『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ

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第3話「村の反撃」

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朝露が草木を濡らす早朝、御影要は村の変化を感じていた。村レベルが2になったことで、自分自身の認識や能力にも変化があったのだ。

まず、村全体を見渡す視界がより鮮明になった。遠くの木々の葉の一枚一枚まで感じ取れるようになり、小川の流れる音や土の中の虫の動きまで捉えられるようになった。

そして何より大きな変化は、新たに獲得した「基本資源生産」スキルだった。

要は試しに荒れた畑に意識を集中した。土壌の状態が以前より詳細に把握できるようになっている。肥沃さ、水分量、栄養素のバランスまで感じ取れるのだ。

「基本資源生産」スキルを発動すると、畑の土がわずかに動き、活性化したような感覚があった。土の中に眠っていた種子が急速に発芽し始め、小さな芽が地面から顔を出した。

「これなら食料を育てられる」

要は満足感を覚えた。リオの食料確保が楽になるはずだ。

北の森に意識を向けると、木々の生長を促進できることも分かった。実のなる木に力を注ぐと、わずかながら実の成熟が早まったようだ。

川の流れを整えることもできるようになり、水質も少し浄化できるようだ。

「おはよう、御影さん!」

元気な声と共に、リオが家から出てきた。昨夜は精霊石について打ち明けた後、すっきりした表情で眠りについたようだ。

「今日はどんな日になるかな?」

リオは伸びをしながら空を見上げた。晴れ渡った青空が広がっている。

要は地面に「畑」と描いた。

「畑?あ、見て!芽が出てる!」

リオは驚いて駆け寄った。一晩で芽吹いた小さな植物を見て、目を丸くしている。

「御影さんがやったの?すごいね!」

要は誇らしく思った。村として住民を支えるのは当然の役目だ。

「これから育つんだね。でも収穫までは時間がかかるだろうから、今日は森で食べ物を集めてくるよ」

リオは言って、森へ向かった。彼は昨日よりも楽しげに、軽やかな足取りで歩いていく。秘密を打ち明けて気持ちが軽くなったのだろう。

要はリオが森で採集している間、村の改良を続けた。井戸の水をより清潔にし、リオが寝ている家の壁の隙間を埋めて、風が入らないようにした。

新しいスキルのおかげで、以前より多くのことができるようになった。それでも大きな変化を起こすには限界があるが、少しずつ村を住みやすい場所に変えていける希望が生まれた。

昼頃、リオが森から戻ってきた。彼は大量の木の実とキノコ、そして小さな魚も何匹か持っていた。

「川で魚を捕まえられたんだ!手づかみだから大変だったけど」

リオは誇らしげに収穫物を広げた。彼の顔には満足感が浮かんでいる。

「あの、御影さん。僕、考えたんだけど…」

リオは少し真剣な表情になった。

「この村をもっと良くしたいと思うんだ。ちゃんと人が住める村にしたい。そうすれば、僕一人じゃなくて、もっと多くの人と一緒に暮らせるようになる。それに…」

彼は精霊石を持ち出し、見つめた。

「この石のこともあるし、一人より大勢の方が安全だと思うんだ。御影さんはどう思う?」

要はリオの考えに共感した。村として、より多くの住民を迎えることは自然な欲求だった。それに、村のレベルアップには住民の増加が関係していそうだ。

「良い考え」と地面に描いた。

リオは嬉しそうに笑った。

「やった!じゃあ、もっと村を良くして、人が来たくなるようにしよう!」

リオは早速行動に移り始めた。広場の雑草を抜き、石を片付け、村の入口に簡単な看板を立てようとしている。要もできる限り協力した。

作業に没頭する中、突然、要は村の西側から人の気配を感じた。山道からやってくる人影がある。

リオにそれを知らせようとしたとき、リオ自身が気づいて身を固くした。

「また、あの人たちかな…」

彼の声は震えていた。要も警戒し、来訪者に意識を集中した。

山道から降りてきたのは五人の男たちだった。昨日の三人に加えて、二人増えている。そして今回は全員がしっかりとした武器を持っていた。剣、斧、弓など、明らかに戦闘を想定している。

