記憶喪失の僕が最強の轉魂使いだった件

ソコニ

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第16話「魂を映す鏡」

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神和現代美術館は、都市の文化地区にそびえる特徴的な建築物だった。まるで巨大な結晶のように角ばった外観と、全面ガラス張りの壁面が印象的だ。

「ここが会場か...」蒼は美術館を見上げて呟いた。

風間は頷き、蒼と綾音を館内へと導いた。「特別展示の準備中だが、私は顧問だから問題ない」

受付で風間の身分証が提示され、三人は関係者として内部に入ることができた。館内は展示準備のため、あちこちで作業員たちが忙しく動き回っていた。

「感情芸術展は2階全体を使う大規模なものだ」風間が説明した。「私の作品もいくつか展示されるが、メインは...」

彼は2階中央の大きなスペースを指さした。そこには白い布で覆われた展示台が置かれ、周囲には特殊な照明装置が設置されつつあった。

「あそこに感情の鏡が展示される予定だ」

蒼と綾音は息を呑んだ。ついに第二の魂器を目の前にしているのだ。

「近づいてみましょう」蒼は提案した。

三人は準備中の展示スペースにそっと近づいた。作業員たちに紛れながら、中央の展示台を観察する。

「今は布で覆われているね」綾音が小声で言った。

「セキュリティも厳重だ」風間が周囲を指さした。警備員だけでなく、監視カメラや赤外線センサーなどの最新セキュリティシステムが設置されていた。

蒼は風間との契約で得た感情増幅能力を使って、周囲の人々の感情を探った。作業員たちは単純な仕事の緊張感や疲労を感じているだけだが、警備員たちからは異様な警戒心が感じられた。

「警備員たち...普通じゃない」蒼は綾音に囁いた。「感情の波が違う」

「魂器回収機関の人間ね」綾音も眉をひそめた。

風間が二人を作業中の照明器具の陰に導き、「あそこを見ろ」と小声で言った。

彼が指さした先には、一人の男性がいた。洗練されたスーツを着た四十代くらいの男性で、作業員たちに何か指示を出している。

「氷室零児」風間が説明した。「氷室財団の副社長であり、この展示会の実質的な責任者だ」

「氷室財団...」蒼は名前を覚えた。

その時、零児の隣に現れた人物に、蒼は思わず身を固くした。白い制服に身を包んだ雪村千冬だった。

「千冬...」綾音も緊張した様子で身を隠した。

千冬は零児と何か話した後、館内を巡回し始めた。彼女の冷たい視線が会場を隈なく探っている。

「上に行こう」風間は二人を促し、作業用の階段から3階へと導いた。

3階の展示室はまだ準備中で人がおらず、窓から2階のメイン会場を見下ろすことができた。三人はそこで一息ついた。

「あの千冬という少女が、魂器回収機関の刺客なのか」風間が尋ねた。

「ええ」綾音が答えた。「彼女には『感情凍結』という特殊能力があります」

「なるほど」風間は考え込むように言った。「だから氷室財団が彼女を使っているのか...」

「氷室財団と魂器回収機関は繋がっているんですか?」蒼が尋ねた。

風間は窓の外を見ながら、重い口調で答えた。「ああ。氷室財団の実質的なトップである厳勝は、魂器回収機関の幹部でもある」

蒼と綾音は顔を見合わせた。事態は彼らが想像していたよりも複雑だった。

「もう少し情報を集めよう」蒼は提案した。「展示会の詳細や警備体制について」

三人は分担して美術館内を探索することにした。風間は自分の作品の設置を口実に職員たちと話し、綾音は一般来場者を装って公開情報を集め、蒼は風間の助手という立場で技術的な情報を探る。

一時間後、三人は美術館の裏手にある小さなカフェで落ち合った。

「氷室財団は明後日の展示会初日前に、招待客だけの『前夜祭』を開催するらしい」綾音が報告した。「文化人や投資家などの重要人物を招いて、特別に鏡を披露するとか」

「警備体制は想像以上に厳重だ」蒼が続けた。「通常の警備員に加えて、魂器回収機関の人間が変装して配置されている。さらに、最先端のセキュリティシステムも導入されている」

