『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ

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第13話「王国の野望」

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朝霧の中、みかげ村の西側から黒い人影の群れが迫っていた。グリムの一味と紫のローブの魔法使いを中心とした襲撃部隊だ。彼らは四方から村を包囲するように進軍していた。

御影要は村全体を通して状況を把握していた。トーマスとオーウェンが指揮する防衛隊は村の周囲に配置され、冒険者たちも各自の持ち場につき、決戦の時を待っていた。ロイヤルドラゴンズの五人は村の四隅にそれぞれ散り、防衛の要となっていた。

「皆さん、準備はいいですか」

オーウェンが冷静な声で確認した。彼は村の西門を守る部隊の指揮を執っていた。

「彼らの目的はおそらく精霊石と村の中枢部。決して中央まで侵入させてはなりません」

フレイム・レッドクレストが南門で剣を抜き、同意した。

「まずは外周の防衛で食い止める。それでも突破されたら、内部で迎撃する二重構えだ」

要は「基本防御構造」と「自己拡張」のスキルを最大限に活用し、村の壁をさらに強化していた。石壁は急速に高さを増し、厚みを増していく。壁の一部にはダンジョンから採取した魔力結晶が埋め込まれ、エリシアとミラの魔法によって活性化されていた。

「魔法結界の準備完了」

エリシアが広場から報告した。彼女とミラは村の中央で、大規模な防御魔法を発動させていた。青い光の粒子が村全体を覆うように広がり、半透明のドーム状の結界が形成されつつあった。

「御影さん、ダンジョンの魔物たちも準備万端よ」

ミラが付け加えた。彼女はダンジョンマスターの血を引く者として、スライムキングやその他の高位魔物と意思疎通を図っていた。

村の広場には、フィンが指揮する支援部隊が集まっていた。彼らは負傷者の治療や物資の輸送、避難民の誘導などを担当する。リオも彼らと共に、村人たちの安全確保に努めていた。

「御影さん、どうか無理はしないで」

リオが空を見上げて呟いた。彼の目には心配と信頼の色が混ざっていた。

要は村全体を守る決意を新たにした。そして同時に、いくつかの「空間制御」を準備していた。特に、緊急避難用のポータルを村の中央に設置し、万が一の場合には住民たちを安全な場所へ避難させる手段を確保していた。

敵の部隊が村の外周から約百メートルの地点まで接近したとき、オーウェンが合図を送った。

「準備!」

弓兵たちが弓を構え、魔法使いたちが詠唱を始める。村全体に緊張が走った。

そのとき、敵の中央にいたグリムが前に進み出て大声で叫んだ。

「みかげ村の者たちよ!抵抗は無駄だ!精霊石と御影なる者を引き渡せば、他の者たちには危害を加えん!」

彼の隣に立つ紫ローブの魔法使いは無言のままだったが、その姿からは強い魔力が感じられた。

「返事はこれだ!」

オーウェンが剣を掲げ、防衛隊に合図した。弓兵たちが一斉に矢を放ち、魔法使いたちが火球や雷撃の魔法を発射した。

敵も応戦し、あっという間に村の周囲は戦場と化した。グリムの部下たちは盾を掲げて矢を防ぎながら、村の壁に向かって突進してきた。

「来るぞ!迎撃準備!」

トーマスが東門で警告を発した。

要は「ダンジョン化スキル」を部分的に発動させ、村の周囲の地面に罠を仕掛けた。突進してきた敵の一部が地面に足を取られ、倒れ込む。しかし、後続の者たちは彼らを乗り越えて進んできた。

南門ではロイヤルドラゴンズが華麗な連携を見せていた。フレイムの剣捌きは目にも止まらず、クリスタルの魔法は広範囲の敵を抑え込み、ストーンは巨体を活かして敵の突破を物理的に阻止していた。

「我らが守る!」

フレイムの勇ましい声が響く。

北側では、ダンジョンから呼び出された魔物たちが防衛に参加していた。スライムキングを筆頭に、クリスタルゴーレムやシャドウハウンドたちが敵の進軍を妨げる。通常、敵対するはずの魔物と冒険者たちが、村を守るために協力する奇妙な光景が広がっていた。