そして先頭にいるのは大柄な男で、他の者とは明らかに風格が違っていた。おそらく盗賊団のリーダーなのだろう。

「あそこだ。例の小僧が隠れている廃村だ」

リーダーと思われる男が指示を出した。

「昨日は妙な罠があったと言ったな。今日は十分に警戒しろ」

「でも、ボス、ただの廃村ですぜ。村全体が罠だなんて…」

「黙れ!精霊石を持った小僧がいるんだ。何が起きてもおかしくないんだよ」

リオは息を飲んだ。

「ボスまで来てる…これはマズイよ、御影さん。あの人は『黒牙のグリム』って呼ばれてる盗賊団のボスなんだ。すごく危険な人…」

要も状況の深刻さを理解した。先日の三人とは比べものにならない脅威だ。より強力な対応が必要になる。

「隠れて」と地面に急いで描いた。

リオは頷き、急いで家の中に隠れた。

盗賊団は警戒しながらも、村の中へと入ってきた。彼らは昨日よりも慎重に、それでいて組織的に動いている。

「家を一軒ずつ調べろ。小僧を見つけたら生きたまま捕らえろ。精霊石だけが目的だが、問答次第では生かしておいてやってもいい」

グリムの声は冷酷だった。

要は村中に意識を広げた。「ダンジョン化スキル」を使う時だ。昨日のように一時的な効果でなく、もっと計画的に使いたい。

【ダンジョン化スキル発動】

今回は昨日とは違う感覚があった。村レベルが上がったことで、スキルの使い方にも変化があるようだ。要は村全体ではなく、特定の場所だけをダンジョン化できることに気づいた。

まず盗賊団と家の間の広場を狙った。地面が青白く光り始め、突如として地面から針のような岩が突き出した。

「うわっ!」
「また始まったぞ!」

盗賊たちは驚いて後ずさった。

次に、要は村の入口を狙った。地面が隆起し、簡易的な壁のような障害物が形成された。

「囲まれたぞ!」

盗賊の一人が叫んだ。

「落ち着け!ただの廃村の仕掛けだ。壊せ!」

グリムが命令を下し、盗賊たちは武器で障害物を攻撃し始めた。

要は次の手を考えた。直接攻撃はできないが、村の環境を操作することはできる。「基本資源生産」スキルも組み合わせれば、より効果的な防衛ができるはずだ。

森の方に意識を向け、木々の枝を急速に成長させて絡ませた。まるで生きた壁のように、村と森の境界が緑の障壁で覆われていく。

「なんだ、あれは!?」

弓を持った盗賊が森の変化に気づいて叫んだ。

「魔法か!?この村に魔法使いがいるのか!?」

グリムは周囲を見回し、声を張り上げた。

「出てこい!隠れていても無駄だ!お前の仕業だろう、この村の変化は!」

要は返答の代わりに、次の仕掛けを発動させた。村の周囲の地面から青い光の筋が浮かび上がり、まるで魔法陣のような模様が形成される。そして光の筋が交差する場所から、突如として地面が陥没し始めた。

「落とし穴だ!気をつけろ!」

盗賊たちは慌てて飛び退いた。しかし一人が反応しきれず、穴に足を取られてしまう。

「たすけ…うわっ!」

彼は完全に穴に落ち込んだ。深さは人の背丈ほどで、命に別状はないだろうが、簡単には這い上がれそうにない。

「くそっ、こんな小細工で俺たちが引き下がると思うなよ!」

グリムは怒りに任せて剣を振り回し、前方の障害物を叩き壊した。その力強さは並ではない。ただの盗賊団のボスとは思えないほどの戦闘技術だ。

「小僧!出てこい!でなければ、この村を焼き払うぞ!」

グリムが脅しをかけてきた。彼は懐から火打石と松明を取り出した。本気で村に火をつけるつもりらしい。

要は焦った。火は村にとって致命的な脅威だ。何としても阻止しなければならない。

急いで井戸に意識を集中し、水を引き上げようとした。しかし井戸から広場までは距離がある。水を運ぶ手段がない。

そこで要は別の方法を思いついた。空に意識を向け、雲を操作できないだろうか。「基本生活機能」と「基本資源生産」を組み合わせれば、わずかながら気象に影響を与えられるかもしれない。

