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より強くなるために
仲間を
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「これで二対一だ 勝機はある」
「アニキ! それは相手が人型の時に限ると思います!」
「ああ 言ってて俺も思ったよ」
そうでも言ってないとやってられないと、リンは思ったため言ってみたものの、たいして効果は無かった。
それもその筈である。相手は巨大な木の姿をした怪物で、嫌でもリンの視界に入って現実に戻されるからだ。
レイが加わってくれたとはいえ、それだけでは状況は変わらない。
襲いかかる木鬼の木の鞭に、木鬼が作り出した魔物が、二人を襲う。
レイは鞭を撃ち落とし、そこを狙う魔物をリンが斬り伏せる。お互いを知っているからこそとれる連携だった。
「まあオレに任せてくださいよ! こっちには秘密兵器が……」
「火炎放射器は駄目だぞ」
「え?」
「ヤツを燃やすと根っこがこの山だけじゃなくて 町にも火の手がまわるんだとよ 対策は万全ってことさ」
「えぇ……」
あからさまにテンションダウンのレイ。お手上げのリンも同じ気持ちだ。
「まあそういう事なら……燃やさずブッ飛ばしましょう!」
そしてなかった事にして別の戦い方に切り替える。
「どうやって?」
「ロケランがあります!」
そう言ってレイはリンの答えも聞かず、ロケットランチャーを取り出すとすぐに発射した。
「ちょっとは躊躇してから撃ってくれ……」
「でもでも見てくださいよアニキ! ちゃんと効いてますよ!」
考え無しな方法にリンは頭を抱えるが、意外にもこの方法が効いていた。
撃たれた部位は再生するかと思っていた。実際に再生を始めている。
だが、その再生速度は非常に遅い。
「よ~しプランBですね! ガンガンいきますよ~!」
「弾切れの前に息切れしないだろうな」
「大丈夫っす! 城からここまで敵を倒しながら走ってきましたけど息切れ一つしてないんで!」
「凄まじいな」
「アニキの為なら……いくらでも走れますぜ!」
「おっおう……」
レイのとても眩しい笑顔とサムズアップで返され、その体力お化けっぷりに感心すると同時に、引いた(色々含め)。
「ってことで! 方針は決まったんで後はブッ放すだけ……」
そう言って今度はガトリングを出そうとするレイ。しかし、それは阻まれた。
前方から木の鞭が、地面からは木の槍がレイを襲う。
木の鞭はリンがなんとか斬り伏せ、木の槍は咄嗟に躱すことができたレイだったが、せっかく取り出したガトリングは破壊されてしまった。
「んの野郎! これ作るのに時間かかるんだぞチクショー!」
「どうやら考える頭はあるようだな……どこが頭かしらんが」
「もしかしてそこ潰せばこの木大人しくなるんじゃあないですか?」
「あればの話になるがな 木鬼に使ったて言う除草弾 まだ残ってるのか?」
「一発だけならまだ……」
「核があるとすればこいつの外殻を被っぺ返したところだろう 砕いた後に撃ち込めれば再生しない……ってのはコイツで証明済みなんだろ?」
「えぇ!? アレ木鬼なんですか!?」
「今更かよ!」
思わずリンはツッコンでしまった。
そんな事をしている間に更に攻撃は激しくなる。
最初よりも動きにキレがあり、おまけに魔物が湧き始める。
「数でも負けたな」
「量より質ですよ! オレとアニキがいりゃあ大丈夫なんとかなります!」
そうは言うが押され始めているこの状況を、二人で覆す事はできない。
今は少ないが、これから魔物の増殖が始まる事をリンは察しているからだ。
万事休す、といったそんな時だった。
「そこに私も加われば向かうとこ敵無しってことかしら?」
「「シオン!」」
ここで遅れてやってきたシオンが参戦する。
今この場において、リン達にとって最も心強い増援であった。
「おっせーよ! 先に着いちまったじゃあねえか!」
「アナタが早すぎるのよ……」
よく見ると額には汗が、そして若干肩で息をしているのがわかる。
「リンがここにいるって言うや否やレイったら物凄い勢いでここまで走り始めちゃって……湧いてた魔物を蹴散らしながらね」
「だって~アニキが心配で心配で~」
