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秩序機関『ギアズエンパイア』
振り絞る力
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お前の才能など、ここ廃棄所と同程度の才能だとリンは言う。
(煽りに乗ってきたか……この手のタイプはそう来るとは思ってた)
自分に絶対の自信があるからこそ、それを否定する者を許しはしないだろうと、リンはマッドの性格を計る為にあえて前面からマッドの全てを否定した。
(これでボロを出してくれれば良いが……上手くいくか?)
冷静でなくなれば、判断に影響を及ぼす。数で劣るこの状況で、勝つ為には少しでも確立を上げたかった。
(もっとも……本音だがな)
マッドのやり方を肯定する事など出来はしなかった。
だからリンは直接本人にぶつけた。お前は間違っていると。
「聖剣……『アイスゾルダート』」
既に出している土の聖剣と木の聖剣に加え、新たに氷の聖剣であるアイスゾルダートを呼び出したリン。
「聖剣を三本だと!?」
今まで聖剣を出すのは二本が最大であった。
(魔力消費は激しいが……我慢するしかない)
数の多い機械兵を正攻法で相手にすれば、どうしても時間がかかる。
魔力を温存して戦いたいところであるが、今度は体力の問題が浮上する。
「凍てつけ!」
だからこそ、魔力より体力の劣るリンはあえて短期戦を挑む。
先に尽きる体力の事を考えれば、無理に身体と魔力に負担をかけてでも、早々に終わらせる必要があった。
「ええい! 情報に無い動きをしおって!」
襲い掛かってきた機械兵達を一気に凍らせ、動きを封じる。
形態変化で『鎖』と『鎌』となり、土と木の二つの聖剣で組み合わせた『鎖鎌』を振りかぶると、機械兵達は砕け散った。
「だがワタクシの作品こんなものではない 砲撃用意!」
大砲を構えた大型の機械兵が現れ、リン達目掛けて発射した。
「アニキ!」
「形態変化……『鎚式 アイスゾルダート』」
氷の聖剣は姿を変え、大きな鎚となり、地面へ叩きつける。
すると砲撃から守る為、氷の壁で防いだ。
「……四本目だ」
全ての聖剣を元の剣へと戻し、地面に突き立てる。
「来い……『フレアディスペア』」
火の聖剣『フレアディスペア』が炎を纏って姿を現す。
四本の聖剣の同時展開。リンは勝つ為の手段を選ばなかった。
「大丈夫なんですかアニキ!?」
「いや大丈夫じゃあないだろ」
我ながら無茶をしているなと、まるで他人事のように思うリン。
だがそうせざる負えなかった。何故なら敵の数が更に増えているからだ。
(最初は百ぐらいかと思ったが……潜んでいたか増援部隊か)
一向に減らない機械兵達に嫌気をさしながらも、ここで負ける訳にもいかない。
(意識があるのかは知らないが……楽にしてやる)
機械兵のエネルギーは、人工的に造られた『擬似賢者の石』を動力源としている為。
そして擬似賢者の石の正体は、人間と魔族の『命』だと言う。そう施したのはあのマッドだ。
(俺は救う方法を知らない だからお前達が誰かを傷つける前に……)
せめてもの情け。今の自分はこれしか知らないからと、リンは機械兵達を倒す。
「形態変化……『弓式 フレアディスペア』」
火の聖剣は姿を変え、弓の姿となってリンは構える。
突き立てた聖剣を握り、弓に番えた。
「聖剣射出……『アイスゾルダート』」
聖剣を『矢』とし、氷の聖剣が放たれる。
勢い良く放たれた聖剣は、敵陣目掛けて火と氷を纏いながら、殲滅する。
「おのれぇ……なんと無茶苦茶な」
相変わらずマッドは機械兵に守られているが、大部分がリンの手によって葬られた。
着弾と共に火の海が広がり、溶ける事の無い氷山に穿たれる。
戦闘データは持っていた。だが、ここまでの強さを見せた事は無い。
(アイン様からデータを受け取ったのはド・ワーフで最後……あれからそれ程経っていないというのになんだこの強さは!?)