全力を注いで空中の水分を凝縮させようとすると、村の上空だけ小さな雨雲が形成され始めた。

「なに?」

グリムが空を見上げた時、小雨が降り始めていた。松明に火をつけるのは難しくなった。

「魔法使いがいるんだ!見つけ出せ!」

グリムの怒号が響く中、要は次の手を打った。リオが隠れている家の周囲に青い光の障壁を作り出す。「ダンジョン化スキル」の防御的な使い方だ。

盗賊たちは少しずつ押し返されていた。落とし穴、突き出る岩、絡みつく植物。さまざまな仕掛けで行動を制限されている。

しかし、グリムは容易に諦めない。彼は障害物を次々と破壊しながら、リオが隠れている家に近づいていた。

「見つけたぞ!あの家だ!」

グリムが叫んだ。彼は鋭い観察眼を持っているようだ。わずかなリオの気配を感じ取ったのかもしれない。

「御影さん…」

家の中からリオの震える声が聞こえた。

要は最後の手段を講じることにした。村全体の力を結集する。

【村レベル2:全力防衛モード】

村中の土と植物が震え始め、広場の中央から巨大な石柱が出現した。高さは人の背丈ほどで、表面には青い光で文様が浮かび上がっている。

そして石柱から光の筋が放射状に広がり、村全体を覆い始めた。光が盗賊たちの足元に達すると、彼らの動きが鈍くなり始めた。

「なんだ…体が…重い…」

グリムでさえ、その影響から逃れられないようだった。彼の動きは明らかに遅くなっている。

「撤退だ!この村には何かがいる!」

若い盗賊の一人が叫んだ。

「黙れ!精霊石はすぐそこだ!」

グリムは諦めない。彼は全力で前進しようとするが、光の影響で足が思うように動かない。

リオが隠れている家の前で、グリムはついに立ち止まった。彼は剣を構え、ドアに向かって叫んだ。

「出てこい、小僧!最後の慈悲だ!」

緊迫した沈黙が流れる中、突然、村の外れから別の声が聞こえてきた。

「そこまでだ、グリム!」

山道から一人の男が駆け下りてきた。彼は鎧兜を身につけ、腰に長剣を下げている。兵士か騎士のような風体だ。

「騎士団だと!?なぜここに…」

グリムの表情が一瞬崩れた。

「王国への街道で盗賊行為を働いた罪で逮捕する!」

騎士は剣を抜き、グリムに向けた。

「くそっ…撤退だ!」

グリムは部下たちに指示を出した。彼らは急いで落とし穴から仲間を助け出し、村から逃げ出そうとした。

要は彼らの退路を遮らなかった。むしろ、入口の障害物を少し低くして、逃げやすくした。今はリオの安全が最優先だ。

グリムたちは慌てて山道を駆け上がっていった。騎士は追いかけようとしたが、すぐに諦めた。一人で盗賊団全員を相手にするのは無謀だと判断したのだろう。

騎士は村の中を見回し、変化した環境に驚いた表情を浮かべた。

「こ、これは一体…魔法か?」

彼は警戒しながらも、リオが隠れている家に近づいた。

「中にいる者、出てきなさい。危険は去りました」

リオは恐る恐るドアを開け、顔を出した。

「あの…騎士様ですか?」

「ああ、王国第三騎士団のアルフレッドだ。君は?」

「リオといいます。この村に住んでいるんです」

アルフレッドは不思議そうな表情でリオを見た。

「この廃村に?一人で?」

リオは少し迷った様子だったが、やがて決心したように言った。

「いいえ、一人じゃありません。この村には…特別な力があるんです」

アルフレッドは眉をひそめた。

「特別な力?」

リオは要に許可を求めるように、地面を見た。要は「話してもいい」と地面に描いた。

「この村には意思があるんです。村そのものが生きていて、僕を守ってくれるんです」

アルフレッドは半信半疑の表情を浮かべた。

「冗談を言っているのか?村に意思があるだって?」

リオは真剣な表情で頷いた。

「本当です!御影さん、見せてあげて」

要はアルフレッドの前で、地面から小さな花を咲かせた。そして光で「初めまして」という文字を空中に描いた。

アルフレッドは驚愕の表情を浮かべた。

「な、なんだこれは!?」

「言ったでしょう?この村は特別なんです。御影さんという意思を持っているんです」

アルフレッドは信じられないという表情で村を見回した。

「こんな話、聞いたことがない…」