「そうかわかったありがとな」
急にモジモジし始めたレイをリンはを軽く流す。流石にリンもレイの事はもう慣れていた。
目標をシオンに変えて魔物が襲いかかる。シオンは背中に携えた大振りの剣を握り、一気に振るった。
斬れ味で斬るというよりも、叩き斬るといった表現の方が正しい。その一撃で一斉に向かってきた魔物は全て斬り伏せた。
「さあてコイツが魔物の元凶ね」
「そうだ そして燃やすとカザネ中にその火が広がるおまけ付きだ」
「あらら……随分対策されてたものね」
「今やったみたいにあの木も斬れねえの?」
「いや太さが違うでしょうが」
たった一人。されど一人増えただけで、リンには余裕が生まれた。
それは手数が増えたからだとか、相手の攻撃先が分散したからだとか、そういった事ではない
それがムロウの言っていた頼れる仲間がいるという事だった。
(一緒に戦える……それだけでこうも違うのか……)
今まで一人で何とかしようと考えていた。それが良いのだと。
でもそれでは、どうにもならない事があると教えられた。
「いくぞレイ……シオン 俺達はこんなところで道草を食ってる場合じゃあないからな」
「了解!」
「任せなさいな」
心強い返事を聞いてリンは自分でも気づかぬうちに、笑みが溢れていた。
「けどどうするの? ただ斬るのも意味はないだろうし私が使える魔法は水の魔法だけ……」
「むしろ好都合だ」
「え?」
「そうか! 燃え広がる前にシオンが消火すれば……」
「それだけじゃあ火の手が回る速度に間に合わない」
木鬼の攻撃を避けながら作戦を立てる。今この三人でできる事を、それぞれが出し合う。
「だからコイツには先に水を吸ってもらう たっぷりとな そうすれば逆に燃えにくくなる」
「その状態なら燃え広がる速度は遅くなる……それなら被害が出る前に鎮火させられるかも」
「って事は今度こそオレの火炎放射器の出番っすね! 文字通りオレの火炎放射器が火を吹くぜ!」
「火力が足りるのならな」
確かに今の木鬼なら燃やす事は容易いであろうが、水に浸すとなればそうはいかない。
十分に水を吸わせた木を燃やすのは、とても燃えにくくなる。
(火の聖剣が使えれば問題解決なんだが)
水に浸して燃えにくくし、その状態でおそらく核があるであろう木の幹あたりを砕いて、発見次第その場所に除草弾を撃ち込む。
最後に大木丸ごと焼ける程度の火力が欲しかったが、今のリンにはその手段が失われていた。
「チッ! 何でこういう時に使えないんだこの力は!」
溜まっていた不満が爆発してつい口に出してしまうリン。
「……まてよ?」
リンの中の些細な疑問だった。
「シオン 確か俺には『魔力』があるんだよな?」
「ええそうよ 離れててもそれを辿って見つけたりとかできるもの」
「今もなんだよな?」
つまりそれは聖剣を出せないだけで『賢者の石は機能している』事を意味していた。
「シオン! コイツに水の魔法をぶつけてくれ! 俺との契約を繋いだ状態でだ!」
「契約を繋げて……?」
契約の力によって、離れていても魔力を感知したり、会話をしたりする事ができる。
視界、そして感覚の共有も可能とする。
「じゃあ早速……やってみましょうかぁ!」
シオンは両手に水の力を溜め、前方に勢いよく放つ。湧いて出た魔物が壁となるが、そのまま一気に流し込む。
「こんなものかしら?」
(今の魔力を使う感覚を焼き付けろ……聖剣が出せなくとも魔力があるのなら!)
魔法を使いたい。聖剣を使わずに。
今まで聖剣を出している間にしか出せなかったが、魔力があるのなら使える筈だと。
(身体が熱い……この感覚は修行の時にもあった)
心を落ち着かせて、頭の中でイメージする。
(どうすれば……どうするのが一番上手く魔法を使える?)
「アニキ危ない!」
魔法を使う事に気を取られすぎて、リンは攻撃の反応が遅れてしまう。
リンは回避する事が出来なかったが、レイが突き飛ばしたおかげで防ぐ事が出来た。
「大丈夫ですかアニキ」
「悪い助かった」
「えへへほめてもらっちゃった」
「二人とも避けて!」
体制を崩した二人に木鬼は見逃さず追撃を仕掛けた。躱すよりも、もはや迎撃にしか期待できない。
(俺にはもうこれしか無い……魔法がなくとも今はこれでしか守れない!)
