悪役令嬢の執事、未来視で無双する

ソコニ

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第18話:神の耳を持つ男

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「バルドルの行方がわからない」

レティシアの声には心配が滲んでいた。彼女とクロヴィスは王都の東門近くの宿で落ち合う予定だったが、バルドルだけが姿を見せなかった。時の神殿への出発は、今や危険にさらされていた。

「彼は昨夜、王宮で最後の情報収集をすると言っていましたが...」

クロヴィスは窓辺に立ち、夜明け前の王都を見つめていた。微かな霧が街を覆い、不吉な予感を一層強めていた。

「彼なら時間を守るはずです。何か起きたに違いありません」

「聖女たちに捕まったのかしら?」

レティシアの青い瞳に不安の色が濃くなる。

「未来視で確認します」

クロヴィスは目を閉じ、「視界」の紋章の力を呼び覚ました。彼は意識を集中させ、バルドルの姿を探し始める。3時間後、3日後の未来を探っても、バルドルの姿は見当たらない。しかし、さらに意識を研ぎ澄ませると...

「...!」

彼の金色の瞳が見開かれた。閃光のような映像が頭を過ぎったのだ。

「王宮の北の塔...バルドルはそこに囚われています」

「北の塔?」

レティシアが驚きの声を上げた。

「あそこは魔術研究のための場所...父が使っていたわ」

「宰相フォン・クラウスが彼を捕らえているようです」

クロヴィスの表情が暗くなった。

「彼らは何かの儀式の準備をしている...バルドルの命が危ない」

「どうすればいいの?時の神殿への旅は...」

「計画を変更します」

クロヴィスは即座に決断した。

「レティシア様、あなたは単身で時の神殿に向かってください。私はバルドルを救出します」

「一人で?あまりに危険よ!」

「時間がないのです」

彼は既に装備を整え始めていた。短剣、特殊な道具、そして「記憶水晶」—これらを身に着け、黒装束に身を包む。

「未来視が示すところでは、バルドルは今夜、何らかの儀式に使われる予定です。それまでに救出しなければ...」

レティシアは葛藤の末、頷いた。

「わかったわ。でも、約束して。無茶はしないで、必ず二人で戻ってくると」

「お約束します」

クロヴィスは深く頭を下げた。

「私の『視界』の紋章の力は、宰相の『加速』よりも優位に立てるはずです」

◆◆◆

王宮への侵入は、以前よりも困難を極めた。警備は倍増され、宰相の指示により、特に北の塔周辺は厳重に守られていた。クロヴィスは前回利用した地下通路が封鎖されていることを知り、別のルートを選んだ。

彼は王宮の背後にある森に身を隠し、未来視を使って警備の動きを把握した。3分後には北門の警備が交代する。その短い隙をつくのだ。

「今だ」

彼は影のように素早く動き、警備の目をかわして城壁を乗り越えた。中庭を横切り、建物の陰に身を潜めながら北の塔に近づいていく。

塔の入口には二人の兵士が立っていた。クロヴィスは3秒後の未来を見て、彼らの動きを予測した。どちらも左を向く瞬間があると知り、その隙に塔の側壁を登り始めた。

北の塔は王宮の中でも特に古い建造物で、石壁には風化による凹凸があり、熟練した登攀者には格好の足場となっていた。クロヴィスは暗殺者時代に培った技術で、音を立てずに塔を登っていった。

未来視で塔の最上階に誰かがいることを感知した彼は、そこを目指して登っていった。窓から覗き込むと、彼の胸が痛むような光景が広がっていた。

バルドルが円形の祭壇に横たわっていた。彼の体は拘束され、胸には奇妙な紋様が描かれている。その周りには数人の黒装束の人物が立ち、詠唱のような言葉を唱えていた。そして、祭壇の前には、宰相フォン・クラウスの姿があった。

「『停止』の紋章の抽出を始めよ」

宰相の声が響いた。

「この儀式で彼の『神の耳』の力を完全なものとし、神々の声を直接聞くことができるようになる」

クロヴィスは窓を突き破り、室内に飛び込んだ。

「それは許さない!」

彼の突然の登場に、黒装束の人々は動揺し、詠唱が中断された。宰相は一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。