「魔物たちが味方してる!」
「さすがみかげ村、常識が通用しない!」

冒険者たちの驚きの声が上がる。

そんな中、紫ローブの魔法使いが動き出した。彼は杖を高く掲げ、複雑な詠唱を始めた。空気が重くなり、村を覆う魔法結界が揺らめく。

「警戒して!強力な魔法が来るわ!」

エリシアが警告した。

次の瞬間、紫色の雷が空から結界に向けて降り注いだ。結界はかろうじて持ちこたえたが、青い光のドームに亀裂が走り始めた。

「結界が持ちません!」

ミラが叫んだ。

要は即座に「基本防御構造」を強化し、結界を支える補助壁を村の各所に出現させた。同時に、「空間制御」で結界の亀裂部分に小さなポータルを作り、魔力の一部を迂回させる。

「御影様、素晴らしい対応です!」

エリシアが驚きの声を上げた。結界は再び安定を取り戻した。

しかし、グリムはその隙を狙って西門に突撃を仕掛けた。彼自身が先頭に立ち、黒い剣を振るって防衛隊を薙ぎ払っていく。

「あれがグリムか…強い」

オーウェンは彼と対峙した。元騎士団隊長の腕前は確かだったが、グリムも並の相手ではなかった。二人の剣が激しくぶつかり合い、火花が散る。

「元騎士団か。なかなかやるな」

グリムが嘲笑いながら言った。

「だが、所詮は『元』騎士だ!」

彼は突然速度を上げ、オーウェンの防御を破ろうとした。オーウェンは危機一髪のところで身をかわし、反撃を試みる。しかし、グリムの動きは予測を超えて速く、オーウェンの肩に浅い傷を負わせた。

「くっ…」

オーウェンが歯を食いしばる。

要はこの状況を見て、西門の防衛を強化することを決めた。「高度魔物創造」のスキルで新たな援軍を呼び寄せようとした矢先、意外な光景が目に飛び込んできた。

村の南から、王国の旗を掲げた騎士団が接近していたのだ。先頭にはアルフレッド騎士の姿があった。

「援軍だ!」

トーマスが喜びの声を上げた。

アルフレッドは即座に戦況を把握し、南側から攻撃していた敵の背後を突いた。予想外の援軍の出現に、敵部隊は混乱し始めた。

「後方から攻撃を受けています!態勢を立て直してください!」

敵の部下が叫ぶ声が聞こえた。

グリムはこの状況に冷静に対応した。彼は一旦オーウェンから距離を取り、部下たちに新たな指示を出した。

「後方は魔法使いに任せる。俺たちは正面突破だ!総力を西門に集中しろ!」

彼の命令で、西門への攻撃が一層激しくなった。

紫ローブの魔法使いも南側に向き直り、アルフレッドの騎士団に対して魔法攻撃を仕掛け始めた。地面から紫の炎の壁が立ち上がり、騎士たちの進軍を妨げる。

「この魔法は…」

アルフレッドが眉をひそめた。

「王国禁断の暗黒魔法だ!一体何者だ!?」

戦況は一進一退となった。村の防衛隊とアルフレッドの騎士団、そして冒険者たちの奮闘で敵の進軍は阻まれていたが、グリムと紫ローブの魔法使いの強さは並ではなかった。特に西門は危機的状況で、徐々に防衛線が押し込まれつつあった。

「このままでは突破される!」

オーウェンが警告した。彼は負傷しながらも最前線で戦い続けていた。

要は決断を下した。直接的な対抗手段に出る時だ。

村全体に意識を集中させ、「ダンジョン化スキル」と「空間制御」を組み合わせた新たな技を発動させた。村の周囲の地面が青く光り始め、特に西門付近が強く脈動する。

【新技:領域転換】
【実行中…】

次の瞬間、西門周辺の空間が歪み始めた。まるでダンジョン内部のような環境に変化していく。地面は石畳に変わり、壁は青い結晶に覆われ、空気中に魔力が充満した。

「なんだこれは!?」

グリムが驚きの声を上げた。

この環境変化に最も強く影響を受けたのは魔物たちだった。村側の魔物たちは力を増し、より活発に動き始めた。特にスライムキングは巨大化し、その攻撃力も防御力も大幅に向上した。

