつては神木として崇められ 時の流れとともに最後には切り倒される事となってしまった……『魔人 木鬼』だ」
レイが倒したと言っていた魔王軍の斥候、それが今再び、言葉を発する事の無い木の怪物になり果ててリンの前に姿を現す。
「お前はそうやって……怪物作りが趣味なのか?」
「ハッハッハ! 今回はよくできてるダロ? そしてもう一度仲間へチャンスを与えてあげる優しさに感動しタァ?」
「そういうのは休ませてやる方が優しさなんだよ」
「やりたくなったらすぐ実行ってネ 会心の出来で満足したヨ」
リンの刀を握る手に力が入る。あの悪意の塊を、このまま野放しにはしておけないと。
「それじゃあそろそろお暇させて頂くヨ ガンバッテ倒してみたまエ」
「こんだけ散らかしたんだ 後片付けぐらいしていきな」
「そうさせて頂くヨ でもそれは木鬼に任せるがネ」
「コイツを持って帰れって……言ってんだよ!」
アインに斬りかかるが、影の中へ消えて躱される。
リンは辺りを見渡すと、木鬼の枝の上に立っていた。
「さぁ思う存分 どんどん邪魔な人間を片付けてナ」
それに応えるかの様に木鬼は太い枝をリンに叩きつけた。
大ぶりな為、回避は簡単だったが、叩きつけられた場所を見るとその破壊力が理解できる。
「当たればひとたまりもないか……」
「最後に良いことを教えてあげるヨ コイツは火に弱いンダ」
「見ればわかる」
「火の聖剣を使えば一発で消し飛ぶサ だけど……」
顔が見えないのに、不敵な笑みを浮かべているのがわかる。
「コイツの根はネ 山の隅々まで根付いてル 燃えたが最後……山が全焼しちゃうだろうネ」
「なっ……!?」
「それだけじゃあないんダナ 当然町にも根っこが届いてル 山火事だけじゃなくて町に火の海も発生テネ」
リンは理解した。木の魔物が町に現れたのは人を襲う為ではなく、木を根付かせる為の準備だったのだと。
「良かったネ~ 聖剣を出せなくテ」
(やっぱりコイツはその事も……!)
「それじゃあバイバイ」
最後まで聞かずにアインは影へと消えた。
「教わったのは……対人戦だけなんだけどな」
愚痴をこぼしても意味はなかったが、リンはこぼさずにはいられなかった。
リンは刀を構え敵を見据える。負ける気など、毛頭無い。
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言葉が届いたのか、木鬼は枝を槍の様に変化して突き立てる。
目の前の巨木だけに集中したいところではあるが、そうも言ってられない。
何故なら下からの攻撃にも注意を払う必要があるからだ。
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たとえ今火の聖剣があったとしても、焼いてしまえばそれが山だけでなく、町にまで広がると言われてしまった。
リンの望みは絶たれてしまったのだ。
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理性があるのかわからないその巨木に話しかけてみるが、当然反応は帰ってこない。
その答えの代わりか攻撃は更に激しくなり、再び地面から小鬼姿の木の魔物が出現し始める。
「おいおい……ここにきて追い討ちは勘弁してくれよな お仲間呼ばれたら俺一人じゃあどうしょうもないだろ」
そんな事知った事かとばかりに木鬼の攻撃とその子分共は、リンを潰しにかかる。
そして遂に木鬼の一撃が、リンを吹き飛ばした。
「ぐっ!」
吹き飛ばされた先は階段、そのまま落ちれば当然ひとたまりもない。
そのまま階段から転げ落ちる覚悟を決めたその時だった。
「大丈夫ですかアニキ!?」
「…… 遅いぜ馬鹿野郎」
吹き飛ばされたところを、到着したレイによって助けられる。
そしてこの瞬間。リンは決めた。
一人で勝ち目がないというなら、ムロウに言われた通り、『仲間を頼る』しかない。
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