刀に力を込める。
二人を貫こうとする木の槍は今までよりも太く、ただ斬るだけでは防げる気がしない。
(ああ……アイツみたいに魔法が使えれば)
イメージが決まった。
宿す力は水では無く火。纏わせるは風では無く炎。
刀を振るい木の槍を斬り伏せる。
本来であればそこで終わる筈だったが、切り口は木っ端微塵に爆発した。
「アニキ! それは相手が人型の時に限ると思います!」
「ああ 言ってて俺も思ったよ」
そうでも言ってないとやってられないと、リンは思ったため言ってみたものの、たいして効果は無かった。
それもその筈である。相手は巨大な木の姿をした怪物で、嫌でもリンの視界に入って現実に戻されるからだ。
レイが加わってくれたとはいえ、それだけでは状況は変わらない。
襲いかかる木鬼の木の鞭に、木鬼が作り出した魔物が、二人を襲う。
レイは鞭を撃ち落とし、そこを狙う魔物をリンが斬り伏せる。お互いを知っているからこそとれる連携だった。
「まあオレに任せてくださいよ! こっちには秘密兵器が……」
「火炎放射器は駄目だぞ」
「え?」
「ヤツを燃やすと根っこがこの山だけじゃなくて 町にも火の手がまわるんだとよ 対策は万全ってことさ」
「えぇ……」
あからさまにテンションダウンのレイ。お手上げのリンも同じ気持ちだ。
「まあそういう事なら……燃やさずブッ飛ばしましょう!」
そしてなかった事にして別の戦い方に切り替える。
「どうやって?」
「ロケランがあります!」
そう言ってレイはリンの答えも聞かず、ロケットランチャーを取り出すとすぐに発射した。
「ちょっとは躊躇してから撃ってくれ……」
「でもでも見てくださいよアニキ! ちゃんと効いてますよ!」
考え無しな方法にリンは頭を抱えるが、意外にもこの方法が効いていた。
撃たれた部位は再生するかと思っていた。実際に再生を始めている。
だが、その再生速度は非常に遅い。
「よ~しプランBですね! ガンガンいきますよ~!」
「弾切れの前に息切れしないだろうな」
「大丈夫っす! 城からここまで敵を倒しながら走ってきましたけど息切れ一つしてないんで!」
「凄まじいな」
「アニキの為なら……いくらでも走れますぜ!」
「おっおう……」
レイのとても眩しい笑顔とサムズアップで返され、その体力お化けっぷりに感心すると同時に、引いた(色々含め)。
「ってことで! 方針は決まったんで後はブッ放すだけ……」
そう言って今度はガトリングを出そうとするレイ。しかし、それは阻まれた。
前方から木の鞭が、地面からは木の槍がレイを襲う。
木の鞭はリンがなんとか斬り伏せ、木の槍は咄嗟に躱すことができたレイだったが、せっかく取り出したガトリングは破壊されてしまった。
「んの野郎! これ作るのに時間かかるんだぞチクショー!」
「どうやら考える頭はあるようだな……どこが頭かしらんが」
「もしかしてそこ潰せばこの木大人しくなるんじゃあないですか?」
「あればの話になるがな 木鬼に使ったて言う除草弾 まだ残ってるのか?」
「一発だけならまだ……」
「核があるとすればこいつの外殻を被っぺ返したところだろう 砕いた後に撃ち込めれば再生しない……ってのはコイツで証明済みなんだろ?」
「えぇ!? アレ木鬼なんですか!?」
「今更かよ!」
思わずリンはツッコンでしまった。
そんな事をしている間に更に攻撃は激しくなる。
最初よりも動きにキレがあり、おまけに魔物が湧き始める。
「数でも負けたな」
「量より質ですよ! オレとアニキがいりゃあ大丈夫なんとかなります!」
そうは言うが押され始めているこの状況を、二人で覆す事はできない。
今は少ないが、これから魔物の増殖が始まる事をリンは察しているからだ。
万事休す、といったそんな時だった。
「そこに私も加われば向かうとこ敵無しってことかしら?」
「「シオン!」」
ここで遅れてやってきたシオンが参戦する。
今この場において、リン達にとって最も心強い増援であった。
「おっせーよ! 先に着いちまったじゃあねえか!」
「アナタが早すぎるのよ……」
よく見ると額には汗が、そして若干肩で息をしているのがわかる。
「リンがここにいるって言うや否やレイったら物凄い勢いでここまで走り始めちゃって……湧いてた魔物を蹴散らしながらね」
「だって~アニキが心配で心配で~」
「そうかわかったありがとな」
急にモジモジし始めたレイをリンはを軽く流す。流石にリンもレイの事はもう慣れていた。
目標をシオンに変えて魔物が襲いかかる。シオンは背中に携えた大振りの剣を握り、一気に振るった。