「これが御影様の真の力…」

ミラが感嘆の声で呟いた。

「ダンジョンと村の境界を曖昧にし、ダンジョンの法則を村の外にまで適用させている」

グリムの部下たちは新たな環境に戸惑い、戦闘効率が大きく低下した。対照的に、冒険者たちはダンジョン探索の経験を活かして柔軟に対応し、優位に立ち始めた。

「押し返せ!」

オーウェンが叫び、防衛隊が反撃に転じた。

グリム自身も戸惑いを見せたが、すぐに態勢を立て直そうとした。しかし、彼が立っていた地面が突然崩れ、落とし穴が出現した。要の仕掛けだ。

「くそっ!」

グリムは落下しながらも、壁に剣を突き刺して降下速度を緩めた。しかし、彼が穴から出てくるまでに、戦況は大きく変わっていた。

南側ではアルフレッドが紫ローブの魔法使いと対峙していた。彼の剣は魔法防御の特性を持っているらしく、紫の炎を切り裂きながら接近していく。

「王国の名において、お前を逮捕する!」

アルフレッドが剣を構えた。

紫ローブの魔法使いは初めて声を発した。それは驚くほど若い、女性の声だった。

「馬鹿な騎士ね。あなた方がやろうとしていることの意味も分からないで」

彼女—紫ローブの魔法使いは顔を覆うフードを少し上げた。完全には見えなかったが、若い女性の顔と冷たい瞳が垣間見えた。

「この村を知らないの?かつての『精霊の里』を!」

彼女の言葉にアルフレッドは一瞬動きを止めた。

「何を言っている?」

「もういい、次回に持ち越しましょう」

彼女は杖を地面に突き立て、強烈な光の爆発を起こした。その閃光と煙に紛れて、彼女の姿は消えた。

「逃げたか…!」

アルフレッドは悔しげに唸った。

西側では、グリムが穴から這い上がってきた頃には、彼の部下たちはほとんど撃退されていた。

「撤退だ!また来る!」

グリムは不満げに叫び、残った部下たちを率いて森へと逃げ込んだ。

「追撃しますか?」

トーマスがアルフレッドに尋ねた。

「いいえ、これ以上追うのは危険だ。村の安全確保が先決だ」

アルフレッドは冷静に判断した。

こうして、みかげ村への大規模な襲撃は撃退された。村には部分的な損害があったものの、致命的な被害は避けられた。何より、住民たちは無事だった。

「御影様、村を守っていただき感謝します」

アルフレッドは広場で頭を下げた。

「我々も到着が遅れ、申し訳ありません」

要はアルフレッドの援軍に感謝した。彼らの到着がなければ、もっと厳しい戦いになっていただろう。

「情報があった」と要は地面に描いた。

「はい、トーマスの緊急連絡を受け、すぐに部隊を編成しました」

アルフレッドは村を見回した。

「しかし、あの紫ローブの魔法使いが気になります。彼女は『精霊の里』について言及しました」

この情報に、ロイヤルドラゴンズのフレイムが近づいてきた。

「彼女も『精霊の里』のことを知っているのか。これは単なる偶然ではないでしょう」

エリシアも考え込んだ様子で言った。

「あの魔法使いは、私たちが研究している『領域』の確立を妨害しようとしたのかもしれません。前回の儀式の妨害と同様に」

要もそう考えていた。何者かが村の進化を阻止しようとしている。それは単なる略奪目的ではなく、もっと深い理由があるのかもしれない。

戦いの後片付けと負傷者の治療が進む中、アルフレッドは重要な報告をした。

「御影様、実は今回の件で王国からの特使が派遣されることになっています。明日にも到着する予定です」

要は関心を示した。「どのような目的で?」

「正確な内容は伝えられていませんが、みかげ村とダンジョンの特異性について、王国として正式な調査と対応を行うためとのことです」

アルフレッドの表情には微妙な緊張が見えた。

「御影様、率直に申し上げますと、王国内には様々な意見があります。みかげ村を文化的・学術的価値のある特別な存在として保護すべきという意見もあれば、潜在的な危険として管理下に置くべきという意見もあるのです」