風間も情報を付け加えた。「展示する鏡は『感情写し』という名前で紹介される予定だ。『見る者の真の感情を映し出す古代の秘宝』という触れ込みでね」

「まさに感情の鏡だわ」綾音が呟いた。

「もう一つ重要な情報がある」風間の表情が暗くなった。「展示会の裏では、氷室財団の『感情研究』の成果発表会も予定されているらしい。招待客限定の非公開イベントだ」

「感情研究...?」蒼が眉をひそめた。

「帰って詳しく話そう」風間は周囲を警戒するように言った。「ここには耳が多すぎる」

三人は静かにカフェを後にし、風間の工房へと戻った。

-----

風間工房に戻った三人は、ようやく緊張から解放された。

「お茶を入れよう」風間はキッチンに向かった。

蒼は工房の壁に飾られた絵画を見ながら、風間に尋ねた。「風間さん、氷室財団の『感情研究』とは何なのですか?」

風間はお茶を持って戻ってきた。彼の表情は暗く沈んでいた。

「氷室財団は表向き、先進的な医療研究を行う財団法人だ」風間は静かに説明し始めた。「しかし実際には、十年以上前から『感情操作』に関する非合法な実験を続けてきた」

「感情操作...」綾音が身を乗り出した。

「ああ」風間は頷いた。「人間の感情をコントロールする技術だ。最初は精神医療の一環として始まったが、次第に方向性が変わっていった」

風間は立ち上がり、奥の引き出しから古い新聞の切り抜きを取り出した。そこには小さな記事があった。

『氷室医療センター、不明患者多数』『感情障害治療の新薬、治験中に異常事態か』

「約8年前のことだ」風間は記事を指さした。「氷室財団の私設研究所で、被験者として集められた人々が次々と行方不明になる事件があった。表向きには『自主退所』ということになっていたがね...」

「何があったんですか?」蒼が尋ねた。

「彼らは消されたんだ」風間の声は冷たかった。「もしくは、別の『何か』に変えられた」

「どういうことですか?」

風間はため息をついた。「氷室財団は『感情抽出』という禁断の技術を開発していた。人間から特定の感情を抽出し、それを保存したり、他者に移植したりする技術だ」

蒼と綾音は息を呑んだ。

「しかし、感情を抽出された被験者は、人間らしさを失っていった」風間は続けた。「彼らは『空の器』と呼ばれ、財団の言いなりになる人形のような存在になった」

「それは...」綾音は言葉に詰まった。

「非人道的な実験だ」風間は強く言った。「私は芸術家として感情の表現に生涯を捧げてきた。感情は人間の本質だ。それを奪うなど、あってはならないことだ」

蒼は風間の記憶と繋がっていたため、彼の怒りと悲しみを直接感じることができた。それは単なる道徳的な怒りではなく、個人的な痛みを伴うものだった。

「風間さん...あなたは何か個人的な関わりがあるのですか?」蒼は慎重に尋ねた。

風間はしばらく沈黙した後、古い写真を取り出した。そこには若かりし日の風間と、一人の少女が写っていた。

「私の娘だ」風間は写真を見つめた。「8年前、彼女は氷室財団の治験に参加し...そして二度と戻らなかった」

「それは...」蒼は言葉を失った。

「公式には『副作用による死亡』ということになっている」風間の声には深い悲しみが滲んでいた。「しかし私は真実を知っている。彼女は実験の犠牲になったのだ」

部屋に重い沈黙が流れた。

「そして、雪村千冬もその被験者の一人だったのですか?」綾音が静かに尋ねた。

風間は頷いた。「私が集めた情報によれば、彼女は約5年前、家族と共に氷室財団の施設に入った。感情障害の治療という名目でね。そして彼女だけが『特別な才能』を見出され、感情凍結の能力者として育てられた。残りの家族は...」