斬れ味で斬るというよりも、叩き斬るといった表現の方が正しい。その一撃で一斉に向かってきた魔物は全て斬り伏せた。
「さあてコイツが魔物の元凶ね」
「そうだ そして燃やすとカザネ中にその火が広がるおまけ付きだ」
「あらら……随分対策されてたものね」
「今やったみたいにあの木も斬れねえの?」
「いや太さが違うでしょうが」
たった一人。されど一人増えただけで、リンには余裕が生まれた。
それは手数が増えたからだとか、相手の攻撃先が分散したからだとか、そういった事ではない
それがムロウの言っていた頼れる仲間がいるという事だった。
(一緒に戦える……それだけでこうも違うのか……)
今まで一人で何とかしようと考えていた。それが良いのだと。
でもそれでは、どうにもならない事があると教えられた。
「いくぞレイ……シオン 俺達はこんなところで道草を食ってる場合じゃあないからな」
「了解!」
「任せなさいな」
心強い返事を聞いてリンは自分でも気づかぬうちに、笑みが溢れていた。
「けどどうするの? ただ斬るのも意味はないだろうし私が使える魔法は水の魔法だけ……」
「むしろ好都合だ」
「え?」
「そうか! 燃え広がる前にシオンが消火すれば……」
「それだけじゃあ火の手が回る速度に間に合わない」
木鬼の攻撃を避けながら作戦を立てる。今この三人でできる事を、それぞれが出し合う。
「だからコイツには先に水を吸ってもらう たっぷりとな そうすれば逆に燃えにくくなる」
「その状態なら燃え広がる速度は遅くなる……それなら被害が出る前に鎮火させられるかも」
「って事は今度こそオレの火炎放射器の出番っすね! 文字通りオレの火炎放射器が火を吹くぜ!」
「火力が足りるのならな」
確かに今の木鬼なら燃やす事は容易いであろうが、水に浸すとなればそうはいかない。
十分に水を吸わせた木を燃やすのは、とても燃えにくくなる。
(火の聖剣が使えれば問題解決なんだが)
水に浸して燃えにくくし、その状態でおそらく核があるであろう木の幹あたりを砕いて、発見次第その場所に除草弾を撃ち込む。
最後に大木丸ごと焼ける程度の火力が欲しかったが、今のリンにはその手段が失われていた。
「チッ! 何でこういう時に使えないんだこの力は!」
溜まっていた不満が爆発してつい口に出してしまうリン。
「……まてよ?」
リンの中の些細な疑問だった。
「シオン 確か俺には『魔力』があるんだよな?」
「ええそうよ 離れててもそれを辿って見つけたりとかできるもの」
「今もなんだよな?」
つまりそれは聖剣を出せないだけで『賢者の石は機能している』事を意味していた。
「シオン! コイツに水の魔法をぶつけてくれ! 俺との契約を繋いだ状態でだ!」
「契約を繋げて……?」
契約の力によって、離れていても魔力を感知したり、会話をしたりする事ができる。
視界、そして感覚の共有も可能とする。
「じゃあ早速……やってみましょうかぁ!」
シオンは両手に水の力を溜め、前方に勢いよく放つ。湧いて出た魔物が壁となるが、そのまま一気に流し込む。
「こんなものかしら?」
(今の魔力を使う感覚を焼き付けろ……聖剣が出せなくとも魔力があるのなら!)
魔法を使いたい。聖剣を使わずに。
今まで聖剣を出している間にしか出せなかったが、魔力があるのなら使える筈だと。
(身体が熱い……この感覚は修行の時にもあった)
心を落ち着かせて、頭の中でイメージする。
(どうすれば……どうするのが一番上手く魔法を使える?)
「アニキ危ない!」
魔法を使う事に気を取られすぎて、リンは攻撃の反応が遅れてしまう。
リンは回避する事が出来なかったが、レイが突き飛ばしたおかげで防ぐ事が出来た。
「大丈夫ですかアニキ」
「悪い助かった」
「えへへほめてもらっちゃった」
「二人とも避けて!」
体制を崩した二人に木鬼は見逃さず追撃を仕掛けた。躱すよりも、もはや迎撃にしか期待できない。
(俺にはもうこれしか無い……魔法がなくとも今はこれでしか守れない!)
刀に力を込める。
二人を貫こうとする木の槍は今までよりも太く、ただ斬るだけでは防げる気がしない。
(ああ……アイツみたいに魔法が使えれば)
イメージが決まった。
宿す力は水では無く火。纏わせるは風では無く炎。
刀を振るい木の槍を斬り伏せる。
本来であればそこで終わる筈だったが、切り口は木っ端微塵に爆発した。
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