この情報に、住民たちの間に不安の声が広がった。

「村を管理するだって?」
「私たちの家なのに!」

フィンが冷静に問いかけた。

「アルフレッド様、王国は具体的にどのような『管理』を考えているのでしょうか?」

「詳細は伝えられていませんが、最低でも常駐の監視官の設置、村への出入りの厳格な管理、そしてダンジョンの活動制限などが検討されているようです」

要はこれを聞いて警戒心を強めた。村の自治が脅かされるかもしれない。

「私たちには選択肢があるのか?」と要は尋ねた。

アルフレッドは困った表情を浮かべた。

「正直に申し上げますと、王国の決定に従わない場合、最悪の場合は強制執行もあり得ます。しかし」

彼は声を低めた。

「私個人としては、御影様と村の自治を尊重すべきだと考えています。明日の特使との交渉次第では、もっと村に有利な条件を引き出せるかもしれません」

要はじっくりと考えた。王国との対立は避けたいが、村の自治も守りたい。何らかの妥協点を見つける必要がある。

「準備する」と要は決意した。

その夜、村の住民たちは広場に集まり、王国特使の来訪について対策を話し合った。ロイヤルドラゴンズも含め、様々な意見が交わされた。

「王国の保護下に入れば安全は保証されますが、自由は制限されるでしょう」

フレイムが冷静に分析した。

「しかし、完全に拒否すれば政治的に孤立する危険性があります」

フィンは商人らしい現実的な視点から提案した。

「王国に一定の権限を認めつつも、村の核心部分—御影様の存在やダンジョンの管理権などは留保する。そのような交渉が理想的です」

オーウェンは防衛の専門家として懸念を表明した。

「王国の騎士団が常駐するとなれば、事実上の占領状態になりかねません。最低限の駐留にとどめるべきです」

エリシアとミラは研究者として意見を述べた。

「『領域』の確立計画も影響を受ける可能性があります。王国の監視下では自由な研究が難しくなるかもしれません」

住民たちも不安を隠せなかった。

「この村は私たちの家なのに…」
「御影さんがいるから特別な村なんだ。王国にはわからないよ」

要は皆の意見を聞きながら、どのように対応すべきか考えていた。村は単なる領土ではなく、自分自身の一部でもある。そして何より、住民たちの安全と幸福が最優先だ。

「共存の道を探る」と要は結論を出した。

翌日、王国からの特使が村に到着した。五名の騎士に護衛された中年の男性で、厳格な表情と威厳ある身のこなしが特徴的だった。

「王国外務省特使、ヴィクター・ハイタワーです」

彼は広場で自己紹介した。

「陛下の名において、みかげ村の調査と今後の関係構築のためにまいりました」

要はオーウェンとフィンを交渉役に指名した。彼らは村側の代表として、ヴィクターとの会談に臨んだ。

会談は村の集会所で行われ、要は地面を通して状況を把握していた。

「みかげ村の特異性は王国にとって非常に興味深いものです」

ヴィクターは冷静に語り始めた。

「『場所の意志』とも言うべき御影様の存在、ダンジョンとの共生関係、そして古代の『精霊の里』との関連性。これらは学術的にも戦略的にも重要な価値を持ちます」

彼は一呼吸置いて続けた。

「王国としては、みかげ村を特別行政区として位置づけ、王国の直接管理下に置くことを提案します。具体的には、王国騎士団の常駐、村への出入りの管理、ダンジョン活動の監視、そして研究活動の王国管理などです」

オーウェンが冷静に反論した。

「しかし、それでは村の自治がほとんど失われてしまいます。御影様は単なる研究対象ではなく、この村の根幹をなす存在です」

フィンも続けた。

「また、経済的にも大きな損失になります。自由な交易と冒険者の往来が村の発展を支えているのです」

ヴィクターは首を振った。

「もちろん、一定の自治は認めます。しかし、このような特異な存在が完全に独立した状態であることは、王国の安全保障上、許容できないのです」

交渉は膠着状態に陥ったように見えた。

そのとき、要は直接参加することを決めた。地面に文字を描き、自らの意志を示す。

「共存の条件を提案したい」

ヴィクターは驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。

「御影様から直接ご意見を伺えることは光栄です。どのような条件をお考えですか?」

要は項目ごとに自分の提案を描いていった。

「1. 村の核心部分(私自身とダンジョンコア)の管理権は村に残す」
「2. 研究協力は行うが、強制的な実験は認めない」
「3. 冒険者と商人の自由往来は維持する」
「4. 王国の駐在官と少数の騎士は受け入れるが、大規模な駐留は認めない」
「5. 危機時には相互に援助する同盟関係を結ぶ」