「クロヴィス・アーヴィン...予想より早かったな」

フォン・クラウスの口元に不敵な笑みが浮かんだ。

「未来を見る能力をお持ちとは知っていたが、ここまで的確とは。『視界』の紋章の力は侮れないな」

「バルドルを解放しろ」

クロヴィスは短剣を構えた。

「彼に何をした?」

「何もしていない...まだな」

宰相は祭壇に近づいた。

「彼の中にある『停止』の紋章の力を抽出しようとしていただけだ。それが完成すれば、彼の『神の耳』も完全なものとなる。神々の声を直接聞くことができるようになるのだ」

「それが目的か?」

「彼の能力は貴重だ」

宰相の青い瞳が冷たく光った。

「時の神ハロネウスの復活のために、神々の意図を正確に理解する必要がある。バルドルの『神の耳』はその鍵なのだ」

「人を犠牲にしてまで...」

「犠牲?」

宰相は嘲笑うように言った。

「時の神の復活は、人類にとっての救いだ。神々への捧げ物として人間の時間を差し出すことで、新たな世界が始まる...それこそが我々『時の守護者』の目的だ」

クロヴィスは祭壇に目を向けた。バルドルは意識を失っているようだが、かすかに胸が上下している。まだ息があった。

「お前の未来視も、神々の贈り物だ」

宰相は続けた。

「すべての紋章の力は神々から与えられたもの。その力を神々へ返すことこそが、我々の義務なのだ」

「詭弁だ」

クロヴィスは冷静に言い放った。

「あなたたちは力に溺れ、神々の名を借りて自分たちの欲望を満たそうとしているだけだ」

「無知な...」

宰相の表情が凍りついた。

「ならば力で示そう、時の紋章の真の姿を!」

宰相の周りに青い光が渦巻き始めた。それは「加速」の紋章の力だ。クロヴィスの未来視が警告を発する。3秒後、宰相の動きが異常に速くなり、攻撃を仕掛けてくる。

「来るぞ...!」

クロヴィスは構えを固めた。宰相が動いた。その動きは通常の何倍もの速さで、まるで空間を歪めているかのようだった。クロヴィスは未来視で攻撃を予測し、かわそうとしたが——

「遅い!」

宰相の拳がクロヴィスの胸に炸裂する。彼はなんとか踏みとどまったが、衝撃で呼吸が苦しくなった。

「『加速』の紋章の力で、私は時間の流れそのものを操ることができる」

宰相は冷酷に笑った。

「お前の未来視がいくら先を読もうと、この速さには追いつけん!」

再び青い光に包まれ、宰相の姿が消えた。クロヴィスは未来視に集中したが、宰相の動きが速すぎて映像が霞む。それでも、彼は直感で背後からの攻撃を感じ取り、横に跳んだ。

「おや、予想より動きがいいな」

宰相が再び実体化したようにクロヴィスの前に現れる。

「しかし、それも時間の問題だ」

クロヴィスは冷静さを保とうとした。「視界」の紋章の力をより深く引き出す必要がある。彼は古代の書物で読んだ、紋章の力を高める方法を思い出そうとした。

「集中...意識を研ぎ澄ませ...」

彼は目を閉じ、一瞬の静寂の中で精神を統一する。そして、目を開けた時、彼の金色の瞳は一層鋭く輝いていた。未来の映像がより鮮明に、より広範囲に見えるようになった。

「何?」

宰相が困惑の色を見せた。

クロヴィスは微笑んだ。今度は彼が動く番だ。彼は宰相の動きを完璧に予測し、その間合いに飛び込んだ。宰相の攻撃をかわし、彼の隙を突いて一撃を見舞う。

「ぐっ...!」

不意を突かれた宰相が後退する。

「『視界』の紋章と『加速』の紋章...どちらが勝るか、試そうではないか」

クロヴィスは静かに挑戦状を突きつけた。

二人の間で凄まじい戦いが繰り広げられる。宰相の超高速の動きと、クロヴィスの完璧な予測能力がぶつかり合う。部屋中を二人の残像が駆け巡り、黒装束の儀式参加者たちは恐れをなして隅に退いていた。