凄まじい勢いで成長するリンに、自分のデータに無い強さ、自分の計算に合わないリンに、マッドは怒りを覚えた。
「こんな……英雄の贋作が……ここまでの強さだとぉ!?」
思い通りにいかない存在に、マッドは拳を震わせた。
「ハァ……ハァ……」
「アニキ!?」
今まで感じた事の無い程の負担。リンの身体は悲鳴を上げている。
「大盤振る舞い……しすぎたか」
視界がぼやけ始める。心臓の鼓動は異常に早く、足元がおぼつかない。
押し寄せる疲労感。この感覚は久しぶりだなと、思い出す。
「初めの頃を思い出す……そろそろ限界か」
馴れない事をしすぎたと思うが、そうしなければ数を減らす事は出来なかった。
今リン達の目の前にいる機械兵の数は激減した。増援の様子も無い。
(俺はここまでか……レイにあの数は難しいか?)
それでも敵はまだ多い。ここでレイ一人に任せてしまうのは厳しいであろう。
「あと……もう少し!」
己を奮い立たせ、ここにいる敵を全て倒してから倒れようと決意する。
「待ってください! オレ一人でも大丈夫ですから!」
「妹分に……無茶させられないだろ?」
「そんな事……!?」
その時残りの機械兵目掛けて、砲撃が放たれる。
「お待たせしました! ギアズ兵一同! 戦闘に参加いたします!」
ここ『ギアズエンパイア』の主力部隊、ギアズ兵達がついに戦いに出撃した。
それだけでなく、防壁に配置された防衛装置が起動する。一発に重きを置いた大砲と、敵を蜂の巣にしてしまえる大型のガトリン砲。
「残りの機械兵を掃討せよ! 一体も残すな!」
強力な兵器を備えているのは防壁だけでは無い。
兵士達が持つ一つ一つの兵器がどれも強力であり、戦闘力を大幅に引き上げる装置を身につけている。
「遅れて申し訳ございません 装備の用意に手間取っておりました」
「助かった……」
誰も傷つけさせないと、増援が来る前に全て倒してしまいたかったが、これだけの強さの兵士達であれば余計なお世話だったかと、リンは安堵する。
「だったらオレ達はひくぜ! アニキはもう限界なんだからな!」
「あとは任せてください 貴方のおかげでここは守られたのですから」
レイの肩を借り、リンは戦線を離脱する。
「フッ……フヒヒヒッ!」
「キサマァ! 何がおかしい!?」
「自分の立場がわかっているのか!?」
筈だった。
捕らえられ、身動きを封じられるマッド。
もうマッドを守る機械兵はいない。だというのに邪悪な笑みを浮かべている。
「待っていたぞ……お前達『兵士』がここに来る事を!」
「どういう……!?」
「何だ!? 地震か!?」
突如地面が揺れる。
だがこれは地震では無い。
「もう準備はできていた……あとはただ『餌』となる人間をおびき寄せるのみ」
廃棄された鉄屑の中から、そこから『何か』が現れる。
「これぞワタクシの最高傑作! 喰らった命を魔力に変えて半永久的に動き続ける……まさに我叡智! 名づけて『装甲機龍 ゴルドラゴ』だぁ!」
全身が黄金に輝く機械の体。
長い身体を持つ巨大な『龍』の姿。
だが生物では無い。人工的に造られた『機械龍』である。
(くっ……!? なんだこの怪音波!?)