ヴィクターはこれらの提案を慎重に検討した。

「興味深い提案です。王国としても、完全な支配よりも互恵的な関係の方が長期的には有益かもしれません」

彼は考え込んだ後、こう続けた。

「これらの条件に加え、王国としては以下を要請します。研究成果の共有、特に魔力結晶の優先的な供給、そして何より重要なのは、御影様の力が外部の脅威によって悪用されないという保証です」

要はこれらの条件も受け入れられると判断した。王国との良好な関係は村の安全にもつながるからだ。

「合意する」と要は答えた。「正式な協定を」

こうして、みかげ村と王国の間に「相互協力協定」が結ばれることになった。村は一定の自治を保ちながらも、王国の保護を受ける特別な地位を獲得した。

ヴィクターが去った後、住民たちは複雑な心境を抱えていた。

「これで安全は確保されたけど…」
「本当に王国は約束を守るのだろうか」

オーウェンがみんなを励ました。

「これは始まりに過ぎません。これからも村の自治を守るため、私たちは一致団結する必要があります」

要も同感だった。王国との協定は一つの保険だが、最終的に村を守るのは自分たち自身だ。

その夜、エリシアとミラが研究室から重要な報告をしにきた。

「御影さん、『領域』確立の研究に大きな進展があったわ」

エリシアが興奮した様子で言った。

「ロイヤルドラゴンズが見つけた古代の祭壇と、私たちの研究を組み合わせることで、より安定した『領域』の形成が可能になりそうです」

ミラが補足した。

「さらに、この方法なら外部からの干渉を受けにくくなります。王国の監視下でも実行できるでしょう」

これは朗報だった。「領域」の確立は村の根本的な強化につながる。

「進めよう」と要は承認した。

翌日から、村は新たな日常を迎えた。王国から派遣された駐在官と少数の騎士が村に常駐することになり、彼らのための施設が村の西側に設置された。彼らは村の日常に大きく干渉することはなく、主に観察と報告を行うのみだった。

アルフレッド騎士は王国と村の橋渡し役として、引き続き村に滞在することになった。彼の公正さと誠実さは、住民たちからも信頼されていた。

ロイヤルドラゴンズは古代の祭壇の調査を続けながら、「精霊の里」についての新たな情報を求めて、一時的に王都に戻ることになった。

「必ず戻ってきます」

フレイムは出発前に約束した。

「王国の古文書館には、もっと多くの情報があるはずです。御影様のルーツと、この村の真の意味を解明するために」

要は彼らの協力に感謝した。「精霊の里」と「場所の意志」についての知識は、自分自身の存在を理解する上で非常に重要だと感じていた。

村の生活は少しずつ平常を取り戻していった。損壊した壁や建物の修復が進み、市場も再開され、冒険者たちもダンジョン探索を再開した。

しかし、要の心の中には新たな問いが生まれていた。紫ローブの魔法使いは誰なのか。なぜ彼女も「精霊の里」のことを知っているのか。そして彼女とグリムはなぜ協力しているのか。謎は深まるばかりだった。

また、王国との協定は表面上は平和的なものだったが、本当に村の自治が長期的に守られるかは不透明だった。王国の本当の意図は何なのか。単なる学術的興味なのか、それとも村の力を利用する野望があるのか。

夜更けに村を見回りながら、要はこれらの問いについて考えを巡らせていた。村の安全と発展のためには、これらの謎を解き明かす必要がある。そして何より、「精霊の里」と自分自身の関係を明らかにすることが、今後の道を示してくれるかもしれない。

月明かりの下、村は静かに息づいていた。表面上の平穏の裏で、さらなる挑戦と発見が待ち受けているという予感がしていた。

【御影要】
【村レベル:4】
【住民数:15】(新たに王国の駐在官と騎士を含む)
【スキル:基本生活機能、ダンジョン化スキル(制限なし)、基本資源生産、基本防御構造、空間制御、高度魔物創造、自己拡張、領域転換(新)】
【ダンジョン:レベル3(村と完全同調)】
【次の目標:「領域」の確立、謎の解明】

村の物語は新たな局面に入ろうとしていた。

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