言葉を濁す風間に、蒼は続きを促さなかった。想像に難くなかった。

「つまり千冬は...被害者でもあるんだ」蒼は呟いた。

「そうだ」風間は頷いた。「彼女自身が感情を持たないのは、おそらく自身を守るためだろう。感情を持たなければ、失うことへの恐怖もない」

蒼は千冬との遭遇を思い出した。あの氷のような冷たさ、感情の欠片もない瞳...それは彼女が作り上げた防壁だったのかもしれない。

「彼女を救いたい」蒼は突然言った。「千冬も被害者なら、彼女も救うべきだ」

綾音は驚いたように蒼を見た。「でも、彼女は私たちの敵よ?」

「敵と味方の区別は時に曖昧だ」風間が言った。「彼女は魂器回収機関に洗脳されているだけかもしれない」

「どうすれば...」綾音は不安そうに尋ねた。

「まずは感情の鏡を手に入れることだ」蒼は決意を固めた。「その力があれば、失われた感情を取り戻すことができるかもしれない」

風間は考え込むように窓の外を見た。「明後日の展示会では手遅れかもしれん。前夜祭に潜入するべきだ」

「前夜祭...」蒼は可能性を探った。「でも招待客限定なんでしょう?」

「私は招待されている」風間が言った。「芸術展の顧問としてね。問題は君たちをどう入れるかだ...」

三人は作戦会議を始めた。風間の協力で、前夜祭の詳細情報を集める。それは明日の夜、美術館で開催され、約100名の招待客が参加予定だという。

「スタッフとして潜入するのが良さそうだ」蒼が提案した。「ケータリングの人員や設営スタッフに紛れ込む」

「それなら私に心当たりがある」風間が言った。「私の知人がケータリングを担当しているから、そこからスタッフとして入れるように頼める」

「綾音は...」

「私は風間さんの助手として同行します」綾音が言った。「それなら不自然じゃないでしょう」

「よし、それで行こう」蒼は頷いた。「前夜祭で感情の鏡の場所と警備体制を確認し、可能なら...」

「奪取も視野に入れるのか?」風間が尋ねた。

「状況次第です」蒼は慎重に言った。「でも、氷室財団に魂器を渡すわけにはいきません」

風間は深くため息をついた。「分かった。協力しよう。これは私にとっても、娘への償いになるかもしれない」

三人は詳細な潜入計画を立て始めた。風間の経験と人脈、蒼の轉魂の力、綾音の霊的能力を組み合わせれば、成功の可能性はある。

「あと一つ気になることがある」綾音が言った。「さっきの感情爆発事件...あれは鏡の影響なのでしょうか?」

「おそらくそうだ」風間が答えた。「魂器は封印されていない状態だと、周囲に影響を及ぼす。特に感情の鏡は人々の感情に直接働きかける」

「それなら、あの事件は始まりに過ぎないかもしれない」蒼は窓の外を見た。「鏡が完全に活性化すれば...」

「街全体が感情の嵐に見舞われる」風間が言葉を継いだ。「理性を失った人々による混乱、暴動、最悪の場合は...」

言葉を濁す風間に、蒼は頷いた。事態の重大さを理解した。これは単に魂器を集めるという使命だけでなく、街の人々を守るための戦いでもあるのだ。

「明日、前夜祭に潜入する」蒼は決意を込めて言った。「感情の鏡を守り、千冬を救い、そして氷室財団の野望を阻止する」

綾音と風間も頷いた。窓の外では、夕暮れの神和の街が煌めき始めていた。明日の夜、この街の運命を左右する戦いが始まる。

蒼は右手の轉魂の紋様を見つめた。父の遺志を継ぎ、世界を守るという使命。そして今、新たに生まれた想い——犠牲者を救いたいという願い。

「必ず成功させる」蒼は静かに誓った。「そのために...この力を使い切る」

風間との契約で得た感情増幅の能力が、彼の中で静かに力強く脈打っていた。
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