彼は剣を鞘に収め、緊張を解いた。

「驚くべきことだが、君を守ってくれたようだな。それだけでも感謝すべきことだ」

アルフレッドはリオに近づき、真剣な表情で尋ねた。

「グリムが君を追っていた理由は何だ?盗賊団が一人の少年にそこまでこだわるのは尋常ではない」

リオは躊躇した。精霊石のことを話すべきか迷っているようだ。

要はリオに任せることにした。この騎士が信頼できるかどうかは、リオの判断に委ねよう。

リオは深呼吸してから言った。

「実は…精霊石を持っているからです」

リオは精霊石を取り出して見せた。アルフレッドの目が大きく見開かれた。

「これは…本物の精霊石か!どこでこんなものを?」

「森で見つけたんです。光る石があったから拾ったら…盗賊たちに見つかって」

アルフレッドは石をじっと見つめた後、リオに返した。

「これは価値のあるものだ。魔法使いや錬金術師が求める希少な素材だ。確かにグリムが狙うわけだ」

アルフレッドは考え込んだ様子で村を見回した。

「この村は不思議な力で君を守ってくれたようだが、グリムは諦めないだろう。もっと大勢で戻ってくるかもしれない」

リオは不安そうな表情をした。

「どうすればいいんでしょう?」

アルフレッドは少し考えてから言った。

「二つの選択肢がある。一つは私と一緒に町に戻り、騎士団の保護を受けること。精霊石は王国の宝物庫で保管できる」

「もう一つは?」

「この不思議な村に留まり、自分の力で身を守ること。だが、それは危険を伴う」

リオは迷いの表情を浮かべた。そして地面を見つめ、要に意見を求めた。

要は難しい選択だと感じた。リオの安全を考えれば、騎士団の保護を受けるべきかもしれない。しかし、要はリオが村に残ることを望んでいた。村の一部として、最初の住民として、リオは特別な存在だったからだ。

しかし、それは要の個人的な願望に過ぎない。リオの安全が最優先だ。

「あなたの選択を」と地面に描いた。

リオはしばらく考えた後、顔を上げた。

「この村に残ります。御影さんが守ってくれるし、僕もこの村のために頑張りたいんです」

アルフレッドは驚いた表情をしたが、すぐに納得したようにうなずいた。

「わかった。それがお前の決断なら尊重しよう」

彼はリオの肩に手を置いた。

「だが、いつでも助けが必要なら、ザールの町の騎士団に来るといい。アルフレッド・ストーンと言えば、みな知っている」

リオは嬉しそうに頷いた。

「ありがとうございます、アルフレッドさん!」

アルフレッドは村を見渡した。

「この村には名前があるのか?」

リオは要を見た。要も村の名前は知らなかった。

「まだないよね、御影さん?」

要は「ない」と地面に描いた。

「じゃあ、僕たちで決めよう!御影さんの名前から、『みかげ村』はどうかな?」

要はその提案が気に入った。「良い」と答えた。

「『みかげ村』か。良い名前だ」

アルフレッドは微笑んだ。

「では、リオ。気をつけて過ごすように。定期的に見回りに来るから」

「はい!ありがとうございます!」

アルフレッドは別れを告げ、山道を登っていった。

リオと要は二人きりになった。村は徐々に元の状態に戻り始めていた。ダンジョン化した部分は薄れ、石柱も地面に沈んでいく。

「御影さん、ありがとう。またしても僕を守ってくれて」

リオは心からの感謝を込めて言った。

要は「当然だ」と地面に描いた。

「これからも一緒に村を良くしていこうね。『みかげ村』として、もっと素敵な場所にしよう!」

リオの目には決意が宿っていた。

要も同じ気持ちだった。この村をリオと共に発展させ、住民を増やし、いつか本当の意味で活気ある村にする。そして何より、リオを守り続ける。

夕日が村を赤く染める中、要とリオの新たな一歩が始まった。みかげ村としての第一歩を。

【御影要】
【村レベル:2】
【住民数:1】
【スキル:基本生活機能、ダンジョン化スキル(制限付)、基本資源生産】

村の力をより効果的に使えるようになり、住民を守る決意も新たになった。これからの展開に、要は期待と決意を胸に抱いていた。

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