耳を劈くような激しい音。機械龍の咆哮が鳴り響く。
あまりの激しさに、誰も身動きが取れなくなった。
「ウアァ!? 来るな!」
「銃が効かない!?」
「こんなの勝てる筈が無い!」
「ハッハッハ! どうだ聖剣使い!? これでもまだ愚弄するか!?」
機械龍は兵士達を次々に喰らう。
それは生物のおこなう食事と同じく、マッドが言ったように喰らった人間をエネルギーに変え、その巨体を動かしているのだ。
「この廃棄場に隠しておいたのだよ……機械兵達にはゴルドラゴの起動準備をしてもらっていた」
(あの時の機械兵はそういうことか……)
何らかの理由があると睨んでいたが、まさかこれ程の秘密兵器を隠していたなど、想像もしていなかった。
「素晴らしいだろう? 強大な力を持つあの龍を再現したこのマッドを! これでもお前は凡才だと侮辱するか!?」
勝利を確信した顔、不敵な笑み。
マッドの造り出した機龍は次々と兵士を喰らうだけでなく、配置された兵器も破壊していく。
「聖剣射出……」
「アニキ!?」
僅かに残る力を引き絞り、弓を引くリン。
「打ち砕け……『ガイアペイン』」
番えるは土の聖剣。
機械の体を壊す為、矢となって放たれる。
(コイツでどうだ……!?)
「無駄なあがき……そんな攻撃では傷一つつけれれませんよ!」
マッドの言葉通り、命中したというのにまるで効いていない。
「いくらアニキが全快ではないとはいえ……ダメージも無いなんて!」
「さあひれ伏せ! 自分の間違いを認めろ! ワタクシの才能に嫉妬した事を謝罪しなさい!」
もはや手を付けられない。このままでは誰も守れない。
「本当……良く考えたな」
立つ事もままならない身体。そんな状態で何が出来るのだと。
「木を隠すなら森の中……『ゴミを隠すならゴミ山の中』って事か」
「……なんだと?」
「ゴミからゴミ作って喜んでんじゃあねえよ あんな鉄屑でよくもまあそんなに自信持てたもんだ」
矛先を自分に向けさせる。そうすれば他の人達は襲われない。
「ゴルドラゴ! そのマヌケを殺せぇ!」
「離れてろレイ……狙いは俺だ」
マッドの言葉に反応し、機龍がリンを捉えた。
口を開くと、中から巨大な砲身が現れる。大きさを見ればどれ程の威力になるかは容易に想像出来るであろう。
「ダメですよアニキ! 立ってるのもやっとじゃないですか!?」
「まだ……残ってる」
これまで使った聖剣は四つ。
(勝てるかどうか悩むのは……全部出し切ってからだ)
そして今まで手に入れた聖剣の数は、五つである。
「いくぞ……『ダークイクリプス』」
闇の聖剣、侵蝕する闇。
自らの理性を侵蝕し、戦うだけの獣と化す『闇』の力である
(煽りに乗ってきたか……この手のタイプはそう来るとは思ってた)
自分に絶対の自信があるからこそ、それを否定する者を許しはしないだろうと、リンはマッドの性格を計る為にあえて前面からマッドの全てを否定した。
(これでボロを出してくれれば良いが……上手くいくか?)
冷静でなくなれば、判断に影響を及ぼす。数で劣るこの状況で、勝つ為には少しでも確立を上げたかった。
(もっとも……本音だがな)
マッドのやり方を肯定する事など出来はしなかった。
だからリンは直接本人にぶつけた。お前は間違っていると。
「聖剣……『アイスゾルダート』」
既に出している土の聖剣と木の聖剣に加え、新たに氷の聖剣であるアイスゾルダートを呼び出したリン。
「聖剣を三本だと!?」
今まで聖剣を出すのは二本が最大であった。
(魔力消費は激しいが……我慢するしかない)