クロヴィスが一瞬の隙をついて、祭壇に近づこうとした。しかし、宰相はそれを見逃さなかった。

「させるか!」

彼の周りの青い光がさらに強まり、時間がさらに加速する。クロヴィスの前に無数の残像が現れ、四方八方から攻撃が襲いかかる。

「くっ...!」

クロヴィスは未来視を使い切るも、完全に回避することはできなかった。何発かの攻撃が彼の体を捉え、彼は壁に叩きつけられた。口から血が滲む。

「私の『加速』に敵う者はいない」

宰相は高慢に言った。

「さあ、お前も儀式の生贄になれ。『視界』の紋章の力も抽出してやろう」

クロヴィスは立ち上がろうとするが、体がうまく動かない。宰相の攻撃で内臓にダメージを受けたようだ。それでも、彼の金色の瞳は諦めを知らなかった。

3秒後の未来...宰相が彼に向かって歩いてくる。
3分後の未来...儀式が再開される。
3時間後の未来...バルドルと彼が力を失い、宰相の計画が進む。

「失敗するわけには...」

彼は立ち上がり、最後の力を振り絞った。未来視を極限まで高め、宰相の動きを完璧に把握する。そして、自分の体の限界を超えるような速さで動いた。

「なっ...!」

不意を突かれた宰相が後退する。クロヴィスはその隙に祭壇に飛びかかり、バルドルの拘束を解き始めた。

「やめろ!」

宰相が叫び、青い光の渦を放った。それはクロヴィスを祭壇から吹き飛ばす力を持っていたが、彼は最後の力を振り絞ってバルドルを抱え、壁際に転がった。

「逃がさん!」

宰相が二人に向かって突進してきた。クロヴィスは窓を見た。あそこから脱出するしかない。

「すまない、バルドル...」

彼は意識のないバルドルを抱えたまま、窓に向かって飛び込んだ。ガラスが砕け散り、二人は夜の闇の中へと落下していく。

「落ちるぞ!」

宰相の怒号が塔の上から聞こえた。

クロヴィスは落下の衝撃を和らげるため、体をひねり、可能な限りバルドルを守る体勢をとった。彼らは塔の下の屋根に激突し、そこから中庭に転がり落ちる。

「くっ...!」

激痛が体中を走ったが、クロヴィスは気を失わなかった。彼は素早くバルドルを抱え上げ、王宮からの脱出経路を探した。未来視を使い、最も安全なルートを見つける。

「あそこだ...」

彼は影に紛れて動き、警備の目をかわしながら城壁に向かった。背後では警鐘が鳴り響き、兵士たちの叫び声が聞こえる。

「見つけたぞ!あそこだ!」

クロヴィスは未来視で3秒後に矢が飛んでくることを察知し、急いで角を曲がった。矢は壁に突き刺さり、彼らは間一髪で難を逃れた。

何とか城壁近くまで来たところで、クロヴィスは小さな排水口を見つけた。それは狭いが、二人なら何とか通れそうだった。

「ここから...」

彼はバルドルを先に通し、自分も必死でくぐり抜ける。どうにか城外に出ると、彼は再びバルドルを抱え上げ、貧民街の方へと走った。

◆◆◆

「バルドル、しっかりしろ!」

安全な場所にたどり着いた後、クロヴィスはバルドルを床に寝かせた。彼は息はあるものの、顔色は悪く、胸に描かれた紋様が不吉な光を放っていた。

「くっ...」

バルドルが目を開けた。彼の瞳は輝きを失い、声も弱々しかった。

「クロヴィス...助けてくれたのか...」

「当然だ。我々は仲間だろう」

クロヴィスは彼の傷を確認した。表面的な怪我以上に、儀式による内的なダメージが深刻なようだった。

「彼らは...私の『停止』の紋章を...」

バルドルは言葉を詰まらせた。

「無理をするな。休め」

「いや...話さねば...」

彼は苦しそうに上体を起こそうとした。

「私には『神の耳』と呼ばれる能力がある...神々の声を聞くことができるんだ...」

クロヴィスは静かに聞いた。

「しかし、それは不完全だった...断片的な声しか聞こえなかった...」

バルドルは胸の紋様に触れた。

「宰相たちは、私の中の『停止』の紋章を抽出し、彼らの儀式に使おうとしていた...『神の耳』を完成させ、神々から直接指示を受けるためにね...」