数の多い機械兵を正攻法で相手にすれば、どうしても時間がかかる。
魔力を温存して戦いたいところであるが、今度は体力の問題が浮上する。
「凍てつけ!」
だからこそ、魔力より体力の劣るリンはあえて短期戦を挑む。
先に尽きる体力の事を考えれば、無理に身体と魔力に負担をかけてでも、早々に終わらせる必要があった。
「ええい! 情報に無い動きをしおって!」
襲い掛かってきた機械兵達を一気に凍らせ、動きを封じる。
形態変化で『鎖』と『鎌』となり、土と木の二つの聖剣で組み合わせた『鎖鎌』を振りかぶると、機械兵達は砕け散った。
「だがワタクシの作品こんなものではない 砲撃用意!」
大砲を構えた大型の機械兵が現れ、リン達目掛けて発射した。
「アニキ!」
「形態変化……『鎚式 アイスゾルダート』」
氷の聖剣は姿を変え、大きな鎚となり、地面へ叩きつける。
すると砲撃から守る為、氷の壁で防いだ。
「……四本目だ」
全ての聖剣を元の剣へと戻し、地面に突き立てる。
「来い……『フレアディスペア』」
火の聖剣『フレアディスペア』が炎を纏って姿を現す。
四本の聖剣の同時展開。リンは勝つ為の手段を選ばなかった。
「大丈夫なんですかアニキ!?」
「いや大丈夫じゃあないだろ」
我ながら無茶をしているなと、まるで他人事のように思うリン。
だがそうせざる負えなかった。何故なら敵の数が更に増えているからだ。
(最初は百ぐらいかと思ったが……潜んでいたか増援部隊か)
一向に減らない機械兵達に嫌気をさしながらも、ここで負ける訳にもいかない。
(意識があるのかは知らないが……楽にしてやる)
機械兵のエネルギーは、人工的に造られた『擬似賢者の石』を動力源としている為。
そして擬似賢者の石の正体は、人間と魔族の『命』だと言う。そう施したのはあのマッドだ。
(俺は救う方法を知らない だからお前達が誰かを傷つける前に……)
せめてもの情け。今の自分はこれしか知らないからと、リンは機械兵達を倒す。
「形態変化……『弓式 フレアディスペア』」
火の聖剣は姿を変え、弓の姿となってリンは構える。
突き立てた聖剣を握り、弓に番えた。
「聖剣射出……『アイスゾルダート』」
聖剣を『矢』とし、氷の聖剣が放たれる。
勢い良く放たれた聖剣は、敵陣目掛けて火と氷を纏いながら、殲滅する。
「おのれぇ……なんと無茶苦茶な」
相変わらずマッドは機械兵に守られているが、大部分がリンの手によって葬られた。
着弾と共に火の海が広がり、溶ける事の無い氷山に穿たれる。
戦闘データは持っていた。だが、ここまでの強さを見せた事は無い。
(アイン様からデータを受け取ったのはド・ワーフで最後……あれからそれ程経っていないというのになんだこの強さは!?)
凄まじい勢いで成長するリンに、自分のデータに無い強さ、自分の計算に合わないリンに、マッドは怒りを覚えた。
「こんな……英雄の贋作が……ここまでの強さだとぉ!?」
思い通りにいかない存在に、マッドは拳を震わせた。
「ハァ……ハァ……」
「アニキ!?」
今まで感じた事の無い程の負担。リンの身体は悲鳴を上げている。
「大盤振る舞い……しすぎたか」
視界がぼやけ始める。心臓の鼓動は異常に早く、足元がおぼつかない。
押し寄せる疲労感。この感覚は久しぶりだなと、思い出す。
「初めの頃を思い出す……そろそろ限界か」
馴れない事をしすぎたと思うが、そうしなければ数を減らす事は出来なかった。
今リン達の目の前にいる機械兵の数は激減した。増援の様子も無い。
(俺はここまでか……レイにあの数は難しいか?)
それでも敵はまだ多い。ここでレイ一人に任せてしまうのは厳しいであろう。
「あと……もう少し!」
己を奮い立たせ、ここにいる敵を全て倒してから倒れようと決意する。
「待ってください! オレ一人でも大丈夫ですから!」
「妹分に……無茶させられないだろ?」
「そんな事……!?」
その時残りの機械兵目掛けて、砲撃が放たれる。
「お待たせしました! ギアズ兵一同! 戦闘に参加いたします!」
ここ『ギアズエンパイア』の主力部隊、ギアズ兵達がついに戦いに出撃した。
それだけでなく、防壁に配置された防衛装置が起動する。一発に重きを置いた大砲と、敵を蜂の巣にしてしまえる大型のガトリン砲。
「残りの機械兵を掃討せよ! 一体も残すな!」
強力な兵器を備えているのは防壁だけでは無い。
兵士達が持つ一つ一つの兵器がどれも強力であり、戦闘力を大幅に引き上げる装置を身につけている。
「遅れて申し訳ございません 装備の用意に手間取っておりました」
「助かった……」
誰も傷つけさせないと、増援が来る前に全て倒してしまいたかったが、これだけの強さの兵士達であれば余計なお世話だったかと、リンは安堵する。
「だったらオレ達はひくぜ! アニキはもう限界なんだからな!」
「あとは任せてください 貴方のおかげでここは守られたのですから」
レイの肩を借り、リンは戦線を離脱する。
「フッ……フヒヒヒッ!」
「キサマァ! 何がおかしい!?」
「自分の立場がわかっているのか!?」
筈だった。
捕らえられ、身動きを封じられるマッド。
もうマッドを守る機械兵はいない。だというのに邪悪な笑みを浮かべている。
「待っていたぞ……お前達『兵士』がここに来る事を!」
「どういう……!?」
「何だ!? 地震か!?」
突如地面が揺れる。
だがこれは地震では無い。
「もう準備はできていた……あとはただ『餌』となる人間をおびき寄せるのみ」
廃棄された鉄屑の中から、そこから『何か』が現れる。
「これぞワタクシの最高傑作! 喰らった命を魔力に変えて半永久的に動き続ける……まさに我叡智! 名づけて『装甲機龍 ゴルドラゴ』だぁ!」
全身が黄金に輝く機械の体。
長い身体を持つ巨大な『龍』の姿。
だが生物では無い。人工的に造られた『機械龍』である。
(くっ……!? なんだこの怪音波!?)
耳を劈くような激しい音。機械龍の咆哮が鳴り響く。
あまりの激しさに、誰も身動きが取れなくなった。
「ウアァ!? 来るな!」
「銃が効かない!?」
「こんなの勝てる筈が無い!」
「ハッハッハ! どうだ聖剣使い!? これでもまだ愚弄するか!?」
機械龍は兵士達を次々に喰らう。
それは生物のおこなう食事と同じく、マッドが言ったように喰らった人間をエネルギーに変え、その巨体を動かしているのだ。
「この廃棄場に隠しておいたのだよ……機械兵達にはゴルドラゴの起動準備をしてもらっていた」
(あの時の機械兵はそういうことか……)
何らかの理由があると睨んでいたが、まさかこれ程の秘密兵器を隠していたなど、想像もしていなかった。
「素晴らしいだろう? 強大な力を持つあの龍を再現したこのマッドを! これでもお前は凡才だと侮辱するか!?」
勝利を確信した顔、不敵な笑み。
マッドの造り出した機龍は次々と兵士を喰らうだけでなく、配置された兵器も破壊していく。
「聖剣射出……」
「アニキ!?」
僅かに残る力を引き絞り、弓を引くリン。
「打ち砕け……『ガイアペイン』」
番えるは土の聖剣。
機械の体を壊す為、矢となって放たれる。
(コイツでどうだ……!?)
「無駄なあがき……そんな攻撃では傷一つつけれれませんよ!」
マッドの言葉通り、命中したというのにまるで効いていない。
「いくらアニキが全快ではないとはいえ……ダメージも無いなんて!」
「さあひれ伏せ! 自分の間違いを認めろ! ワタクシの才能に嫉妬した事を謝罪しなさい!」
もはや手を付けられない。このままでは誰も守れない。
「本当……良く考えたな」
立つ事もままならない身体。そんな状態で何が出来るのだと。
「木を隠すなら森の中……『ゴミを隠すならゴミ山の中』って事か」
「……なんだと?」
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矛先を自分に向けさせる。そうすれば他の人達は襲われない。
「ゴルドラゴ! そのマヌケを殺せぇ!」
「離れてろレイ……狙いは俺だ」
マッドの言葉に反応し、機龍がリンを捉えた。
口を開くと、中から巨大な砲身が現れる。大きさを見ればどれ程の威力になるかは容易に想像出来るであろう。
「ダメですよアニキ! 立ってるのもやっとじゃないですか!?」
「まだ……残ってる」
これまで使った聖剣は四つ。
(勝てるかどうか悩むのは……全部出し切ってからだ)
そして今まで手に入れた聖剣の数は、五つである。
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