「彼らの本当の目的は何なんだ?」

「時の神ハロネウスの復活...」

バルドルの声が震えた。

「宰相たちは『時の守護者』と呼ばれる秘密結社の一員だ。彼らは世界の『再創造』を望んでいる...古代の神々が支配する世界をね...」

「そのために人間の時間を奪っているのか...」

「そう...」

バルドルは咳き込んだ。血が口から溢れ出る。

「聖女ディアナも、その一員だ...彼女の『始まりの紋章』と宰相の『加速』...さらには他の紋章も集めて...」

「他の紋章...?」

「『時の紋章』は七つ...集まれば時の神が復活し、新たな世界が創られる...『視界』『逆行』『停止』『加速』『永遠』『始まり』『終わり』...」

バルドルの呼吸が荒くなり、彼は再び横たわった。

「私の力も...もう長くは...」

「無理をするな」

クロヴィスは彼の傍に跪いた。

「必ず回復する方法を...」

「時間がない...」

バルドルが突然、クロヴィスの手を掴んだ。彼の瞳が奇妙な光を放ち始める。

「最後に...私の『神の耳』で聞いた声を...あなたにも聞かせたい...」

バルドルの手から不思議な波動が伝わってきた。それは「停止」の紋章の力だった。クロヴィスの頭の中で、突然、異質な声が響き始めた。

「人間よ、我々の時を返せ...」

それは人間の声とは思えない、深遠で古代的な響きを持つ声だった。

「我々が与えた時の紋章は、人間界を維持するための鍵...それを利用して人間の時間を奪い、我々に捧げるなど、契約違反だ...」

声は続いた。

「時の神ハロネウスは眠り続けるべき存在...彼が目覚めれば、すべては滅びる...」

そして声は次第に弱まっていった。

「七つの紋章...特に最後の『終わり』の紋章だけは...決して一つにしてはならない...」

バルドルの手が力なく落ちた。彼の瞳の光が消える。

「これが...神々の声...」

彼は最後の力を振り絞り、言葉を紡いだ。

「彼らは怒っている...人間が契約を破ったことに...聖女たちのやり方は...神々が望んでいるものではない...」

「バルドル...」

「私の力は...もうすぐ尽きる...」

彼は微かな微笑みを浮かべた。

「でも...最後に役に立てて...よかった...」

「死ぬな!」

クロヴィスは彼の肩を掴んだ。

「まだやることがある。アレクシスを救わなければ...王国を救わなければ...」

「クロヴィス...」

バルドルの声はかすかだったが、彼の目には意思の光が戻っていた。

「『終わり』の紋章を...探して...それだけは...聖女たちの手に...渡してはならない...」

彼の胸の紋様が弱く明滅した。

「私の『停止』の力も...まだ少しは残っている...」

彼はクロヴィスの手に自分の手を重ねた。

「これを...受け取ってくれ...」

青白い光がバルドルから放たれ、クロヴィスの体に流れ込んでいく。それは「停止」の紋章の力の一部だった。

「この力で...『心操りの紋』を...一時的に止められるかもしれない...」

光が収まると、バルドルはぐったりと横たわった。彼の呼吸は浅く、弱々しいが、まだ命はあった。

「絶対に治してみせる...」

クロヴィスは静かに誓った。

外では夜明けの光が少しずつ東の空を染め始めていた。しかし、彼らの戦いはまだ始まったばかりだった。神々の声、「終わり」の紋章、そして時の神ハロネウス——全てが繋がり始め、そして同時に、より大きな謎を生み出していた。

「レティシア様...無事でいてください」

クロヴィスは東の空を見つめながら祈った。時の神殿に向かった彼女の無事と、彼女が「永遠」の紋章に関する情報を見つけることを。

バルドルの命を救い、アレクシスを「心操りの紋」から解放し、そして時の神の復活を阻止する——それらの使命を胸に、クロヴィスは新たな決意を固めた。

(続く)
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